ゲス提督のいる泊地   作:罪袋伝吉

73 / 111
野郎の入浴パート2。

香取センセと鹿島センセのイケない企み。

お願いティーチャーなんて懐かしいなぁ。好きだったなぁ。


重婚多重奏曲~入浴ラプソディ~おねてぃ。

 ごっそりと何か魂的なものまで持って行かれた、そんな感じの男達が三人、男性職員用入浴施設『漢湯』にて入浴中。

 

 玄一郎、斎藤、ウォーダンは無言で洗い場で身体をあらう。身体中に刻み込まれたひっかき傷と歯形とキスの痣の部分を洗うのが痛い。流す湯も痛い。ヤケにしみるのだ。

 

 だが、男達はそれでも己の身体を無言で洗い流し、そして示し合わせている訳でもないのに、湯船に同時に向かう。

 

 湯船に浸かると、やはり同時に声が出る。

 

「くぅぅぅぅぅっ……!」

 

「ぐっ、うう、かゆ……うま……」

 

「ぐぉぉぉっ、くっ」

 

 湯が傷にしみて思わず出た呻き声の三重奏。あまり聞きたくない類の声が風呂場に響く。

 

 最も傷が多いのは勿論玄一郎であったが、疲労の色が濃く出ているのは斎藤、精神的に重いものを背負ってしまったような雰囲気なのはウォーダンであった。

 

 湯の温度はやや高め。しみる痛みに慣れるまで三人はそのまま動かない。

 

 そうして最初に口を開いたのは斎藤だった。

 

「男湯はいいなぁ。女が入って来れねぇからな……」

 

 ぼそり、斎藤が言った。

 

「ここだけは女人禁止だからな」

 

 玄一郎が次であった。

 

 最後にウォーダンが

 

「……ここに住みたい」

 

 と、ぼそり憔悴しきった顔と焦点の合わぬ目でどこか明後日の向こうの方向を見ながら言った。やべぇ、コイツかなり来てるぜ、的な感じである。

 

「……俺だって、鳳翔に襲われた時にそう思ったぜ」

 

 と言うか昔、斎藤が本当に風呂から出るのを嫌がって銭湯に籠城した事件があった。

 

 困った番台のジィサンが斎藤の部下の憲兵達に連絡し、憲兵隊が出動。彼らはなんとか説得を試みたが斎藤は出てこず、さらに鳳翔が説得に呼ばれてかなりこじれて、土方に『あんた男でしょ説得してきなさい』などと言われたゲシュペンストが出張ってなんとか引きずり出した、という。

 

「……今ならあん時のアンタの気持ち、わかるぜ」

 

 ゲシュペンストの身体だった玄一郎はあの頃、自分もそんな気持ちになるとは思っていなかった。というかこれが、ケッコンカッコカリしたのが扶桑と山城だけだったならば玄一郎もわかって無かったと思う。

 

 現在、嫁艦の艦娘は、扶桑、山城、金剛、比叡、榛名、霧島、大和。深海棲艦はムサシ(戦艦棲姫)の八名。

 

 本日のお相手が金剛四姉妹と大和。

 

 愛されているのはわかるし覚悟は決めたしみんな美人で良い女だし、贅沢過ぎると思うけどなんか辛い。いろんな意味で。主に残弾数な感じで。あと襲うの止めて。

 

「俺はわかる、とは言えねぇ。で、何人?」

 

「……今日金剛四姉妹と大和」

 

「比叡含めて?」

 

「……含めて」

 

「え?アイツ、男性がダメって話だったはずだが?」

 

「さてね。克服したんだろ」

 

 肩をすくめつつ軽く玄一郎は言ったが、比叡は実際のところかなり恐怖症と嫌悪症に苦しんでいた。

 

 実際、本編では書かないが、姉妹が一緒でなければおそらくデキなかっただろうと玄一郎は思っている。だが、そのおかげで比叡は乗り越えた。乗り越えたがタガも外れた。恐怖も憎しみも、まるで反転したような感じになってしまって、その後が大変だった。

  

 とはいえわざわざ人に語る話でも無かろう。どうであれ玄一郎にとっては己の嫁の一人なのだ。

 

「乗り越えたか。毒殺未遂の件があったから心配はしていたが、よく受け止めてやったな?」

 

「仕方ねぇだろ。何かしらは、やっぱ情は湧く」

 

「まぁ、それが無きゃ地の果てまで逃げたくなるわなぁ」

 

 そこに、ウォーダンがまたボソッと一言。

 

「逃げる……?」

 

 ぐぐぐっ、とウォーダンの身体に力が入り、ブルブルと震えた。怒りをこらえているようにも見える。

 

「お、おい、ウォーダン?」

 

「否っ!!」

 

 ざばーん!!と立ち上がり。

 

「我はウォーダン・ユミルっ!!今開眼せりっ!!」

 

 立ち上がってナニかがブラーン。

 

「うぉっ、デケェ?!」

 

「馬鹿やろう、んなもんみせつけんじゃねぇ!」

 

「あ、すまん」

 

 どぽん、とウォーダンは座り。

 

「玄一郎、俺は理解した。むしろ逃げずに真っ向から向き合う事が必要だったのだ!!未知を恐れてはならなかったのだ。心根で負けてはならなかったのだ」

 

 ウォーダンは真っ直ぐだった(ナニの話ではなく)。まぁこの男らしい結論ではあるが、とはいえ。

 

「……ところであのタ級に何回絞られた?」

 

 ねじ曲がってしまった(ナニも左曲がり)斎藤がウォーダンに聞いた。

 

「……12回」

 

「……それでその結論が出せるお前はすげぇわ。つか毎晩、毎晩、それだとしたらどうするよ?」

 

「……それはさすがに無いだろう?」

 

「ウチ、周期によりけりだが5はやらされる」

 

「オギノ式?」

 

「新オギノ式」

 

「子供が出来るまでの我慢、か」

 

 艦娘の生理周期は人間の女子同様である。また年齢(?)によって閉経する事が無く、いつまでも肉体は老いる事は無い。また、幼く見える駆逐艦であっても生理はある。

 

 ただ、人間と艦娘の間に子供が出来る確率は通常の人間同士のカップルよりも低い。これは未だにその理由は解明されてはいない。とはいえ、出来ないわけではない。

 

「玄一郎は?」

 

「わからん。覚えて無い。多分一人、二・三回か?」

 

「……金剛型、4人と大和で5人。10~15、って普通死ぬぞ」

 

「……強化人間の身体だから耐えられてる感じだ。ゲシュペンストに感謝するよ。マジで」

 

「そういやお前ら艦娘とおんなじだったな。うわ~、俺なんざ普通の人間だぜぇ?羨まし!」

 

「……それでも襲われたら為す術が無い。俺には艦装に当たる物が無い。なんせゲシュペンストがカーウァイ・ラウで、俺は取り込まれただけの普通の魂だったからな」

 

「……ふむ。人間の亡霊だったか。とはいえ艦娘ナイトライフで耐えられるのはずるいぜ。腰振ってヘイヘイヘイ!ってか?」

 

「なんか一昔前のディスコとかのノリみたいに言うなよおっさん。つかウォーダンの方が耐久性は高いだろ。多分」

 

「……それに関してはわからん。なにぶん戦闘用アンドロイドだった。未知の部分だ。知識が無い」

 

「そうだったのか?そりゃ怖かったろ」

 

「予備知識無しで襲われたのかよ?!」

 

「うむ。女とはあのような機能があったのだな。むぅ。ハルナと向き合うには知識が必要だ」

 

「……ふーむ、それに関しちゃ、ウチの弟子もどうなんだろな。なんか知識がやたら偏ってそうな気がするな」

 

「その辺はデリケートな事もあるからな。一度、教養科の香取とかに相談してみたらどうだ?」

 

「……香取とかに?」

 

「何か問題があるか?」

 

「香取と鹿島は、なんか怖いんだよ」

 

「む?素行は特に問題無かったはずだが?」

 

「……そうなんだが。一度言われたんだよ。『……ロボットでなければ、一夜身を任せても良いぐらいには評価しております』ってな」

 

「……あー、舞鶴が女衒鎮守府時代に建造された艦娘だったな、あいつら……って、まさかあいつら『殺人快楽練習艦』なのか?!」

 

「その噂が広まったせいで本国にいられなくなったそうだ」

 

『殺人快楽練習艦』とは、海軍に伝わる裏の伝承である。

 海軍には様々な与太話や怪談が付き物であるが、その中でも『殺人快楽練習艦』の話は裏でまことしやかに語られている。

 

 とある『女衒鎮守府』で建造された練習艦二隻の話であり、売られた先々の『顧客』を次々と腹上死させた、という与太話である。大抵は、そんな艦娘いるわけがない、と笑われるのがオチである。

 

 しかしこの話には実在のモデルがいた。

 

 近藤がブラック提督から解放した舞鶴鎮守府の香取と鹿島がそうである。

 

 この香取と鹿島は本人達の性格や態度はかなり真面目で非常に勤勉、職務に忠実であるのだが、問題はその容姿と肉体にあった。

 

 本人達にその気は無くとも、男を魅了する才能のようなものがあり、彼女達と一度関係を結べば、大抵の男は彼女達に執着し、そして毎日のように取り憑かれたかのように彼女達を求めて、限界に達して死ぬという。

 

 もう一度いうが、彼女達にその気は無い。本人達は練習艦としての本来の職務に生き甲斐を感じているし、そもそも、そのような、人身売買ならぬ艦娘売買を行ったのはブラック鎮守府の提督なのである。彼女達に非は無い。

 

 だが、噂というものは恐ろしいものだ。ある日、メディアに特定されてしまったのである。

 

 それは他のブラック提督の連中がリークした情報で、舞鶴鎮守府を解放した近藤への嫌がらせであった。

 

 そのため、近藤は香取と鹿島をパラオの土方のところへと送る事にし、そして現在に至っている、というわけである。

 

「……この前、新造艦娘達の一般教養の講義をメールで頼んだんだ。そしたら『一度、夜にでも直接お会いしてじっくりとその辺のお話をさせていただきたいのですが』と返ってきた。二人が色っぽく投げキッスしてる写メ付きで」

 

 なお、胸の谷間とレースのブラが大きく開けたシャツから見えて大層セクシーでした。

 

「……ご愁傷様だな。なんて返答したんだ?」

 

「戒厳令下だったからな。『現在、厳戒態勢下故の多忙につき、メールにて子細情報を送る。よしなに頼み申し候』とな」

 

 もちろん、危険信号がワーニン、ワーニンとアラートを鳴らしたので逃げにはしったのである。  

 

「……安心しろ。墓には『ハーレムゲス提督、腹上死にてここに眠る』と書いておいてやるから」

 

 うわー、絶対逃げられねぇわ、と斎藤は風呂の天井を見上げた。

 

「ところでだ、斎藤、玄一郎。腹上死とはなんだ?」

 

 ウォーダンの性知識は、本当に子供レベルであるようだった。やべぇ、本当になんとかしないと、と玄一郎は本気で思ったほどである。

 

何にせよ、確かに香取と鹿島とは一度会わねばならないが、一人で会うのは危ない。「どうすっかねぇ」と玄一郎は悩むのだった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 一方その頃。

 

 香取と鹿島は、休日を利用してパラオのショッピングモールの輸入ランジェリーショップで、それぞれ対提督用悩殺下着を購入していた。

 

 パラオに赴任してきてから約10年。彼女達は良き訓練艦、良き教師、良き先生、そう、聖職者として働いてきた。昔の黒歴史は忘れて捨て去り、それはもう、香取と鹿島本来の職務に忠実に真面目に取り組んできた。

 

 だが、やはり彼女達も女性なのである。やはり疼く事も、ある。だが彼女達は鋼鉄の自制心と理性で必死に絶えた。何しろ、彼女達を買った男達はみんな死んだのだ。このパラオで人死にを出すわけには行かない。ようやく手に入れた平穏とそして天職なのだ。

 

 建造され、苦界に落とされ、様々な男性に売られ、謀らずも死なれ、また売られて謀らずもまた死なれ。

 

 みな、確かに自分達を買いはしたし飼ってはいた。だが、みな一様に大事にしていてくれたと彼女達は認識している。中には酷い男もいるにはいたが、それなりに思いもあった。情もあった。

 

 そう、彼女達にとって自分達のせいで死なれてしまうというのはトラウマであった。

 

 自分達が悪く言われる事よりもなによりもつらかったのである。

 

 故に、彼女達は昔の自分達を封印していたのである。しかし、そのタガが外れたのは青葉の新聞の号外を見て、さらにその夜、五十鈴と新造艦娘の教練と座学についての打ち合わせをした帰りに、自分達の寮の向かい側、重巡寮から裸で飛び出して来た提督の勇ましい股間のアレを見てからだった。

 

 二人は、あの試製51センチ砲に恋をした。そう、惚れてしまったのである。

 

 さらに、数日前、古巣の舞鶴の高雄からの情報曰わく『深海ムサシ』とパラオ提督がヤった。

 

 その情報に香取と鹿島は驚愕した。

 

 『深海ムサシ』は確かに数日前に提督が連れて帰った。その強さと霊格は桁違いであり、あのような艦と一夜を過ごして無事でいられるならば、我々にも耐えられるに違いない。

 

 さらに昼頃に会った金剛姉妹。

 

 四人は、すでに女の顔をしていた。あの酷い男性嫌悪症で提督拒絶症の比叡さえも、憑き物が落ちたかのように幸せで満ち足りた女の顔をしていたのだ。

 

 コイツら、ヤりやがった。四人同時で。あの試製51センチ砲と。

 

 さらに掲示板に出されたお触れ。

 

【明後日以降、ケッコンカッコカリ希望者は事務局の指定用紙にケッコンカッコカリ希望と書いて提出すること。なお、出来うる限り対応するが、場合により受諾出来ない場合もあるので御理解いただきたい。パラオ提督黒田玄一郎】

 

 二人は急いで事務局に行き、舞鶴で同期かつ同僚だった大淀に詰め寄った(大淀さんも舞鶴鎮守府にいたという事実)。

 

 襟首掴んでガックンガックン大淀を揺すって答えさせたところ

 

「泊地の治安維持の側面が大きい」

 

 ガックンガックン。←どう言うことか聞き出している。

 

「この前の多発艦娘暴走を踏まえた対策」

 

 ガックガクガックガックン。←書類くれと言っている

 

「書類は明後日から」

 

 ガックンガクガクガク。←であんたはどうすんのと聞いている

 

「揺らすの止めてぇぇっ!!つかあなたたちキャラそんなんじゃなかったでしょ?!」

 

 ガクガクガクガク!←良いからとっとと答えろと言っている。

 

「パンツ見せても靡かないから直接モーションかけるしか無いじゃない!ネクラメガネでも婚活しても良いじゃないっ!!」

 

 ピタッ←ベネ!

 

 なんだかんだで大淀さんはメガネ淫乱(ここ重要)。

 

 そして、事務局の隣、つまり提督の自室辺りから聞こえてくる喘ぎ声。それは大和の声だった。

 

 防音が施されてはいるが、それでも艦娘の聴覚はそれを捉えた。

 

「……大淀さん、コップ2つ」

 

 鹿島がそう言い、大淀は何故か3つコップを出してきた。自分も盗み聞きする気満々だった。

 

 3人は事務局の壁にコップを当てた。

 

 ゴクリ。3人同時に生唾を飲み込む。

 

 これ以上は、書けないが、3人はあの清楚で文字通り大和撫子な大和の絶頂の声を聞いた。聞いてしまった。

 

 超ド級戦艦、大和がイってしまった。

 

「提督、すんごい」じゅん。

 

「はぁはぁはぁ」じゅん。

 

「うーっ、隣が事務局だってわかっててやってるのかしら……」じゅん。

 

 3人とも前屈みである。しかし。

 

「……え?まだ……やるの?」

 

 二回戦が始まってしまった。

 

 結局、三回の裏まで3人は最後まで聞いてしまったわけであるが、香取と鹿島は驚愕した。

 

 何しろ、金剛四姉妹とした後で次が大和である。絶倫にも程がある。

 

 そして彼女達の胸に希望が湧いてきた。彼ならば、全力でシテも死なないに違いない!!と。

 

 香取と鹿島はお互いに頷き合った。

 

 嫁入りしてやる。試製51センチ、弾数無限(そんな事実は無い)の提督に!

 

 今、提督に『殺人快楽教習艦』の魔の手が伸びようとしている。ついでに淫乱メガネのも。

 

 エロい女教師達は念入りに勝負下着を選んでニヤリとわらう。なんというか、おぱーい隠れてないよね?それ、という感じなブラとか、いや、大事なところ覆って無いじゃない!という感じなおパンツとか、をカゴに入れてベネ!ディモールト・ベネ!

 

 なお、レジではブラのサイズが無くてがっくりとうなだれているアインスト・カグヤがいたりするけど、ドンマイ!うしちちプリンセスコピー。

 

 はたしてゲス提督は新たなエロ刺客『殺人快楽練習艦』シスターズの魔の手から逃れられるのか!?

 

 戦え!ゲシュペンスト。立ち上がれ!玄一郎。パラオの平和の為に!!(終われっ!)

 




 傷だらけの男達。

 オデノガラダハボドボドダァ!

 次回、イケないリップスティックって、どこに使うスティック?でまたあおう(嘘)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。