ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~ 作:疾風海軍陸戦隊
戦闘時の挿入bgm「赤トンボ」
ED「Angel Fly」
飛行学校を卒業して、俺は空母『飛龍』に乗り、零戦に乗りついにナチスのアジアの拠点であるポートモレスビーを攻撃し始める。これが俺にとって初の戦いでありこの時初めて敵戦闘機を撃墜した日でもあった。今まで空中に浮いている気球を撃っていた俺だが、この時、俺は初めて人を殺したという感情が沸き恐怖を感じた。空母に戻った際、あまりの気持ち悪さに吐いて、気がもうろうとしていた時、当時、俺の隊長であった雪ノ下雪蓮少佐に
『しっかりしなさい!初めからこんなんで闘い続けられるの!?』
と、活を入れられた。そんな初陣を迎えてから俺は次々と敵戦闘機を撃ち落とした。そしてその撃ち落とされた敵パイロットの最期も・・・・・
「おい……おい。起きろ疾風!?」
「ん?・・・・・ん?」
すると誰かが俺を呼ぶ声が聞こえ目を開けると・・・・・・
「ようやく起きたのかよ」
「・・・・・ああ、清美か」
俺が目を開け最初に見えたのは俺の補佐をしてくれている杉田清美軍曹。階級は俺より下だが戦歴は俺よりも半年長くそして年齢も俺より一つ上だが、年齢が近いのか階級関係なく気軽に話せる仲でもあった
「飛行機の翼の下で昼寝なんて・・・・・これが元母艦乗りとは思えないわね・・・・・」
と、ため息交じりにそういう彼女。ここはニューブリテン島のラバウル。かつて旧海軍の飛行基地がありww2では激しい激戦地だった場所の一つだ。現在は連合軍の基地になりここには日本だけではなくアメリカやイギリスそして中国の戦闘機部隊がこの基地に止まっている。ん?なぜ空母にいるはずの俺がここに配属になったて?
じつは、ラバウルに配属になる前俺の乗っていた空母『飛龍』がある海戦で大破したため、現在飛龍は本土で修理に、乗っていた搭乗員は各自別の空母だったり陸上基地へと配属になり、俺も子のラバウルへ配属されたっというわけだ
そして今俺は俺の愛機の零戦の翼の下で昼寝をしていたのだ。すると清美が俺の零戦を見て
「それよりもお前の零戦は変わっているよな?」
「何がだ?」
「お前の零戦の尾翼だよ」
「?・・・・・・ああ、このマークか」
俺は自分の乗っているゼロ戦の尾翼についている白い雷マークを見てそう言う
「ああ、普通海軍は数字表記だけだが、こういう風なマークするのは陸軍だけだと思ったよ」
「まあ、普通はな。俺の場合は特別にこういうマークにしてもらっているんだよ」
「へ~で、なんでそういうマークにしたんだ?」
「ん~そうだな・・・・・・・ある人の影響かな?その人の尾翼についてあるマークがかっこよかったから、俺もそれにしたんだよ」
「ふ~んで、誰だ?陸軍の加藤か?それとも第11戦隊の影響か?」
「いや、違うよ・・・・・・・それは」
と俺が言いかけた時、
「疾風少尉はいるか?」
「や、山田閣下!?」
と、そこにこの基地の司令である山田大佐がやってきて、それを見た俺と杉田は立ち上がり敬礼すると、山田司令は
「疾風少尉。ちょっと話がある。来てくれ」
「わかりました」
と、そう言われ俺は司令の後についていき、司令室につくと
「まあ、掛けなさい」
「は、はい」
俺は司令に言われて席に座ると司令は
「疾風少尉。最近アジア南方にナチスだけでなくロシアのテロリスト赤軍の戦闘機隊も加わっていることは知っているな?」
「はい。知っております」
「うむ。そこで是非君に伝えたい情報がある・・・・・・君は霞ケ浦飛行学校出身だったな?」
「はい。そうです」
「そこに君の先輩にロシアの留学生でアナスタシアという女性は知っているな?」
「はい!彼女は技量優秀で礼儀正しく尊敬できる先輩です!」
俺は誇らしげにそう言う。アナスタシアさんは空戦の達人で俺と空戦してもなかなか彼女には勝てず、勝っても一回か二回ぐらいしか勝てなかった。
「あ、あの・・・・・・それがどうかしたんですか司令?」
「うむ・・・・・・実はな。その赤軍の戦闘機隊の隊長にアナスタシア少佐という女性パイロットが、彼女なのだ」
「っ!?」
俺は司令の言葉に目を丸くし驚く。そして
「嘘です!!彼女はロシア連邦の軍人!しかも正義感のある人です!!そんな彼女がテロリスト軍に加わっているはずがありません!!」
机をバンっと叩き俺は抗議する。だが司令は
「残念ながら本当だ。彼女は常に部隊の先頭に立ちっているらしい。しかも彼女の機体は漆黒のⅬa7で尾翼には白い百合の花のマークを付けているんだ・・・・・」
「っ!?・・・し、白い百合の花・・・・・・」
俺はその言葉に気を失いそうになる。ロシア連邦の戦闘機で尾翼に白い百合の花をつけているパイロットはアナスタシアさんしかいない・・・・・
「・・・・・なぜ、彼女がテロリストに・・・・」
彼女は誰よりも正義感のある人だ。そんな人がなぜ・・・・・
「それはわからない少尉・・・・・だが一つだけわかることがある。彼女の出身はペテルブルグだ。今のペテルブルグは赤軍の本拠地となっている。もしかしたらそこに住む彼女の家族に何かあったのかもしれないな・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「君に伝えたいことは以上だ・・・・・・君にはつらい話になってしまったがどうしても伝えねばと思ってな・・・・・」
「いえ、・・・・・・報告感謝します司令」
と、そう言い俺は知れに敬礼をして部屋を出るのであった。
「出てください・・・・・なぜでないんですか?」
その夜、俺は携帯でアナスタシアさんに電話を掛けていたが、電話に出ない。なぜ彼女がテロリストに加わったのかそれが訊きたかったからだ。何度も電話を掛けても彼女は出ない・・・・俺はポケットから一枚の写真を取り出す。それは卒業後に取った写真であった。そして彼女が帰国する前
『ムラ-シャ。例え離れていてもあなたと私たちの友情は不滅よ』
そう言った言葉が俺の頭によぎる
「・・・・・アナスタシアさん」
俺は写真を見ながらそう呟くのであった
翌日
「異常ないか?」
「いや?こちら異常なし」
明朝、二機の零戦が飛んでいた
「静かな空だな・・・・・・・」
「そうだな・・・・」
そう話していた瞬間、後ろから弾丸が飛んでくる。それを見た二人は背後を見るとそこには五機の戦闘機が襲い掛かって来た
「し、しまった!?」
一人のパイロットがそう言った瞬間、その敵戦闘機の先頭にいる黒い戦闘機が機銃を放つとそのパイロットの零戦が被弾する
「き、木村飛曹長!?」
「俺はいい!安藤追え!!!追うんだぁ!!」
「は、はい!!」
火に包まれ堕ちる零戦にもう一機の零戦は自分の列機を落とした戦闘機たちを追う。
「くそ!こいつ、ドイツのメッサーやフォッケじゃない・・・・・・・まさか!?」
と、そう言いパイロットはよく敵戦闘機の姿を見ると・・・・
「こいつは・・・・・・La7!?」
その時、安藤は見た。列機である木村を落とした戦闘機を・・・・・
「・・・・・なに!?木村が!?本当か安藤!?」
数時間後ボロボロになった零戦が戻ってきて、その冷戦のパイロットである安藤が来村機が撃墜されたことを戦闘隊長である雪ノ下少佐に報告していた
「は、はい!そうであります!」
「敵の戦闘機は?フォッケか?それともメッサーか?」
「いいえ!ロシアのLa7です!」
「何!?とすると赤軍か!?」
「はい!それに木村機を落とした奴は黒い機体に尾翼に白い百合のマークが書かれておりました!」
「なんだって白百合のマーク!?おい!それは本当なのか!?」
俺はその言葉に反応してそう言うと
「あ、ああ!確かだよ!奴らを追って空戦を仕掛けたんだけどすぐに逃げられたんだ!」
とそう返事をし俺は少しショックを受けるのだった。その夜、俺は、宿舎の部屋の椅子に座っていた。そして
「明日の空戦は恐らく、赤軍とぶつかる・・・・・・姉弟弟子同士の戦いになるのか・・・・・」
俺は少し、悲しげな声を出すのであった。
一方、同じ時刻、テロリスト軍赤軍陣営の飛行基地では
「同志アナスタシア。また連合軍のジークを撃墜しましたね。指令のカチューシャもさぞお喜びでしょう」
「ええ、そうねノンナ。でもこの前の戦いでクラーラの機体はジークに墜とされたわね」
「ええ、尾翼に白い稲妻マークを描いた零戦だとの報告でした。それがどうかしたの?」
「・・・・・いいえ、なんでもないわ」
「そう、でもわかっていますよね同志。もし裏切って連合に戻るような行為をすればあなたの家族がどうなるか・・・・・」
「わかっているわ。それに捕虜となった私が文句を言える立場でないこともね」
「よろしい・・・・・では引き続きあなたは部隊を率いて敵を落としなさい。あなたの家族の命は我が赤軍が握ているのですから・・・・ところで同志。先ほどからあなたの携帯から着信が来てますが出ないんですか?」
「あなたには関係ないことよノンナ」
「そうですか・・・・・では」
と、そう言い女性士官は部屋を出る。そしてアナスタシアは携帯を取り着信先の宛名を見るその名は『村正』と書かれていたが、彼女がそれに出ようとはせず、代わりに携帯で撮った写真を見る。そこに写っていたのは自分の弟弟子である疾風と自分が写っていた。それを見たアナスタシアは
「・・・・ごめんね・・・・・・ムラ-シャ」
と、そう呟くのであった
翌日、俺たちは戦闘機隊17機は基地から飛び立ち戦地へと飛び出す。敵の戦闘機隊がこちらの基地に向かっているとレーダーに表示されたのだ。そこで迎撃として俺たちが出撃することになったのだ。そして・・・・・
『前方!敵機発見!機種、テロリスト軍のLa7戦闘機!!』
雪ノ下少佐の言葉に前方を見るとそこには20機くらいの数のLa7戦闘機が迫って来たのが見える。俺たちはゼロ戦の増槽を捨てて、各自敵を定めて突撃し、そして敵と味方が入り混じり激しい空中戦が始まった。俺は一機のLa7戦闘機に目を付けた。その期待は漆黒で尾翼には白百合のマークが印されていた。
俺はその機体に向けて機銃を撃つと相手は俺に気付き後ろを見る。その瞬間俺はその相手の顔をはっきりと見た。それは間違いなく俺の姉弟子であるアナスタシアさんであった。その瞬間、俺は一瞬動きを止めてしまい、その隙にアナスタシアさんの機体はくるりと宙返りをして俺の背後を取る
「しまった!?」
俺は慌てて背後を見るが、アナスタシアさんは俺の背後をついただけで機銃を撃たなかった。その隙に俺は小回りを利かせアナスタシアさんの背後を取った。そして機銃発射スイッチを7・7ミリから20㎜に切り替え、コックピット目掛けて撃とうとしたが、その瞬間、ちらりとアナスタシアさんが俺のほうを振り向くのを見て俺は一瞬戸惑い、そして機銃スイッチを20㎜から7・7ミリに戻しそして照準をコックピットから翼の方へ狙いをつけた。
もしかしたら被弾しても脱出できるかもしれない。そう思ったからだ。そして俺はそのまま引き金を引き俺の放った弾丸はアナスタシアさんの機体の翼に命中し翼から火を噴くのが見えた。
それを見た俺はすぐにアナスタシアさんの機体の横に飛び俺はコックピットを見て手信号で『脱出しろ!』とそう言うがアナスタシアさんは無言で首を横に振り、やがて、俺の顔を見て小さい頃よく見せてくれた優しい笑顔で俺を見て敬礼する。まるで『自分を撃ち落とした相手があなたでよかった』と言わんばかりの清々しくそして美しい笑顔であった。そして彼女はそのまま脱出せず彼女の機体は彼女とともに激しい炎に包まれそして海面に向かって堕ちすさまじい水柱を上げるのであった・・・・・
「・・・・・・」
俺は彼女が落ちていく姿を最後まで見届けて基地へと帰るのであった・・・・・・その後俺は基地に戻り自分の部屋で俯いていた・・・・・すると部屋に置き忘れてきた俺の携帯からメールの着信の知らせがあった、俺はそれを手に取ると宛名はアナスタシアさんからであった日付は俺が出撃しアナスタシアさんと交戦する少し前だった。俺はメールを見ると。そのメールは音声によるメールで。ボタンを押すと
『ムラ-シャ・・・・・お久しぶりです』
姉弟子であるアナスタシアさんの声が聞こえた
『あなたがこのメールを読んでいるということは恐らく私は死んでいることでしょう。もしかしたらあなたは私や・・・いや、今までを撃ち落としてきた相手のことを思い罪悪感で苦しい思い自分を責めているでしょう・・・・・だからこの言葉を録音してあなたに。送ることにしました。
ムラ-シャ。あなたが相手に対し心を痛めること、それは決して間違っていません。
あなたが苦しむのはそれは人としての心があるから、人としての優しさがあるからです。ですからムラ-シャ。苦しい時、悲しい時は思いっきり泣きなさい。涙を流すことは決して恥ではありません。涙を流すことで人は強くなれますし、優しくなれるんです。それに私はあなたに撃ち落とされあなたを恨むことは決してありません。なぜなら軍人が軍人を恨む道理なんてないからです。
それに私はもし撃ち落とされるのであれば、知らない相手より弟弟子であるあなたに撃ち落とされてよかったと思っています。
最後に私はあなたの傍にいて、あなたの成長を見届けることはできませんが、たとえ見えなくても聞こえなくてもずっとあなたの傍にいて見守っています。
ですからムラ-シャ。決して死んだ相手に涙を流すその優しさを心を忘れてはいけませんよ。これが姉弟子である私の最期のアドバイスです。・・・・・少し録音時間が余ってしまいました・・・・せっかくだしここで私の好きな歌を歌います・・・・・歌の名は『赤とんぼ』です・・・・」
「・・・・・・・・」
俺はそのメッセージを聞き、最後に聞いたアナスタシアさんの『赤とんぼ』の歌を聞きながら、ただ、ただ涙を流し続けるのであった。そして歌が終わると
『ムラ-シャ・・・・私はあなたのような弟に出会えて嬉しかったです。さよなら・・・・・そしてありがとうムラ-シャ。そして・・・・
その言葉を最後にメッセージは終わるのであった
「と、言うわけなんだ姉さん・・・・・・」
「・・・・・・・・」
俺が話し終えると義姉さんの顔が曇る
「アナスタシアさんの時の炎の色は決して忘れようにもできない・・・・・・自分の姉弟子であったアナスタシアさんの命が燃える瞬間で炎は白い閃光を放って堕ちたんだ・・・・・その時、俺は思ったんだ・・・・・自分が墜とした敵の炎はやがて自分自身をも焼くと・・・・・だから・・・・・」
と俺が言った瞬間
「疾風!!」
と俺が何か言おうとした瞬間、義姉さんは俺を抱きしめ
「もういい・・・もう何も言わなくていい・・・・・・・」
「ね、義姉さん・・・・・」
俺をがそう言う中、義姉さんは
「エイラならこういう時、いい励ましの言葉をかけてくれると思うけど、不器用な私じゃこれくらいしかできない・・・・・・・だから疾風・・・・・」
優しい言葉でそういう義姉さんは俺の頭を撫でて
「思いっきり泣け・・・・・・辛かったら泣け・・・・・軍人は人前では涙は見せてはいけないが、軍人と同時にお前は人だ。だから今回は大目に見る・・・・だから思いっきり泣け」
と、そう言った瞬間俺の目から涙が出てきた。そして俺は泣いた・・・今まで我慢してきた分の涙をここで流したのだった。
「落ち着いたか疾風?」
「ああ、ありがとう義姉さん・・・・・おかげで気持ちが晴れたよ」
「そうか・・・・・疾風。お前はもう一人じゃない。だから苦しい時、辛い時は迷惑をかけてもいい。私や仲間を頼れ・・・・・いいな」
「ああ。ありがとう義姉さん」
と俺がそう言うと義姉さんはにこっと笑い
「そうか・・・・・じゃあ、私は先に行く。明日の模擬戦頑張れよ」
「ああ」
と、そう言い義姉さんは立ち去るのであった。そして俺は先ほどの写真を見て空を見上げ・・・・・・
「アナスタシアさん・・・・・俺、頑張るよ」
と、そう言い立ち去ろうとすると、窓から風が吹きそして・・・・・
『Желаю удачи・・・・頑張りなさいムラ-シャ』
とどこからかアナスタシアさんの声が聞こえ、俺は空を見上げ頷き格納庫を後にするのであった・・・・・・
おまけ
夜
「・・・・・・・で、なんで義姉さん俺の部屋にいるんだ?」
「べ、別にいいじゃないか。私たちは姉弟だろ?きょ、姉弟一緒にベットで寝ることは自然なことじゃないか?それにお前少し寂しそうな顔をしていたからな」
「ね、義姉さん!?」
「それに!」
「そ、それに?」
「姉が弟に添い寝してあげるのは姉の義務だ!!」
「そっちが本命か!?てか鼻血出しながら言っても説得力ないよ!?」
義姉さん・・・・・昼の時に感じた感動を返してくれ・・・・・疾風はこの時そう思ういその後騒ぎを聞きつけたハルトマンが駆け付け義姉さんに拳骨をし気絶させずるずると義姉さんを引っ張り出したのはまた別の話である・・・・・