ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
「はぁ・・・・・」
502統合戦闘団『ブレイブウィッチーズ』の基地である人物が空を見上げため息をついた
エイラ・イルマタル・ユーティライネン
スオムス空軍中尉で元501統合戦闘航空団「ストライクウィッチーズ」の隊員であり、スーパーエースの一人。
そして疾風の恋人兼婚約者でもある
「あいつ・・・・・いつ帰ってくんのかナ~」
ため息交じりに呟くのは、婚約者の名・・・・今彼は特別任務で彼女の元を離れ、ガリアへ、そして今は扶桑にいる
「あいつ・・・・元気にしてるかナ・・・・・・」
エイラの疾風による心配事が、風船のように膨らんでいるのを彼女自身も感じていた。彼と別れてから数か月。だが、エイラにとっては数年以上も会っていない気がしていた
「あいつ・・・扶桑でも無茶してないかナ・・・・・」
エイラはぽつりとつぶやく。エイラは疾風がガリアで重傷を負ったという電文を聞いた時、顔を青ざめ、気絶しかけた。すぐにでもガリアに飛びたかったが、アイが動揺すると考え、必死に耐えた。
幸いにも一命はとりとめたのだが、ガリアで起きたネウロイの戦いで魔法力を失ったと知って心配する気持ちがさらに膨らみ、さらに疾風がガリアでの任務を終えて扶桑で教官をしていると噂に聞いたらほっとした。教官なら、もう危ないことはないナ・・・そう思ったが、今度は扶桑にネウロイの巣が現れて、今度はその巣を攻略するための部隊の隊長になったと本人の口から電話越しで聞いた
久しぶりの彼の声に私が最初に出た言葉は・・・・
『なんで、すぐに連絡しないんダヨ!!!』
今までの不安をぶちまけるかのような怒りの声で疾風に言った。正直言って、無茶しすぎて怪我ばっかりする彼のことを叱った。そしてしばらくの間、疾風の謝罪を聞いたのちに、詳しく話を聞いて私は
『ああ・・・・こいつはいつもそうなんダ・・・・』
呆れつつも、いつものアイツだと思い。そして今のところ、私は疾風の帰りを待っている・・・・
「・・・・会いたいナ・・・・」
そう呟き私は立ち上がる。今日は夜間哨戒だ。しかも今夜は一人の夜間哨戒だ・・・・・私はベットで寝ている大切な娘であるアイの頭をそっと撫で
「・・・アイ・母ちゃん行ってくんからナ。いい子で待ってろよナ」
アイも本当はあいつに会いたいのは一番わかっている。そのアイが我慢してるんダ。私も頑張らないとな
そう思いながら私はストライカーの格納庫へと向かうのであった
「ふぅ・・・・何もないナ・・・・」
北欧の空はいたって静か。そして星が凍るように輝いていた。
「あいつもこの夜空を見てんのカナ・・・・」
エイラはぽつりとつぶやく。やはり疾風のことで頭がいっぱいなのだろうか・・・・タロットカードで疾風の運命を占っても何も出ない。
遥か東にいる彼は今どうしているのか?無事なのか?この目で確かめたい・・・そんな思いがあった。すると急に霧が立ち込め始めた
いや、白い光というべきなのか。その光がエイラを包み込んだ
「ナ、ナンダッ!?」
同時刻、扶桑742本土防空隊『ガーディアンウィッチーズ』基地
「隊長。夜間哨戒ですか?」
「まあな。夜に連中が襲ってこないとも限らないし、夜間レーダーをかいくぐってくる可能性があるしな。今日は因幡少尉が休みだから、今夜は俺が言ってくる」
「大丈夫なんですか?」
「見くびるな。夜間哨戒の経験はお前より長いよ」
麗央の言葉に疾風はそう言い。飛行帽をかぶり格納庫へと向かう。
そして俺は零戦に乗り、エンジンをかける。そして整備兵たちが敬礼するのを見て俺も返礼して出撃した。
「暗いな・・・・まあ夜だからそりゃそうか」
月どころか星の輝きの内真っ暗な夜。唯一見える光は零戦の照準器の電子サークルだけがポッと蛍のように輝くだけだった
「今夜も異常なし・・・か」
疾風はぽつりとつぶやく。キーラからの情報では硫黄島にいるネウロイやそれに加担するショッカーなる組織が何らかの攻撃を仕掛ける可能性が出ると聞かされていたが、ここんところ、麗央があのビーストタイプと呼ばれるネウロイを倒してから、連中の攻撃が散発的になり、まとまった攻撃をしてこない。それどころか威力偵察ぐらいの攻撃しかしてこない。
「何か、大きなことを始める気なのか・・・・?」
嫌な感じを感じつつ疾風は、夜間哨戒を続ける。
「エイラもこの空を見ているのだろうか・・・・」
ふと空を見上げ遥か北欧にいる愛する恋人を考える疾風。彼女と別れからもう数か月・・・アイと一緒に元気だろうか・・・・
中々帰らない俺のこと怒っているのだろうか・・・・それとも・・・
そんなことを想いながら俺はパトロールを続けた。
しばらく飛び、俺は定時報告をするため無線を取った
「こちら疾風。NAC本部応答せよ。繰り返すこちら疾風。NAC本部応答せよ」
無線で呼びかけるが応答がなく、聞こえるのはノイズ音だけだった
「故障か?…いや、つい数分まで交信できていた…となると・・・ん?」
疾風は無線機が使えないことに疑問を感じると、いつの間に目の前が真っ白になった。
「なんだ?雲の中にでも入ったのか?いや、それにしても真っ白すぎる・・・・これは一体?」
夜の中こんなに明るい光の中、右も左もわからず飛び続けた。目の前が急に光始めた
「な、なんだ!?」
驚く疾風だったが、その光はそのまま疾風を零戦ごと包み込むのであった
「うぅ…なんだったんだ…あの光は…それにここは・・・」
気が付けば俺は、蝶が舞う花畑の上に立っていた。零戦に乗ってパトロールしていたはずなのに、俺は花畑の中を歩く・・・・周り一面花ばかり・・ところどころ長が待っているがそれだけで他に景色はない
「・・・ん?」
すると前方に、誰かが来るのが見えた。誰だろうか・・・・もしかしてネウロイ?俺はホルスターに手をかけると、その人物が華をかき分けて出てきた
「・・・・え?」
「・・・・あ」
俺はその人物の顔を見て驚き、そして相手も俺の顔を見て驚いた表情をする。それもそうだなんてたってその人物とは
「え・・・・エイラ?」
「は・・・・疾風?」
その人物はエイラだったのだ・・・・・
エイラ視点
「ここは何処なんだヨ・・・・」
いつの間にか私は花畑にいた。あの光に包まれてTからおかしなことばかりだ。とにかくじっとしているのもなんだし、私は歩くことにした。だが、どこを見渡しても花畑、たまに蝶が待っていたりもしていた
「ん?」
すると前方の場所から誰か近づいてくるのを感じた。ダレダ?
私は警戒しながらその場所へ顔を出す。そこには自分と歳の変わらない少年が立っていた
「・・・・・え?」
少年は驚いた表情をしたのだが
「・・・あ」
私も同じくらいに驚いていた。なぜならその相手は・・・・
「は…疾風」
一番会いたかった、疾風だったからだ
「エ・・・イラ…本当にエイラ何か?」
「本当に疾風なのか?」
たがいに驚き、自分の知る相手なのか訊く二人、最初はネウロイが化けているか幻かと思っていたが、長く付き合っていた二人はすぐに相手が自分の知る相手であったと確信した
「夢・・・じゃないよな?」
「ああ・・・・信じられないけど・・・・」
二人は近づき、そして互いの手を握る。それは夢ではなく温かく現実であることを認識する・・・
するとエイラの目に涙がたまる
「温かい・・・本当に疾風なんダナ・・・」
「ああ・・・・ああ・・・俺だよ。エイラ」
エイラが涙目でそう訊くと疾風はうなずき、そして・・・・
「村正ッ!!」
エイラは疾風の名を言い抱き着き、疾風も抱き着くエイラを静かに抱きしめる。数か月間、会えなかった二人。手紙や電話でしか会話をすることしかできなかった二人が今こうして再会したのだ
「そうか・・・エイラも白い光に包まれて・・・」
「そうなんダヨ・・・・疾風もなんだな・・・?」
「ああ・・・・それにしても本当に夢のようだよ」
「本当だな…でも夢でもいい・・・こうして疾風に会えるのが本当に嬉しい・・・・」
花畑に囲まれる中、二人は自分の身の上話をしていた。そして今現在、エイラは疾風に膝枕をしていた。そして疾風は
「エイラも、一人でアイの面倒を見させてすまない・・・大変だろ?」
疾風の言葉にエイラは首を横に振り
「いや。アイもいい子だし…何より可愛いからナ・・・」
そう言いエイラは
「足の方は大丈夫カ?痛くないか?」
「ああ・・・まだ杖なしだときついけど。一応大丈夫だよ」
「でも…無茶はするなよナ・・・・本当に心配なんだから・・・」
「ああ…善処するよ」
疾風の頬をそっと触り
「お前・・・少しやつれたナ・・・・休む暇…なかったロ?」
「まあな・・・・」
彼女と別れ、ガリア、扶桑と彼は戦い続けていた。そんな彼の表情は若干疲れた表情をしていた。そしてエイラは疾風の頭をそっと撫で
「私にできることは少ないけどナ・・・・こうしている間でもゆっくりしてくれ・・・・」
と、微笑むエイラに疾風は
「ありがとうエイラ・・・じゃあ、俺からはこれを上げるよ」
そう言い、疾風はエイラに花の冠をそっと頭にかけた。そしてエイラは
「アンガト・・・・似合う・・・カナ?」
「ああ・・・すごく可愛いよ」
「・・・///」
少し頬を染めもじもじしながら言うと疾風はニッコリと笑ってそう言う
疾風はそう言い笑うとエイラは顔を赤く染め上げるのだった。
そしてエイラは
「なあ…疾風・・・」
「何だエイラ?」
「その・・・・えっと・・・」
「?」
エイラはもじもじする
「えっと・・・その・・・・ひさしぶりに・・・」
「・・・・・そ、それって」
彼女の意味が分かったのか疾風も顔を赤くする
「私たち恋人だし…婚約者だし・・・・・いい・・・ヨナ?」
顔を赤くするエイラに疾風も頷くのであった。
「じゃあ・・・・・」
そう言いエイラは疾風の顔に自分の顔をつ近づけ・・・・・・・
『隊長・・・・・・疾風隊長!応答してください!』
気が付けば俺は零戦に乗って夜の空を飛んでいた。そして無線機から、麗央の声が聞こえた
「ああ・・・こちら疾風。どうぞ?」
『どうぞじゃありませんよ。どうしたんですか?しばらくの間、通信不能になっていたんですよ?」
「ああ・・・すまない。ちょっと霧の中に入ってしまってな・・・」
『霧・・・ですか?』
「ああ・・・・・ちょっと不思議な霧だった」
『ネウロイ・・・ですか?』
「いや、ただの霧だった・・・・すぐに帰還する」
そう言い俺は無線を切った。そしてつい先ほどまでのことを思い出す。エイラと開会したのは本当に夢だったのか現実だったのかはわからない。だが俺は現実だと思っている。なぜなら、彼女が俺の頬に触れた感覚とあの花畑の花の匂いがまだかすかに残っていたからだった
「・・・・また会える。きっと・・・」
そう呟き俺は基地へと帰るのだった
同時刻、エイラ
気が付けば私は空を飛んでいた。
「夢・・・・だったのカナ?」
先ほどのことを思い出し、私は基地に戻った。するとサーニャが迎えてくれた。
「お帰りエイラ」
「ただいま・・・サーニャ」
私はサーニャにそう言うとサーニャは首を傾げ
「エイラ。どうしたのその花の冠?」
「え?」
私は頭に手をやると、そこにはあの夢で疾風がくれた花の冠があった
「(夢じゃなかった・・・・・・じゃあ)」
そう言い私は軽くお腹に手を当てる
「////っ!?」
「エイラ?どうしたの?」
「ナ・・・ナンデモナインダナ!ア、アハハハハ!」
「変なエイラ?」
エイラの態度に首をかしげるサーニャに対しエイラは。
「(疾風・・・・今度はちゃんと会えるよな…夢じゃなくて・・・)」
そう思いながらエイラは基地の中に入るのであった
あの白い光は一体何だったのであろうか?二人の強い思いが次元を曲げて現れた幻なのか異空間なのかそれは誰も知らない・・・・
おまけ
「陛下?さきほどなにか術を使っていましたが何をされていたのですか?」
ジブリールがレミリアに訊くと
「ちょっとしたクリスマスプレゼントよ・・・・」
そう答えるのであった