ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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第218話「診療所の誓い」

「もー!!いくら特訓とはいえ、やりすぎです疾風さん!」

 

「すまん宮藤…返す言葉がない」

 

診療所では疾風が芳佳に怒られていた。理由はもちろん安静にしてなきゃいけない麗央をジープで追い回すという過激な特訓をしていたことがばれたからだ

 

「いいですか疾風さん。麗央さんは今怪我人ですよ。リハビリならともかく、ジープで追い回すなんて麗央さん殺す気ですか?」

 

とマシンガンのように戦況をする宮藤に疾風は苦笑しながら聞き、そして特訓の手当てをしてもらいそばにいる麗央も苦笑いをしていた

 

「それに疾風さんも足のケガ、悪くなりますよ!あんまり無茶するとエイラさんに言いつけますよ!!」

 

「それは・・・・困る」

 

宮藤にエイラに報告すると言われ疾風は困った表情をし眼をそらす。最強のウィザードと呼ばれた彼も恋人であるエイラには敵わないのだ

今まで見たこともない困った表情をした、疾風の顔を見た麗央は

 

「(隊長の彼女さん。そんなに怖い人なのかな?)」

 

と、麗央は疾風の彼女がどんな人か気になるのだった。

 

「それにしても初めて知りました。宮藤さんって隊長と同じ501統合戦闘航空団「ストライクウィッチーズ」の隊員だったんですね!」

 

「今はもうウィッチじゃないけどね」

 

と、宮藤が苦笑して言うと麗央は疾風と宮藤を交互に見る

 

「何だ?じろじろ見て?」

 

「す、すみません隊長・・・・私、てっきり501の人って厳格で怖い人たちばかりだと思っていました」

 

「・・・・それは遠回しに俺のこと言っているのか?」

 

「えっと・・・・修行の時限定で」

 

麗央の言葉に疾風が目を細め麗央を見ると麗央は慌ててそう言った。すると宮藤が

 

「でも疾風さん。最近は少しバルクホルンさんや坂本さんみたいな厳しい感じになっていますよ?前はもっと優しい感じでしたよ?」

 

宮藤は首をかしげてそう言う。確かに宮藤のよく知る疾風は、笑顔を絶やさない優しい好青年といった感じだが、今は何処かバルクホルンや坂本少佐に似た厳しい表情をしていた

 

「言いえて妙だな。弟は姉に似るってやつなのかもしれない・・・・まあ、部隊の隊長ともなれば今まで通りじゃいけないこともあるんだよ宮藤」

 

疾風は宮藤にそう言う。確かにただの一隊員ならそれでもよかったかもしれない。だが今は一部隊の隊長である。仲間を死なせないためにも厳しく接しなければいけない時があるのだ

 

「そうですか・・・・」

 

宮藤が心配そうに言うと麗央は

 

「大丈夫ですよ宮藤さん!隊長は確かに厳しい人ですけどとっても優しい人ですから・・・・・・多分」

 

「あはは・・・・」

 

麗央の言葉に宮藤は苦笑すると、疾風の腕につけているナックシーバーが鳴る

 

「こちら疾風」

 

『隊長!例のネウロイが出現しました!陸戦ウィッチが交戦し何人か負傷しましたが何とか追い詰めています』

 

「場所は?」

 

『横須賀の街から一キロ離れた場所です。ですが逃げ足が速く、捕まえられません』

 

「分かった!すぐ行く!!」

 

そう言い、疾風は

 

「すまん宮藤。奴が現れた。虹野を頼む・・・・麗央!」

 

「はい!」

 

麗央は疾風の言いたいことが分かると、麗央は立ち上がり頭に巻いた包帯を取る

 

「あ!麗央さん!まだ駄目ですよ!!」

 

「大丈夫です。私傷直り速い方ですから!・・・」

 

「で、でも・・・・」

 

「私、ネウロイからこの扶桑を守りたいんです」

 

「麗央さん・・・・・」

 

「ゆりかさんをお願いします…隊長。奴は今どこに?」

 

「ああ・・・・奴なら」

 

疾風は例のネウロイが現れた場所、そして今向かっている場所を言うと、

 

「隊長、行ってきます!!」

 

「うん。俺もあとで追う」

 

そう言うと麗央は診療所を出ようとすると、

 

「麗央さん」

 

診療所で入院している、ゆりかと目が合う

 

「ゆりかさん・・・・私、必ず勝つからね」

 

「う、うん…でも怪我しないでね!麗央さんファイオー!!」

 

「うん!ありがとう!!」

 

そう言うと麗央は風のごとく飛び出すのだった

 

「麗央さん・・・大丈夫でしょうか?」

 

「大丈夫。あいつなら勝てるよ・・・・それにしてもあの突っ走るところは宮藤に似てるな」

 

「え~そうですか!?」

 

「ああ、あのまっすぐな所がな・・・・じゃあ、宮藤、俺も行ってくる虹野のことを頼むよ」

 

「あ、はい・・・・」

 

疾風はそう言い診療所を後にしするが、宮藤はどこか浮かない様子だった

 

 

 

 

 

そして疾風は、ジープで現場に向かおうと乗り込む。すると・・・・

 

「ふっ…後ろががら空きだぞ少佐?」

 

といつの間にか疾風の背後に拳銃を突き付ける人物がいた。だが疾風は慌てる様子もなく

 

「拳銃で脅すなら、せめて弾倉を装填し安全装置解除してから言ったらどうですかキーラさん?」

 

そう言い、疾風はちらっと後ろを見て、そして片手にはその人物の持つ拳銃の弾倉をちらつかせてそう言った

 

「おやおや、バレていたのかい?さすが勇者様だ」

 

「そんな大そうなもんじゃないよ。勇者というなればいうなれば俺は鍍金の勇者ってところだ・・・・・・」

 

そう言い疾風は後ろを振り向くと、そこにはキーラがいた

 

「・・・・・で、どうだい?あの小娘は?勝てると思うかな?」

 

「絶対に勝つさ・・・特訓で何か掴んだみたいだしな・・・・お前が何か助言でもしたんだろ?」

 

「はてさて…何のことだか。私は何も言っていないよ」

 

「そうか・・・・だが、今の様子を見ると特訓。見ていたんだろ?」

 

「遠めだがな・・・・・だが、あそこまで過激にやるとはな・・・ガリア・・506にいたころのお人よしだった頃とはずいぶん変わった…そう思っただけだ」

 

キーラは呆れ交じりに言うと疾風は軽く頭を掻くと・・・・

 

「俺は二度と仲間を死なせない・・・・そう誓っている」

 

「その言葉から察するに君の過去に何かあったのかな?」

 

キーラはそう言う、そして聞かれた疾風は少し黙った。仲間を死なせない。それは疾風がこの世界に来てからずっと口にしている言葉だった。

だが、その言葉は戦う者にとっては当たり前の言葉ではあるが、だが疾風の言葉はどこか重みがあった。

 

「・・・・・昔のことだ・・・・本当にバカ者だった頃の昔のことだ」

 

「そうか・・・・」

 

疾風の言葉に何か察したキーラはこれ以上何も聞かなかった。

 

「・・・・それで、俺に何か用なのか?あいにく基地のコーヒー豆を切らしてね・・・・・それともあんたは紅茶派だったか?」

 

「お茶を飲みに車に忍び入ったわけではない・・・・強いて言うならデートのお誘いかな?」

 

「生憎だが、行先は戦地だ。それ以前に俺は妻子持ちだということを忘れてないか?」

 

「知ってたさ・・・だが忘れていないか?」

 

「なにがだ?」

 

「君は知らずのうちに現地妻を作っていることに・・・・・」

 

「・・・・は?」

 

「知っているぞ少佐・・・・・ガリアであの姫様・・・・ヴィトゲンシュタイン大尉にキスされたそうじゃないか。しかもベロチューだったらしいじゃないか?おまけにカール大尉にも・・・・」

 

「車から振り落とされたくなかったら、さっさと本題を言え」

 

「おっと失礼・・・・実は今回、扶桑に現れたネウロイの集団の名前が判明した。そして指揮官もだ・・・・・その指揮官はお前の知っている奴だ」

 

「・・・・・・やはり・・・ヤプールか?」

 

疾風の言うヤプールとは過激派ネウロイのリーダ格であり、ヴェネチア戦で死闘を繰り広げ、倒したはずだが、復活し、506仮配属の時に疾風に前に現れ、疾風を苦戦させた

いわゆる疾風の宿敵である。

 

「ご明察・・・・さすがだ」

 

キーラはかつていた組織王党過激派が過激派ネウロイと同盟を結んでいたため少なからずネウロイの情報を知っていた。そして今回の情報も信用できる場所から手に入れたということだ

 

「あのような狡猾な手を使うのはあいつしかいないからな・・・・・で、連中はさしずめ奴の残党を集めた集団か?」

 

「当たらずとも遠からずってやつだ。確かに一般に出てくるネウロイはガリアやヴェネチアでのヤプール軍団の残党どもだ。実力はそこまで脅威ではない。問題は・・・・」

 

「新たに現れたネウロイ・・・・・そう、土星型や今、現れている奴のことか?」

 

「ああ・・・ウィッチを殺しを任務とし、そして今までの個体をさらに強化させた・・・いわゆるビーストタイプ。対ウィッチ用に生み出された個体だ。今までの都市破壊用や武装偵察型とはわけが違う・・・・それはお前もわかっているはずだ・・・・・それであの凰というウィッチ。かてるか?」

 

「お前から見てどうだ?」

 

「・・・・・愚問だったな」

 

「それで・・・・・奴らが集めた新集団の名は?」

 

疾風が訊くと彼女はこう答えた

 

 

 

 

 

 

 

「ああ・・・・・ヤプールが作った扶桑侵略軍団の名は・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        SHOCKER(ショッカー)

 

 


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