ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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番外編「歴史は繰り返すパート5」

かくれんぼが終わりみんなが談話室に集まる

 

「楽しかったですね~かくれんぼ」

 

「まあ、確かに童心に戻った気分だったな」

 

「私もです。また機会があればみんなでやりたいですね」

 

先ほどのかくれんぼを思い出し皆は談笑しあう。するとハインリーケとマリアンが戻ってくる

 

「あ、大尉!あれ?疾風君はどうしたんですか?」

 

「あ奴なら遊び疲れて眠り追ったから部屋で寝かした」

 

「ああ、遊び疲れて寝るだなんて、ガキだな」

 

「いや、マリアン。今疾風さんは子供になっているじゃん?」

 

「む・・・・そうだった・・・」

 

そう言い、ハインリーケとマリアンはソファーに座る。疾風はあのかくれんぼで遊び疲れたのか寝てしまいそれを二人が寝かしつけたらしい

 

「疾風さん。楽しそうでしたね?」

 

「うん。それにしても疾風君。小さいころからもあんな感じだったのかな?」

 

「それはよくわからないけど。多分そうだったんじゃない?」

 

ジェニファー、黒田の問いにアイザックがそう言うと

 

「恐らくだけど、子供らしい遊びをしたのが今が初めてじゃないのかな?」

 

「あ、ミリア」

 

そこにエミリアが入ってきてそう言う

 

「あ、あの・・・・それはどういう意味ですかエミリアさん?」

 

エミリアの言葉にジェニファーが訊くとエミリアは

 

「これは私が元の世界であいつのことを調べた時に知ったこととあいつから聞いた話なんだけどね・・・・」

 

そう言いエミリアは静かに口を開く

 

「あいつの両親はあいつが生まれた時に事故で亡くなっている。そしてその後は姉と共に過ごしていたが、その姉もあいつが3,4歳くらいに戦死しているわ」

 

「え?疾風さんのお父さんとお母さんとお姉さんなくなっているんですか?」

 

「じゃあ、疾風さんは一人で生きていたんですか?」

 

「いいえ・・・・その後、姉の戦友に引き取ってもらって生活してたみたいよ。他の親せきは自分の家の都合で引き取らなかったみたいだから」

 

「酷い・・・・自分の身内なのに」

 

アイザックはそう言う中エミリアは話をつづけた

 

「しばらくはその人のところで暮らしていたんだけど、彼が五歳になったとき、彼は軍に入ったわ」

 

「え!!?5歳でですか?」

 

「ちょっとそれはあまりにも早すぎないか?」

 

「むろん年齢をごまかして入隊したみたいよ」

 

「え?それって年齢詐称したってこと?よく通れたよね?」

 

「まあ、彼も詳しくは教えてくれなかったけど、たぶん彼を育てた人が大きく関わっていると思うわね」

 

「「(いったい何をしたんだろう・・・疾風さんを育てた人)」」

 

エミリアの推測にみんな少し引いた表情になる。そしてエミリアは

 

「その後、彼はこの世界に来るまで、訓練やら、卒業後の実戦やらで、ほとんど子供らしい遊びとかはしたことは無かったらしいわ。それに私もそうだけど元の世界では多くの仲間を失った。だからこそあいつは人一倍に仲間のことを想い、誰かを死なせないように必死に守ろうとしているのよ。たとえ自分が大怪我をしてもね」

 

「そうだったんですか・・・・・・」

 

エミリアの説明にみんなの表情は少し暗くなる。いつも明るく飄々としている疾風にそんな過去があったことを知る。

そしてハインリーケはすっと立ち上がる

 

「あ、どこに行くんですか大尉?」

 

「・・・・すこし、用事を思い出した」

 

と、そういい部屋を出た。するとカーラはマリアンを見て

 

「で、マリアン。いいの行かなくて?」

 

「なにがだ?」

 

「わかっているくせに~」

 

と、いたずらっぽい顔でそう言うカーラにマリアンはため息をつき

 

「今回だけは姫さんに譲るよ」

 

そう言い、マリアンはハインリーケが出て行ったドアを見るのであった。

 

「ねえねえ、ジェニファーさん。マリアンさんが言ったこと、あれどういう意味?それにヴィトゲンシュタイン大尉何の用だろう?」

 

「えっと・・・・それは」

 

「黒田・・・・お前はまだ知らなくていいことだ」

 

黒田の問いにジェニファーとアドリアーナは苦笑してしまうのであった。

 

「さて…じゃあ、始めますか」

 

アイザックが急に手を叩きそう言う

 

「え?アイザック君。始めるって何を?」

 

「何って黒田さん。決まっているじゃないか・・・・・」

 

そう言いアイザックは分厚い本を取り出し

 

「疾風さんができない分の演劇の練習だよ。いつも以上にがっつりやるからね」

 

 

「「「・・・・・え?」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

一方、疾風の部屋ではキーラがナイフを手に持って、寝ている子供疾風を見ていた

 

「今なら、奴を簡単に殺せる」

 

そう言いキーラはそっと寝ている疾風の前に立つ。疾風はすやすやした表情で眠っている。その無邪気な子供の姿になっている疾風を見るキーラ

 

「・・・・・・・はぁ」

 

キーラはため息をつくと崩れ落ちていた毛布を疾風にかけ、そしてナイフをしまうと

 

「何をやっているんだろうな・・・・私は」

 

そう言い疾風の頭を数回なでると部屋を出ていくのであった。そしてしばらくしてその部屋にハインリーケが入ってくる

ハインリーケはベッドで寝ている疾風を見てその隣に座ると、レミリアの話していた疾風の過去のことを思い出す

 

「(こんな小さいときに家族を失ったのか・・・・・)」

 

そしてハインリーケは前に疾風と夜間哨戒に行った時のことを思い出す。それは前にハインリーケが元の世界に親はいないのかと聞いた時であった

 

『俺の両親ってさ・・・・俺を生んですぐに死んじゃったんだよ。だから俺は親の子とは知らないし、写真もなかったから顔も知らないんだよ』

 

あの時の寂しそうな顔をした疾風の表情をハインリーケは覚えていた。そしてハインリーケが立ち上がろうとすると誰かがハインリーケの袖をつかむ。ハインリーケは袖をつかんでいる正体を見るとそれは眠っている疾風だった。どうやら無意識に彼女の袖をつかんだようだ。そして・・・

 

「・・・・おかあさん」

 

「なっ!?」

 

寝言を聞いて、それを聞いたハインリーケは驚愕する。そしてハインリーケは少し寂しそうな顔をする疾風を見て

 

「やれやれ・・・・・今回だけじゃぞ」

 

そう言い、ハインリーケは疾風と一緒に横になりそして添い寝をするような形になる。そしてハインリーケは疾風の頭をそっと撫で

 

「大丈夫じゃ…妾がおる・・・一緒におるから安心しろ」

 

そう優しく言うと、眠っている小さい疾風の表情が和らぎ安心した表情になる

 

「(妾がもし、母親となったら、こうした気持ちなのだろうか?)」

 

疾風の表情を見てハインリーケは性本能が刺激される。

戦争が終わり、軍を退役すれば少なからず実家からは近い将来必ず見合いを薦められるだろう。

そして、見合いをした相手と結婚し、その人と子を産み、その子を育てる。

 

「(妾もいつかこうして自分の子を抱きしめる日が来るのかの・・・・・)」

 

そう思いながらハインリーケはぎゅっと子供の疾風を抱きしめ、しばらくの間、このまま彼を抱きしめながら寝ていた。そしてしばらくしたのちハインリーケは夜間哨戒のため起き上がり、

 

「お休み・・・・・疾風」

 

とそう言い部屋を出るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日・・・・・

 

「ねえ、疾風さん本当に機能のこと覚えていないんですか?」

 

「ええ・・・・昨日の朝、体が熱くなって気を失ったことまでは覚えているんですが・・・・」

 

翌朝、疾風の体は元に戻っていた。そして今はグリュンネ少佐やジーナ中佐にいろいろと聞かれていた。そして疾風は昨日のこと、特に子供になっていた時のことは覚えていなかったらしい。

 

「今朝、食堂に行ったらみんなにいろいろ言われましたよ『元に戻っちゃった』とか『可愛かった』とかいろいろと・・・・」

 

「まあ、確かに昨日の疾風大尉は可愛かったわね?」

 

「それは私も同感だ・・・・・」

 

「?」

 

二人のにこやかな顔に疾風は不思議に首をかしげるのであった。

そして隊長室を出ると

 

「・・・・どうやら無事に元の姿に戻ったようじゃの・・・・」

 

夜間哨戒から戻ってきたのかハインリーケが疾風を待っていた

 

「ごめん。みんなには迷惑を変えたな・・・・」

 

「いや、子供の姿になったお主は素直で可愛げがあったぞ?」

 

「それだと今の俺は素直じゃないみたいな言い方だな?」

 

「さあ?どうじゃろうな・・・・・所で疾風」

 

「ん?なんだ?」

 

「お主・・・・前に両親はいないって言っていたな?寂しくはなかったのか?」

 

とハインリーケがそう言い疾風は一瞬、呆けるがやがて首を横に振り

 

「寂しい・・・といえば嘘になるけどな。でも俺には俺を育ててくれて剣術を教えてくれた人や空戦を教えてくれた人には感謝をしてるし、そして何より、今この世界で大切な人たちに出会えた。俺にとってこの世界は第二の・・・・・いや本当の故郷のように感じてるよ。だから俺は今は寂しくないよ」

 

そうニッコリ笑うと、ハインリーケもニッコリと微笑み

 

「そうか・・・・・それじゃあ、妾は夜間哨戒から戻ってきたゆえ眠るが後のことは任せたぞ。おそらく演劇の演習があると思うからの」

 

「ああ。わかった。ありがとうハインリーケ」

 

疾風が不適の笑みでそう言うとハインリーケは顔を赤くし

 

「た、たわけが///」

 

と、恥ずかしそうにそう言うのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在

 

「ほんとにあの時の疾風さん可愛かったですね・・・・」

 

あの時の思い出話に皆はにっこりと笑い合っていた。そして

 

「で、姫さん。あの時、疾風さんの部屋に行って何をしたの?」

 

「それは・・・・・・秘密じゃ」

 

「え~いいじゃないですかヴィトゲンシュタイン大尉!!教えてください!!」

 

「秘密ったら秘密じゃ!!」

 

黒田の問いにハインリーケは顔を赤く染めそう言う。すると新聞を読んでいたジーナが

 

「…お、これは」

 

「隊長どうしたんですか?」

 

ジーナが新聞のとあるページを見て何かに驚くとみんなが、その新聞の見出しを見る

 

「えっと・・・・・扶桑の近海にある小笠原諸島にてネウロイの巣が現れ、扶桑政府と軍部はこれを攻略もしくは扶桑本土を守るための防衛チームを結成。その名は第724本土防衛隊Neuri Attacking Crew 通称NAC。別名『ガーディアンウィッチーズ』

その部隊の隊長は、欧州で数々の活躍をした世界初のウィザード。疾風村正少佐。NAC最初の戦いに手本土を襲撃しに来た中型ネウロイと小型ネウロイを次々と撃破しこれを撃退・・・・・・て、これ疾風大尉じゃん!?」

 

「へえ・・・疾風さん少佐になってしかも隊長さんになったんだ」

 

「しかし・・・扶桑にもネウロイの巣が現れたとはな・・・・・あいつ足怪我しているんだろ?大丈夫か?」

 

アドリアーナがそう言うとハインリーケは

 

「あ奴なら大丈夫であろう・・・・・絶対にな」

 

「姫さんの言う通り、あいつが簡単に死ぬわけないだろ?」

 

と、ハインリーケとマリアンは疾風は無事だとそう言う。そしてそれを聞いたジーナは

 

「(まあ、恐らく大丈夫だろうな・・・・・彼女(・・)も扶桑に送ったし)」

 

と、意味深なことを考えていたのであった。

 

 

 

 

 

 

一方、扶桑に向かう船の中に黒いコートを着た短い金髪でA文字の髪飾りをした女性がいた

 

「扶桑に着くまであと数週間ってところか・・・・それまでの間船旅でも楽しむとするか」

 

と、彼女はそう言うのであった




おまけ

「疾風が子供になったと聞いておねえちゃん駆けつけてきたぞ!!」

「やあ、義姉さん・・・おはよう」

「・・・・・・・」モトノスガタニモドッテル!?

「(え!?何そのがっかりした表情!?俺なにかした!?)」

こんなことがあったとかなかったとか・・・・・

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