ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

41 / 244
OP「IGNITE 」

ED「Los! Los! Los! 」



第37話「穏健派人型ネウロイ」

「おい、ウィッチ隊、ほぼ壊滅だって…」

 

「マジかよ…」

 

基地の格納庫ではストライカーユニットを整備する整備兵たちがトライヌス作戦でのことを話していた

 

「ああ、ただ、幸いけが人が出ただけで死人は出なかったらしい」

 

「ああ、それは聞いたぜ。なんでも噂じゃ、疾風大尉が殿に出て、たった一人で追撃してきたネウロイを撃退したらしいぜ」

 

「まじかよお!それ本当か?」

 

「ああ、本当らしい。それにしても怪我っといっても504のウィッチたちはまた戦えるのか?」

 

「当分無理だな。ベテランのウィッチたちが負傷した今、存続は難しいってさっき軍医の連中がそう言ってたぜ」

 

「じゃあ、ロマーニャの防空はどこが?」

 

「空軍のどっかがやってくれるさ。俺たちはただの整備兵だからな」

 

「そうだ、俺たちが騒いだところで、どうにもならん。それより保護したっていう人型ネウロイはどうするんだ?」

 

「さあ?俺たちには関係のないことだ。それよりさっさとこれ直さねえと・・・・」

 

「そうだな」

 

そう言い、整備兵たちはストライカーの整備をするのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

「疾風大尉、具合はどうですか?」

 

「ああ、大した怪我じゃないし大丈夫ですよ竹井さん」

 

俺が目が覚めたのはあの殿戦から数時間後のことだ。あの戦いで体力、気力、魔法力も出し尽くして俺は気を失い落下しかけたところを援軍に来た竹井さんたちが保護してくれったらしい・・・・

 

「あの・・・・それで、彼女は?」

 

「彼女?‥…ああ、あの人型ネウロイね。彼女は今ブリーフィングルームでフェデリカと一緒にいるアイちゃんと一緒にいるみたいよ」

 

「そうか・・・・・案内してもらいますか?」

 

「ええ、こっちよ大尉」

 

俺は竹井さんの後についていくのだった。そしてブリーフィングルームにつくとそこにはドッリオ少佐と一緒にアイとあの人型ネウロイがいた。

 

「あ、醇子。疾風大尉」

 

「あ、お父さん!」

 

アイは俺に気付くと俺に抱き着いた。

 

「お父さん怪我は大丈夫ですか?」

 

「ああ、アイ。心配かけたな。でも俺は元気だぞ」

 

と、俺はアイの頭をなでる。その様子を二人は微笑んでみていた。そして竹井さんはドッリオ少佐に顔を向ける

 

「で・・・・どう?フェデリカ。彼女の様子?」

 

「ええ、アイちゃんの通訳で何とか出来てるけど・・・・それでもね・・・」

 

ドッリオ少佐が言うにはアイが通訳してもまだわからないところが多いので難儀していたということだ。

 

「ごめんなさい私の力不足で。・・・・」

 

「え?ああ!違うのよ別にアイちゃんを責めているんじゃないから」

 

アイが顔を俯いて言うとドッリオ少佐は慌ててアイにそう言う。すると・・・・

 

「とんとん」

 

「ん?」

 

そばにいた人型ネウロイが俺の肩を軽くたたく

 

「キュッ」

 

人型がなにやらジェスチャーを始めた。まず俺を指差し、次に自分の頭を。最後に口の辺りで手を閉じたり開いたりした 。え~と…

 

「お父さん。彼女は『(人間の)言葉をしゃべる方法が知りたい』って言っています」

 

アイが人型の言いたいことを通訳する

 

「え?そうなの?」

 

ドッリオがそう言うと人型が『そうです、そうです』っと言って言うのか首を上下に動かせる。

 

「そうか・・・・・・で、具体的にはどうすればいいんだ?」

 

人型はまず俺の額を指差し、自分の額を小突いた

 

「こうか?」

 

意味を理解した俺は、人型の額に自分の額を近づける。お互いの顔の間で青白い光が発生する。ガリアでネウロイに体を貸すときのような、鋭くも鈍い痛みが来ると思い、身構える そして・・・・

 

ピリッッ!!

 

「んっ――!」

 

思っていたような痛みはなく、軽く電流が流れたような痛みが来た。そして人型が無言で離れると同時に、

 

「ぉぅ…」

 

まだちょっとだけ痛み額をさすりながら、俺も後ろに半歩下がった

 

「何が、起こったの?」

 

「私に聞かないで…」

 

「多分、俺の記憶を探って、人の言葉をしゃべる方法を探ったんだと思います」

 

「そんなことができるのアイちゃん?」

 

「はい。ネウロイ全部ではないですが・・・・やろうと思えばできます」

 

「…」

 

人型は何かを考えていたのか、うつむいていた人型が不意に顔を上げた 。そして一言

 

「聞こえますか?」

 

「「!?」」

 

今までキューとかキュィィン!とかキュゥ…としか言わなかった人型が突然しゃべりだし、ジブリールとかアイとか喋るネウロイにあったことがあるお俺はあまり驚かないが、竹井さんとドッリオ少佐は驚く。

 

「聞こえますか?」

 

驚いた顔のまま固まっていた俺たちに、人型が再度尋ねる

 

「え、ええ、よく聞こえるわ」

 

「良かった。私には声帯呼べるものがありませんし、それに上級ネウロイであるジブリールを除きほかのネウロイは人の言葉をしゃべることができませんので、今スピーカーのようなものから発声しています」

 

そのスピーカーじみたものがどこにあるのかは分からんが、人型の口は動いていない

 

「しゃべれるようになったところで、質問に答えてもらおう」

 

「私の、答えうる、範囲なら」

 

「お前は、ブリタニアやガリアに現れた人型なのか?」

 

優先順位一位はこれだ。すると彼女は首を横に振り

 

「・・・・残念ですがガリアに現れた人型は私ではありません」

 

「どういうこと?」

 

竹井さんが首をかしげてそういう

 

「私は穏健派ネウロイ軍研究員ハル。こちらでのコードネームはX-12。ブリタニア、ガリアの巣にいたのは研究員のユキ、コードネームはX-11。彼女は穏健派の研究員であり・・・・・・・・私の双子の妹よ」

 

「い、妹?」

 

だから似ていたのか・・・・・

 

「ええ、だからあなたたちのことは生前妹から聞いたわ。あなただけではない。宮藤芳佳のことも彼女から聞いたわ」

 

「ミヤフジ?」

 

「扶桑海軍のウィッチよ。元、だけど」

 

「引退したの?」

 

「…話すと長くなるわ」

 

確か・・・・・不名誉除隊だっけか?

 

「彼女は・・・・宮藤さんは今?」

 

「ここにはいない。でも、多分いつか会えるさ。それよりも・・・・・すまない」

 

「え?」

 

「あの時、君の妹を守れなくて・・・・」

 

 

そう彼女の妹であるガリアに現れた人型は501を庇ってウォーロックの攻撃で死んだのだ。

 

「・・・・・・疾風さん。顔を上げてください。私はあなたたちのことは恨んでいません」

 

「でも・・・」

 

「それに妹は前に『人間とほんの少しだが通じ合えることができた 』っと嬉しそうに話していました。ですから妹が信じた人を私は恨んだりしません」

 

「ありがとう・・・・」

 

「それよりもみなさん・・・これはどう思いますか?」

 

「どう?って?」

 

ドッリオ少佐が彼女に聞く

 

「人間と話す時にこの姿・・・・ネウロイの姿というのは?この格好だと話しずらいですよね?」

 

「私は別に構わないと思うけど、フェデリカはどう思う?」

 

「私もだ醇子。でもあなたは他の姿にもなれるの?」

 

「動物とか自由自在にはできませんが・・・・・」

 

そう言うと彼女が俯いた瞬間前のジブリール同様彼女の身体が光り人間の姿に変わった。手や顔など露出する箇所は肌色に。髪はネウロイらしさが残る黒になっていった ユニットの形をしていた足は、上半身に比例した太さのちゃんとした足になっり目や口、鼻も形作られ、顔立ちは欧米系、目はやはりというか黒だっで上半身は黒の縦セーター、ズボンは灰色だった。

 

「人に変身することはできます。これで話しやすいでしょ?」

 

「あ、あなた今のどうやって・・・・」

 

「彼の脳はをスキャンした時に人間の体の構造を分析し私の身体を人の姿に変換させていただきました」

 

つまり彼女はネウロイの姿から人の姿に変換したというわけだ。

 

「・・・・それよりアイさん。あなたのコードネームは確か『アースクリーンプログラム』のT1000型ね。」

 

「…アイを知っているんですか?」

 

「ええ、私はこう見えて妹同様、あの計画の開発者のメンバーの一人でした」

 

「・・・ということは、アイの生みの親?」

 

「そういことになりますが、でも、その子の親は私ではなく、あなたです疾風さん。ですから今後も彼女のことを頼みます」

 

そう言い彼女は俺やアイに向かい頭を下げる。

 

「わかっているよ。・・・・・そう言えばハルさん。だっけか?君はアースクリーンプログラムの開発のメンバーだったよな?」

 

「はい。」

 

「じゃ、じゃあ、アイに備え付けられていた瘴気を浄化させるシステムを取り戻せるか?」

 

「やってみます・・・・アイさん。少しいいですか?」

 

「はい」

 

アイが頷くと彼女は両手をアイの頭に置きそしてしばらく目をつぶっているが・・・・・

 

「・・・・・残念ですが彼女の本来の機能は過激派の連中にそれもかなり強力にロックされていて解除することができませんでした・・・・・申し訳ございません」

 

と、俺に頭を下げて謝る彼女。

 

「いや、君が謝る必要はないよ」

 

アイの本来の力を解放してあげるのは残念だったけど・・・・まあそれでもアイはアイだ。すると・・・ハルさんが

 

「私は、これからどうなるんですか…?」

 

彼女は心配そうにそう言うと竹井さんが

 

「しばらくはこの基地で暮らしてもらうことになるわ」

 

「連合軍の保護下に入るってことね。この基地の中であれば、好きに行動しても大丈夫よ。でも、」

 

「でも?」

 

「ふざけた真似をすれば、然るべき施設に幽閉されることになるわ。そこだけは気を付けてね」

 

と、竹井さんは笑顔なんだが目が笑ってない顔で彼女にそう言う

 

「・・・・ぜ、善処します」

 

彼女も身の危険を感じたのか苦笑いでそういうのだった。

こうして人型ネウロイ・・・・・・ハルは504の保護下に入るのだった。彼女もここに残り人と共存できる研究や考えをしたいと言い、ここに極秘でいることになったのだった。因みに彼女はあの作戦で死んだことにしている。無論そこの書類報告云々は前に訪れたガランド少将のおかげで万事解決である

 

そして翌日、食堂で俺は新聞を読みながらコーヒーを、アイはルチアナさんが作ってくれたお菓子をを口にしていた。すると・・・・

 

「大尉、アイちゃん、ちょっといいかしら?」

 

竹井大尉が入ってきた

 

「この記事を読んで欲しいの」パサッ

 

机の上に、新聞の一面を広げる

 

「なになに?…501再結成?」

 

見出しにはそう書いてあった

 

「今、504はほとんど機能していないでしょう?だから、501再結成の話があがったのよ」

 

「・・・・一日で11人全員が揃うとは驚きだ」

 

新聞の写真には、こじゃれた基地をバックにして、横に並んだウィッチ11人が写っていた その中には、

 

「(エイラ…)」

 

恋人である彼女もいた

「・・・・お母さん」

 

アイはそっちに目が行っている様だ 。

 

「エイラに・・・・お母さんに会いたいのかアイ?」

 

「うん」

 

アイは寂しそうな顔で頷く。

 

「…竹井大尉」

 

「そういうと思ったわ。もう手筈は済んでるの」

 

そういって、一枚の書類をヒラヒラさせる

 

「…俺の名前が書いてあるような」

 

「あなたに、501への転属命令がでてるわ。もちろんあなたの娘であるアイちゃんも501の保護下に入るように、と」

 

「ハルは?」

 

「彼女はここの残って再度瘴気を浄化させる研究を考えるって、大丈夫よ彼女は私たちがちゃんと面倒を見るから安心して」

 

「そうですか・・・・・それによく許しましたね上層部の連中・・・・・・まさか厄介払いのつもりですかね?」

 

「…おそらく」

 

501って昔から問題を押し付けられてる気がする…

 

「お父さん。つまりどういうこと…?」

 

「ああ、俺とアイは501に行くことになったんだ。よかったなアイ。エイラに会えるぞ」

 

俺の言葉を聞いてアイはまさにパァァと効果音が付きそうな喜び方をする

 

「翌日、501から補給部隊が来ることになってるの。彼らの車に便乗して、あちらの基地まで行きなさい」

 

「了解しました。それまでに準備をしておきます。アイ行こう」

 

「うん♪」

 

こうして俺とアイはまた転属することになったのだった。

 

 

 

 




次回でストライクウィッチーズ2本編に入りたいと思います

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。