ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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番外編「ペテルブルグの夏パート2」

「カブト狩りだぁーー!!」

 

「おぉーーー!!」

 

「お・・・・お~」

 

エイラとアイ。そしてサーニャが虫取り網とかごをもってそういう中

 

「二人とサーニャが行くのはわかるけど、なんで俺たちまで?」

 

「別にいじゃない菅野」

 

「そうですよ。アイちゃんのためですから」

 

ほかに虫取り網と籠をもつ、菅野、二パ、ひかりの三人がいた。サーニャを含めこの4人はエイラの頼みに付き合ってあげているのだ

そして6人はカブトムシを見つけるため森の中へと入るのであった。

そしてしばらく森を歩くとひかりが

 

「でもエイラさん。こんな寒いところにカブトムシなんているんですか?」

 

「それは探さないとわからないダロ?それに姉ちゃんが前に二パのユニット回収するときにちらっとそれらしき虫を見たって言ってたんだから」

 

「え?アウロラさんが?」

 

「でも、それほんとかよ?見たのはもしかしたらゴキブリかもしんねえぞ?」

 

「ちょっと菅野・・・・・」

 

エイラは以前、姉であるアウロラがユニットの回収の際にカブトムシらしき昆虫を見たと聞いてエイラはその目撃したという場所を歩いていたのだ。そして菅野はそれがゴキブリじゃないかというと二パは少し引いた顔をする

 

「カブトムシ。見つかるといいねアイちゃん」

 

「うん!絶対に見つける」

 

アイのお姉さん役のサーニャはそういうとアイは元気いっぱいに返事をしその元気の良さにサーニャは微笑む。

 

「それにしてもずいぶん探してるけどなかなか見つからないね?」

 

「カブトムシの好きな木って何なんでしょう?」

 

「わかんねえよ。確か、クヌギの木にいるみたいだけどどれがクヌギの木かわかんねえ、こうなったら学者の家生まれの下原を連れてくるんだった」

 

「無理だよ。下原さんは今、サーシャさんとジョゼさんと一緒に買い出しに行っていないんだから」

 

「はぁ…そうだった」

 

菅野は学者の家に生まれてこういう知識がありそうな下原がいないことにため息をつく

 

「ねえ、どうすればカブトムシを捕まえることができるのかな?」

 

「体中にはちみつを塗ってくれば来たりして・・・・」

 

「馬鹿かひかり。そんなの変態しかやんねえよ」

 

二パの言葉にひかりがそういうと菅野は呆れた顔でそういう。すると

 

「・・・・あれ?」

 

「どうしたんだ。サーニャ?」

 

サーニャが何かに気が付くと

 

「ねえ・・・エイラ。あれ・・・・・」

 

「え?」

 

サーニャが指さしたほうを見ると、そこには茂みの中に体中にはちみつを塗りたくった水着を付けTの字のポーズをとった褐色肌の女性がいた

 

「「「・・・・・・・・」」」

 

「サーニャおねえちゃん。どうして私の目を隠すの?」

 

「アイちゃんは見ちゃだめよ」

 

それを見たエイラはチベットスナギツネみたいな表情をし、サーニャはアイに目隠しをしていた。そして6人はその場を逃げるようにして去り

 

「ねえ、イッル。もうカブトムシ探しやめない?なんかこの森怖いよ」

 

「体中にはちみつを塗ってましたよ?」

 

「だ、大丈夫なんダナ、二パ、雁淵。あれはきっとサウナの妖精のトントの知り合いの森の妖精だよ。ああして森を守っているんダヨ」

 

「いや、どう見たってちげぇーだろ?あれはどう見たって不審者だろ?」

 

「じゃあ、不審者の妖精だ。ああして森に入ってくる不審者を狼から守っているんだろ?」

 

「エイラ・・・・それ意味わかんないよ?」

 

エイラの言葉にサーニャがそういった瞬間

 

「キュイ?」

 

「どうしたのアイちゃん?」

 

「なんか、あそこで変な音がします」

 

「「え?」」

 

アイが茂みの向こうから変な音がするといい、5人は耳を澄ませると確かに茂みの向こうからぴちゃり、ぴちゃりと音がした

 

「何の音だろう?」

 

「何かを塗っているような音ですね?」

 

そういい6人はそっと、茂みの中をのぞくと、そこにはバケツたっぷり入ったウォッカを機に塗りたくっているエイラと同じ水色の軍服を着た銀髪の女性がいた

 

「「「「・・・・・・・」」」」

 

6人はそれを見るや否やそっとその場を去り

 

「イッル・・・・・本当に帰ろうよ。本当に怖いよこの森」

 

「大丈夫だよ。あれは・・・・・きっと。お酒の精霊だよ。ああしてマーキングしているんだ」

 

「いや、どう見たってあれはアウロラさんですよね?」

 

「てか、なんで自分の飲むものをカブトムシに押し付けようとしているんだ?」

 

「最終的に伯母さまが全部舐め始めそうです・・・・・」

 

皆がそういう中、さらに森の奥へと進む

すると・・・・・

 

「うわぁーーーー!!」

 

「あ、アイ!?」

 

急に向こうの方でアイの叫び声が聞こえた

 

「向こうの方です!」

 

「行こうイッル!」

 

「ああ!待ってろアイ!サーニャー!!」

 

4人は叫び声のする方を見ると大きな木の下でサーニャとアイが木を見上げていた。

 

「サーニャ!アイ!大丈夫カ!?」

 

「うん。私は大丈夫・・・・・けど」

 

サーニャはそう言い合いを見ると、アイはなぜか嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねていた

 

「お母さん!あれ!あれを見て!!」

 

「「え?」」

 

アイの言葉にエイラたちはアイの指さす木の上の方へと顔を向ける。

するとそこには2メートルぐらいの巨大なカブトムシがいたのだ

 

「うわぁーー!!いたぁー!しかもでっか!?」

 

「何あれでかいよ!?」

 

「しかもあれって扶桑のカブトムシだぞ!!?」

 

「2メートルもありますよ菅野さん!?」

 

あまりのでかさにエイラたちは驚く

 

「ねえ、イッルあのカブトムシどうするの!?」

 

「もちろん捕まえるに決まっているだろ!!」

 

「でもどうやってですか虫取り網じゃ捕まえるの無理ですよ!?」

 

「なら、俺に任せろ!!たあぁーーー!!」

 

菅野はそういいカブトムシのいる気に向かって思いっきり飛び蹴りをするのであった。その時、木が大きく揺れ始め、巨大カブトムシは地面へと落下した

 

「よっしゃぁ!」

 

「すごいよ菅野!」

 

そういいながらみんなは巨大カブトムシに集まる

 

「こんな大きいカブトムシ初めて」

 

「俺も初めて見るぜ」

 

サーニャと菅野がそういい、近づくとカブトムシがぐるりと腹を見せる・・・・しかし

 

「・・・・・いきなり何をするんだ」

 

「「「っ!?」」」

 

カブトムシが腹を見せたかと思った瞬間、カブトムシの顔部分にラル少佐の顔があった

 

「た、たた隊長!?」

 

「ラル少佐!?」

 

みんなが巨大なカブトムシだと思ったのはカブトムシの着ぐるみを着たラル少佐だったのだ

 

「ラル隊長・・・・何をしているんですか?そんな恰好で・・・・」

 

「わ、訳は話す…話すから。すまないが起こしてくれ、この状態じゃ起きれない」

 

カブトムシの着ぐるみを着てあおむけ状態のため、一人じゃ起き上がれずに両手両足をじたばたするラル少佐。すると、茂みの後ろでロスマン、クルピンスキー、アウロラが出てくる

 

「あなたたち何をしているんですか?」

 

「あ、ロスマンおねえちゃん。それにクルピンスキーおねえちゃんにアウロラ伯母さまも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまり…隊長たちもアイちゃんのためにカブトムシ探しをしていたのですか?」

 

「ええ。廊下で偶然ユーティライネン中尉とアイちゃんが話しているのを聞いたので」

 

「それで、カブトムシを捕まえればアイちゃんが喜ぶと思ってね」

 

と、ロスマンとはちみつを洗い流したのか体をタオルで拭くクルピンスキーがそう説明する。

話をもっと簡潔に言うと、ロスマンとクルピンスキーは廊下を歩いている途中でアイちゃんとエイラの会話を聞き、それをラルに報告したらラル隊長とその場にいたアウロラがアイのためにカブトムシ取りをしようというわけになったのだ

 

「少佐たちがアイちゃんのために動いてくれたのはわかったんですが・・・・何であんな行動を?」

 

「いや~体中にはちみつとか塗ったらカブトムシが来るかな~って。でも来たのは蜂とかコガネムシしか来なかったんだよ・・・・」

 

「そのまま虫に食べられれば良かったのにね」

 

「それはないよ先生~」

 

「私は樹液の代わりにウォッカを塗ってただけだったんだが・・・・・ラル少佐は何であの格好を?」

 

「仲間のふりをしてれば集まると思ってな・・・・・いい作戦だと思ったんだが」

 

「「「(あれのどこが?)」」」」

 

ラルの発言に皆がジト目で見る。するとひかりが

 

「あれ!?そう言えばアイちゃんは!

 

「「「「え?」」」」

 

光の言葉に皆はあたりをきょろきょろと見渡すとアイの姿がなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キュイ・・・・・・・」

 

私はなぜか森の奥へ奥へと歩いていた。なぜか、森の奥で誰かが呼んでいるような・・・私のコアが何かに共鳴するように反応していた。そんな感じがした。そしてしばらく歩くと開けたところに出た周りに木が囲まれ。その上から太陽がまるで照明のようにその開けた場所を照らしていた。そしてその場所に私より少し年上でしょうか?でもどことなく懐かしい感じがした

 

「あら?可愛らしい子が来たわね・・・・・待っていたわ」

 

その子は私に微笑んでそう言うのでした


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