ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
EⅮ「Starear」
疾風とエイラが恋人となり数日後、二人は基地の近くを散歩中に森の中で少女が倒れているところを発見し、基地に連れて行くのだった。
少女を発見してから翌日の明朝みんなが寝ている中エイラはその子の様子を見に医務室へ向かう。どうしてもその子のことが気になって早く目覚めてしまったのだ。
「あの子大丈夫かな~」
エイラは心配そうに言う。そして医務室に付きその部屋に入る。少女はまだ目を覚まさない。
エイラは少女のそばに行きじっと見つめる。少女は見た目は扶桑人ぽいのだが顔立ちは欧米のもの。ハーフだろうか・・・・
「まだ目が覚めないな・・・・・・」
そう言い、エイラは少女の頭をなでる。まるで娘の頭をなでる母親のような眼で・・・・
すると早く起きてしまったのか、エイラは再び眠気に襲われる。
「なんだか眠くなってきちゃったな・・・・部屋に戻って・・・少し・・・寝ようか・・・な」
自分の部屋に戻ろうとしたが眠気に負けそのままベットに倒れ込むような形となって寝てしまった。
しばらくして・・・日もたち、小鳥の鳴き声でエイラの目が覚めた。
「う、う~ん・・・しまった・・・・うっかり寝ちゃったんだな・・・・ん?」
エイラが起きようとすると何かの視線を感じる。もしかしたらと思ってエイラは少女の方へ顔を向けると・・・・
「・・・・・・・」
少女が目をまん丸に見開いてこっちを見ていたのだ。
「うぇい!?は、疾風!サーニャ!ニパ!みんな起きてくれ!!」
エイラは慌ててみんなを起こしに部屋を飛び出したのだった。
その後エイラの話を聞き、みんなが医務室に集まる。
「目が覚めたようだね。君、名前はわかる?」
疾風が少女に訊く
「……な……まえ……。わた……しの……なまえ……」
少女が首を傾げると、艶やかな銀髪がひと筋頬にかかった。
「あ……い。アイ。 それが……なまえ……」
「アイちゃんか。いい名前だな。 私はエイラだ」
「俺は疾風だ」
疾風とエイラはアイに自己紹介をする
「はぁて・・・・エウナ・・・・・」
たどたどしく唇が動き、切れ切れの音が少女の口から発せられる。
「どうしてあの森にいたんだ?」
疾風が一番聞きたい疑問をアイに問いかけた。
アイは目を伏せ、黙り込んでしまった。しばらく沈黙を続けた後、ふるふると首を動かす。
「わかん……ない……。 なん……にも……、わかんない……」
「え?・・・・」
「どうい事だ?」
「もしかしたら記憶喪失か・・・・」
名前は憶えているのに他は憶えていない。その後みんなは少女に自己紹介をしたが、しゃべり方も言語を覚えたばかりっぽい様子で名前もまともに言えない状態だった。
そのことにみんなは驚きを隠せなかった。
疾風も驚いていたが、少女に微笑み・・・
「やあ、アイちゃん・・・・アイって呼んでいいか?」
「うん・・・・」
「じゃあ、アイも俺のこと疾風って呼んでくれないか?」
「・・・・・はぁて・・・・」
「疾風だよ。は・や・て・・・・言ってごらん」
少女は難しそうな顔をし
「・・・・・・・・・はぁて・・・・」
必死に名前を呼ぼうとするがなかなか言う事が出来ない。疾風は少女の頭に手を乗せて優しくなでた。
「ちょっと難しかったかな。何でも好きな呼び方でいいよ」
そう優しく言う。少女は下を向いて考えて何か思いついたのか疾風の顔をじっと見て
「・・・・・お父さん・・・」
「え、俺?」
そして少女はエイラの方へ向き
「エウナは・・・・・お母さん・・・」
「え”?」
いきなりそう言われエイラは困惑するが少女ことアイは捨てられた子犬のような眼でエイラを見つめる。そしてエイラはアイに微笑み頷いて
「そうだぞ・・・・お母さんだぞ。アイ」
それを聞くと、アイは目をキラキラ輝かせて嬉しそうに笑った。
「お母さん・・・・お父さん!お母さん!」
アイは嬉しそうにエイラに抱き着く。その様子をみんなは微笑ましく見ていた。
まるでエイラ本当の母親にも見えたからだ。
「おなかすいただろアイ!もうすぐ朝食だからな!下原が作る料理はうまいんだぞ」
「うん♪」
エイラはアイを持ち上げそう言うアイも嬉しそうに笑いうなずいた。
そして食堂ではみんなが朝ごはんを食べていた。アイは疾風とエイラの真ん中に座っている。今日のメニューはミネストローネとパンだ。しかし下原はアイにはミネストローネは少し辛いため、アップルケーキを作った。
「はい、アイちゃんはこっちね」
そう言う下原だが、アイは疾風の食べている辛子たっぷりのサンドが気になるようだ。
「・・・・・アイ・・・これはなすごく辛いぞ」
因みにそのサンドが食べられる人物はラル隊長ぐらいだ。他の隊員は多くて半分までが限界だった。
アイはう~んと考えてそして・・・
「お父さんと同じのがいい」
とニコッと笑い疾風に言う
「そうか・・・・そこまで覚悟があるなら俺は止めない。何事も挑戦だからな」
そう言い疾風はアイにサンドイッチを渡した。
アイは小さな口を大きく開けてサンドイッチにかぶりついた。
みんなはその様子を見守る。口をもぐもぐさせていたアイは、ごくりと喉を動かすとにっこりと笑った。
「おいしい・・・」
「ほ~なかなか根性のある奴だ。今晩は下原さんに激辛コースを作ってもらって挑戦しような」
「うん♪」
「疾風さん。それはちょっと・・・・・」
「ははは 冗談だよ下原さん。ん?どうしたアイ」
アイは別の方を向いていた。
「お母さんは何を食べてるの?」
と、俺はエイラを見るとエイラはサルミアッキを食べていた。
「ん?アイこれはな、気分が落ち込んだ時に食べるとウキウキハッピーになるお菓子だぞ。食べてみるか?」
「うん!食べる!」
そう言いエイラはアイの手のひらに大量のサルミアッキを乗っけた。そして愛は手にいっぱいあるサルミアッキを口の中に放り込んだ。
「あ、イッルそんなにあげちゃ・・・・」
「そ、そんなにいっぱい・・・・」
サーニャとニパは顔を青ざめながらアイを見る。因みにサルミアッキは世界一まずい飴でも知られていてスオムスでも食べられる人間はそういない。ニパもサルミアッキは食べれない方だ。
そんな飴を頬張るアイの姿にみんなは疾風の食べた辛子サンドよりも心配な目で見る。
しかしアイは平気なようでまた笑顔で
「これもおいしい・・・」
「ほほう~アイもこの味の良さがわかるのか・・・そうかそれじゃあ今夜はサルミアッキパーティーだな」
「わぁーい」
と、エイラが調子に乗って言う。この父あればこの母ありだ・・・・
「エイラ少尉、それは却下だ。もちろん疾風大尉の辛口晩餐会もだ」
と、ラル隊長に却下された。
「ふふ・・・だってさアイ」
「だってさ」
そう疾風とアイが顔を見合わせ笑う。
その様子を見てエイラが微笑む。
その後、朝食を終えた後アイは疲れたのか椅子の上で寝ている。菅野はアイが風邪をひかないように毛布を掛けた。
「眠っちまったな。」
「ああ、よっぽど疲れたんだね。」
管野とクルピンスキーが言う
「そうだな。・・・・で、疾風、エイラ、お前たちはこれからアイをどうするつもりだ?」
ラルが二人に訊く
「保護者が見つかるまで俺が面倒を見ます。基地の外に放り出すわけにもいきませんから」
「そうか・・・・では引き続きお前たち二人はこの子保護者が見つかるまで面倒を頼む。何か困ったことがあったら私かサーシャ、先生に訊け。できる限りのことはする」
「ありがとうございます少佐」
「う~ん・・・・お父さん。お母さん・・・・」
と、そばで寝ていたアイが寝言でつぶやき二人はアイを見てお互いに微笑んだ。
謎の少女ことアイ目が覚めました。さてアイの容姿なんですが某戦車アニメの飛び級天才少女を5歳児にしたイメージで書きました。
次回もお楽しみに