ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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OP「STRIKE WITCHES 2 〜笑顔の魔法〜」

ED「虹の音」


第69話「アフリカから来たエース」

今俺は夢を見ているのだろうか・・・・小さい頃、師匠であり義理の母である華琳義母さんに剣術をした際、ある技(・・)を教えられた時の風景だった。

 

『いい疾風。今、教えた技はかなり危険な技よ。ただでさえ体の弱いあなたがその技を使えば下手をすると戦えなくなるどころか命を落とすわ。だからこの技は緊急時の時以外は決して使うんじゃないわよ』

 

と、いつも鍛錬に厳しい義母さんがいつも以上に厳しい言葉をかける。するとその瞬間あたりは光に包まれる。

 

「ん?・・・・・朝か。なんで今になってあの鍛錬の夢を?まあ、それはいいか。そろそろ時間だな。アイ、時間だぞ」

 

と、俺は隣で寝ていたアイを起こすとアイは目をこすりながら目を覚ます

 

「ふぁ~お父さん・・・・・おはようございます。時間ですか?」

 

「ああ、行こうかアイ」

 

「うん」

 

そう言い俺とアイは着替えて部屋を出てとある場所へと向かうのであった

 

 

 

 

部屋を出てから数時間後、Ju-52機内

 

あれから数時間が立ち、今俺はJu-52の中に座っていた。因みに隣にはミーナ中佐、そして膝の上にはアウロラさんからもらったクマのぬいぐるみを抱きながらアイが座っていた。

 

「いきなりごめんなさいね疾風さん。急に呼び出したりしてね」

 

「いいえ、これも仕事ですから仕方がないですよ」

 

「それにしても疾風大尉もアイさんのことになると少し人が変わるわね。危うく上層部の人を殴りそうになっていたんですもの」

 

「まあ、娘を守ろうとする父親なら当然の態度だったと思いますよ?」

 

そう、今朝、司令部のお偉いさんにお呼び出しを受けてミーナさんとアイの三人で行って先日到着した扶桑艦隊についてと、アイについてなどいろいろな話があった。

アイはこれからも、俺の保護下の元、基地に居座ることになったのだが、その中やはり、様々な意見というかなんと言うかはあるもので、アイをカールスラントの技術省に送ってしまえというふざけた輩もいた。まあ、それを言ったやつは俺が半分っというよりもろ威圧や殺気を込めて脅しをかけて黙らせた。まあ、そいつは納得いかないのかまだ何か言おうとしたが、ガランド少将のおかげというかなんというかそのおかげで完全にそいつの口は閉じた。全くどこの世界でもあんな石頭はいるもんだな・・・・・俺がそう思っていると

 

「・・・・・」

 

正面にいる女性がじっとアイのことを見ている。アイはその女性の目が線が怖いのか震えている。アイをじっと見つめている少女は、ハンナ・ユスティーナ・マルセイユ大尉。今回、とある作戦で助っ人としてきたウィッチである。

 

「あ、あの・・・マルセイユ大尉」

 

「ん?なんだ?」

 

「アイは、確かにネウロイですが・・・・その、敵ではないので、睨み付けないであげてください。怖がっているので」

 

俺はアイを安心させるように頭を撫でながらそうマルセイユ大尉に言う。するとマルセイユ大尉は最初きょとんとした顔をすると

 

「睨みつけ……ああ、いや、ネウロイだからと警戒しているわけではないんだ」

 

「え?じゃあなんで……」

 

「いや~その子の持っているぬいぐるみが結構可愛いな~っと」

 

「え!そこ!?」

 

俺はあまりにも予想外お言葉に驚く。いや、まさかアイじゃなくてクマのぬいぐるみ、アイは『ボコ』って名付けているけど。そのぬいぐるみを見ていたとは…俺が驚く中、マルセイユ大尉はアイを見て

 

「怖がらせてしまったみたいだな。すまない」

「いい・・・・気にしてない」

 

「そうか、よかった」

 

アイの言葉にマルセイユ大尉はにこっと笑う。もしかして意外といい人なのかな?

 

「それはそうと、ハルトマンは元気にしてるか?」

 

「?・・・・・・ああ、ハルトマンと、知り合いなのか?」

 

最初、どちらのハルトマンかと思っていたが冷静に考え、エーリカハルトマンの方だと気づく。すると隣にいたミーナさんが

 

「ハルトマン中尉とマルセイユ大尉、それにバルクホルン大尉は、昔同じ部隊にいたのよ」

 

「へーそうなのか・・・・」

 

「で、元気にしてたか?」

 

「ええ、元気ですよ。私生活はずぼらですが、戦闘ではいつも結果を出してます」

 

「そうか……そうか!」

 

と、マルセイユ大尉が嬉しそうな顔をする。すると大尉は

 

「そうだ。そう言えばお前って確かあの『レッドファイター疾風』だよな?新聞で見たぞ。撃墜数もハルトマンより上みたいだし。どうだ?私と一つ模擬戦をしてくれないか?」

 

と、少しいたずらっ子のような笑みでそう言うと

 

「いえ、遠慮しときます。俺の空戦は見せびらかすために使っているのではありませんので」

 

「そうか・・・・それは残念だ」

 

と、残念そうに言うと

 

「間も無く基地上空です。着陸態勢に入ります」

 

と、輸送機のパイロットがそう言い基地につくことを知らせる

 

「わかったわ、ありがとう」

 

「疲れた…」

 

「輸送機で空を飛ぶのは初めてだもんな・・・・・・ん?どうかしたのかマルセイユ大尉?」

 

俺はマルセイユ大尉に顔を向けるとなぜか彼女は突然そわそわし始めたと思ったら突然に立ち上がりドアのところに向かう。あ、なんか嫌な予感がするな・・・・・そう思った瞬間、彼女はいきなりドアを開ける高度は下がっていたので、気圧の問題は無いが、強風が機内を吹き荒れる

 

「マルセイユ大尉!」

 

ミーナさんが風に負けない勢いで叫ぶが彼女はニッと笑うと、

 

「ではお先に!!」

 

と、そう言い飛び降りた

 

「あ、あいつ正気か!?」

 

いい人だなんて一瞬でも考えた自分がバカだった…あの人、クールビューティー気取ったじゃじゃ馬だ。その後俺はそのドアを閉める機内に吹き荒れる風は収まった。そして窓から外を見ると、飛び降りたマルセイユ大尉が使い魔を発動させ華麗に着地しているのが何とか見えたのだった

 

「はあ~」

 

それを見たミーナさんは深いため息をついた。

 

「・・・・ミーナさん。彼女昔からああなんですか?」

 

「JG52に居た頃から、自信家で傲岸不遜な性格だったの。アフリカでだいぶ丸くなったと聞いていたけど…」

 

「そうですか・・・・・」

 

と、俺はマルセイユ大尉の方をじっと見るのであった。

 

 

 

 

 

その後、ブリーフィングルームでみんなが集まっていたそんな中、宮藤は本を読んでいると先ほどのマルセイユ大尉について書かれているページを見つけた。

 

「凄い…本に載ってるんだ」

 

「えっと…ハンナ・マルセイユ、カールスラント大尉、第31飛行隊『ストームウィッチーズ』所属で、200機撃墜のスーパーエース…!」

 

「200機…凄い!」

 

と、宮藤が驚きの声をあげるとその隣にいたエミリアはあくびをし軍帽を深くかぶりながら話を聞いていた

 

「しかも容姿端麗でカールスラントに留まらず世界中にファンが多数。通称『アフリカの星』だって」

 

「アフリカの星!かっこいい!ねえ、エミリアさん!エミリアさんもすごいと思いませんか?」

 

と、宮藤にそう訊かれエミリアはゆっくりと体を起こす

 

「・・・・確かにすごいわね・・・・でもそれだけね」

 

「え?それだけって?」

 

「うん。私たちの世界・・・・・特に私の祖国のドイツ。こっちで言うカールスラントだけど200機越えのパイロットなんて当たり前のようにうようよいたから別に何ともないわね」

 

「へ~エミリアさんや疾風さんの世界ってすごいんですね・・・・・エミリアさんの撃墜数っていくつなんですか?」

 

「私?そうね初陣から終戦まで共同撃墜も含めて数えると大体803機ぐらいわね」

 

「は、803機!?」

 

「ええ、でも疾風の871機に比べればまだまだよ・・・・」

 

「す、すごいんですね・・・・・エミリアさんの世界は・・・」

 

リーネがあまりの撃墜数の数に目を丸くし苦笑する。

 

「でもやっぱりかっこいいな~サインほしいな~」

 

宮藤はウキウキしながら言うと隣の席にいたシャーリーが

 

「あいつサインはしないよ」

 

「え?シャーリーさんマルセイユさんのこと知ってるんですか?」

 

「ルッキーニとあたしはここに来る前ちょっとアフリカに居たからな」

 

「いた~!」

 

「へ~どんな人なんですか?」 

 

「噂ならいっぱい聞いたけど…あいつの事なら同じカールスラントの連中が詳しいだろ」

 

と、シャーリーはバルクホルンの方を見る。するとバルクホルンは腕を組み何やら不機嫌そうな顔をしていた。先ほどマルセイユが飛行機から飛び降りた時何かあったみたいだ。するとバルクホルンはゆっくりと口を開いた

 

「そういえば、同じ部隊だったって…」

 

「…カールスラントで私とハルトマン、マルセイユは同じ飛行中隊に居た」

 

「やっぱり!友達なんですね」

 

「友達じゃない!あんなチャラチャラしたやつ…」

 

と、いらいらしながら言うとミーナさんたちが入って来た。 

 

「静粛に」

 

と、ミーナさんの言葉にみんなは黙り今回の作戦を坂本少佐が説明する。今回の作戦はあのジブリールが来る前から練られていたスレッジハンマー作戦の話だ。

スレッジハンマー作戦――ようするにマルタ島奪還作戦だ。マルタ島に居座るドーム型ネウロイを、内部から破壊するという、少々無茶な作戦なのだが、ドームの半分は湾は覆っている、そこで扶桑の潜水艦伊400で内部に侵入後、浮上しウィッチ二名を発艦後、急速潜航するっという単純な作戦でもあった。

 

「(伊400型か・・・・・・南方や欧州でも活躍していたな)」

 

俺は第三次大戦で活躍した伊400型を思い出した。俺も秘密作戦でとある場所に行くため乗ったことがある千早艦長はあの大戦で生き残れたかな・・・・・因みになんだがこの世界の伊400型はもちろん潜水艦には基本魚雷発射管は外されているとのことだ。ネウロイと水中戦することは無いから外されるのは当たり前だが発射管の無い潜水艦はやっぱ違和感がある。そのことをエイラに訊いたんだが・・・・

 

「……どこがおかしいんだ?」

 

と、首を傾げられた。どうやらこっちの世界じゃ半ば当たり前のようだ。

 

「では、突入部隊のウィッチを発表します。まず、今回の作戦の援軍として参加することになった、第31飛行隊の、ハンナ・マルセイユ大尉」

「どういうことだ中佐!突入部隊は、私とハルトマンのはずでは!?」

 

ミーナさんの言葉に義姉さんが立ち上がって抗議する。もともと最初の作戦では義姉さんとハルトマン。ガ行く予定だったからだ。それは抗議もしたくなるだろう。

 

「伯母様・・・・落ち着いて」

 

と、義姉さんの隣にいたアイがなだめる。するとミーナさんは

 

「上層部からの指示です。我が501から作戦に参加するのは一人のみ。バルクホルン大尉、あなたです」

 

ああ、そう言えば上層部の連中、なんかそんなこと言ってたな・・・・ミーナさんの言葉に義姉さんは渋々座る。しかし

 

「無理だ」

 

「なに!?」

 

マルセイユ大尉がそうきっぱり言うと義姉さんは驚いた顔をし、

 

「バルクホルン、あんたじゃ私のパートナーは務まらない」

 

と、はっきり言う。この人、口調からして、義姉さんへの挑発・・・・・かなりの自信家か。俺はふっと正面に座っていたエミリアを見る。

 

「・・・・・・・」

 

彼女は軍帽を深くかぶり興味なさげに聞いていたが、その態度的にはどこか不機嫌さがみられていた。そんな中、義姉さんはこぶしを握り締め、

 

「……何が、何が言いたいんだ?マルセイユ……」

 

怒気を抑えようとするが抑え切れていない口調でそう言うとマルセイユ大尉はふっと笑い

 

「言葉通りさ。あんたの力量じゃ、私と一緒に戦うの無理だって言ってるんだ。私の力量とつりあうのは…」

 

そう言い、マルセイユ大尉は視線をある一人に集中させた。そうハルトマンだった。だが当の本人は興味がないのか頬杖をしていた。するとハルトマンを見ていた彼女の前に義姉さんが立ちはだかり

 

「どこを見ているんだマルセイユ。カールスラント防衛戦の頃から、お前の上官を上官とも思わないその態度……変わってないな!」

 

と、そう言い義姉さんは使い魔を発動させ掴み掛かる体勢を取る

 

「ふっ。今は同じ階級だ」

 

そう言い彼女も使い魔を発動させて、ファイティングポーズをとる。あ、これはやばいな。大嵐が来る

 

「エイラ!サーニャ!アイ!伏せろ!」

 

俺の隣の座る二人やハルトマンの席にいたアイに向かって叫ぶが、・・・・・一歩遅かった。義姉さんやマルセイユ大尉が 互いの手を合わせた瞬間、魔力と魔力のぶつかり合い力をぶつけ合う二人の足元には魔方陣。周りには重力場ができ、部屋の中に嵐ができる。耐えられなくなった床が、破片を風に乗せて撒き散らせながらえぐれ、その破片がこっちに飛んでくる

 

「いっ、危ね!?」

 

俺はその破片を何とかかわす。

 

「はわぁっ!?」

 

「アッチデヤレー!」

 

「二人とも!!」

 

ミーナさんが三度目の制止をかけるが、二人は止まらない アイは机の下に隠れているから大丈夫だったが、このままじゃ怪我人が出る

 

「(畜生!埒があかねぇ!)」

 

少し乱暴だが、無理やり止めさせるしかない。俺は右腰から愛銃のワルサーP38を抜き取り、銃口を天井へ向け撃つ

 

『っ!?』

 

銃声に驚いた二人の動きが止まる。重力場も消え、嵐は収まった。

 

「いい加減にしろ二人とも!!味方同士で争ってどうする!お互いカールスラント軍人だろう!?」

 

拳銃をホルスターに戻しながら叫ぶ

 

「挑発して、喧嘩して、周りに迷惑かけてまるで子供じゃないか!それでも国や国民を守る軍人か!!」

 

「「・・・・・」」

 

「・・・・・疾風?」

 

いつもと様子が違う疾風にエイラは違和感を覚える。そんな中エミリアはふっと笑っていた。すると疾風は二人の方を見て

 

「ね・・・・・バルクホルン大尉、怒る気持ちはわかるが、もう少し冷静にお願いします」

 

「……すまん」

 

「マルセイユ大尉、旧友に会えて嬉しいのかもしれませんが、喧嘩っ早いのはご遠慮願いたい」

 

「……調子に乗りすぎた、すまない」

 

口では謝っているが、どこか腑に落ちないような顔をしている

 

「はぁ、とにかく二人ともおだやかにお願いします。それと俺はちょっと出てきます」

 

俺はため息をつきブリーフィングルームの出口へ向かう

 

「どこに行く疾風」

 

「設備班のところです。床の修理を頼みに行くんです」

 

「それなら私が行くけど?」

 

「いえ、ミーナさん。俺はあいつらには顔が利くんで。今日中に終わらせます」

 

「……そう、じゃあ、お願いするわ」

 

そう言い俺は整備士たちのいる格納庫に行こうとすると、エイラも立ち上がって

 

「わ、私もいっしょに行っていいか?」

 

「男だらけのむさいとこだぞ?」

 

「疾風が行くなら、私も………///」

 

「…///」

 

「ひゅ~熱いわね」

 

「っ!」

 

と、そんな会話をするとマルセイユ大尉は冷やかすように口笛を吹く。俺はそれをキッと睨む

 

「おっと…失礼」

 

と、完全に馬鹿にした表情でそういう。俺は部屋を出る前いったん立ち止まり

 

「ハンナ・マルセイユ大尉。あまりこういうことは言いたくないんだがな……」

 

「あ・・・・疾風」

 

エイラは俺が何かまずいことを言うのに気づいたのか止めようとするが、

 

「・・・・・あんたのような自信家が一番先に戦死するんだ」

 

『っ!?』

 

いつもとは違う疾風のその言葉にみんな(エミリアを除く)が目を丸くし驚いた。そして疾風はそれだけ言うと不機嫌そうに部屋を出て言ってエイラはそれを追いかけるのであった。マルセイユ大尉はしばらく唖然としていたがすぐに険しい顔をするのであった。そしてそれを見ていたエミリアは少し満足げな顔をし、ミーナさんにいたっては胃に穴が開きそうな感覚に襲われるのであった。

 

 


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