ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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OP「アシタノツバサ」 

ED「Little Wing~Spirit of LINDBERG~」



第32話「大きく羽ばたけ」

あの勝負が終わった夜、疾風はある相手に電話していた。まあ、現代と違って国際電話はいろいろ手続きしないといけないらしいが、軍の施設だとそう手間があまりかからず普通の電話と比べ早くできた。

 

『もしもし~。疾風か?』

 

「ああ、エイラ。相変わらず元気そうだな」

 

『まあな、で、アイは元気にしてるか?』

 

「ああ、アイのことは心配ないよ・・・・」

 

疾風の電話の相手はスオムスにいる恋人であるエイラだった。

 

『そうか~それはよかった。・・・・・で、どうしたんだ?何かあったのか?』

 

「ああ・・・実はな」

 

疾風は雁渕に起こったことを話した。

 

『ふ~ん・・・・そんなことがあったのか‥‥』

 

「ああ、なあ、エイラ一つ聞いていいか?」

 

『ん?なんだ?』

 

「エイラは戦場に初めて出るときアウロラさんに止められたか?」

 

俺はあの時の雁渕姉妹のことを思い出しエイラに聞く。俺にも姉がいたが、姉が亡くなった時はまだ4つの時なのであまり喧嘩とかしたことがない。

 

『姉ちゃんにか?う~ん…そうだな。そういえばお前の言う通り最初は姉ちゃんに反対されたよ。『お前にはまだ早い』ってな」

 

「・・・・で、どうなったんだ?」

 

『それはもう、姉ちゃんと大喧嘩さ。でも、何度かぶつかっているうちに姉ちゃんも折れてさ『もう好きにしなさい』って・・・・・・まあ、最初反対されたときは姉ちゃんのこと嫌いになりそうになったよ。でも今思うと姉ちゃんは私のことを心配して言ってくれたんだよな・・・・』

 

「そうか・・・・」

 

『・・・・・で、疾風は雁渕をどうしたいんだ?』

 

「‥…俺は」

 

『まあ、お前なりに頑張って来いよ。疾風のことだからあいつのこと放っておけないんだろ?』

 

「‥‥ありがとう。エイラ」

 

『いいってことよ~お前と私の中じゃないか』

 

「ああ、それとだエイラ。少し頼みがあるんだ」

 

『……?』

 

 

 

 

 

 

 

その夜、ひかりは夜空を見ていた。ここを去る前にペテルブルグの夜空を見たかったからだ。

 

「この景色も今日でお別れか・・・・・」

 

「こんなところで何をしてるんだ雁渕?」

 

「あ、疾風さん・・・・・明日でペテルブルグともさよならですから最後にこの景色を見ようと思って」

 

「そうか・・・・・雁渕。いいのか。これで」

 

疾風がひかりにそう言うと

 

「はい。少し名残惜しいですけど、自分はやれることはやったのでスッキリしました。やっぱお姉ちゃんはすごいです。」

 

と、ひかりは気持ちのいい笑顔でこう答える。このとき疾風はこう思った。かける言葉は必要ないっと

 

「そうか・・・・そういえばさっきの勝負。結構いい線言ってたぜ。正直言って君が勝つかもって思ったくらいだよ」

 

「ほんとですか!」

 

「ああ、お前なら、そう近いうちにお姉さんを超えると思うぜ」

 

「ありがとうございます疾風さん。」

 

「スオムスでも頑張れな。応援してるぜ」

 

「疾風さんも頑張ってくださいね。応援しています」

 

と、互いに握手をした。その時の夜は満月だった。

 

 

 

 

 

そして翌日。ひかりの出立に502のみんなが見送りに来ていた。

 

「本当にスオムスに行っちゃうのかよ、ひかり。」

 

「あは・・・そうですね。」

 

「向こうに行ってもユニット壊しちゃダメよ。」

 

「はい。正座させられないように気をつけます。」

 

「これ、おにぎりです。」

 

「飲み物も。」

 

「下原さん、ジョゼさん。お世話になりました。」

 

「ひかりさん。あなたの今日までの日々は無駄じゃないわ。」

 

「先生・・・。」

 

「昨日の動き、なかなか良かったわよ。」

  

「ありがとうございます、ロスマン先生!」

 

「ひかりお姉ちゃん・・・・・これプレゼント」

 

そう言いアイが出したのはガラス玉でできた首飾りだった。

 

「うわぁー奇麗」

 

「アウロラおばさまと一緒に作ったの」

 

「ありがとねアイちゃん。これ大切にするよ!」

 

そう言いひかりは首飾りをかける。そして、ひかりは駅に向かうトラックに向かうその様子を菅野が遠目で見ていた。その顔は何か複雑そうな顔だった。

 

そしてひかりは本来の行き先であるカウハバへと向かうのだった。

しかしその見送りに姉の孝美はいなかった。

その孝美はというと格納庫でかつて妹が履いていたユニットチドリを見ていた。

 

「・・・・・」

 

「あなたの妹さん。行きましたよ中尉」

 

「疾風大尉・・・・ひかりはどんな様子でした?」」

 

「妹が心配ならなんで見送ってやらなかった。姉だろ?」

 

「姉だからこそです。今あそこで見送ってしまったら、なにか悔いが残りそうで・・・・」

 

「そうですか・・・」

 

孝美はチドリをなでる。チドリにはたくさんの傷がついていた。

 

「・・・・・傷だらけ。」

 

「その傷は妹さん・・・・ひかりさんがいた証です。」

 

「本当にあの子がこんな最前線で戦えるようになってただなんて・・・。頑張ったんですね、ひかりは。」

 

「ええ、本当に頑張っていましたよあいつは。・・・・・中尉。本当にこれでよかったのですか?」

 

「はい。姉としてこれ以上ひかりを危険な目にあわせないため、だからこそ、あの時、自分の手で決着をつけてあげよう・・・・・諦めさせてあげようっと、それが姉としての勢一杯できることだと思ったんです大尉」

 

「そうですか・・・・・」

 

するとラル少佐がやってきた。

 

「ここにいたのか二人とも」

 

「少佐・・・・」

 

「じきに作戦会議が始まる。それとだ孝美中尉。疾風大尉の言う通りあいつは頑張った。だが今私が望むのは作戦を遂行させることができる強いウィッチ。それだけだ・・・・・できるな」

 

「はい。その役目は私が必ず果たします。」

 

 

 

そしてその後グレゴーリ攻略のための作戦会議が行われるのであった。そしてその指揮官である、マンシュタイン元帥が話を始める。

 

「周知の通り、グレゴーリは現在時速5キロで南西に移動している。目標はペテルブルグ。この502基地で間違いない。従来の出現した敵に応戦する策を捨て、我々から打って出る大反抗。それがフレイアー作戦である。」

 

と、その後マンシュタイン元帥は話を続ける作戦内容はまずカールスラントの口径800ミリの超巨大列車砲グスタフとドーラ砲を使う。800ミリか‥‥ナチス第4帝国のの800ミリ列車砲「ヒトラー砲」を思い出すな・・・

話を戻そう。まずグスタフが爆風砲弾を使い、グレゴーリの周りについていく雲を吹き飛ばし次に陸戦ウィッチの魔法力によって強化された対ネウロイ用魔導徹甲弾を本体であるグレゴーリにぶつけ消滅さる。しかしこの砲の射程は10キロ。敵の攻撃範囲に入ってしまう。そこで俺たちの任務は列車砲を護衛し、射程内に到達させること。そしてコアの特定は魔眼の持ち主である雁淵中尉がすることになった。

 

 

俺は作戦会議が終わった後自室に戻る。そして俺は黒色のコート。腰のホルスターにワルサーP38を入れる。すると・・・・

 

「お父さん・・・・これ」

 

俺は振り向くとそこには薩摩太刀を持ったアイがいた。俺はアイから太刀を受け取り背中に下げてある鞘にいれる。アイはじっと俺の顔を見る。その顔はとても心配そうに見つめていた。

俺はアイの目線までしゃがみ、アイの頭を優しくなでる。

 

「アイ・・・・俺は行くけど、いい子で待ててくれるか?」

 

俺がそう言うとアイは下を向くが、すぐに俺の顔を見て

 

「はい!いい子で待っていますお父さん。でも。必ず帰ってきてください」

 

「ああ、約束する。それじゃあ行ってきます」

 

そして俺は戦場の空へと向かうのだった。俺は必ず帰る。エイラやアイのためにも・・・・・

 

 

 

 

一方、駅の前にはひかりがいた。

 

「えっと・・・・確かスオムスからの迎えの人が・・・・」

 

そう言い周りを見渡す。しかし駅の周りにいるのは軍人ばかり誰が迎えの人かわからない。すると・・・

 

「よう。」

 

「あっ!」

 

「エイラさん! サーニャさん! 迎えに来てくれたんですか?」

 

ひかりの前に現れたのはエイラとサーニャだった。そしてその後三人は汽車に乗る

 

「まさか迎えの人がエイラさんとサーニャさんだなんて」

 

「へっへ~驚いたろ?」

 

「ニパさんと疾風さんから迎えに来て欲しいって連絡があったの。」

 

「疾風さんとニパさんが?」

 

「ああ、二人ともひかりのこと、すんげー心配してたぞ。」

 

エイラがそう言うとひかりは沈んだ顔になる。

 

「あ・・・・」

 

すると、サーニャの固有魔法レーダーが反応した

 

「サーニャ?どうしたんだ?」

 

「空。」

 

そう言いサーニャは外を見るすると・・・・

 

「あっ!!」

 

空にはウィッチたちが飛んでいた。

 

「502が出撃したのか(疾風・・・・)。」

 

「はい!」

 

「あれは隊長! あれはサーシャさん! ロスマン先生、下原さん、ジョゼさん。」

 

「よく見えるナー・・・。」

 

あそこまではかなっり高く顔なんか見えないはずなのにそれを正確に言うひかりにエイラは感心する。

 

「左はクルピンスキーさん、ニパさん、疾風さん、菅野さん。それから・・・・。」

 

「ねーちゃんか?」

 

「はい。」

 

「頑張って、お姉ちゃん・・・。」

 

「ま、そんな湿っぽくなるなって。じゃーん。」

 

そう言い、エイラは何か取り出した。

 

「え?」

 

「気分が落ち込んだときでも、おいしいお菓子を食べればウキウキハッピーになれるもんさ。」

 

そう言って、エイラは渡したのはエイラの好物であるのサルミアッキだった。ひかりはチョコと勘違いし大量のサルミアッキをほおばり悶絶するのは言うまでもなかった。

悶絶するひかりをよそにエイラは自分の恋人が飛んでいる空を見上げるのだった

 

「・・・・疾風。無事でいろよな」

 

最愛の人を心配する彼女であった。

 

 

 

 

一方、上空ではフレイアー作戦が開始されていた。陸上では大量の88ミリ(アハト・アハト)高射砲やⅣ号J型中戦車、オラーシャのカチューシャ自走多連装ロケット砲が陸戦ネウロイやグレゴーリの周りにいるネウロイを攻撃し上空ではスピットファイア、bf109、零式艦上戦闘機21型が小型ネウロイに対し激しい空中戦を繰り広げていた。

そして、巨大列車砲を護衛する502も激しい空中戦を広げていた。グレゴーリ周辺のネウロイたちは近づけまいと必死にビーム攻撃をする。

 

「くうっ!」

 

「何だよこのビームの数!」

 

「敵も本気ってことね。」

 

グレゴーリの本体は彼らにとってはペテルブルグ攻略のための最重要な巣、これを破壊されたら大打撃を受けるため奴らも必死なのだ。

だがそんなネウロイも菅野と孝美のコンビによって撃墜される。

 

「すごい・・・菅野と孝美さん。いきぴったりだ。」

 

「二人もすごいですけど、疾風さんも・・・・」

 

下原が見た先は疾風が単機で10機以上のネウロイと戦っていた。疾風はネウロイのビームを固有魔法である『弾道予測』で次々とかわし、機銃や刀でどんどん撃破していた。その姿はまるで戦場に現れた鬼神のようだった。

 

「す、すごい‥‥たった一人で」

 

その姿に全員が息をのんでいた。そして、グスタフ・ドーラ両砲が射程内に入った。そしてグスタフに爆風砲弾が装填される。

 

「魔導シリンダー内、術式展開まで、3、2、1・・・。」

 

「発射準備完了。グスタフ、射程圏内に到達。」

 

通信兵の言葉を聞き、マンシュタイン元帥は

 

「グスタフ砲。発射!!」

 

発射命令を出す。そして・・・・

 

ドドーーーーーン!!!

 

グスタフの800ミリ砲が火を噴き、グレゴーリの周りにあった黒い雲はグスタフの爆風弾によって吹き飛ばされ、本体が見えた。

 

「あれが敵の本体。」

 

「うわー、でっかー・・・。」

 

「まるで宇宙ステーションみたいだぜ・・・・」

 

あまりの大きさに驚く。そして、ロスマンがフリーガーハマーを撃ち見ごと命中するが、グリゴーリは傷一つつついていない。

 

「通常の兵器では傷もつけられませんね。」

 

「雁淵中尉、コアの特定だ。」

 

ロスマンの報告を聞いた元帥は孝美にコアの特定を指示した。

 

「行くぞ孝美!」

 

「了解!」

 

「孝美をコア特定エリアまで護衛する。」

 

「了解!」

 

ニパとジョゼはシールドを展開してグスタフとドーラを守る。そして孝美は魔眼を発動させ、コアの場所を見つけドーラの通信種に報告しドーラその位置に砲を向ける。だが、それに気づいたグリゴーリは強力なビームをドーラに向ける二パたちが必死にシールドで防ぐが、強力すぎてシールドが貫通、そしてドーラの砲身がビームで折られたのだった。

 

「ドーラ被弾! 砲身が破損して発射できません!」

 

「何っ!?」

 

「撃てないだと!?」

 

通信兵からの報告を聞き、上層部の将軍たちは驚く

 

「ならばグスタフで撃つ! 予備弾を用意しろ!」

 

「了解。」

 

しかしグレゴーリは攻撃をやめ移動を開始した。

 

「大変です!グレゴーリがペテルブルグ方面に移動を開始しました。」

 

「何だと!?」

 

「発射まであとどれくらいだ!?」

 

「術式の展開に20分必要です!」

 

「遅い! 射程外に出られたら終わりだぞ!」

 

と、将軍たちは渋い顔をしていた。

 

 

「くそっ!どうする・・・・20分じゃ間に合わない。どうすれば・・・」

 

疾風がそう考えると一つのものが目に入るそれは方針が破壊され使用不能となったドーラ砲であった。

 

「そうだ!」

 

そう言い、疾風はドーラに向かう。

 

「疾風さん!?」

 

「何を!」

 

疾風のこういいに全員が驚くがそれを見ていた孝美は・・・・

 

「そうだわ!その手があったわ!」

 

何かに気付き疾風のところに行く。

 

「中尉!」

 

「大尉。私も手伝います」

 

「感謝します!」

 

そう言い、二人はドーラに装填されていた弾丸を取りだし魔法力を生かし持ち上げようとする。それを見た502のウィッチも二人が何をするか気が付く。

 

「あれは、魔道徹甲弾!?」

 

「そうか!あれをぶつける気だな!そうと分かれば!!」

 

そう言い、みんなは二人のもとに向かう。

 

「孝美、疾風手伝うぜ!」

 

「私もよ!」

 

「守るより攻める方が性に合うからね。」

 

「可能性はこちらのほうが高いです。」

 

「やっぱり妹さんとソックリね。」

 

「姉妹揃ってバカってことか。」

 

「疾風君もクールに見えて結構馬鹿なことをするね」

 

「そうですね」

 

「・・・・バカは嫌いじゃない。」

 

そして502のウィッチが力を合わせ、800ミリ砲弾を持ち上げることに成功。そして、グレゴーリの真上に到達した。グレゴーリはそのことに気付いていないのか余裕で進む。そしてウィッチたちは急降下して800ミリ砲弾を投下。結果は見事グリゴーリに命中し、爆散する。しかし・・・・・

 

「グレゴーリ健在! 再生しています!」

 

砕け散ったグレゴーリは再生してる。

 

『雁淵中尉! 今、真コアは見えているか!?』

 

「捕捉不能! 真コアが見えません!」

 

「なんだと!?」

 

「まさか、こいつアイと同じコアにステルスシールドを張っているのか!?」

 

 

 

 

 

 

一方、列車の中ではエイラがひそかに持ち出した無線機で、会話を聞いていたひかりたちは・・・

 

「これって・・・」

 

ひかりは無線の内容を聞いたひかりはあることを思い出す。ネウロイのコアを探知できないとすれば姉は何をするか・・・・

 

「お姉ちゃん・・・・・あれを使うんじゃ・・・・。」

 

「え?」

 

「何を使うの?」

 

するとひかりは列車内を駆け出す

 

「あっ。」

 

「おい、ひかり!」

 

「お姉ちゃんを止めなきゃ!」

 

「えっ!?」

 

そう言いひかりは走りながらわけを言う。そして列車の一番後ろのところにつくとそこには何もなかった。

 

「ユニットは?」

 

「貨物列車は別だって。」

 

「私、行きます!」

 

「は? 行くってお前、どうやって?」

 

「それに、ユニットもないのに行っても・・・。」

 

「やってみなくちゃわかりません!」

 

そう言うと、ひかりは列車から飛び出し、姉のいるところに向かった。一方502では

 

「雁淵中尉が本体に向かっていきます!」

 

孝美が単機でネウロイに突っ込んでいく

 

「待て! 孝美!」

 

「おい! 孝美!」

 

菅野が必死に追いかけようとするがネウロイのビームのせいで前に進めない

 

「くっ・・・。孝美!!」

 

「はやまるな、孝美!」

 

「隊長! 他に方法がないんです!」

 

「ばかやろう!」

 

「発動・・・・絶対魔眼!」

 

孝美がそう言うと彼女の髪の色が、茶色から赤色に変化した。彼女が言う絶対魔眼とは、通常の魔眼では捉えられない特異型や、複数のネウロイのコアを特定できる必殺の技だが肉体と精神の負担が大きく、シールドの能力も著しく低下するから援護なしでの使用は自殺行為な危険な技なのである。

絶対魔眼でグレゴーリのコアを探す孝美。

 

「真コアは・・・・どこに」

 

コアを探す中、グリゴーリは孝美に向けてビームを放つ。シールドで防ぐがそう長くはもたない。すると無数のビームが孝美を襲う。すると502全員が孝美の前に出てシールドで孝美を守る

 

「どうやら間に合いましたね。少佐」

 

「そうだな、ぎりぎりだったがな」

 

「まったく。あいつと同じ無茶しやがるぜ孝美」

 

「ロスマン先生から聞いたよ、絶対魔眼の話。」

 

「雁淵中尉ならきっと使うだろうって。」

 

「だって、ひかりさんの姉でしょう?」

 

「一人で行くなんてずるいです。」

 

「皆でやりましょう。」

 

「はやまるなと言っただろう。」

 

「みなさん・・・。ありがとう。」

 

孝美はみんなに礼を言い、そして・・・

 

「絶対魔眼!」

 

再び絶対魔眼を発動させる。グリゴーリはビームを撃つが502のみんながシールドを張り孝美を守る。

 

「目標、最終補正。完全捕捉!真コア、グリットH58954・・・T87449・・・。」

 

『T87449、了解。』

 

孝美が通信兵にコアの位置を知らせると同時に彼女の魔法力が尽きたのか、そのまま落下する

 

「孝美ーーーー!!!」

 

 

菅野はそう叫ぶ、しかしジョゼが間一髪のところで孝美をキャッチし、治癒魔法をかけるしかし・・・

 

「ジョゼ!孝美!危ない!!」

 

「っ!?」

 

グレゴーリは二人目掛けでビームを撃つ。しかし・・・・・

 

ドガァーン!!

 

間一髪のところで疾風が間に入り、刀でビームを切り裂いた。

 

「なっ!?」

 

「うそ!」

 

「ビームを斬った!?」

 

その光景にみんな唖然とした。

 

「ジョゼ!早く雁渕中尉を!」

 

「あ、は、はい!!」

 

ジョゼは疾風の言葉にうなずき、下におろすとそれと同時にグスタフから、魔道徹甲弾が発射された。しかしグレゴーリは再び黒い雲を発生させ、砲弾は当たる寸前に雲に遮られ砲弾はそこで止まりそして砕け散った。そしてグレゴーリは、ドーラとグスタフを破壊し、そのままペテルブルグに向かう。

 

「そ、そんな・・・」

 

「まさか、あの雲がシールド代わりになっているのか!」

 

「く、くっそー!!」

 

 

作戦は失敗。上層部は作戦中止を決意、そして撤退命令を出した。みんなが絶望する中・・・・

 

「お姉ちゃーーーーん!!」

 

するとひかりがやってきた。

 

「ひかり!?」

 

汽車に乗っているはずのひかりがやってきたので全員が驚いていた。

 

「ひかりちゃん?」

 

「お姉ちゃん! お姉ちゃん、しっかりして!死んじゃ駄目っ!」

 

と、泣きながらそう言うひかり

 

「安心しろ。お姉さんは死んでいない」

 

「疾風さん‥‥でも、お姉ちゃん、絶対魔眼を・・・?」

 

「疾風大尉の言う通り大丈夫です。絶対魔眼の弱点であるシールドの低下は皆で。 肉体へのダメージはジョゼさんの治癒魔法でカバーしたわ。」

 

ロスマンはそう言ってひかりを安心させる。すると孝美が目を覚ました。

 

「お姉ちゃん!」

 

「ごめんね、ひかり・・・。倒せなかった・・・。」

 

「そんな! 何で謝るの!?」

 

「中尉は悪くありません。」

 

「そうだよ! 精一杯やったよ!」

 

「くそっ! 孝美が命がけで真コアを見つけたっていうのによ!」

 

「もう、打つ手は残ってないんでしょうか?」

 

「・・・。」

 

「隊長?」

 

「さっきから、妙に古傷が熱い・・・。向こうに何かを感じる。」

 

そう言って向かった場所はクレーターだった。

 

「これだ。」

 

「これは・・・・魔導徹甲弾の砕けた弾芯のようですね。まだ魔法力を失ってないわ。」

 

「そうだ・・・・司令。私にいい考えがあります。」

 

と、ラル少佐は司令部に作戦提案をするその作戦とはその残った破片を菅野の手袋に移しひかりの接触魔眼でコアを探知そして菅野のげんこつでこれをたたくという破天荒な作戦だった。そして上層部もその作戦を許可し、いよいよグレゴーリとの最終決戦が始まろうとしていた。すると・・・・・

 

「見て!」

 

クルピンスキーがグレゴーリを指さす。彼女たちが見たものは・・・

 

「グレゴーリが止まった・・・・」

 

そう、グレゴーリが動きを止めたのだ。

 

「なんで・・・・」

 

二パがそう呟くと・・・・

 

プルルルル~♪

 

急にどこからか電話の着信音みたいな音がする

 

「な、なんだ?」

 

「どこから聞こえてくるの?」

 

みんなはあたりを見回す。

 

「もしかして・・・・」

 

疾風は自分のポケットを探るするとそこに入っていたのは一枚のカードだった。そのカードから音がする

 

「これって・・・」

 

疾風がそう言った瞬間。カードが光りだし、そして・・・

 

『もしもし~聞こえますか~」

 

「な!?カードから人の声が!?」

 

「というよりこの声って!?」

 

カードから聞こえる声に下原やジョゼが驚き、菅野と二パはその声に聞き覚えがあった。

 

「おまえ!ジブリールか!?」

 

そうカードの声の主はかつてグレゴーリの援軍に来たネウロイの指揮官ジブリールだった。

 

『はい♪覚えてもらえて恐縮です』

 

「で、何の用だ。こっちはいま取り込み中だ」

 

ラル少佐がそう言うと

 

『いえ、実は今、グレゴーリの運転システムをハッキングして止めているんですよ』

 

「な!?ということはグレゴーリが止まったのはお前が・・・・」

 

『はい♪っと言っても侵攻する動きを止められるのはせいぜい20分が限界ですわ。その間に決着つけてくださいね♪』

 

「ジブリール。いいのか?お前は今大戦に参加しないはずだろ?」

 

と疾風はそう言う

 

『はい。確かにそうおっしゃいましたが、これはあなた達のためではありません。前にグレゴーリの連中に嫌がらせをされたことがあったのでこれはその時のお返し。つまり私怨でやってるだけですから、約束は違えてませんよ♪それじゃあ、頑張ってくださいね~♪』

 

ジブリールがそう言うと、カードは光を失い、ジブリールの声は聞こえなくなった。

 

「・・・・・なんなんだ。今の」

 

「わかりませんけど、これはチャンスです!」

 

ロスマンがそう言い502はグレゴーリに最後の決戦を挑んだ。そして先頭ははチドリを履いたひかり、魔道徹甲弾の力を写した手袋を履く菅野だった。姉の孝美は魔力切れでジョゼはその付き添いで参加はできなかった。

 

そしてまずラル隊長が爆風弾のかけらを付けたロケットを放ち、シールド雲に穴を開ける。そしてその中に入り込む。すると、グレゴーリはビームを放ち防ごうとする。本体は動けなくとも防御のネウロイは動けるのだ。

 

「なんとしても菅野さんとひかりさんが本体に到達するまで耐えるのよ!」

 

「ユニットが悲鳴上げそう!」

 

「壊しても怒らない?」

 

「ちゃんと二人を届けられたらね!」

 

「左上、敵の攻撃が薄くなっています!」

 

「マジックブースト!」

 

クルピンスキーが固有魔法を放ちゆく手を開ける。

 

「あとちょっと!」

 

「いっけええええ!!!」

 

菅野とひかりは敵のコアのすぐ近くまで行く。しかし・・・・

 

「菅野、ひかり危ない!!」

 

「「っ!?」」

 

一筋のビームが二人を襲う。それを見た疾風は、二人を守るため間に入りそして

 

「ぐっ…あぁぁ!」

 

「疾風さん!」

 

「疾風!」

 

疾風の機銃はコアに命中し機銃は暴発。疾風は真っ逆さまに落ちる

 

「くっそ・・・・・・またか」

 

そう言い疾風目の前が暗くなっていき、意識は飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「‥…さん‥…お父さん!!」

 

誰かに呼ばれる声が聞こえ疾風は目を覚ます。すると目の前には・・・

 

「お父さん・・・・・」

 

「……アイ?」

 

アイが疾風の上で涙を流していた。そしてその周りには502のみんながいた。俺が目が覚めたことに気付いたのかみんな嬉しそうに笑みを浮かべる。

 

「よかった~無事で。」

 

二パも嬉しそうに言う

 

「なんで、アイがここにいるんですか?」

 

「私が連れてきたんだ。」

 

「アウロラさん・・・・」

 

「アイがな、お前に何か起きたと言ってな。それで連れてきたら案の定、怪我を負ったお前を見つけたってところだ」

 

「それで、アイちゃんが治癒魔法を使って治してくれたんです」

 

「そうですか・・・・・ありがとう。アイ」

 

そう言い、俺はアイの頭をなでる。するとアイは嬉しそうに目を細めたのだった。

 

「・・・・少佐。グレゴーリは・・・」

 

「安心しろ。ひかりと菅野が撃破した。それよりも大尉。今回はご苦労だったな」

 

「はい。少佐も」

 

「・・・・それより疾風大尉?」

 

「あ、はいなんでしょうサーシャさん?」

 

やばい。サーシャさんの目笑ってない

 

「みんなを心配させた罰です!正座ぁ!!」

 

「は、はい!!」

 

俺はサーシャさんの言葉に驚き正座しその光景を見てみんなで笑いあうのだった。

こうしてグリゴーリは502の活躍によって撃破され、ペテルブルグを守ることができたのだった。

だがこの時、疾風は気づいていない。これが終わりでないことを・・・・・

 

 

 

502ブレイブウィッチーズ編完

 

                次回 『ロマーニャ』

 




今回は本当に長かったです。さて次回はストライクウィッチーズ2編を書きたいと思っています。

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