ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
「君は・・・・・日本から来た人間なのかね?」
この言葉に疾風は驚く。自分が異世界。しかも日本出身だと知っている人物は限られている。501,502,506の統合戦闘航空団のウィッチ。上層部ではガランド少将と現在、軍の刑務所で牢屋生活をしているマロニー大将だけであり、疾風が別世界の住人ましては出身国まで知る者が扶桑にいるのは事実上不可能であった
「・・・・・・・」
疾風は無言でいると茅場中将は
「沈黙は肯定と認識するぞ大尉。もう一つ質問だ大尉。君はかつて・・・・・キリトと呼ばれたことはないかね?」
「いいえ。そんな名で呼ばれたことは一度もありません・・・・・それに俺がなぜ日本という国の出身だと?それに日本という国はここにはないはずですが?」
疾風は警戒した眼でそう言うと
「日本国。現在の扶桑に相当する国家であり、気候は扶桑と同じ四季の変化に富み、国土の多くは山地で、人口は沿岸の平野部に集中している。国内には行政区分として47の都道府県があり、扶桑との優位五の違いは国名の違いを除き、織田信長が1582年の本能寺で討ち死にし、その後、豊臣秀吉が天下を統一し最期は徳川家康が江戸に幕府を開き江戸幕府が始まる。そして今現在の都市では第二次大戦中でアメリカと戦争そして1945年の8月15日に敗戦。そしてその後、高度経済成長に・・・・・「待って!待ってくれ!!」ん?どうしたのかね?」
「あんた!なぜ日本の歴史を知っている!!」
疾風は驚愕した表情で茅場にそう言うと茅場は疾風の表情を見て少し笑い
「やはり君は日本人・・・・異世界から来た人間なのだな?君についての経歴があやふや。しかも性能以上のストライカーユニットに国籍マークが日の丸。これを見ても君の出身がこの世界とは別の世界の地球。そして扶桑に当る日本出身だというのは予想ができる」
「・・・・・あんた、何者だ?」
疾風がより一層警戒した眼で見ると茅場は
「安心したまえ疾風大尉。君をどうこうする気はない。ただ自分と同郷の者だと知って安心したのだよ」
その言葉に疾風が察した
「・・・・ということはあんたも日本人か?」
「その通りだ。驚いたかね?」
「ああ。少しな・・・・・・それで茅場中将。あんたは何でこの世界に?」
疾風がそう訊くと茅場は少し考え
「大尉。少し聞くが、君はいつこっちに来た?」
「2017年の8月1日だ」
「そうか‥‥ならば君はSAO事件は知らないのだな・・・・」
「SAO事件?なんだそれは?」
「ふむ、ならその件について話さなければいけないな・・・・・・・」
茅場はそう言い、疾風に自分がここに来る経緯を話す。茅場が来たのは疾風のいた時代から約、5年後、日本は世界初のVRMMORPGが開発されており、茅場は天才量子物理学者であり、そしてVRMMORPGゲーム『ソードアートオンライン』を開発したのだが、突如プレイ中の役一万人のプレイヤーをゲーム内に閉じ込め、舞台「浮遊城アインクラッド」の最上部第100層のボスを倒してクリアすることだけが脱出する唯一の方法であること、そして死亡した場合には現実世界のプレイヤー自身が本当に死亡するということを宣言しですゲームを始めたという。そして自分自身も外見を偽装しゲーム内に忍びこんでいたのだが、75層まで行ったら、とある少年に正体を見破られその報酬として本来の予定を前倒しにして、SAOクリアを賭け少年との激闘の末に相打ちに近い形で敗れ、SAOがクリアされると同時に、自身の脳に大出力のスキャニングをかけることで自身の記憶・人格をデジタル信号としてネットワーク内に遺すことを試みたのだという
「・・・それで気が付けば私は自分と似て違うこの世界に来ていた。そして今は海軍中将という立場にある」
「・・・・・まさか第三次大戦が終わった後にそんなことが・・・・」
疾風は茅場の説明を聞き、これから5年後に起きたことを聞いて驚きそう言うと茅場は
「第三次大戦?疾風大尉。すまないが第三次世界大戦とは何だね?私が知る限り、世界大戦が起きたのは第二次までだったはずだ?」
「・・・・・え?」
疾風は茅場の言葉に違和感を感じた。あの12年間続いたあの戦争を知らないとはおかしいと思ったからだ。その表情を見た茅場は
「どうやら、私がいた日本と君のいた日本では少し違うみたいだな・・・・・すまないが疾風大尉、。君の経験をした第三次世界大戦について話してほしい」
「ああ…分かった」
そう言い疾風は自分のいた世界について話す。ナチスドイツらのテロリスト軍との12年間に及ぶ戦争、使用兵器は第二次世界大戦時に作られた兵器もしくは改良機。そして8月1日に戦闘のさなか愛機の機銃暴発により墜落したかと思ったらこの世界に来ていたなどを話した
「なるほど・・・・つまり私と君は同じ日本出身…しかし、互いにそれぞれ違う歴史を歩んだ日本から来たということになるな」
「そのようですね・・・・・」
茅場の正体は自分と同じ日本から来た。しかし彼は自分とは違う世界から来た日本人というわけだ。
「君も大変だったろう」
「あんたもな中将殿。だが、わからないことがある」
「何がだね?」
「まず一つ。俺たちはなぜこの世界に呼ばれたのか・・・・」
「それは私も訊きたいところだ。だが、この世界に来た以上。何か役目があってのことだろう。それが何なのかは不明だがね」
「そうか・・・・ではもう一つ。あんたはこの世界で身寄りがいなかったはずだ。なぜ中将にまで出世している?」
「ごもっともな意見だ。私はあの世界に来た直後、白衣の姿でな。ある時、軍隊にどこぞの研究員と勘違いされたのかいきなりある研究所に連れていかれてね。そこはストライカーユニットの開発の研究所だった。困惑する私の前にある男が温かく迎えてくれてね。その人の名は宮藤一郎。ストライカーユニットの開発主任であり、君も知っている通りあの宮藤芳佳軍曹の父親だ。行く当てのなかった私は自分の今までの知識で彼のユニット開発に協力した。そうそのユニットがいまのウィッチたちが履くユニットが完成し。その功績と宮部博士の推薦で扶桑海軍の技術将官になっていたのだよ」
「簡単に将官とかになれるもんなのか?」
「そう言う君だってまだ16なのに大尉だが?」
「「・・・・・・」」
「すまない。階級に介しては追及しないでおこう。互いに混乱するだけだからな」
「そうですね。これ以上の詮索は止めにしましょう」
そう言いうと、茅場中将は書類を整え
「君の事情はよく分かった疾風君。上の方の報告については私がいろいろとやっておこう。別世界とは言え同じ同郷のよしみだ」
「その代わり、そっちにも何か要求があるんだろ?タダほど恐ろしいほどはないからな・・・・・」
「キリ・・・あの少年といい、君も察しがいいな。だが安心したまえ。別に君を悪いようにはしないし、国籍もスオムス義勇軍のままでいい。ただ君はあれだけの功績をしているのに昇進がされていないことに気づいてな」
「別に出世とかしようとは思ってない。俺は名声や勲章が欲しくて戦っているわけじゃない。皆が平和に安心して平和に暮らせる世界が来るその時まで戦っているだけだ」
「坂本少佐の言った通り、謙遜だね。それで本題だが、上の方の報告については私がいろいろとやる代わりに、ウィッチ訓練所の教官をしてもらいたい。無論。君が欧州に戻るまでの間だ」
「・・・・・それだけか?」
もっと別のことを要求されるのかと思った疾風は少し呆けた
「ああ。知っての通りに坂本少佐はこれから欧州に行く。その穴埋めだ。君には魔力無くなり飛べなくなったと聞くが、今までの経験を講義で聞かせることくらいはできるだろう?それでどうだね?引き受けてくれるか?」
「まあ、そのくらいなら問題ありませんよ」
「では話は決まりだ。ああ、それと先ほど連合軍から君へ少佐への昇進の知らせが来た。ヴェネチア、そしてガリアを二度救った君へのお礼だそうだ」
「これ・・・受け取らなければだめなのか?」
「人の行為は素直に受け取らないとね、いくら謙遜といってもやりすぎれば失礼になる」
「わかりました。ではそれも受け取りますよ。それで話は以上ですか中将?」
「ああ。わざわざここまで来てすまなかったね。・・・・疾風君。もう一つ君に訊きたいことがある」
「なんでしょう?」
「君のいた世界に私の話したあの城はあったかね?」
「いいや、そもそも俺のいた世界の年代が約5年近く前の世界だ。フルダイブ環境もまだ普及していないところだったよ」
「そうか……どこか別の世界には、存在すると思うか?」
「……断言は出来ない。だが、この世界みたいに魔法がある世界だってある。そして並行世界の数は無限に等しい。きっとどこかであんたの言う城はあるだろうよ」
「そうか・・・・・では疾風君。君がどう思おうが勝手だが、私は君の見方でいるつもりだ。何か相談があれば乗ろう」
「・・・・・ああ。その時は頼みますよ。あと、おれからも一つ訊いてももいいか?」
「なんだね?」
「さっき、彼方が言ったSAO事件・・・・なぜ、そんなことをやったんだ?」
「なぜ・・・・・か。私も長い間忘れかけていたのだろう・・・・・ 何故だろうな。フルダイブ環境システムの開発を知った時・・・・いや、その遥か以前から、私はあの城を、現実世界のあらゆる枠や法則を超越した世界を創り出すことだけ欲して生きてきた。 そして……私はあの少年との戦いで世界の法則を超えるものを見ることが出来た……」
そう言うと茅場は空を見上げ
「空に浮かぶ鉄の城の空想に私が取りつかれたのは何歳の頃だったかな……。 その情景だけは、何時まで経っても私の中から去ろうとしなかった。 年を経るごとにどんどんリアルに、大きく広がっていった。 この地上を飛び立って、あの城に行きたい……。 長い、長い間、それが私の唯一の欲求だったんだよ・・・・」
「そうですか・・・・・」
そう言いその後は互いに話すことはなく、疾風は部屋を出ようとすると
「そうだ。言い忘れてたよ疾風君」
茅場に呼び止められ振り向くと
「ヴェネチア・ガリアでの戦いの勝利おめでとう」
そう微笑んで言う茅場に疾風は無言で軽く頷き、外に出るのであった。そして残された茅場は
「やれやれ。顔や声だけ似ていると思ったが中身まで彼そっくりだったとは・・・・・もしかしたら疾風君は別の可能性だったキリト君だったのかもしれないな・・・・・」
そう意味深なことを言う茅場であった。
一方、疾風は坂本さんと一緒に海軍省を出ていた
「それで、疾風。いったい話とは何だったんだ?」
「ただの事情聴取と後ウィッチの訓練所の教官にならないかと誘われました」
「なに?で、お前の素性を話したのか?それと教官というのは受けたのか?」
「軽くですけどね。あと教官については欧州に戻るまでの間ということで引き受けましたよ。それと連合のお偉いさんが俺の階級を少佐に上げるみたいだそうで」
「そうか…まあお前の実力なら、昇進されてもおかしくないからなアハハハ!!」
疾風の言葉に納得し笑う坂本さん。すると坂本さんは
「それより疾風。お前はこれから行く当てはあるのか?」
「一応訓練学校の寮を借りる予定にはなってます」
「そうか…まあ、あそこなら問題ないな。じゃあ疾風。扶桑のこと任せてもらってもいいか?」
「ええ。大丈夫です」
疾風は坂本さんにそう言うのであった。
その後、疾風は正式に階級が少佐となり、扶桑皇国海軍横須賀のウィッチ訓練場の教官となった。
最初、疾風に配属された、練習生ウィッチたちは、新聞などでたびたび見かける、英雄だったことでキラキラの目で見ていたが、何やら勇猛果敢な男性のイメージが膨れ上がりすぎて疾風の姿を見て、
『女の子っぽい』とか『なんか違う・・・・』『体が華奢で弱そう…』など、言われた。
しかし疾風の見た目とは裏腹に訓練では厳しく。命にかかわるような失敗をすれば叱咤された。しかしただ、叱るだけではなく生き残るコツやアドバイス方法を教えたりと親身に接して指導をしていたため、
疾風の講義を受けたウィッチたちは他の練習生ウィッチたちと比べて非常に練度が高かったのである。
そして教官についてから一週間後、疾風は黒潮島からネウロイの攻撃を受けたという知らせを聞いて海軍から貰った零式艦戦に乗り、黒潮島に向かい。そして鳳麗央と出会うのであった。
そしてこれが扶桑での戦いの始まりだったのだ