ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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第179話「史上最大のガリア侵略、ノーブルウィッチーズ、西へ前編」

朝早く、セダンの506A部隊基地では506統合戦闘航空団ノーブルウィッチーズの設立記念日の準備が行われていた。そして基地の城壁をグリュンネ少佐は眺めていた

 

「何とか明日の準備が整いそうですね」

 

「疾風さん・・・・それにハインリーケさんも」

 

そこへ疾風とハインリーケがやってくる

 

「疾風さん・・・・・大丈夫なんですか?」

 

「ああ、まあ、杖もついているし。前に比べれば少しは直っているよ」

 

「そうですか・・・・でも無理は絶対にダメですよ。もし無理をして怪我が悪化したら皆心配しますから」

 

「善処します」

 

「そうじゃぞ。もし、さっきみたいに『よしっ!リハビリにユニットはいて飛ぼう!!』なんて馬鹿なこと言ったら、主の姉か嫁に連絡するぞ」

 

「うっ・・・・そ、それは困る」

 

ハインリーケの言葉に疾風は困った顔をする。さすがの疾風も最愛の人であるエイラに連絡されるのは困るみたいだ。もし連絡されれば間違いなく涙目で怒られるのが想像つくからだ。正直疾風はこれ以上エイラに心配をさせたくないのだ

 

「だったら、大人しくしておれ。いいな大尉?」

 

「わ、わかった」

 

まるでやんちゃな子供を叱るように言うハインリーケに疾風は承諾する。

 

「それよりも黒田やルクシック中尉は間に合うじゃろうか?」

 

「そこは黒田たちを信じるしかない。エミリアの話によれば夕方か夜くらいに決着がつくと言っていたしな。それにグリュンネ少佐もただ黙って待っているだけじゃないんだろ?」

 

「ええ疾風さん。念のため信用できる筋に援軍を頼んでいるわ」

 

「信用できる筋?」

 

疾風とグリュンネの言葉にハインリーケが首をかしげると

 

「グリュンネ隊長・・・・」

 

そこへジーナ中佐がやって来たのだが、どこかしら元気がない様子であった

 

「あの…以前、B部隊で請け負った例の物なんですが・・・・・・一応完成はしました」

 

「どうしたんじゃ中佐。歯切れが悪いの?」

 

「ジーナさん?」

 

ハインリーケとグリュンネ少佐は首をかしげると気まずそうにジーナは顔を手で覆うと

 

「ひとこと言わせてもらいます。本当に・・・・本当にすみません」

 

暗い表情でしかも本当に申し訳なさそうに言うジーナ。その様子を見た疾風たちは何か嫌な予感がした。するとそこへ整備士たちがやってきた。その中には顔見知りの整備士たちがいた

 

「隊長見てください!遂に完成しました!」

 

「あっ!疾風大尉!大尉も見てください!!最高傑作ですよ!!」

 

オイルまみれながらもまるで子供のようにはしゃぎながらそう言う整備士たち。そしてグリュンネ少佐の前に着ぐるみがやってくる

 

「見てください!これが506のマスコット!のうぶる君です!!」

 

整備士たちが506のマスコットキャラである農ぶる君を紹介するが、皆引きつった顔をする。デザインは506のマークである鳥…鶏の着ぐるみなんだがなぜか頬には十字傷があり背中にはパンツァーファウストに胸に機銃のベルトが交互にかけられ最終的には翼に機関銃がつけられている。どう見てもマスコットには程遠いいものであった

 

「これは・・・・確か前にド・ゴール将軍の娘がデザインしたもの陸…もっとかわいらしかったように思えたが・・・・」

 

「・・・・・」

 

ハインリーケがそう言うとグリュンネ少佐は言葉が出ないのかわなわな震えていた

 

「どうです大尉!この触り心地を表現するの大変だったんですよ!」

 

「いや、それより、なんでしょ機のデザインに比べてこんなバイオレンスなキャラになったんだ?もはやそれ北斗の〇に出てきそうなキャラだぞ?」

 

「なんでこんな物騒なものが付いたのかしら?」

 

疾風とグリュンネ少佐がそう訊くと

 

「はい!目には超強力ライト!足にはジャンプ力強化の圧出空気噴出ノズル!その他火炎放射器に自動小銃など・・・・」

 

と、嬉しそうにのうぶる君の説明をする整備士たちだったが

 

「・・・・・さい」

 

「え?」

 

「明日の記念日まで必要のない機能はすべて外しなさい!早く!!」

 

『は、はい!!』

 

グリュンネ少佐の激しい剣幕に整備士たちは慌ててのうぶる君の改良に取り掛かるのであった

 

「やっぱり私胃薬を飲んでくるわ・・・・」

 

「やっぱり隊長の周りは前途多難じゃの・・・・」

 

「はぁ・・・・俺も整備士のところに行ってくるよ。あいつらだけだと大変だからな」

 

「すまないな大尉」

 

そう言い疾風は杖を突き整備士たちの元へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

同時刻ブレスト港では一隻のタグボートが洋上に浮かぶ潜水艦U-ボートの隣に止まっていたそしてボートからキーラとジェニファーが潜水艦に乗り込むとその潜水艦の乗員らしき男が現れる

 

「ガリア、わが喜び・・・・」

 

「ガリア、わが喜び・・・」

 

互いに合言葉を言う

 

「それが船荷か?」

 

「ああ」

 

「わがUボートへようこそ」

 

「それより、その潜水艦で間に合うのか?」

 

「少佐が予定より半日早く来られたのでそうですね・・・・・明日の明朝にはブリタニアに到着する予定だそこで待機しているブリタニアの司法関係者に船荷を引き渡しスパイとして告発してもらえばミッション成功だ。ご苦労だったな」

 

「ああ、くたびれたよ」

 

そう言いキーラたちは潜水艦に乗り、そして潜水艦は静かに海中へと潜りブリタニアへと向かう。その船内の中キーラは自分の部屋に入るとそこには息苦しそうにするジェニファーの姿があった

 

「どうした?」

 

「少し息苦しくて・・・・・」

 

「潜水艦の中だからな気圧の違いで心理的な圧迫感の問題だろう。ほら水だ飲め」

 

そう言いキーラはジェニファーに水筒を渡す

 

「自分のことを話せ。緊張がほぐれるぞ」

 

キーラがそう言うとジェニファーは少し頷く

 

「確か君はルイジアナの・・・・」

 

「ラフォーシェ群ロックポートです」

 

「どんな町なんだ?」

 

「やっと人口が千人を超える程度の語れることもないなにおない街ですよ」

 

「それでも故郷があるのはいいことだ。私にはそう言うべき場所はない」

 

「・・・・・・キーラさん。私って小さいころの私って頑固で男勝りで両親も手を焼いていたんですよ。でも町では一応デ・ブランク家のお嬢様だったから次第に自分もその枠にはめ込んで考えるようになって、そんな自分の殻を破りたくて海兵隊に志願したの」

 

そう言いジェニファーは一口水を飲む

 

「でも海兵隊に入ったら周りにはすごい人ばかりで‥‥欧州に来てからもそうヒスパニア王家の血筋というあてにならない触れ込みでB部隊に配属が決まり自分が本当に必要な人間なのかずっと自信がないまま今日までやって。きた私は英雄じゃないし、努力家でもない。みんなを陽気に元気つけることもできません。心の中ではいつも不安と嫉妬が渦巻いている醜い人間なんです」

 

悲しい表情でそう語るジェニファー

 

「ですからあなたが私を選んだのは506にとって幸運です。私は一番必要のないウィッチですから」

 

「それは違う・・・・・」

 

ジェニファーの言葉にキーラは否定する

 

「え?」

 

「もし君が必要のない人間なら黒田たちはここまでしない」

 

「キーラさん?」

 

「ただの独り言だ。忘れろ」

 

そう言いキーラは外に出る

 

「・・・・・何を口走っているんだ・・・・・私は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、黒田たちはル・アーブルにむかっうため電車に乗ろうとしたが・・・・

 

「え!?線路が壊されていけない!!」

 

「はい。何者かが線路を爆破しまして・・・・・」

 

駅員の言葉に黒田たちは驚く

 

「くそ!このままじゃ間に合わない!どうすれば・・・・・」

 

カーラがどうすればいいか困っていると・・・・

 

「私たちが手を貸すわ」

 

「Д。心配は無用よ」

 

「「っ!?」」

 

急に声をかけられ黒田とカーラは振り向くとそこには扶桑海軍の二種軍装を着た女性とオラーシャ空軍の制服を着た女性が立っていた

 

「あの・・・・・あなたたちは?」

 

「説明は後よ。とにかく私たちの手を掴んでくれるかしら?」

 

「え・・・でも・・・・」

 

「いいから早くしなさい。時間がないんでしょ?」

 

オラーシャ人の女性にそう言われると黒田は

 

「わかった。お姉さんたちの言うことを信じるよ」

 

「ちょ、おい黒田」

 

「カーラ。今はこの人たちを信じよう。それに疾風さんも言っていたじゃない『大切なのは相手を信じることだ』って。それに今は時間がないし」

 

「・・・・わかった。信じるよ」

 

そう言い黒田とカーラは二人の女性の手を握ると扶桑人の女性は

 

「じゃあ、いくよ・・・・・・・」

 

そう頷くと

 

「「グレイターテレポーテーション!!」」

 

と叫ぶと黒田と二人組の女性の体は光に包まれその場から消えると、いつの間にか別のところに来ていた

 

「ここは・・・・・え!?ル・アーブル駅!?」

 

「本当だ・・・・・」

 

黒田たちがいた場所は目的地であるル・アーブル駅であった。すると駅の向こうに整備士たちが待っていた

 

「あっ!いた。急ごう黒田!」

 

「あ、うん!・・・・あ、ちょっと待ってカーラ。あの!ありがとうござ・・・・・あれ?」

 

黒田は先ほどの女性に礼を言おうとしたがすでに二人の姿はいなかった

 

「あれ・・・・・・いない?・・・て、そんな場合じゃなかった黒田行くぞ!」

 

「あ、うん!」

 

そう言い二人は整備士たちのもとに行き、整備士たちは黒田たちをトラックに乗せ簡易ハンガーが設置されている海岸へと急ぐのであった

 

「さっきの人たちは誰だったんだろうねカーラ・・・・・・ん?カーラどうしたの時計ばっかり見て」

 

二台で黒田はカーラが懐中時計ばかり見ているのに気づく

 

「え?ああ・・・・間に合うかなって・・・・もしジェニファーを助けることができなかったらって・・・・・」

 

「大丈夫だよ。船が爆発したときに比べればずっと希望があるよらしくないねカーラ」

 

そう元気つける黒田であったが・・・・・

 

「らしいってなんだよ・・・・・ほんとの私は前向きでも容器でもない嫌われるのが怖いから、そう見せているだけだ。ちっちゃいころから転校ばっかりで周りの顔色をうかがうことが得意になっただけなんだよ・・・・」

 

不安に押しつぶされそうになるカーラは涙目で黒田にそう言うと黒田は

 

「大丈夫だよカーラ。きっとうまくいく。ジェニファーさんを連れ帰って、明日の記念式典を成功させてみんなで美味しいものを一杯食べよう。それにカーラが自分のことをそう思っても関係ないよ。カーラの作るムードはみんなを元気にするもん」

 

黒田はにっこり笑ってカーラを元気づける

 

「・・・・ありがとう」

 

そして黒田たちを乗せたトラックは海岸に着き黒田たちは簡易ハンガーに設置されていたストライカーユニットを履く

 

「よし!準備できた!あ、整備士さん頼んだあれ持ってきてくれた?」

 

「あ、はいここに!」

 

整備士が持ってきたのはニメートル近い布に包まれた棒状のものであった

 

「しかしこう言っちゃ悪いですが使い物になるんですか?正直予備の弾倉を持って行った方が・・・・・」

 

「いいの。いいの。私にはこれで十分だから」

 

黒田がそう言うとインカムから

 

『やっと着いたのですわね。早くこっちに飛んでいらっしゃい』

 

「あ、その声は?」

 

『もしかしてグリュンネ少佐や疾風大尉から聞いていらっしゃらないの?』

 

黒田が空を見上げるとそこには・・・・

 

「Uボートはすでに私たち二人が発見しています。道案内をしてあげますわ」

 

そこにはペリーヌとリーネがいたのであった

 


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