ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
セダン基地爆破事件から始まり、ジャックザリッパー事件をはじめとしたこの事件は疾風大尉たちのパ・ドカレーの戦いによっての活躍によって終結することができた。
この事件での主犯である王党過激派はのちに警察が調べた話になるが王党過激派の味とは何者かの襲撃により、全員遺体となって発見されたらしい。
そしてこの事件で暗躍し、過激派ネウロイと結託していたクリス・キーラという女性も行方知れずとなり、その後死亡と判断された
あのパ・ドカレーの戦いの後506の発足記念の式典は戦後処理ということで数日延期となったが無事に終えることができた
この事件で黒田と疾風は怪我を負ったが、あの赤い光に包まれた後は
体中の傷がふさがっており、黒田の様子は軍医のドーセ先生曰く。時期に元気になるだろうとのことだった。
だが、疾風の方は戦いの勝利と同時に大きな代償を背負うことになった
ディジョン基地
無事に式典を終えて翌日、疾風は壁に寄りかかっていると
「お疲れ疾風」
「おおエミリアか。久しぶりだな・・・・」
「ええ。あの事件の後、サムと一緒にガリア警察に捕まって尋問されてたからね」
「そりゃ、襲ってきた諜報員皆殺しにしたんだ。サマンサ刑事言ってたぞ『しばらくはバーべーキューは食べられそうにない』って」
「それは悪かったね。それよりも疾風。聞いたぞ」
「何がだ?」
疾風の言葉にエミリアは彼を見て
「お前、魔法力を失った挙句に右足の神経やられて杖での生活を余儀なくされたんだってな」
エミリアは疾風の足を見てそう言う。そう疾風はあの戦いの後魔法力を失い、さらにキングジョーダークとの戦いで負わされた右足が骨は直っているものの神経をやられ、杖なしで歩くことが困難となってしまったのだ
「後悔しているか?」
「いいや。まあストライカーでエイラと一緒に飛べなくなっちまったけど。けどストライカーで飛べなくなってもまだ戦闘機乗りとしての腕がまだ生きている。ウィザードじゃなくこれからは元の戦闘機乗りに戻るだけさ」
「そうか・・・・まあ、お前らしいな」
「ああ」
エミリアの言葉に疾風はそう答えるがどこか上の空だった。その様子を見たエミリアは
「疾風・・・・もしかしてキーラのことを考えてたのか?」
そう訊くと疾風は頷く
「ああ・・・・・黒田から聞いたがあのキングジョーダークを倒せたのは彼女の決死の意思と犠牲で放たれたミサイルだ。本当にガリアを救ったのはキーラだよ」
「皮肉なものね。ガリアを混乱に陥れた彼女がガリアを救うなんてね」
そう言い二人は空を見上げる。するとエミリアは
「・・・・で、疾風。扶桑への出発はいつだ?」
「午後からだ。港で銭形さんが待っている」
「そうか…じゃあ、ここでお別れになるな」
「エミリア。一緒に来ないか?」
「私が行きたい国は日本であって扶桑じゃないわ。それに私もこれから旅立つところよ」
「今度は何処に行く気だ?」
「アフリカよ。動物たちを見てみたくてね」
「そうか。ライオンに食われないようにな」
「大丈夫よ。私猫に好かれる質だから」
「いや、猫って・・・まあライオンも猫みたいなもんだけど」
エミリアの言葉に疾風は苦笑してしまう。そしてその後、疾風はエミリアと別れて。エミリアは一足先にアフリカへと旅立っていった。それを見送った疾風は部屋に戻り身支度を整えている最中、ノックの音が聞こえる
「どうぞ?」
そう言うと部屋に入って来たのはハインリーケだった
「ああ、ハインリーケか。どうしたんだ?」
「なんじゃ。妾だと何かまずいのか?」
「いいや。別にそんなことはないさ」
「じゃあ別によかろう・・・・・その荷物まとめるの手伝おうか?」
「いいや。大丈夫。今終わったところだよ」
「そうか・・・・・」
そう言うとハインリーケは寂しそうな顔をする
「お主は・・・・・もう行ってしまうのじゃな」
「ああ、銭形さんが扶桑のお偉いさんが早く扶桑に来いってうるさくてな。客船じゃ間に合わないから港で扶桑に帰る空母を配備してくれたそうだ」
「主も大変じゃな・・・・・」
「ああ。まあ船旅っていうのも初めてだし。それはそれで少しは楽しみだな」
「ん?お主の世界では違うのか?」
「ああ、俺の世界では船で旅をするのは金持ちだけだ。普通は飛行機で海外に行ってたよ」
「そうか・・・・主の世界では飛行機で旅をするのか」
そう言いハインリーケは疾風の顔を見る
「のう疾風大尉」
「ん?なんだ?ハインリーケ?」
疾風がそう言った瞬間。ハインリーケは疾風に抱き着き顔を疾風の胸にうずめる
「え!?ちょっ!!?」
いきなりのことに疾風は驚くが
「すまぬ大尉…しかし…少しの間だけこうさせてくれ」
「あ・・・ああ」
ハインリーケの言葉に疾風は頷くと。ハインリーケはしばらく疾風に抱き着いていた。そして・・・・
「すまぬ。いきなり抱き着いて・・・・」
「いいや。ちょっと驚いたが」
「そうか・・・それならよかった・・・・それよりもお主もう行くのか?」
「ああ、あんまり待たせると銭形さんたちに悪いからな」
「そうか・・・・寂しくなるな」
「大丈夫さ。ムードメーカなら黒田やアイザックがいるし」
「いや…そう言うことじゃなくて・・・・・(こやつ・・・まだわらわの気持ちに気づいておらぬのか?)」
疾風の言葉にハインリーケは複雑そうな表情をし、
それよりも疾風・・・・その今までお主には世話になった…ありがとう特に初めてお主と夜間哨戒に出た時に妾を助けてくれて・・・・・」
「礼を言われるようなことはしてないよ。仲間を助けたかった。それだけだよ」
「主はそう思っても妾は今までの事で、お礼がしたいのじゃ………………すまぬ大尉。ちょっと、屈んでくれるか?それと、目は瞑ってくれると助かる?」
「え?・・・・ああ。いいけど」
ハインリーケのが言う『お礼』がどのようなものなのか皆目検討もつかずに首を傾げながら、疾風はハインリーケに言われた通り、目を瞑って屈む。
すると、彼の両方の頬に彼女の手が添えられ、顔の直ぐ前に何かが近づいてくるような気配を感じる。
「んっ………」
「ッ!?」
突然、唇にしっとりとした柔らかい何かが押し付けられ、何と無く覚えのある感覚に目を開けると、其処には、疾風の唇にキスをしているハインリーケの顔があった。
長いようで短いようなキスを終え、ハインリーケの顔が離れる。
「え・・・えっと・・・は、ハインリーケさん?」
「これはな・・・・・妾の貴族流の礼の仕方じゃ・・・・受け取ってくれ・・・・・じゃあ」
少し妖艶な笑みでそう言い部屋を出るハインリーケだった。
「・・・・・・・」
疾風はハインリーケのいきなりの口づけに疾風は顔を赤くし立ったまま呆けているのであった・・・・
「はぁ・・・・・」
疾風の部屋を出たハインリーケは両手を胸に添え顔を赤くし、さっきのことを思い出す
「(これでよかったんじゃな・・・・・これで・・・・)」
そう言いハインリーケは振り返り
「さらばじゃ・・・・・妾の初恋・・・・・・さらばじゃ、わらわの愛しき王子・・・・」
小さな涙を流し、そう言うのであった。すると
「ハインリーケさん・・・・」
「隊長・・・・・」
そこへグリュンネ少佐がいた
「お別れは終わったの?」
「うむ・・・・・」
「ハインリーケさん・・・」
グリュンネはそう言うとハインリーケを抱きしめる。
「た・・・隊長??」
「ハインリーケさん。一人で抱え込まないで・・・・好きだったんでしょ?疾風大尉のことが」
「妾は・・・妾は・・・・・」
グリュンネにそう言われハインリーケは涙を流し泣き崩れ
「そうじゃ・・・妾はあやつが好きじゃ・・・好きじゃったんじゃ・・・・・・!!」
子供のように泣きながらそう言い、そして泣くハインリーケを優しく抱きしめ頭をそっとなでるグリュンネだった。
ガリアのとある軍港の入り口
「みんな。ほんの一か月の間だったけど。世話になった」
疾風は、、506のA部隊、B部隊のみんなにそう言う
「疾風大尉。今までありがとう。また欧州に来たら立ち寄ってくれ」
「はい。その時は娘も一緒に連れてきます」
ジーナ中佐の言葉に疾風はそう答えるとジェニファーが
「疾風さん。あの時はすみませんでした。私を助けるために足を・・・・」
「ジェニファー。俺は自分のするべきことをし後悔しない道を選んだ。だからそんなしんみりした顔をしないでくれ。最後ぐらいは笑顔で旅立ちたいからさ」
「はい・・・・・」
疾風がそう言うとジェニファーは笑顔でそう言う。そしてカーラも
「疾風大尉。絶対にまたディジョンかセダンに遊びに来いよな!今度は私がコーラをおごるよ」
「ありがとうカーラ」
「疾風さん。またこっちに来たらポーカーをしようね。次は絶対に負けないから」
「ああ、持ちろんだアイザック」
「大尉。またいつでも遊びに来いよ。ともに姫さんを揶揄う相手がいないと寂しいからな」
「ああ。またガリアに来たら立ち寄るよ」
「疾風さん!今度は一緒に映画見に行きましょうね!疾風さんが好きそうな映画を見つけたんで今度会ったら見に行きましょ!」
「ああ。その時は俺がポップコーンをおごるよ黒田」
と、疾風は506の仲間と握手し別れの挨拶をする。そして・・・・
「疾風大尉・・・・その扶桑でも元気で折るのじゃぞ?」
「ああ。ハインリーケもな」
ハインリーケとの挨拶も終えると・・・
「おい。疾風・・・そろそろ時間だぞ。軍のお偉いさんも待っている」
茶色いトレンチコートを着た扶桑の少女がそう言うと
「「「だれ?」」」
その場にいた506のみんながそう言うとトレンチコートを着た扶桑人少女はずっこけ
「銭形だ!扶桑の刑事の!!」
「あ~そう言えばいたな・・・・何話ぶりだ?すっかり存在忘れてたよ」
「そうそう…挙句の果てには作者にも忘れられてた……て、大きなお世話よ!!ずっと入院中で出番なかったんだから!」
アドリアーナの言葉に銭形は顔を真っ赤にして突っ込む。
「まあ、まあ、銭形さん落ち着いて・・・・・」
「はぁ~まあいいわ。予定より少し遅れちゃったけどこれで任務が遂行できるし・・・・・それじゃあ大尉。気を取り直して・・・・」
「ああ。じゃあ、そろそろ行ってくる」
「じゃあ、気をつけてな」
ハインリーケの言葉に疾風は頷き、銭形と一緒に扶桑へ行く空母天城の方へ向かうのだった
「行ってしまったな・・・・・・」
「ああ・・・・」
ジーナの言葉にハインリーケがそう言うと黒田は辺りをきょろきょろと見渡し
「あれ?そう言えばマリアンさんは?」
そう、先ほどからマリアンの姿はいなかった。するとハインリーケは
「あ奴なら・・・・・」
そう言い疾風が向かったほうへと見るのであった。
そして疾風はというとこれから扶桑に向かう航空母艦赤城と姉妹館である天城に乗ろうとしていた
「・・・ん?」
「どうした疾風大尉?」
船へと昇る階段に乗ろうとした時疾風は何かの視線を感じた。そしてその先にはリベリオン海兵隊の軍服を着た少女がいた
「すまない銭形さん。先に乗っててくれ。後から乗るから」
「え?ちょっと!?」
銭形にそう言うや否や疾風は階段を降り、その少女へと向かうと
「マリアン。見送りに来てくれないと思ったよ・・・・」
そう、その処女とはマリアンであった
「ああ・・・・・これを探してな・・・やっと見つけることができた。お前の大切なものだろ?」
そう言いマリアンが疾風に出したのは疾風の折刀であった。あの戦いの後、キングジョーダークとともに爆発し紛失した疾風の刀だったがマリアンが必死に探して見つけることができたのだった。刀身はひび割れ刃の先端がキングジョーでの戦いで折れてはいたが間違いなく疾風の刀だった
「ああ。ありがとうマリアン。探してくれて」
「ジェニファーを助けてくれた礼さ・・・・・・」
疾風の言葉にマリアンは微笑むと。やがて暗い表情となり
「・・・・・・・・行ってしまうのか。お前は?」
「ああ…名残惜しいが、俺にはまだやることがたくさんある。だが、根性の別れじゃないんだ。だから俺は行ってくるよ」
「そうか・・・・もし扶桑の任務を終えてスオムスに戻ったらお前の婚約者と娘によろしくって伝えてくれ」
「ああ。伝えるよ」
「そうか・・・・・なあ疾風・・・・・少し目をつむってくれ」
「え?(あれ?なんかデジャブだな・・・・)」
「いいから目をつむれ!時間がないんだ!」
「あ・・・ああ・・・・」
そう言い疾風は目をつぶると誰かの両手が自分の両頬に振れるそして・・・・
「うぐっ!?」
急に誰かに口をふさがれる。しかも何か柔らかい感触でだ。疾風は目を開けるとそこには自分と口付けをするマリアンの姿があった。そしてマリアンは口づけを終え離れると
「これは私なりのお礼と気持ちだ・・・・・言っておくがこんなこと、普通はしないんだからな。感謝しろよ///」
「あ・・・ああ・・・・」
顔を赤らめてそう言うマリアンに疾風もまた顔を赤くしてそう言うのだった。
そして疾風は空母天城に乗り、そして疾風を乗せた軍艦は扶桑へと出発するのであった。それを見届けたマリアンは
「さよなら疾風・・・・・私の初恋の人。無事でいることを祈るぞ」
そう言い。涙を流し、船が見えなくなるまで見送っていたのだった。
「今度は扶桑・・・・異世界の日本か。どんな国なんだろうな・・・・・」
天城の飛行甲板で疾風はそう呟くのだった。
だが疾風はこの時、知らなかった。扶桑でも新たな脅威に立ち向かうことになるということを・・・・・・・・
長かった…本当に長かったです。ノーブルウィッチーズ編はこれで終わりです。さて次回は扶桑編となりますが、その前にアンケートに書いた閑話話を少々入れていきたいと思います
では次回もお楽しみに