ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
ここは横須賀のとある平地、人があんまり来ないその場所で一人の少女が特訓をしていた・・・・
「麗央っ!!逃げるな!!逃げるんじゃない!!」
「む、無理です~~~~!!!」
猛スピードで迫るジープに麗央は半泣きで逃げていた
遡ること数時間前、麗央は突進型のネウロイに勝つため疾風に特訓をしてもらうことになった。そしてその特訓場所は河原だった
「隊長・・・・ここでやるんですか?」
「ああ。ここなら人が来ないし、特訓にはもって来いと思ったんだ」
疾風が説明する中ジープから降りる二人。
「それより宮藤さんよく許可くれましたね?」
「ああ、リハビリだとか言ったが説得するのには骨が折れたよ。やはり彼女は根っからの医者だよ」
そう、麗央は普通ならゆりかとともに診療所で要請するはずなのだが、麗央は特訓を開始したかったが、宮藤に止められたのだが、疾風がリハビリを名目に宮藤を何とか説得し今に至るのだ
「それで…隊長。この軍手は?」
そう言い麗央は自分がはめている白い軍手を見る。出発前に疾風が付けたものだった。
「ああ。今回の相手はシールド破りのネウロイだ。特訓で咄嗟にシールドを出したんじゃ意味がないと思ってな。河城中尉に作ってもらった特注品だ」
疾風が麗央につけた軍手はにとりが開発した。特殊な軍手でそれをはめるとシールドが出なくなってしまうという特殊な軍手なのだ。これは疾風が作らせたのではなく。たまたま、にとりが開発したものだ
「な・・・なるほど…それで隊長。例の特訓なんですけど・・・・何を使ってやるんですか?さっきも聞いた通り、今回って道具を使わなきゃできないんですけど・・・・・」
「道具ならあるぞ。今目の前に」
「え?」
そう言い疾風は乗ってきたリベリオンから輸入されたジープのボンネットを軽くたたく。そのことに麗央は何かを察し顔を青くした
「え?・・・・・隊長?まさか・・・・」
「ああ・・・・そのまさかだ。…今から俺はこれで・・・お前を殺しにかかる」
「え?」
「もう一度だけ言う…今から俺はこのジープに乗ってお前を殺しにかかる。手段は何でもいい・・・・真正面から向ってこい」
「え?・・・あの~?」
頭が整理できず混乱する麗央。そんな中、疾風はジープに乗り込むそしてエンジンをかける
「つまり・・・・・え!?」
ようやく訓練内容を理解した麗央。その瞬間疾風はアクセルをめい一杯踏み麗央のもとへ走り出した
「なんでこうなるんですかあああああーーーーー!!!」
そう叫びながら、麗央は慌てて突っ込んでくるジープを避ける。そしてジープからは
「麗央っ!避けるな!向かってくるんだ!これをあのネウロイだと思って来い!!」
そう言いジープをUターンして再び麗央に向かってくる、そして麗央は迫ってくるジープに涙目ながら走って逃げる
「いやいやいや!ちょ、ちょっと待ってください!!これ間違ってます!これかなり危ないです!!車にシールドも張らずに真正面から向かったら死んじゃいますよ!!」
と必死にそう叫ぶのだが・・・・・
「向かって来い麗央!これを超えられずにネウロイを倒せるか!!」
「全然話通じてないーーー!!!」
腰を抜かしながらも麗央は必死に疾走する。軍手を取ってシールドを張ろうとしたがぴっちりはまって抜けなかった。だから彼女は必死に疾風の運転するジープから命がけで逃げた
その姿を見ている者がいた
「・・・・・・・何をやっているんだ。あいつらは…」
それはキーラであったがさすがの彼女も二人の特訓に若干引き顔が引きつっていた
「待ってください隊長!これ完全にあのネウロイより速いうえに危険な気がします!!というより危険です!!」
「それがどうした!麗央!逃げるな!逃げるんじゃない!車に向かって来い!!」
「ひいぃ~~~~!!!」
猛スピードで向かってくるジープから麗央は必死に逃げる。疾風も彼女を轢いてしまわないか気が気ではなかったが手加減をすれば特訓にならない。だから心を鬼にしてアクセルを思いっきり踏み麗央に向かっていった。
「・・・・なるほど。あのネウロイを倒すために頑張っているというところか…確かにこれ以上にない特訓法だな」
呆れながらもキーラは麗央の特訓を見ていた。そして逃げ回っていた麗央は立ち止まり、向かってくる車に構え
「ああ・・・もう!やってやる!あのキーラとかいう女みたいに私も真正面から挑んでやる!!!」
覚悟を決め、麗央は泣く泣く構えそして彼女に向かって疾風は迷うことなく突進する
「う・・・うおぉぉぉぉぉぉーーーーーー!!!」
気合を込め車に向かう麗央。そして激しい衝突音がする。それを見たキーラは
「あいつは馬鹿なのか?車に突っ込んだら痛いに決まっているだろうが・・・・」
と、もはやバカバカしくその様子を見て。そして車にはねられ仰向けに倒れる麗央を見るのだった
「うっ・・・うう」
車にはねられた痛みに耐えながら立ち上がろうとすると・・・・
「麗央!!すぐに起き上がって前を見ろ!!」
「え?」
起き上がって前を見るとそこにはもう寸前までジープが迫ってきていた
「ちょっ!ま、待って!ストップ!!」
そう言う麗央だが車はすぐには止まれない。あっけなく麗央はジープに跳ね飛ばされ宙を舞い川に落ちる
「ぶはっ!」
水面から顔を出し麗央は川から出る。そしてジープを止め車から降りる疾風は彼女に近づき
「立てるか?」
と手を差し伸べ、麗央はその手を取り立ち上がる
「麗央・・・今のが奴との実戦だったら本当に死んでるぞ?」
「・・・・・」
「・・・・」
疾風の少し厳しい言葉に麗央は少し黙ると
「隊長・・・・私には無理です。アレに真正面から挑むことなんて私には出来ません・・・・そんな覚悟…私にはありません」
涙を流しれをは疾風に言う
「確かに隊長の言う通り、先ほど私がやっていた気の杭を捌く特訓は意味がありませんでした。むしろ隊長が今やっている特訓法は正しいと思います。でもだからこそわかるんです。今の私には無理です・・・・・」
涙を流し自分には出来ないという麗央に疾風は
「それじゃあ、どうするんだ?こうしている間にも奴は人を襲う・・・ゆりかのように大怪我をする人が増えることになるぞ?お前はそれでいいのか?」
怒ることなく優しくそう言う疾風
「それは・・・嫌です。私ゆりかの仇を取りたい・・・・扶桑の人たちを守りたい!!!・・・・・でも・・・」
あの特訓が出来なければあのネウロイに勝つことなんてできない。今の自分には出来ないと麗央はうなだれると疾風は
「いや…分かった。麗央。少し休憩を取る。お前の気持ちが決まるまで俺はここで待っている。お前が再開したいというなら手を貸す。だが・・・今のままでは奴は倒せないし進むこともできないぞ?少し休んでいる間に気持ちを落ち着かせろ。そうすれば何かわかるかもしれないしな」
「すみません隊長・・・・・」
そう言い彼女はうなだれながらも、その場を少し去るのであった
「・・・・・・」
疾風はその様子をじっと見て。そして自分の杖と足を見た
「(もし・・・俺がガリアで負傷せず魔力があったなら。麗央に重荷をせをわせることはなかったのに・・・・・)」
少し後悔の念を抱きながら疾風はそう思った。だが、今更後悔しても何も変わらない。今自分にできることは麗央を一人前にすること。そしてあのネウロイに勝つ特訓の相手をしてやることだけだった
「それにしても・・・・特訓とはいえ麗央の怪我した姿を見たら後で宮藤にめちゃくちゃに怒られるな・・・・・・・」
と、そう思うのであった