ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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第213話「黒の剣士と白の剣士」

白玉楼

 

「この度はわざわざ白玉楼までお越しいただいて、ありがとうございます疾風村正少佐」

 

「いえいえ。こちらこそ。お迎えに行くのが遅くなって申し訳ございません」

 

白玉楼の居間にて白玉楼の主、西行寺幽々子とNAC『ガーディアンウィッチーズ』隊長、疾風が居間に座り、お茶を飲みながら話していた。

話の内容は無論新入隊員についてだ

 

「話は茅場中将から聞いております。わたしとしても近衛師団から人を送りたいという話は軍部、特に近衛師団からも「皇国を守るべき近衛師団が出撃するにはいい機会だ」という話がありましたので」

 

「そうですか・・・・そのウィッチは今どちらに?」

 

疾風はそう言いあたりをきょろきょろする。そんな中幽々子は扇子で口元を隠し

 

「実は今、お使いに出していますの。もう少ししたら戻ってきますので良ければこの屋敷の中を案内しましょうか?」

 

「いや、大丈夫です。ここで待ちますよ」

 

「しかし、お客様をここでお待たせするわけにはまいりません・・・・・あ、そうだわ。少佐。あなた確か刀を持っておりましたよね?」

 

「ああ・・・・今は折れちゃっているけど」

 

と、少ししょんぼりした表情を見せる疾風

 

「あら?もしかして想いれのある刀なの?」

 

「はい。姉の形見だったので・・・・」

 

「あら、それは残念ね・・・・今その刀持っている?」

 

「はい。肌身離さず持っていますよ」

 

そう言い懐から、疾風がいつも持っている太刀を出す。それを見た幽々子は『その太刀。どこに隠し持っていたの?』と言いたげな表情をしながら太刀を受け取り太刀を見る

 

「結構重いわね・・・・あら?この鞘。木じゃなくて鉄でできているわね?…それにこの鞘に書かれている長剣梅鉢・・・これ、九州熊本の相良家の家紋よね?もしかしてあなた相良家と何かかかわりが?」

 

「自分も子供のころ聞かされただけですが、私の先祖は熊本相良家に仕えた武士でその刀は戦の恩賞で賜ったものと聞いております」

 

「ふ~ん・・・・刀身も見てもいいかしら?」

 

「どうぞ。折れていますから抜くときは気を付けてください」

 

疾風がそう言い、幽々子は刀をそっと抜くと確かに刀の中央が折れていて、折れた部分が布できつく巻かれていた

 

「拝見するわね」

 

そう言い幽々子は疾風の刀をジーとみる。

 

「(戦闘での刃こぼれはあるけど・・・・無銘のようだけど、なかなかの業物だわ。見るからに戦国・・・・いいや室町初期ぐらいの物ね。これほどの刀。扶桑でもなかなか見たことがないわね・・・・)」

 

幽々子は疾風の刀を見て。その刀がかなりいい業物だと確信した。そして彼女は刀を鞘に戻すと

 

「なかなかいいものを見させてもらったわ。少佐。この刀は直そうとは思わないの?」

 

「一応、扶桑に来てからいろんな刀鍛冶をしている人に聞いては見たんですがどれも直せないと言われまして・・・・・」

 

「じゃあ、その小太刀は・・・・」

 

幽々子は疾風の横に置いてある小太刀くらいの刀に目をやる。

 

「海軍から支給された軍刀ですが・・・・いささか軽すぎて」

 

「あんな重い刀を扱う彼方からすれば、軍の軍刀なんておもちゃのような感じですわね」

 

「そうなんでもないですよ。切れ味はいいので」

 

「あら、そうですか」

 

そう言うと幽々子は口元を扇子で隠し何か考えると

 

「少佐・・・・良ければ。あなたのこの刀。私の方で修理させてもらえないでしょうか?」

 

「・・・え?」

 

幽々子の言葉に疾風は少し驚く

 

「私の知り合いに腕の良い刀鍛冶がおりますの。もしかしたらあなたのその刀を治せるかもしれませんわ」

 

「その刀鍛冶の名前は?」

 

「篠崎里香・・・まだ若いけど、腕の言い刀鍛冶よ。どうかしら?」

 

幽々子の言葉に疾風は自分の刀をジーと見つめる。そして

 

「分かりました。お願いします」

 

疾風は本当はこの刀を手放したくはなかった。疾風家の下方であり、姉から譲り受けた形見であり、愛機紫電改とともにこの世界で戦ってきた相棒だ。紫電改も今はある人物に預け修理中、残ったこれを手放せば自分は一人になってしまうのではないかと疾風は若干思っていた

だがそんな思いはすぐに消えた。なぜなら自分はもう一人じゃないのだから、それに紫電改もこの刀も一生会えないわけじゃない。一時的に修理するため預けるだけだ。そう思いきり疾風は自分の愛刀を幽々子に渡した

 

「そう。じゃあ、これは私が丁重に預かるわね」

 

そう言いうと幽々子は疾風の刀を預かると疾風は

 

「それで・・・・・いつまでそこに隠れているんですか?」

 

「っ!?」

 

疾風の言葉に襖の奥からガタッ!と音が死、幽々子は「あらあら」と扇子を軽く扇いで少し笑うと、襖が開いて白い短い髪の女の子が出てきた

 

「御見それしました・・・・・まさかばれていたとは」

 

と、深々と頭を下げる。彼女魂魄妖夢。彼女のお願いとは自分がこの部屋に隠れ、疾風が自分の存在に気づくかどうかというお願いだったのだ

 

「え・・・と。君が魂魄中尉だよな?」

 

「はい。近衛師団予備役の魂魄妖夢中尉でございます・・・それで少佐。いつ頃お気づきに?」

 

「ん?この部屋に入ったときからだぞ?」

 

「・・・・え?」

 

その言葉に妖夢は目を丸くし驚くと幽々子は

 

「ええ、疾風少佐はこの部屋に入ったときから気付いていたわよ妖夢」

 

「な・・・なぜ?」

 

「姿は隠せても気配までは隠せてない。むしろバレバレだ。中尉が俺が隙あらば飛び出て刀で一本取ろうとしていたのはわかっていたぞ?剣客なら気配を消す練習もした方がいいぞ?」

 

「なっ!?」

 

疾風の言葉にさらに驚く妖夢。確かに妖夢は疾風が隙だらけだったら飛び出て寸止めで彼に刀を振るつもりだったが、疾風にはバレていたようだった

 

「で、この後はどうする?次は剣で勝負するか?右足は不自由になってもそれくらいはまだできるぞ?」

 

疾風がそう言い彼女を見る。そして妖夢は疾風の目を見る。そして、足に怪我を追っている疾風相手でも自分は科qつことができないことを悟った。彼の目にある気迫というか殺気じみた目は幾多の修羅場を経験した者こそ出る。そして彼の剣術の腕が自分よりはるかに上だということも今この時分かり妖夢は両手を上げて

 

「降参です。今の私にはあなたには勝てませんので・・・」

 

「そうか・・・それで君はNACにくるのか?」

 

「はい。私は強くなりたいんです。今のままではだれも守れないし、強くなれない。だから私は行くと決めました」

 

「そうか・・・・・じゃあ、よろしく中尉」

 

「はい。よろしくお願いします疾風少佐」

 

こうしてガーディアンウィッチーズに新たな仲間が増えることになった

 

「あら、じゃあ今日はお祝いね。ちょうどお昼だし、妖夢が作った料理もあるし、少佐。基地に帰る前に食事でもいかがですか?」

 

「そうですね…ではいただきましょうか」

 

「では料理の支度をしてきます」

 

妖夢が料理を取りに今を出ると疾風の腕に装着しているNACシーバーが鳴る

 

「鳴ってますわよ少佐?」

 

「ああ・・・・・こちら疾風!どうした?」

 

「『こちら宮部。横須賀上空にネウロイらしき小型飛行物体が横須賀の山に落ちました。こちらも調査するために出撃しています』」

 

「分かった。俺もすぐにそこに行く・・・・・・すまない急用ができました」

 

「ええ。妖夢には私が言っておきます」

 

「すみません。後、俺の刀もよろしくお願いします」

 

「分かったわ」

 

そう言い疾風は立ち上がり杖を取ると今を出て行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宮藤診療所

 

「何か山に落ちて行ったけど、なんだったんだろ?」

 

一方、小型ネウロイが落ちた山のすぐ近くの診療所で宮藤が首をかしげているのであった


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