ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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第192話「故郷のない二人」

疾風はNAC基地から横須賀に戻り、とある場所に来ていた。そこは・・・・・

 

「まさか、疾風さんが扶桑に来ていたなんて、びっくりですよ」

 

「ああ。来たのはほんの数週間前なんだけどな。医者になるための勉強頑張っているみたいだな宮藤」

 

「はい!」

 

そう疾風はかつての仲間である宮藤芳佳の実家である宮藤診療所に来ていた。来た理由は二つ。一つは旧友である宮藤に会うため‥‥それともう一つは・・・・

 

「う~ん・・・・あまり。よくありませんね疾風さん。いくら杖を使用しているとはいえあまり激しく動いたらだめですよ?」

 

「うっ‥‥すみません。なるべく控えてはいるんですが何せ仕事柄で・・・・」

 

宮藤の母である清佳にそう言われ苦笑する。そう実は足の怪我についてみてもらっていたのだ。

 

「でも驚きです。医術学校の先輩である永琳さんから紹介された患者さんがまさか、うちの娘と同じ501で戦っていた人だなんてね」

 

清佳にそう言われる。実は疾風は足の怪我を永琳に見てもらってたが永琳に『私の後輩はまだ治癒魔法を使えると思いますのでもしかしたら・・・・』と推薦書を書かれ来てみればそれは宮藤の実家だったのだ。

すると宮藤は

 

「でもびっくりしましたよ。疾風さんが坂本さんと同じ少佐になっただけじゃなく、NACていう部隊の隊長さんになったんでしょ?」

 

「あ、臨時だがな。それに階級なら宮藤。聞いたぞお前も少尉に昇進したらしいな」

 

「うん。坂本さんがヴェネチアを救ったご褒美だって」

 

「ご褒美って‥…まあ俺も似たようなものか」

 

宮藤の言葉に疾風は自分もそれに近い形で少佐に昇進したため

納得してしまう。すると宮藤が

 

「でも、疾風さん。欧州で足を怪我してしかも魔法力を失ったて聞いたときはびっくりしましたよ」

 

「まあ、失ったとは言っても、ほんのちょっとは残っているみたいだけどな。でもストライカーを履いて飛べないのは事実だけど」

 

「え?じゃあ、疾風さんの紫電改は・・・・・・」

 

「ああ。あいつは今、俺の知り合いに預けている。まあ修理という理由も含めてだけどな。まあ、っストライカーで飛べなくても、俺は元戦闘機乗り出し、今は零戦のパイロットとして戦ってるよ」

 

「そうなんですか・・・・・」

 

と、そう話す中、宮藤の祖母がやってきて

 

「あらあら、あんたがあの疾風さんだったのかい。孫がお世話になりまして……」

 

「いえ、こちらこそお世話に……って、あれ? 俺のこと、知ってるんですか……?」

 

「そりゃあもう!新聞に載るくらい有名だからね。ロマーニャを救った扶桑の英雄の1人だって、あなた有名よ。それに若いのに奥さんと娘さんまでいて、まだ若いのに大変だね?」

 

「きょ、恐縮です」

 

宮藤の祖母に言われ疾風はそういうと宮藤が

 

「そういえば疾風さん。エイラさんやアイちゃんは?」

 

「あの二人ならオラーシャのペテルブルグにいるよ。昨日電話で確認を取ったら元気にしてるみたいだよ」

 

「早く二人に会いたいって…思ってます?」

 

「ああ。会いたいよ…大切な家族だからな‥‥でも今はまだ帰れない。やることがあるからな。中途半端に帰ったらそれこそエイラに怒られちゃうよ」

 

「あ、そっか。疾風さん隊長さんだもんね‥…それでそのネウロイの巣って今小笠原にいるんですよね?」

 

「ああ。情報だとな。今はまだ動きはないがいつ本土にしかも東京かここを襲撃するかわからない。しかも相手は過激派の可能性が高い」

 

「私も‥‥魔力があれば」

 

「大丈夫だ宮藤。俺だけ戦うんじゃない。NACの仲間と一緒に戦うんだ。それに見どころのある奴もいるしな。困難な戦いになると思うけど絶対に扶桑を守る。いや、守って見せるよ。宮藤がみんなと力を合わせてヴェネチアを守ったようにな」

 

「疾風さん・・・・」

 

そういうと疾風は杖を持ち立ち上がる

 

「じゃあ、そろそろ基地に戻るよ。また来るよ」

 

「うん。疾風さん。がんばってくださいね」

 

「ああ」

 

そう言い疾風は宮藤にそう言うと診療所を後にするのだった。そして疾風は、基地に戻ると宮辺大尉がいた。

扶桑皇国海軍大尉、宮辺久、18歳。NACの副隊長であり戦闘隊長を務めるウィッチで、坂本美緒とは二期下の後輩であり、欧州戦線を戦い、坂本、竹井、西沢らと並ぶエースでありリバウの戦いを経験したベテランのウィッチである

 

「おかえりなさい。少佐」

 

「ああ。今帰ったよ。異常はないですか大尉?」

 

「今のところは静かですが。あ、お茶を淹れますよ」

 

「すまないな大尉・・・・・」

 

と疾風がそう言いかけた瞬間、基地内に警報が鳴る

 

「「っ!?」」

 

警報に二人が驚くと、通信兵が

 

「少佐!黒潮島、および大津島から救難信号が発せられました!!」

 

「何!?で、内容は!?」

 

通信兵の言葉に疾風がそう聞くと通信兵は

 

「わかりません。ただ沈むとしか・・・・・」

 

「わかった。続けて発信機を読むんだ。それと宮辺さん。みんなをすぐに呼んでくれ」

 

「わかりました」

 

そう言い宮辺は返事をし、みんなを呼ぶと麗央以下、皆が集まる。そして疾風は地図を出し、

 

「今度は東京から150キロ・・・・・どんどん近づいているな・・・・」

 

疾風がそう言うと麗央が

 

「あの中型ネウロイの仕業だ!あいつらがやったんだ!」

 

「落ち着け鳳軍曹。まだネウロイの仕業だって決まったわけじゃないでしょ?」

 

「そうですよ。それにネウロイがどうやって島を沈めるの?」

 

「しかし!!」

 

「まあまあ、みんな落ち着きなよ。ここで口論してもしょうがないでしょ?隊長?今、島にはだれか行ってるの?」

 

因幡とゆりかの言葉に麗央は反論するがそれを喜子が制し疾風に聞くと

 

「今、扶桑海軍の海防艦や駆逐艦が現場に向かっているが我々もすぐに調べに行くぞ」

 

「しかし隊長。まだネウロイと決まったわけでは・・・・」

 

「犬走。たとえ万に一つのことがあっても、調べるのが俺たちの任務だ。宮辺大尉。すまないが威力偵察に行ってくれ。鳳軍曹、君も行け」

 

「「「「了解!!」」」

 

疾風の指示により、疾風を除くウィッチ5名がストライカーユニットを履いて出撃する。

そして出撃してからしばらくしてsos信号が出た大津島に着くと、海の上に30メートルぐらいの山があり、そのあたりで陽炎型駆逐艦と海防艦が数隻、あたりを巡回していた

 

「あれね・・・・・」

 

「えっと・・・・530メートルの山頂が顔を出しているだけということは500メートルも沈んだってことね‥…とてもネウロイの仕業とは思えないわ」

 

「隠れてる可能性があるわ。鈴仙。あんたは確か魔導針と魔眼の固有魔法を持っていたわね?何か見える?」

 

「はい・・・えっと・・・」

 

そう言い彼女の目が赤く光る。彼女の固有魔法は魔導針つまりレーダーと坂本と同じ魔眼の持ち主なのだ。彼女が目を凝らしながら島の周辺を見るが・・・・・

 

「反応なし、以上ありません」

 

鈴仙がそう言うと、ゆりかが

 

「麗央さん。反応がないみたいですよ?やっぱりネウロイはいないんじゃ・・・・・」

 

そういうが麗央は

 

「います!気配を感じます!」

 

「そうはいっても、鈴仙は反応がないって・・・・それに空を見てもネウロイらしき飛行物体はいないし・・・・」

 

「お願いです!もう一度探してください!」

 

と懸命に言う麗央に、森は

 

「大尉。もしかしたら谷間に隠れて電探を逃れてるかもしれない。私と鳳で見てきますので・・・・」

 

「わかったわじゃあ、中尉お願い。私たちはもう一度、島の周辺を捜索してみるわ」

 

「あ、あの!私もいっしょに行きます!」

 

「わかった。じゃあ、虹野軍曹もいっしょに来なさい。鳳軍曹。行くよ」

 

「はい!」

 

そう言い喜子とゆりかと麗央は宮辺たちと別れて大津島の上空を飛ぶ。そして三人は数時間、島の谷間や周辺をこまめに探したがネウロイの姿はいなかった。そしてインカムで連絡を取っていた喜子は

 

「ええ…‥わかった。鳳。さっき連絡したけど宮辺さんたちも海軍の艦艇レーダーでもネウロイらしき物体は発見できなかったみたいだよ。もう日も暮れる。そろそろ日も暮れるこれ以上の探索は危険だ。基地に戻ろう」

 

「待って、待ってください!後一時間…いや、30分だけでもいいんです!もう少しだけお願いします!」

 

「鳳、君の気持ちもわかるわ。でもね。もう、そろそろいいでしょ?それに戻らないと魔力切れを起こす隊員も出ちゃうわよ。戦っているのはあなただけじゃないんだからな?」

 

「‥‥わかりました」

 

納得いかない表情をしながら麗央はうなずくと喜子は

 

「こちら、森中尉。大津島に異常はありません」

 

『わかった。直ちにこちらに合流して帰投する』

 

「了解。ほら、二人共行くよ」

 

「はい!」

 

「・・・・・・・」

 

そう言い、結局ネウロイを発見できないまま、5人は基地に戻るのであった。そして麗央は

 

「隊長!あれはさっきの二体のネウロイの仕業です!!黒潮島も大津島もあいつらにやられたに違いありません!」

 

「そうかもしれない…しかし海軍の艦艇レーダーや、鈴仙の魔導針や魔眼にも反応がなかった」

 

「いや、あいつらの気配というか…殺気を感じました。明らかにあの二体は東京を目指しています!!まもなくあの二体は東京を襲い沈没させます。隊長!私が信用できないんですか!?」

 

麗央は杖を突き歩く疾風にそう言うと疾風は立ちどまり

 

「麗央‥…お前の気持ちはわかる。俺だってお前のことを疑っているなんて微塵も思っていない。しかし相手の姿が見えない以上は無闇に攻撃は出来ない」

 

疾風がそう言うと麗央は

 

「愛するこの世界を守れといったのは隊長じゃありませんか!あなたは故郷を奪われた人の気持ちなんて知らないんです!」」

 

麗央は扶桑の出身ではない。ある島の住人であったが突如現れた二体のネウロイによって滅ぼされてしまったのだ。その悔しさ悲しさを疾風にぶつけると疾風は

 

「麗央・・・・・俺にとってもこの世界は故郷だ」

 

疾風は麗央に言う。疾風はもともとこの世界の人間ではない。別の世界の人間なのだ。だから故郷と呼べる国はこの世界には存在しない。しかし疾風はこの世界でかけがえのない大切な家族に出会え、そしてこの世界を第二の故郷として守る決意を秘めていた。

麗央と疾風。どちらも故郷のない人間だが、しかし第二の故郷を‥大切な人を守ろうとする気持ちは互いに同じであった。

 

「馬鹿な!もうすぐ扶桑が襲撃されるかもしれないのに!!もう時間がありません。私だけでも出撃します!!」

 

そう言い麗央は一人で出撃しようとすると

 

「よせ麗央!」

 

そう言い疾風は止める

 

「お前だけ行っても、ましては今の実力じゃ、あの中型ネウロイ二体を倒すことはできない」

 

そういうと麗央は疾風の顔をじっと見て

 

「隊長……勝って見せます」

 

強引に行こうとした瞬間

 

「麗央っ!!」

 

「っ!?」

 

疾風は杖で麗央の行く手を阻み麗央は疾風をキッと睨む。そして疾風と麗央は互いを見る。すると宮辺がやってくる

 

「隊長!下田に中型ネウロイの他、小型ネウロイが出現しました!」

 

「「っ!?」」

 

宮辺の言葉に二人は驚くのであった

 

 

 




ちなみに疾風の着ている服装はいつもの黒服、黒コートではなく。疾風がもとの世界の時に来ていた日本国海軍時代の服装です

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