ストライクウィッチーズ~異世界から舞い降りた翼~   作:疾風海軍陸戦隊

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OP「private wing 」

ed「シルシ」


第111話「コンタクト」

1931年の夏、カールスラントの廃墟で二人の人影が星空を見つめていた。一人は小さな女の子ともう一人は若い女性であった

 

『お姉さん。お姉さんの国ってどんなところなの?』

 

『私の国?そうね・・・・ここよりも文明は進んでいるんだけどここに比べて緑が少ないし。それに私たちの国は動いているからね』

 

『国が動くの?』

 

『そうよ。私の国はね、あの星々の中をずっと目的地もわからず彷徨っているのよ』

 

『へ~一度行ってみたいなお姉さんの国に・・・・・・』

 

と、そう言いうと若い女性は微笑み、そして再び星空を見るのであった。そして場所が変わり。そこは同じ場所だが、先ほどとは違い廃墟の周りには雨が降っていた

 

『お姉さん!お姉さん!返事をして!!お姉さん!!』

 

と、そこには先ほどまで元気だったあの若い女性が目をつむったまま倒れそして少女は彼女により涙を流して必死に呼びかけるがその女性はただぐったりと目をつむったまま返事をしなかった。そしてその廃墟に聞こえたのはその少女の鳴き声とその少女の気持ちを表すかのように涙雨が降り続いていたのであった。

 

 

 

「・・・・・・・夢か。随分と懐かしい夢を見たな」

 

と、とある部屋で一人の女性が目を覚ます。彼女の名はアドルフィーネ・ガランド。数多くの撃墜スコアを挙げた優れたエースパイロットであり、現在はカールスラント空軍 ウィッチ隊総監を務めるウィッチだ。そして彼女がベットから起きた名に置いてあるコップを取りそしてそのコップに注いだ水を飲む。そしてガランド少将は窓の方へ近づき空を見上げる。

 

「なぜ、今頃になってあの夢を・・・・・」

 

と、どこか懐かしむような顔でそう呟くと、ふと彼女の目にある新聞の表紙が目に入る。彼女がそれを取り。その表紙には『初のウィザード、疾風大尉とスオムスのエース、ユーティライネン中尉、最強のオシドリ夫婦。またも502で活躍』と書かれておりその表面を飾る写真には疾風とエイラ、そしてその真ん中に彼らの娘であるアイの三人が仲良く散歩している写真が貼ってあり、それを見た。ガランドは微笑む。すると誰かがドアをノックしそしてドアの向こうから女性の声が聞こえた

 

「失礼します閣下。そろそろ出発のお時間です」

 

「ああ、そうだったな。今日は502に訪問する日だったな。アポなしだがな」

 

「はい。飛行機もいつでも出発できます」

 

「わかった。今着替えるから少し待っててくれ」

 

と、そう言い彼女は着替え、そして部屋を出て502の基地があるペテルブルグに向かう輸送機のもとへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ペテルブルグ502基地では

 

「・・・・・・」

 

隊長であるグンデュラ・ラルが窓の外を見ていた。すると

 

「何を見ているんですか少佐殿?」

 

と、そこへエミリアがやってくる

 

「む、エミリア大尉か。ちょっとあれを見ていた」

 

と、そう言いエミリアはラル少佐の見ていたものを見る。それは窓の外の庭で疾風とエイラとアイが楽しそうに歩いているのが見えた。それを見てエミリアは微笑み

 

「まるで本当の親子だな・・・・・」

 

「そうだな。実に微笑ましい光景だ」

 

と、ラル少佐は微笑んでそう言う。確かにあんなに言い母娘は世界中どこを探してもなかなか見られないだろう。するとラル少佐は

 

「・・・・でエミリア大尉。私に何か用か?」

 

「ええ、ちょっとお願いがあってね少佐」

 

「お願い?」

 

と、首をかしげるとエミリアはふっと笑うのであった。

 

 

 

一方、疾風とエミリアはアイを連れて周辺の森を散歩していた。いつも激しい戦いの中二人にとってはこれは一番の楽しみでもあり喜びでもあった

 

「お父さん、お母さん!あそこに咲いている花、奇麗だね」

 

「どれ?本当だこれは奇麗な花だな」

 

「ソウダナ。とっても奇麗だな。まるでサーニャみたい白くてきれいダナ」

 

と、三人は微笑みながらその花を見る。そして三人は再び歩き出すとアイが

 

「お父さん、お母さん」

 

「ん?どうしたんだアイ?」

 

とそう訊くとアイは両手を二人に差出し

 

「・・・・・・手」

 

と、そう言うと二人は微笑んで

 

「いいぞアイ。いいか疾風?」

 

「ああ、行くぞエイラ」

 

と、そう言い疾風とエイラはアイの手を掴みそして

 

「「そぉれっ!!」」

 

「きゃーっ♪ハハハハ」

 

と、二人はアイを持ち上げ、アイはぶら下がった状態になりそして楽しそうに笑う

 

「お父さん、お母さん。もう一回!」

 

「うんイイゾ」

 

「ショウガナイナ~」

 

とそう言いながらも二人はもう一度アイを持ち上げアイは楽しそうに笑う。その光景は先ほどエミリアの言った通りまさに本当の親子に見える。

 

「さて、そろそろ基地に戻るか」

 

「ソウダナ。そろそろ朝食の時間だしな。帰ろうかアイ」

 

「うん♪」

 

と、そう言い三人は基地に帰ろうとした。すると・・・・

 

『本当に仲がいいんだな。あなたとその地球人たちは・・・・』

 

「え?」

 

「アイ、どうしたんだ?」

 

「うん。どこからか声が聞こえたんです」

 

「声?何も聞こえないゾ?」

 

と、アイは声が聞こえるというが二人には聞こえていないらしく辺りをきょろきょろする。

 

『私の声は二人には聞こえない。私があなたにテレパシーで話しているのよアースクリーンプログラム試作T1000型。いえ、ここではアイだったわね』

 

『あなたは誰ですか!?出てきてください』

 

『私はあなたの同胞、つまりネウロイよ。それと今は姿を見せることはできないわ。だが、近いうちにあなたたちのもとへ現れます』

 

と、そう言うと声はしなくなった。すると二人がアイの顔を心配そうにのぞき込む

 

「アイ、どうしたんだ?何かあったのか?体の調子が悪いのか?」

 

「ううん。・・・・・お父さん、お母さん実は・・・・」

 

と、アイが二人に何か言おうとした瞬間、

 

ウウウウウウーーーーー!!!!

 

「「「っ!?」」」

 

と、急にサイレンが鳴り響いた

 

「まさか、ネウロイ!?」

 

「行くぞエイラ!!」

 

「うん!」

 

と、そう言い三人は急いで基地に戻るのであった。そしてブリーフィングルームではみんなが集まっていて、戦闘にはロスマンさんとラル少佐がいた。そしてロスマンさんが説明を始めた

 

「先ほど、観測班から大型ネウロイがここ502基地に向かっているとの情報が入りました。到着時刻は今から30分後です。そこで軍司令部から今から向かっているネウロイを迎撃しろっとの命令が出た」

 

 

「でも、なんですぐに見つからなかったんですか?大型ならすぐに発見できたのに・・・・」

 

「恐らくレーダーに引っ掛からないタイプのネウロイなんでしょう」

 

「くそ、最近、大人しいと思ったらまた襲撃かよ!」

 

と、菅野がそう言うと・・・・

 

『違う。私たちの目的は襲撃ではないし、その意思はない』

 

『っ!?』

 

と、どこからか声が聞こえみんなが驚く。その声はこの部屋にいる誰の声でもない

 

「これは…テレパシーか?」

 

「誰だ?」

 

とラル少佐が冷静にそう返事すると

 

『私は革新派ネウロイのレイン・・・・・あなた達の基地に来る目的は交渉しに来るためよ』

 

「交渉ですって?」

 

『そうだ。だが、私たちは特定の人間しか信用できない。よって人類側の交渉人は疾風大尉と、そして我が同胞である人工ネウロイのアイに来てもらいたい。我々はペテルブルグの森で待っている・・・・』

 

と、そう言い声は聞こえなくなった。

 

「襲撃じゃなくて交渉・・・・・交渉って何を交渉するんでしょう?」

 

「罠かもしれねえぞ?」

 

「確かにその可能性はあるかも・・・・・」

 

と、菅野と二パたちが疑う中、サーシャがラル少佐の方へ向き

 

「どうしますか隊長?」

 

「ふむ・・・・」

 

と、ラル少佐も考え始める。すると・・・

 

「私、行きます。行って交渉しに行きます」

 

「あ、アイちゃん!?」

 

と、疾風の膝に乗っていたアイが立ち上がりそう言う。するとエイラが

 

「アイ。何を言っているんだ!?もしも罠だったらどうするんダヨ!?」

 

「そうだよ。もし万が一アイちゃんに何かあったら」

 

とエイラとサーニャが心配そうに言うとアイはにっこりと笑い

 

「お母さん大丈夫です。それに先ほどの言葉、嘘をついているようには聞こえませんでした」

 

「だけど・・・・・」

 

と、エイラはそう言うと疾風はアイの頭を撫で

 

「ま、相手を疑って後悔するよりは信じて後悔したほうがいいな。俺も行きます」

 

「疾風・・・・」

 

「エイラ大丈夫だよ。万が一のことがあったら俺がアイを守るから。それに疑ってばかりじゃ前には進めないからな。少佐・・・・・」

 

「わかった。では頼む大尉。それと無線機を持っていけ」

 

「了解」

 

と、そう言い疾風とアイは部屋を出てペテルブルグの森へと向かうのであった。そしてしばらく歩くと・・・・・

 

「君が異世界から来た戦士である疾風大尉と、人工ネウロイのアイか?」

 

と、背後から声が思二人は振り向くとそこには人型のネウロイがいた、疾風は刀の柄を掴むとその人型ネウロイは

 

「待ちなさい。確かにあなたたち人類と我々ネウロイは敵同士だ。だが私は先ほども言った通り私は交渉に来たのよ。あなたは交渉に来た人に刀や銃を向けるのか?」

 

と、そう言われ疾風は柄から手を離す。そして代わりに無線のスイッチをONにするのだったするとアイが

 

「あなたたちの言う交渉内容はなんですか?」

 

「・・・・・友好、できれば講和だ」

 

「講和?」

 

「そうだ。ヴェネチアで過激派の代表格であるヤプールが敗れた後、過激派や上層部などのタカ派の力が若干衰え上層部の一部では穏健派や革新派のように人類と講和し共存しようという者が増えてきているのよ。私はその講和派の代表としてやって来たのよ」

 

「・・・・・・本当に講和が目的で来たんだな?」

 

「そうだ。我々も馬鹿ではない。これ以上犠牲者は出したくはない・・・・・・・ただし!」

 

「ただし?」

 

「人間たちと握手する前にどうしても解決しなければならない問題があるのよ。私は講和交渉の他にこれを解決するために来た」

 

「解決しなければいけないこと?」

 

「そうです。今から14年前に起きたあの悲劇の出来事を・・・・・・・」

 

と、そう言い人型ネウロイのレインは静かに語りだすのであった。この戦争の引き金になった14年前の事件のことを・・・・・・

 




この作品の元ネタはウルトラシリーズ屈指の問題作と言われた帰ってきたウルトラマンの「怪獣使いと少年」が元ネタです。ウルトラマンやゴジラなどの特撮は子供っぽいと言う人がいますが昭和シリーズはと当時の時代風景をテーマにした物が多く。大人でも共感し楽しめるところがあります

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