ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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挿入曲「亡き王女の為のセプテット」


番外編「ペテルブルグの夏~魔王と少女~」

 

「アイー!!」

 

「アイちゃぁーん!!」

 

オラーシャのペテルブルクの森の中、エイラたちはアイの名を呼び探していた

 

「いましたか?」

 

「全然見つからないよ」

 

「どこに行っちゃったんだろ?」

 

サーシャがニパとひかりに訊くが二人とも見つけることができなかった

 

「私はもう少し奥の方を探してみます」

 

「じゃあ、俺も一緒に行くぜ。本当にどこに行ったんだアイは・・・」

 

ロスマンと菅野も心配そうに言う

 

「そう遠くは行ってないと思うが・・・・・熊とか狼とかの野生動物に襲われてないといいが・・・・」

 

何時も無表情のラルも心配する表情をするのだが・・・・

 

「あの隊長。いつまでカブトムシの着ぐるみを着ているつもりなんですか?」

 

いつまでもカブトムシのコスチュームを着ているラルにロスマンが訊くと

 

「背中のファスナーが壊れて脱げなくなった・・・・・」

 

「そ…そうですか・・・・それよりも」

 

そう言い、みんなはある人物を見る。そこには

 

「アイ~~!!!アイィーーーー!!ドコイッタンダヨ~!!!」

 

涙目で草木をかき分けてアイを探すエイラの姿があった

 

「「「早く何とかしないと・・・・・」」」

 

 

 

 

 

 

 

一方、アイはというと

 

 

「どうも初めまして・・・・可愛らしいお嬢さん?」

 

森の開けた場所でアイは不思議な少女とあっていた

その少女はアイより同じか少し上のような見た目だが雰囲気は大人びた感じがした

だがそれよりも愛が感じたのは彼女の瞳に写る冷たくそして鋭いまなざしだった。まるで氷の剣で喉元を突き付けられたような感じがした

 

「(この人・・・・怖い・・・・)」

 

アイは本能的に恐怖を感じ、逃げようとした。だができなかった

アイは自分の心臓・・・・ネウロイのコアが強く反応し、締め付けられるよう…そうまるで彼女に握りつぶされそうな感覚が襲い体が動かない

まるで彼女にコアを握られるかのような感じだ

だが、その少女はニッコリと笑いゆっくりとアイに近づく

 

「怖がらなくていいわ・・・・・あなたを傷つけるつもりはない」

 

と、不適の笑みでアイの前まで歩み、そして止まると右手を胸に当てお辞儀をする

 

「初めまして、可愛らしいお嬢さん…私の名はレミリア・スカーレット・・・・・あなたのお名前は?教えてくれるかしら?」

 

「わ・・・・わたしは・・・アイといいます」

 

「アイ・・・・いい名前ね」

 

そう言いレミリアは小さく笑うがアイの表情は硬かった。

 

「そう硬くならなくていいのよ。言ったはずよあなたを傷つけたりはしないわ。同族なのだから。まあ、あなたは穏健派に作られた人工生命体みたいだけどね」

 

「っ!?」

 

その言葉にアイは彼女の正体を知った

 

「あ・・・あなたは・・・」

 

「そう・・・・あなたと同じネウロイよ・・・しいて言えばネウロイ全体を統率する立場のネウロイと言えばわかるかしら?アースクリーンプログラム試作T1000型さん?いいやここは地球での名に従ってそして先ほど名乗った名であるアイとお呼びしましょう」

 

彼女の静かでそして重い言葉にアイはその言葉の意味を知り震えだす

 

「ネウロイの・・・皇帝‥‥私を始末しに来たんですか?穏健派である私を・・・・」

 

「それも一興かもしれないわね。あなたを殺せばネウロイの瘴気を浄化することは困難。そして地求人最強であるあなたの父親である疾風村正大尉が怒って私を殺しに来て、魔王と勇者の一騎打ち。それはそれで楽しそうだわ・・・・・」

 

彼女は右手をネウロイの腕に変えそして剣状のビームを出す。

アイは震え身構える。だがしかし、レミリアは小さく微笑み、そしてビームを消し、そして人間の手に戻すと

 

「ただ、安心なさい。言ったでしょ?傷つけないって。私が来た目的は・・・・ある虫を探すため」

 

「虫・・・ですか?」

 

「ええ、ここペテルブルグにしか生息しないというカブトムシよ。私は珍しいものを収集するのが趣味でね・・・・」

 

「それだけ・・・?」

 

「そう・・・ただそれだけの事。そしてもう一つはあなたとお話ししたいと思ってね・・・・・ほら、もう震えるのは止めなさい。」

 

そう言うとアイは頷くとレミリアは

 

「いい子ね・・・・それで一つお願いがあるけどいいかしら?」

 

「なんでしょう?」

 

「一緒にカブトムシを探してくれるかしら?」

 

と、彼女はアイに手を差し伸べるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイちゃぁ~ん」

 

「アイ~」

 

一方その頃エイラたちは森の中、アイを探していた

 

「やっぱりどこにもいない・・・・・」

 

「どこに行ったんでしょうか・・・・・あ、そうだサーニャさん。サーニャさんの固有魔法で見つけられませんか?」

 

「先ほどからしてはいるのですが・・・・・なんにも」

 

ひかりの言葉にサーニャは首を振る。サーニャの固有魔法があればアイを見つけられるじゃないかと思ったが彼女の探知魔法に引っかかることはなかった。なぜならアイのコアは他の探知系魔法を持つウィッチに見つからないようにコアの周りに電波を遮断するステルスシールドが張られているからだ。そのためサーニャの固有魔法には引っかからないのだ

 

「どうしたら・・・・・」

 

皆が心配する中、ラルも

 

「まったく困った子だ・・・」

 

と心配する中、ラルを見たロスマンは少し噴き出してた

 

「何だ先生?私はおかしなことでも言ったか?」

 

「い…いえ…ただ。その姿で真剣な顔をされるのでつい・・・・」

 

口元を押さえ笑うのをこらえるロスマン。確かにカブトムシのコスチュームのラルの姿はあまりにもシュールすぎる。現に数名の子たちもラルと目を合わせた時若干噴き出していたりした。

 

「お前たち・・・・・」

 

軽くため息を吐くラルに対し、エイラはというと

 

「アイ~~!出てきてクレー!!どこに行ったんだよ~~!!」

 

涙目で草木を分けながら探すエイラ

 

「イッル・・・落ち着きなよ」

 

「落ち着いていられるわけないだろ!!こうしている間でもアイは迷子になってきっと寂しくて泣いているに違いないって!!すぐに見つけないと!他のネウロイに襲われるかもしれないダロ!!」

 

ニパがなだめるがエイラはそう強く言うと向こうの草むらがガサガサと音を立てる

 

「あ、アイか!?」

 

その音を聞いたエイラたちはその草むらが動くのを見てアイかと思ったのだが・・・・・

 

「あいたた・・・・どうして私目がこんな目に・・・・飛んだ貧乏くじですわね」

 

とそこに黒い服を着て、頭に麦わら帽子、片手に虫取り網を持ちリュックサックを背負った女性が出てきた

 

「お、おおおおおお前は!!」

 

「ん?」

 

エイラが指をさし驚く中、その女性は

 

「あら?あなたたちは・・・・・」

 

エイラの顔を見て首を傾げようとした瞬間・・・・・

 

「おまえぇぇぇぇーーーーーうちの娘をどこに隠したんだぁぁーーーー!!!」

 

「えっ!?ちょ、ちょっと!いきなりなんですか!?…というより激しくゆすらないでください!!め・・・・・目が回る・・・」

 

エイラはその女性に飛びかかり両肩を握り思いっきり前後左右に揺さぶり大声を出す

そして女性の方は訳も分からない表情をしながら目を回しはじめる

 

「どうしたんですかエイラさん!」

 

「ユーティライネン中尉!アイちゃんを見つけたんですか!?」

 

エイラの大声を聞きつけ、みんながエイラのもとへと駆け寄ると

 

「あれ!?あなたって確か・・・・・」

 

ひかりは見覚えがあるのか驚きの声を上げ、そしてラルは

 

「貴様は‥‥‥ジブリール?」

 

ラルがそう呟く。そう彼女はネウロイでありネウロイ軍大幹部でありラルの宿敵でもあるジブリールであった

 

 

「ま~わ~る~まわ~るよ~じだいはまわる~~~~」

 

だが、当の本人はエイラに乱暴に振り回されたせいか、眼を回していたのだった

 


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