ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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OP「STRIKE WITCHES 2 〜笑顔の魔法〜」

ED「虹の音」


第70話「トップエースと勝利のこだわり」

「疾風!待てってば!」

 

宿舎の廊下、あの後エイラは疾風を追いかける。すると疾風が急に立ち止まりエイラはその背中にぶつかる。エイラは頭をさすりながら疾風の顔を見るが彼の顔はどこか寂しい顔をしていた。

 

「・・・・疾風?」

 

「・・・・・・はっ、バカだよな俺も・・・・子供なのはどっちだよ」

 

とそう言い疾風は悲しい顔をする

 

「なんで、あんなことを…?」

 

「あっちの世界にいた頃、似たような性格の奴を敵も味方も含めて何人も見てきた……同じ数だけの死に様もな・・・・」

 

「・・・・」

 

疾風はそう言うと両手をポケットに入れゆっくりと歩きエイラも後ろを歩く

 

「ああ言うような自信家はいつも悲惨な死に方をする。自分の腕に酔い、相手を過小評価し周りが見えなくなるんだよ。そしてそこに隙ができそこを突かれて致命傷を負い下手をすれば命を落とすことになる」

 

「確かに、大尉は自信家だけど、そんなへまをするような・・・・」

 

「カリスマと自信家は別物だよエイラ。」

 

そう・・・俺はそう言うような奴をいやっというほどを見て来た。戦場で必要なのはその戦場で生き残る知識と経験。そして危険を見極める冷静さが必要だ。間違った判断をすれば自分だけではなく他の仲間にも大きな被害を受ける。

現に俺も昔は初陣で多くの戦果を挙げて調子に乗った挙句、左目に大怪我を負った。そしてその後は、自信家が指揮する部隊に入れられた時、そいつの無能な指揮で危うく仲間を死なせるところであった。まあ、その指揮官はその後、俺がぶん殴った後、上層部にそれがばれて、その指揮官は指揮権をはく奪された上軍法会議に掛けられた。一方そいつをぶん殴った俺は、上官反逆及び暴行罪で同じく軍法会議に掛けられるところであったがその指揮官に非があったため、幸い謹慎5週間で済んだ。

 

「・・・・・ある種のトラウマかな」

 

「(・・・・・・あ)」

 

疾風がそう言うとエイラは疾風のあるとこに気が付く。ポケットに突っ込んでいる疾風の手が小刻みに震えているのに気が付いた。するとエイラは疾風の震える手を優しく握る

 

「・・・・・っ!?」

 

疾風は自分手を握ったエイラを見るとエイラは微笑んでいた。

 

「/////」

 

それを見た疾風は顔を赤くしそして照れ臭そうに頭を掻くのであった。そしてこの時、疾風とエイラは格納庫につくまで手を繋いで歩くのであった。幸せとはたった一人の笑顔でも作れるっということをこの時疾風は知ったのだった。

 

 

 

 

 

一方、ブリーフィングルームでは非常に気まずい状況になっていた。するとアイがマルセイユに近づき

 

「あ、あの・・・・お父さんを怒らないであげて」

 

「ん?お父さん?・・・・・・随分と彼のことを信頼しているんだな。そうかお父さんか・・・・じゃあ、差し詰め母親はさっき彼を追っていた子か?」

 

「うん・・・私にとっては大事な家族・・・・・」

 

「そうか・・・」

 

二人を本当の両親のように嬉しそうに話すアイを見て、マルセイユは思わず笑みをこぼす

 

「あのそれで」

 

「大丈夫だよ。いきなり殴りかかるようなことはしない」

 

アイに言うとアイは少し安心した顔をし、アイも疾風やエイラを追うため格納庫に行くのであった。

 

「・・・・・人にしか見えない。本当にネウロイなのか?」

 

と、マルセイユは小声で言う。すると

 

「・・・・・・で、今作戦のマルセイユ大尉のパートナーは誰がやるのかしら?」

 

と、先ほどから黙っていたエミリアがそう言うと、みんな黙ってしまう。すると

 

「じゃ、私がマルセイユのパートナーをやるよ」

 

「ハ、ハルトマン…」

 

「ハルトマン中尉…」

 

今までめんどくさそうな顔をしていたハルトマンが名乗り出た。彼女も本当は名乗り出たくはなかったのだが早くこの雰囲気を何とかしたいと思い渋々だが彼女のパートナーを務めることにしたのだ。それを聞いたマルセイユは

 

「・・・・OKだ。ハルトマン」

 

そう言い、少しだけ笑うとその後、ハルトマンとマルセイユは訓練飛行の準備をするため部屋を出るのであった。そして二人が出た後みんなはため息をつく

 

「やれやれ・・・・一時はどうなるかと思ったぞ」

 

「でも初めて見たな・・・・疾風が怒るところ」

 

と、坂本さんやシャーリーたちは先ほどの疾風のことを話していたするとエミリアは

 

「あんたたちはあまりよく知らないと思うけど、あいつは冷静沈着に見え普段は穏やかな性格だがあいつはあれでかなりの激情家だからな・・・・」

 

「激情家?あの疾風がか?」

 

と、シャーリーはエミリアにそう訊くとエミリアは頷き

 

「ええ、現に彼は義理の姉であるバルクホルン大尉を馬鹿にされて不機嫌そうだったし、そしてマルセイユ大尉が周りにも迷惑をかけているのを見て怒っていたしね。これでも私と疾風は敵同士だったが3年以上の茶飲み友達の付き合いがある。やつの性格のことは大体わかるわ。それにあいつの言っていたことも大体間違ってはいない」

 

「え?『自信家は早く死ぬ』ってやつですか?」

 

「ええ、そうよ宮藤。ああいうやつは必ず隙ができてしまうわ。特に空中戦ではその自信から出る慢心が一番の命取りになるわ。現に私の仲間や友人でそう言うやつは必ず敵に撃ち落とされていたからね・・・・」

 

と、少しだけ悲し顔をするのであった。

 

「エミリアさん・・・・」

 

 

 

 

 

そしてその後、ハルトマンとマルセイユの共同訓練飛行が始まった。そんな中、ハルトマンとマルセイユは上空に浮かぶ気球の的をMg34やMg42でどんどん撃ち落とす。それを見ていは宮藤とリーネ、シャリー。そして坂本さんとミーナさんとバルクホルンそしてエミリアだ。疾風やエイラは今夜、夜間哨戒があるため寝ている

 

「二人ともすごいですね~」

 

「二人ともカールスラントのトップエースだからな」

 

宮藤がそう言うとシャーリーがそう言い

 

「え?じゃあ、今回の作戦って・・・・」

 

「そう、部隊の垣根を超えた協力作戦。連合軍上層部が人気取りを考えてマルセイユ大尉をこの作戦に参加させようとしてるの」

 

「なるほどつまりこれはプロパガンダってやつね」

 

リーネの言葉にミーナさんが答えエミリアは呆れたようにため息をつく。

 

「ああ、だがそれで作戦が成功するなら文句を言う筋合いがないが、今のままでは難しいか・・・・・」

 

「ああ、あまり息があっていないな・・・・」

 

坂本少佐の言葉にバルクホルンがそう言い上空を見る。上空ではハルトマンとマルセイユが平行になって飛んでいたのだが、するとマルセイユはニヤッと笑うと急に減速しハルトマンの後ろに回り込み、Mg34をハルトマンに向けた

 

「なっ!?」

 

「っ!?」

 

それを見てミーナさんたちが驚いた顔をし、

 

「ダダダダダっ!」

 

と、マルセイユがそう言葉を言うと、ハルトマンは一瞬ぽかんとした顔をしていたが、すぐに胸を手で押さえ

 

「うわ~や~ら~れ~た~!!」

 

「・・・・くっ」

 

と、わざとらしい声を出すハルトマンにマルセイユは顔をしかめる。すると

 

『飛行中止よ!二人とも。直ちに帰投しなさい!』

 

ミーナさんの怒った声が無線から聞こえそれを聞いたマルセイユは

 

「はいはい・・・」

 

まったく反省の色を見せずそう適当に返事をし、マルセイユは降下し基地に戻る。それを見た宮藤たちは

 

「なにかあったのかな?」

 

「さあ、良く見えなかったけど」

 

と、そう言う中、

 

「・・・・あいつは仲間に銃を向けるとは何を考えているんだ!」

 

「・・・・・・・」

 

バルクホルンは怒り、エミリアは何か思うような顔をしているのであった。そして、その後ミーナさんはマルセイユとハルトマンをとある部屋に連れて行くその部屋には何もなくただ二つのベットがぽつんと置いてあるだけであった。

 

「二人は今日から作戦の日までこの部屋で過ごすこと。訓練飛行中に人に銃を向けたマルセイユ大尉は本来なら営倉意気です。しかし残念ながらこの基地にはありません。代わりに二人にはこの部屋で過ごしてもらいます」

 

と、ミーナさんは厳しい口調で二人に言う。するとハルトマンが

 

「ねえ、なんで私もなんだよ」

 

と、不満の声をあげる。それはそうだ、普通に訓練しただけでなぜか作戦が終わるまでここにいろと言われたのだから。するとミーナさんが

 

「いい機会です。二人で過ごして作戦の為にチームワークを養いなさい。わかりましたね」

 

「は~い」

 

「わかった」

 

「いいですか?今度やったら絶対に許しませんよ」

 

とそう厳しく言うとミーナさんはドアを閉める。そしてハルトマンはため息をつきベットに座る

 

「ハンナのせいで怒られたんじゃないか」

 

ジト目でマルセイユにそういうが彼女は笑いながらベットに寝ころび

 

「やっぱミーナは怖いな」

 

「何気楽に言ってんだよ。ミーナが本気で怒ったらもっと怖いんだぞ」

 

と、ハルトマンが呆れて言うがハンナはじっと天井を見つめ

 

「・・・・・ハルトマン。・・・・なぜ戦わないんだ?」

 

「え?」

 

マルセイユの言葉にハルトマンは首をかしげる。

 

「あの時、さっき私が狙った時だ。お前の腕なら回避も反撃もできたはずだ。なぜおまえは戦わなかったんだ?」

 

「ハンナは変わらないな・・・・」

 

「変わる必要がない」

 

「なんで勝ち負けにこだわるんだよ?」

 

と、ハルトマンがそう言うとマルセイユは起き上がり

 

「戦場では勝つ以外に価値はない。私は常に勝利し続け最強でい続ける。それだけだ」

 

「何それ?」

 

マルセイユのいきなりの言葉にますますわからんという顔をするハルトマン。

 

「ハルトマン。お前が私と一緒にいた隊でのお前との勝負は8勝8敗。私と戦って互角だったのはエーリカ、お前だけだ。だから私はこの作戦の間に決着をつけたい。最強のウィッチて呼ばれているお前にな・・・・」

 

マルセイユがそう言うとハルトマンは興味なさげにため息をつきベットに倒れ

 

「じゃあ、ハンナの勝ちでいいよ」

 

そう言うとマルセイユは顔をしかめ立ち上がり

 

「またか!前も同じようなセリフで私から逃げた!なぜだ!」

 

真剣な顔でハルトマンにそういうがハルトマンは

 

「めんどくさいじゃん・・・・・・・・・それに」

 

「それに?」

 

「私は最強じゃないよハンナ。私より強いヤツいるもん。それも二人」

 

「なに!?お前よりも強いやつがいるだと!?

 

「うん。その二人と一対一の模擬戦やって全力でやったんだけど結果は完敗。正直言って次元の違いって言うのを見せつけられたよ」

 

「なっ!?お前が全力を出して負けた!?本当か!?でもそんな奴いるのか?」

 

「それがいるんだよこの基地に・・・・・」

 

「この基地にだと!?誰なんだ?」

 

「う~ん…一人はね疾風だよ疾風村正大尉・・・・・」

 

とハルトマンがそう言うと

 

「やっぱり、あいつか・・・・・・じゃあ、もう一人は誰なんだ?」

 

「ん?それはね・・・・」

 

ハルトマンがそう言いかけた時、扉からノックがし、一人の女性が入って来た

 

「ハルトマンいる?差し入れのお菓子を持ってきたわよ。一応二人分作っといたから、マルセイユ大尉と仲良く分けてね」

 

「あ、エミリア。ありがとね~」

 

「いえ、いいわよ。じゃあね」

 

と、そう言いエミリアは籠いっぱいに入った菓子を置くと部屋を出て行った。それを見たマルセイユは

 

「・・・・・エーリカ。あいつ、ブリーフィングルームにもいたけど。誰なんだ?」

 

「ああ、ハンナは知らないか。あれが私が言っていた私より強い二人の一人のエミリア・ハルトマンだよ・・・あ、言っとくけどハルトマンって言う苗字は単なる偶然だからね」

 

と、ハルトマンがそう言うとマルセイユはさっきのエミリアの姿を思い浮かべて

 

「・・・・・あいつが・・・・ハルトマンより強いだと?・・・・・・・ふっ、強いやつが三人・・・これは面白くなりそうだな」

 

と、そう言うとマルセイユはどこかいたずら小僧のような顔をするのであった。

 

 


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