ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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第205話「不穏な影」

扶桑皇国、東京・・・・

 

明朝、大本営小笠原奪還司令部では・・・・

 

「報告は以上です。栗林忠道中将」

 

軍司令部に呼び出されたNAC隊長の疾風と戦闘隊長である宮辺は小笠原諸島を占領しているネウロイの巣、ブラックスターを攻略するための奪還部隊の総司令官である。陸軍、栗林忠道中将。そしてとなりにNACの最高司令官となっている海軍中将、茅場晶彦がいた

 

「うむ・・・・本題に入る際。君たちも知っていると思うが、現在小笠原諸島には新たに現れたネウロイの巣、「ブラックスター」がいる。そのため、わが奪還部隊では陸、海軍の総力をもって叩くことになっている」

 

「いよいよ、反抗作戦ですか?」

 

疾風がそう訊くと茅場が

 

「今現在。奪還作戦のための軍や艦艇の編成を執り行っている。そしてその反抗作戦には、扶桑海軍の新鋭空母大鳳、大和型の新鋭戦艦武蔵が参加することになっている」

 

「戦艦武蔵?まさか、オペレーションマルスのようなことを?」

 

疾風が少し目を細めてそう言うと、茅場は首を横に振り

 

「いいや。欧州のヴェネチア攻略作戦で使用した大和をネウロイ化させる作戦はここではしない。以前のようにリスクが大きすぎる。それは実際のオペレーションマルスに参加していた君がよくわかっているはずだ疾風少佐」

 

「つまり、通常の戦法で行くと?」

 

「今のところ戦法を考えている。現在、茅場中将のところの技術省では対ネウロイ用の特殊弾頭が開発されている。それを巣に向けて放つ。それ自体は簡単なことだ。しかしだ。敵とてバカではない。それを妨害しようと無数のネウロイが出てくるだろう。そのためには空の守りが必要だ。そのため横須賀航空隊の他、君たち724NACに協力してもらいたい」

 

「私たちの部隊だですか?」

 

「そうだ。作戦内容は追って知らせる」

 

「「了解」」

 

栗林中将の言葉に疾風と宮辺が返事をする。そして栗林中将は

 

「ところで少佐。足の怪我の具合はどうかね?」

 

「今のところ完治はしておりませんが、それでも戦闘機に乗って戦うことはできます」

 

「そうか・・・・・それともう一つ。現在のNACでは君と宮辺大尉、そして林中尉以外の隊員の練度の方はどうかね?」

 

その問いに宮辺が答えた

 

「現在いる隊員。鳳軍曹、虹野軍曹、犬走曹長、そして鈴仙少尉の練度は上がってきております。実戦においても連携を組んで敵を撃破しています」

 

「なら心配がないな。それとまだほかに隊員が来ていないようだが疾風少佐?」

 

「現在、来るようには言ってはいるのですが原隊での部署のせいか来るのが遅れているとのことです。その時は私自ら趣き迎えに行く予定です」

 

「そうか。まあ確かにあそこ(・・・)となると時間はかかるな。私からも一応、上に言っておこう・・・・では、引き続きのことを頼む少佐」

 

「了解しました」

 

「それとだ少佐」

 

と、今度は茅場が話し出す

 

「今度、ガリアから隊員が一名、来ることになっている」

 

「ガリアから?」

 

「ああ、ガリアを救ってくれた礼だそうだ。その人物も協力を申し出た」

 

「その人物とは?」

 

「ウィッチではない・・・・いや正確に言えば元ウィッチだった人物だ。なんでも諜報に長けた人物だとか」

 

茅場の意味深な言葉に疾風は首をかしげるのであった。そして報告が終わり、二人は基地に戻るためのボートに乗っていた。

 

「隊長。今回の戦い、私と林さん以外は腕が上達してきたと言ってもまだ経験の少ない新米です。果たして反抗作戦前に戦いで命を失うんじゃないかと不安で」

 

不安そうに言う宮辺に疾風は

 

「宮部さん。彼女たちも少しづつですが力をつけてきています。確かにあなたが不安がるのも無理はない。俺も戦闘で彼女たちが死んでしまうのか怖いですよ。ですが死なせないために俺たちが彼女たちを鍛えている。いや、鍛えなければならない。宮部さんも林中尉も皆に空戦の練習を見ているんでしょ?」

 

「は、はい」

 

「それで彼女たちの腕はどうだ?」

 

「先ほどの報告で言った通り、日に日に上達してきています。特に鳳さんは呑み込みが早いです。ですが、それでも不安です今回のネウロイは今まで以上の強敵です」

 

「そうかもしれない・・・・だが、俺にはある意味いいチャンスだと思っている」

 

「チャンス・・・ですか?」

 

疾風の言葉になぜ今の状況がチャンスなのか不思議に思い首をかしげると疾風は

 

「確かに今回扶桑に現れているネウロイは以前の個体と比べて強力であり手ごわい相手だけど、もしそのネウロイを鳳たち、経験のないウィッチが戦えばもう一段成長できる」

 

「学問無き経験は経験なき学問に勝る・・・・・・ていうやつですか?」

 

「ああ。今の彼女たちにないのは経験だ。それをベテランや経験者である俺たちが教えなければいけない。最悪な事態は起きないことに越したことはないけど、そう言う経験をするのも成長するために必要な時がある。俺もかくいうそう言う経験を何度かしたからな・・・・」

 

疾風はそう言う。宮辺も扶桑海事変やリバウの戦いでの経験があったからこそ今に至る。そのため疾風の言いたいことは少なからず理解した。

経験・・・とにかく経験を積ませることが重要だということだ

すると疾風は急に足を止めてふと思い出した

 

「隊長?」

 

「・・・・・・そう言えば。よく考えてみれば最悪の事態にならなかったことなんて…今まであったかな?」

 

「あははは・・・・・し…心中お察しします」

 

疾風の言葉に宮辺は苦笑しながら同情をするのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻の下町で・・・・・

 

「これで十件目だな・・・・」

 

「はい。どれも同じ状態の仏さんばかりです銭形刑事」

 

警察官がトレンチコートと帽子をかぶった女性に訊く。彼女の名前は銭形幸子。扶桑の警官であり、疾風を扶桑まで一緒に同行していた人物だ

そして彼女は今、路地裏で胴体を真っ二つにされた女性の死体を見ていた

 

「う~ん・・・・殺られた害者は全員ウィッチだな?」

 

「はい・・・・・昨日は明野のウィッチが殺されたみたいで・・・・」

 

「明野というと陸軍のウィッチ訓練場がある場所か?」

 

「はい。しかもこの事件で殺されているのはみんな教官職、もしくは近々欧州に派遣される予定の新人ウィッチか熟練ウィッチばかりです。刑事。これはウィッチに恨みを持つ者の犯行でしょうか?」

 

警官が銭形に訊くとげに型は被害者の斬られた部分を見る

 

「おい。この仏さんを見て何か気づくことはないか?」

 

「え?えっと…胴体が真っ二つというところですか?」

 

「そうだ・・・・だが出血の跡がないし、血だまりもない。おかしいと思わないか?しかもだ。傷口は焼け焦げてる・・・・これは刀なんかの刃物でできる芸当じゃない。これはレーザーかなんかで斬った感じね・・・・」

 

「レーザー?ということは犯人はレーザーを出せるウィッチ?」

 

「人間だったら、どれほどいいかもしれないが多分違うな・・・・・・よし」

 

「あ、どこに行くんですか刑事!?」

 

警官は立ち去ろうとする銭形を呼び止めると、銭形は帽子をかぶり直し

 

「横須賀に用事ができた。お前は引き続きこの事件を調査しなさい。何かあればすぐに私に報告するように、それで害者の死亡推定時刻は皆夜で間違いないのね?」

 

「は、はい。鑑定の結果によればどれも夜中に襲われています」

 

「ならば、住民に特にウィッチには夜に出歩かないように東京中に警告を出してくれ。いいな?」

 

「は?・・・・はっ!わかりました!!」

 

敬礼してそう言う警官に銭形は

 

「(レーザを武器にした犯人・・・・・もしかしたら最悪の状況かもしれないわね。ここはあいつに相談するべきだね)」

 

そう言い彼女は横須賀へと向かうのであった。

 




次回予告
突如闇夜に潜みウィッチを襲う黒い影、恐るべき旋回戦を使う黒い影に赤き獅子、麗央は立ち向かう。さあ、みんなで観よう!!

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