ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
ED「Over Sky 」
あれから結局疾風はマルセイユと話せる機会がなかなか出ず(ほんとは話そうにもさっきのことが気まずかったため言えなかった)、若干間柄がピリピリしたまま、作戦の日を迎えてしまった。
そして翌日、作戦海域でハルトマンとマルセイユを除く全員が編隊を組み、マルタ島上空を飛んでいた。海上にはキングジョージ五世級戦艦、ビスマルク級戦艦、リットリオ級戦艦、秋月級駆逐艦などの連合艦隊が並び、海中では、ハルトマンとマルセイユを乗せた伊400が、ドーム型へ近づいていた。
「聞こえる?マルセイユ大尉、ハルトマン中尉」
ミーナさんが無線で潜水艦内にいる二人に訊く
『ああ、良好だ』
「目標はネウロイによって占拠されたマルタ島。この前、扶桑艦隊を襲ったネウロイも、ここから出現したと予想されるわ」
そう、この前宮藤やリーネを襲った原爆型の大型ネウロイは詳しく調べた所ここから飛び立ったことがわかったのだ。
『ネウロイは地上で要塞化していて、手が出し辛いの。だから、内側から潜水艦を使って侵入して倒す。準備はいい?』
「いつでもいける」
「こっちも良いよ」
と、ミーナに無線を聞いた二人は潜水艦格納庫のつり革にぶら下がりそう言う。そして二人を乗せる伊400型潜水艦はマルタ島の海の下にある遺跡の入り口に入る。そして
「作戦開始!」
ミーナさんの言葉に伊400型は急浮上し、飛行格納庫のハッチが開きそこからハルトマンとマルセイユが飛び立つ。それを見つけたのか無数の小型ネウロイが二人にビームを放ち襲い掛かる。
「うわ~結構いる~」
「接敵!」
と、そう言い二人は機関銃を小型ネウロイに向けるのであった。一方、巣の外ではウィッチ+ウィザードが待機していた。
「始まったみたい」
ミーナさんが固有魔法の空間把握を発現。内部の状況を確認する 。すると無線からハルトマンとマルセイユの声が聞こえる
『敵数、多分40くらい!』
「40!?」
「多いな…」
「ミーナさん、内部にコアはいくつありますか?」
「見た感じ、一つだけね」
「一つ!?」
「ん?疾風、どうかしたのか?」
「いえ…」
アイは、内部にコア持ちの個体が複数いると予想していたが・・・・その後も無線からは相変わらず、MG42とMG34の銃声、二人の撃墜報告が聞こえていた。正直言って立った二人で無数のネウロイを撃墜とは正直言ってすごい。この時俺はそう思った。すると二人からカウントダウンが聞こえる。
『3!』
『2!』
『1!』
そのカウントダウンが聞こえた瞬間ネウロイが粉砕される音が聞こえ
『『ゼロ!!』』
「あとはコアだけね」
「……」
と、ミーナさんがそう言うが俺は妙な違和感を覚えた。・・・・おかしい、二人の腕を疑うわけではないが、あまりにも簡単すぎる。何かの罠か? 俺がそう思った瞬間
「これで・・・・・」
「終わり!」
と、ドームの内部では二人が機関銃をコアである赤い塊に向けてそして機関銃の引き金を引く。そして二人の放った7.92mm弾の銃撃を喰らったコアは砕け散り、ドーム型が上部から崩壊し始めた
「終わったな…」
「すごい…」
「あれがエースの力だ…」
と宮藤たちが感心して言うと二人は上昇し
「私は20機だ」
「私も20」
「引き分けは私は好きじゃない・・・・」
「知っているよ」
「決着をつけるぞ・・・ハルトマン」
「私が勝ったらサインしろよ」
「ふっ・・・勝ったらな」
と何やらそんな会話が聞こえ、その下では
「何話しているんでしょうか?」
「わからない・・・・ただあの二人なにかやる気ね・・・・」
と宮藤とエミリアがそう話す。もしかしたらあの二人模擬空戦をやる気だな。しかも実弾での・・・・すると俺は何かの気配を感じ先ほどの崩壊をしているドーム型のネウロイを見る。するとドーム内部の中央付近で、何かが光ったような気がした
「(赤い光……だったよな………まさか)」
赤く光るもの。そんなの決まってる。俺は意を決して魔導エンジンに限界まで魔力を送り込み、最高速度でドーム型へ向かう。そして俺の行動を見てみんな驚き模擬戦を始めようとしたハルトマンとマルセイユも驚いて俺の方へ向く
「疾風!どこ行くんだよ!!」
エイラがそう叫んだその時、さっきまでドーム型の崩壊が止まり、逆に再生を始めた
「一体、何が!?」
「っ!?ネウロイの反応が復活!ドーム型の中には、まだコアがあります!!」
「なんだって!?」
サーニャの言葉と同時にドーム型の再生スピードが上がる
「急げ!入り口が閉じる!」
「疾風!」
エイラやみんなはドームへと向かい模擬戦を始めようとしたエーリカとマルセイユも反転し、再度ドーム型へ向かう。だが、一瞬遅かった再生が間に合わなかったドームの天頂部から疾風が内部に侵入。そして侵入後、ドームの再生は完了し、入り口は閉ざされた
「喰らえ!」
みんなはドームに向け銃撃を開始するが、すべて跳ね返される。
「効いてない…」
「サーニャさん!」
「はい!」
ミーナさんの指示を受け、サーニャがフリーガーハマーを発射する。ロケットは命中するが傷一つ付かなかった。
「ダメです!効果なし!」
「マジかよ…」
「疾風……」
エイラが心配する中、マルセイユは
「(……なぜだ、なぜあいつだけあんなにすばやく反応できた……?……いや、そうじゃない。なぜあいつだけ中に入れた?)」
そう、疾風が動き始めた瞬間、あのネウロイは狙ったようにドームが閉まり始めたのだ
「(中で何が起こってるんだ………くそっ!早死にするのはどっちだ!大尉!)」
マルセイユは無駄とは分かっていても、銃弾を叩き続けるのであった。
一方、ドーム内部では
「はあ・・・・はあ・・・さすがに全速力はきつかったな・・・」
と、息を切らしながらそう言う疾風、しかし警戒心は怠っていなく腕に三式13㎜機関銃をもっていつ敵が来るか警戒していた。すると背後で何かの気配がし、疾風がそこに向けると、そこには・・・・
「ようこそ疾風村正大尉。私は君が来るのを待っていたのだ」
と、そこには人型ネウロイがいた形はジブリールと同じ女性型だが髪はポニーテイルだった。
「・・・・・お前は?」
「歓迎するぞ。何なら君の奥さんも呼んで来たらどうだい?」
「だったらこのドームを開けたらどうなんだ?」
「あはは!今のは冗談さ。今開けたら蜂の巣にされるからね。あ、そうそうこのままじゃ話しずらいわね」
と、彼女がそう言うと彼女の身体が光りだし、光が収まるとそこには赤と黄色の混じった髪で少し開けた格好のした女性の姿があった。
「驚いたかい?まあ、ここで空中待機もなんだし座って話さないか?」
そう言い彼女は降下し俺はそれについていく。そして地面につくとそこには畳が2畳にその上に少しレトロなちゃぶ台が置かれていた。そして彼女は足をユニット型から人間の足に変換し畳に座る
「・・・・何でこんなのがあるんだよ?」
「ああ、これ?扶桑に潜伏している情報課のネウロイが教えてくれてね。今ではこうして畳の上に座りお茶を飲むのが私の楽しみなんだよ~」
「そ、そうなのか・・・・・・」
俺は苦笑いしユニットを外し畳の上に座る。すると彼女は
「はい。お茶。毒は入っていないから安心して」
「あ、どうも・・・・・・」
「ジブリールから話は聞いたわ大尉・・・・・・あ、そう言えばまだ自己紹介が遅れたね。私はメトロン。因みに階級は大佐だからね。まあ気軽にメトロンって呼んで」
「・・・・この島にもともといた住人はどうした?まさか殺したのか?」
「ええ、でも私がやったんじゃないよ。このドームの最初の主がやった」
「最初の主?」
「そう、このドームは、私が過激派から奪取したものなのさ」
「つまり、お前は穏健派か?」
俺は少し期待を込めてそう言うと彼女事メトロンは首を横に振り
「う~ん正確には、過激派の中の革新派。穏健派と似た思想を持つ個体たちよ。過激派も決して一枚板じゃないからね」
と、その後彼女の話によると、過激派の内部にも様々な派閥があり、ヴェネチアの大粛清があっても過激派内での争いもたえないという。そしてメトロンはその革新派で、このドームは元々過激派のものだったそうだ。
「・・・・で、なんでお前たちはこのドームを奪ったんだ?」
「ああ、それね。私たちはもともとヴェネチア軍団を指揮する役目だったんだけどね。でも地球に到着する前にヤプールたちにクーデターを起こされてね。で、追い出されて彷徨っている時に目を付けたのが過激派が占拠していたこのマルタ島。あいつらもクーデーター起こした連中と同じ思想だったからね。隙をついて奪ったわ。まあ、大型の奴には逃げられたけどね~」
そう言いメトロンはお茶を飲んでのほほんとした顔をする。なるほど、、大和を襲った大型ネウロイはこいつらに攻撃され逃げた過激派の生き残りか・・・・・
「まあ、その後、ここは穏健派の生き残りと革新派生き残りの避難場として使ったの。まあ君たちが攻め込む前にみんな別の場所に避難したんだけどね」
「それでコアの反応が一つだったわけか・・・・・・・ん?ちょっと待て。確かコアは破壊されたはずだよな?なんで生きている?」
「確かにあなたたちは私たちのコアを破壊した。でもねあなたにメッセージを伝えるために一時的に復活した。この姿もあなたにメッセージを伝えるため残った私のエコー・・・・残像よ。数分もすれば私もドームも消滅するわ。どう?驚いた?」
「・・・はっきり言って驚いている。・・・・・で話があって俺を呼んだんだろう?話は何だ」
俺がそう言うとさっきまでお茶を飲んでのほほんとしていた彼女の顔が変わった
「・・・・・ヤプールが・・・・過激派が、何かを企んでいる」
「企んでいるって何を?」
「分からない・・・・ただ、非常に、まずいことになる……特にこの世界にとって」
「どういうことだ?詳しく話してくれ」
と、俺がそう言うと急に彼女の体が透け始める
「メトロン。君の体が・・・・」
「どうやら時間切れのようですね・・・・・・ん?」
眉間がぴくっと動き始めた
「ん?どうした?」
「・・・・・ここに何かが来るわね・・・・人間じゃない何かが・・・・」
「なに!?」
「恐らくヴェネチア軍団が…よこした刺客・・・・すぐにここを出なさい。出ないとあなたたちの仲間が死ぬことになります。ですから早く!」
いつもと違う感じで彼女はそう言う。彼女が言うんだからかなり危ないやつなんだろう。そして彼女は片手を挙げ、ビームを放つ。放たれたビームは、海面付近のドーム外壁に穴を開けた
「あたしとドームが消滅するまで5分かかるそれじゃあ、間に合わない。さ、、早くいきなさい・・・・」
「わかった・・・・すまない!」
俺はユニットを装着しメトロンが開けた穴から出たのであった。そしてそれを見たメトロンは
「・・・・ふっ・・・人間との会話・・・・楽しかったわね」
そう微笑み、そして彼女は光の粒となって消滅する。そして残されたのは畳の上に置かれたちゃぶ台だけとなった。
一方、上空では
「見て!あれ!」
ルッキーニが指差す先では、
「あ……」
「ドームが崩れ落ちている・・・・」
「今度こそ、終わったのか……?」
「疾風は?疾風はどこだ!?」
みんながあたりをきょろきょろと見渡すと
「あ、あそこ!」
宮藤が指を指すとそこに疾風がいた。みんなが急いで彼のもとに行こうとしたが
「っ!?」
いきなりサーニャの固有魔法が反応しそれを見た坂本が
「どうしたんだサーニャ?」
「何かが急接近してきます!この反応は・・・・・ネウロイです!」
「なにっ!?」
坂本やみんなが驚いて目を見開いき、そして疾風と合流した瞬間、後ろから何か禍々しい気配がし大きな影が光を遮るすると
「みんな!後ろだ!!」
と、疾風の言葉に全員が後ろを振り返るとそこには黒い塊がいた。みんなはネウロイだとすぐにわかったのだがそいつの形はお間までの形とましてや人型とも違った。巨大な体に両手用大剣を片手に持った獣の様な悪魔のような形をしていた
「こ、こいつは・・・・・」
「まるで・・・・悪魔」
その姿にウィッチたちは驚きそしてそいつの目のような部分が赤く光りだし不気味な咆哮が空気を揺らした。そして、別の場所、カールスラントにある巣の中でそのスの指揮官であるジブリールはモニターでその様子を見ていた
「これは・・・・・・まさか『赤眼の悪魔』ザ・グリームアイズ・・・・・なるほど・・・・彼女も本気でウィッチを殺すためあれを送ったというのですか・・・・」
そう言いジブリールはモニターに映る疾風たちの姿を見て
「さて・・・・・疾風大尉はこの窮地をどうやって潜り抜けるのか見ものですね・・・・」
と、そう呟くのであった
次回はネウロイ過激派が送り込んだネウロイとの決戦。そして疾風の新技が炸裂します!因みに革新派のメトロンのイメージはウルトラ怪獣擬人化のメトロン星人をイメージしました。
次回もお楽しみに!