ゲシュペンスト提督は緊急加速ブースターを背部に取り付け、汎用性の高いM-970アサルトライフルを持ち、腰にリヴォルヴァーキャノン、それに加えて背中に零式斬艦刀を背負った。
これらの武器はかつて、小島基地に向かう際に『マヨイ』の群れに使用した、ゲシュペンストがズフィルートクリスタルで作り出した物で、使っては投げ捨て、使っては投げ捨てていた物を、ワタヌシ島にいた潜水艦娘達が後々に、こっそりとワタヌシ島の秘密集積地に集めてまとめて置いておいてくれたものである。
彼女達は今現在、みんなパラオ泊地所属になっているが、泊地に来た際にゲシュペンストに全て渡してくれたのである。非常に優しい子達ではあるが、なんというか、たまにレディースとか愚連隊のように見える時があるのは何故なのだろう。
彼女達は未だにゲシュペンスト提督が知らない所に秘密集積地を作っており、せかせかと『ハグレ』狩りをしてカツアゲ……もとい、物資調達し、そこに隠しているという噂である。
まぁ、ゲシュペンスト提督も昔に助けられた事もあり、知らないフリをしておいている。
彼女達は仲間達に何かあった時の為、そうやって溜め込んでいることをゲシュペンスト提督は知っているからである。
(とはいえ、ムチャな事だけはしてくれるなよ)
とは思うのだが。
ガシャッ、とライフルの操作をする。
弾は妖精さん謹製の徹甲弾。ヘリカルマガジンの予備2つ。さすがに妖精さん達もこのアサルトライフルその物は複製を作れなかったが、弾とマガジンは比較的に簡単だったらしく、すぐに作れるようになってくれた。リヴォルヴァーキャノンの弾も同様である。
もちろん、どちらの弾も深海棲艦にもちゃんと通用する弾である。
ガシン、とゲシュペンスト提督は武器ハンガーから出て、その先のカタパルトへと進んだ。
このカタパルトは夕張の発明であり、製作には今の明石と前任の明石(アマンダ)も加わっている。
これは六面リニアカタパルト方式とワイヤー牽引式カタパルトの併用方式であり、使い方は、機体の後ろにワイヤーフックを引っ掛けてリニアを作動し、そして磁力でゲシュペンスト提督が浮いたら、加速ブースターを点火、そしてワイヤーフックの張力が限界に達したら、ワイヤー切断、同時にリニアモーターカーの原理で射出、という、なかなかに乱暴なものである。
初速はマッハを超える。
「提督っ、聞こえる~?」
カタパルトに響くこの声は夕張の声である。
カタパルトの管制室の窓を見れば明石と夕張の姿があった。
「ああ、聞こえてるぞ夕張」
カキン、とゲシュペンスト提督はワイヤーを自分の背中につけつつ無線で答えた。
「今日はお前が管制するのか?」
「もっちろん!提督が発進するの、二年振りぐらいじゃない!そんなの見過ごし出来るわけないじゃない!」
非常に興奮し、はしゃぎながら夕張はそう言う。発明好きの夕張は、ロボットであるゲシュペンスト提督の構造や機構にかなり興味を示している。そして、いつもやたらとデータを取りたがるのである。
「わかった。では管制頼む。ワイヤー接続確認。リニア、頼む」
「オーケー!リニア作動。浮遊確認。ブースター点火どうぞ!」
「ブースター始動。点火。ワイヤー牽引開始」
「ブースターとの同期を開始。ブースター30%まで噴射、リニア回転開始。秒読みまで30、ブースターの噴射を合わせて下さい。35、40、50、60
……」
「ブースター最大出力!」
「確認!リニア射出、5、4、3、2、1、ボンバーーーーーっ!!」
バツン!!とワイヤーが切断され、そしてカタパルトのリニアにより、ゲシュペンスト提督は撃ち出された。
ドゴォォォン!!と轟音とともに初速マッハに近い速度でゲシュペンスト提督は飛んで行った。
「ひゃっはーーーっ!!イェーイ!!やっぱりカタパルト最っ高っ!!」
ゲシュペンスト提督の無線に、はしゃぐ夕張の明るい声が響いた。
「いい子にしてたら、お土産持って帰るからな!」
「えっ?何々?どんなお土産?美味しいもの??」
「……明石も聞こえてるか?」
「聞こえてます。というか、厄介なお土産ですよね……」
「長門達に伝えてくれ。あと、霧島の隊にも。土方中将をつれて帰る。他にも、いろいろ居るはずだが、とにかく、いろいろとまた練り直しだ。帰ったら早急に取りかからねばならんから、集めといてくれ」
「……提督、それ煮ても焼いても食えないじゃん。つか、土産物じゃなくて、イヤゲ者でしょそれは」
「そうとも、言う」
そうこう言っている間に、無線の通信範囲外に出た。幸いな事に本日は快晴。視界はクリアーで、さらに各レーダー、センサーも感度良好だった。
「あー、空も海もあんなに青いのに、不幸だ」
扶桑姉妹のセリフを足して二で割らないような事を言いつつ、ゲシュペンスト提督は土方中将達のいる地点を探すと、そこへ一直線に進んで行った。
厄介な事に、すでに深海棲艦とおぼしき光点にそれは囲まれており、ゲシュペンスト提督はブースターをさらに加速させて向かった。
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ドウン!ドウン!!
今、パラオ近海の海域で、ほっぽちゃんと港湾さんの配下の深海棲艦達と、土方と沖田両名の部下の艦娘達は必死に敵の一団と戦っていた。敵は雑魚だらけだったが、その中の重巡リ級とネ級の二隻がかなり強く、本来の重巡リ級ネ級を遥かに超えた強さを持っていた。おそらくは特異個体であり、その顔はどことなく鳥海と麻耶に似ていた。おそらくはどこかで沈んだ『マヨイ』なのだろう。
「クッ!!コイツ等強イ!!」
港湾棲姫の所のル級フラッグシップが、その砲の付いた盾で大発に乗っている四人を防御しつつ、予測射撃をしているものの、リ級ネ級には当たらない。
長門もル級フラッグシップに合わせて砲撃をするが、着弾地点丁度に来ていたはずの二隻がふらりと消えるように着弾地点から逃れ、そして砲を撃ってくる。
「ヒャハハハハハハハ!!オセェ!!オセェンダヨ!!ポンコツビッグセブン!!」
口汚く摩耶の深海棲艦が笑う。
「当たりません。というか何度撃っても無駄です」
さらりと鳥海が感情を無くしたような口調で言う。
「クウッ、船の上では我々ノ艦装はダセナイ!」
港湾棲姫が歯噛みした。港湾棲姫も北方棲姫も陸上型の深海棲艦である。艦装を出したら最後、この大発もろとも、その霊的重量で一瞬のうちに沈んでしまう事になるのだ。
故に陸上では強い力を持つ彼女達も、海の真っ只中では戦えないのである。陸上型の思ってもみない弱点であった。
他の艦達は、囲んで来ている雑魚を倒すのに精一杯であり、加勢も出来ない状況にあった。
北方の深海棲艦のチームリーダーである軽巡棲姫が獅子奮迅の勢いで刀らしき装備で斬りかかるも、数が多く、さらに先の戦いでのダメージもあり、敵の数を減らせないでいた。
そこへ艦娘の不知火がサポートに入る。正確な射撃で敵のチ級を撃つ。
「黒い神通さん!あなたは早く大発の方へ!」
「アリガトウ……ってワタシ神通違う!!」
そうは言ってもなんかそっくりであるので、不知火が思わずそう言ってしまうのも仕方ないことかも知れない。
そこへ加賀の友永部隊が到着し、爆撃を開始する。周囲の雑魚、イ・ロ・ハを次々と沈めて行く。
加賀の姿は見えないが、それは仕方ない。遠くにあって戦闘機を出すのが空母の戦術であり、それもあって沖田は加賀をいち早く離したのである。だが、如何に一航戦、如何に戦艦搭載量に優れる加賀と言えども全てを爆撃するのは不可能だった。
多勢に無勢、大発に向かって『マヨイ』たちは進んでいく。
と、そのとき、どう見ても加賀の友永部隊以外の攻撃が上空からバラ弾を撒いた。
M-970アサルトライフルのバースト射撃である。
「どりゃああああああっ!!」
それは、ライフルを背部にしまうと、次は大きな大剣を持って落ちてきた。
「我が名はゲシュペンストっ!!悪を絶つ剣なりぃぃっ!!」
ズドオオオン!!
「真っ向唐竹割りっ!!」
チ級を真っ二つに切り裂き、そして。
「零式斬艦刀っ!!大っ旋風っ!!どりゃああああああっ!!」
深海棲艦の群れの真ん中で、斬艦刀を振り回し、とにかく全てぶった切り、真空で吸い込みつつさらにぶん回してとにかく破壊、破壊、破壊の嵐を巻き起こす。
というかそんな技はオリジナルには無い。というかこれはアドリブである。
「ふんっ!!我に断てぬ者無しっ!!」
ガチャっ、と斬艦刀を背中に直し、スラッシュリッパーを投げ、そしてさらにリヴォルヴァーキャノンを両手に掴み。
「リヴォルヴァーキャノン、広域ランダムシュート!!」
ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!と、まるで曲芸のように周りの深海棲艦へと一発必中で全弾打ち込み、投げたスラッシュリッパーはその他の深海棲艦を全て切り裂いた。
リヴォルヴァーキャノンを両手でクルクルクル回し、ホルスターに戻し、帰ってきたスラッシュリッパーを素早く両手で掴み取り、背中に戻した。
それだけで雑魚は全ていなくなり、残るは二隻の特異個体のみになっていた。
「逃げるか投降するか殺されるか、どれにする?俺はどちらでもいいぜ?」
ゲシュペンスト提督はそう言って、二隻に首を傾げながら言った。
「バッ、バカモノッ!!ゲシュペンストっ、捕まえろっ!!情報が不足してるんだ!!」
沖田少将が叫ぶ。しかしゲシュペンスト提督は首を横に振った。
「わからないんですか?沖田さん。コイツ等、特B級に匹敵する連中です。そんな中途半端な強さしてますからね、手加減は無理です。つか、殺されかけてて偉そうに言わんで下さい」
ガキン、と斬艦刀を持って二隻を睨みつけ、
「お前等のねーちゃん達が見たら膝詰め説教されるぜ?麻耶、鳥海。乳は立派なのにガキみてぇに得た力振り回して何をやってやがるよ?」
「うるせぇっ!!何なんだお前はっ!!クソっ、『雷』が言ってたロボット野郎だな?!てめぇっ!!」
「ダメッ、摩耶っ!!コイツは私達じゃかなわない!!撤退よっ!!」
「へぇ?なるほど。レ級のあいつの仲間か?お前等。おチビさんは元気かい?『武蔵』にゃ会いたくねぇけどよ?」
「ああ、そうさ!!クソったれ!!お前なんて、あの武蔵さんが復活したら、復活したらっ、一捻りだ!!吠え面かくなよ!!バーカバーカっ!!」
「恥ずかしいから止めて。それに情報漏洩になってるし、もう、帰ろ?逃がしてくれるって言ってるし……」
「……いや、すまん逃げるか?とは言ったけどな。『逃がしてやる』なんて一度も言ってねぇんだよ、俺はな?」
ズイッ。
ゲシュペンスト提督はその巨体の凄みをこれでもかっ!!と聞かせて『摩耶』と『鳥海』の深海棲艦に両手を伸ばした。
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パラオ泊地へと大発を曳航し、着いた頃にはもう夕日が差していた。
大発の上には傷ついた深海棲艦の軽巡棲姫や不知火、ル級、長……いや、ナガモンも乗せられ、さらに捕らえた『麻耶』と『鳥海』の深海棲息がワイヤーで亀甲縛りにされて転がされていた。
パンツ丸見えで、その尻は真っ赤に、それこそ夕日よりも赤く腫れていた。
ゲシュペンスト提督による、愛のお仕置き『恥ずかし固めからの羞恥、パンツずりおろしお尻ペンペンの刑』を食らったせいである。
二人は涙目になりつつ『お、俺、もうお嫁に行けない……」とか「あっ、あ……だめ、鉄棒、イケない記憶……」とか言っていた。
摩耶の純情そうな感じはなかなかによろしいが、いや鳥海、お前、過去になにやってたんだよ、とか思いつつもゲシュペンスト提督は大発を軍港へと着けた。
軍港には、何人かの艦娘が待機しており、その中に長門がいた。
ゲシュペンスト提督は、いかんと思ったがもう遅い。
長門の目が、傷ついた『ナガモン』を見たからだ。しかし、目を見開きはしたものの、さすがに何も言わず、土方中将と沖田少将に敬礼し、他の艦娘達もそれに倣ったのを見て、ほっと安心した。
長門は公務と私情をきっちり分ける。腸煮えくり返っていても。
「提督、任務お疲れ様です。とりあえず負傷した艦娘達はドックへ。同盟深海棲艦の皆様は、深海棲艦用の治療槽をもう用意してます。中将と少将はメディカルルームへ。負傷の手当てを」
外向きの丁寧な話しかたである。なのにやたらと威圧感があるのは、おそらくは怒っているからなのだろう。笑顔が怖い。
「霧島は中将と少将を。時雨と夕立は艦娘達を。神通は同盟深海棲艦の方達を」
流石に長門である。こういう時の差配も卒がない。
ゲシュペンスト提督は長門に言った。
「皆さんの処置が終わったら、会議室にお通ししてくれ。あと、皆さんの宿泊の手配はどうなっている?」
「事態が事態だ。泊地の寮を使ってもらうしか無いな。幸い、『前の提督』が寮を『無駄』に拡張したおかげで全員受け入れても余裕があるからな」
非常に棘のある言い方で長門は言った。
(やっぱり怒ってるじゃないか。コイツ)
「あら、先見があったって言って頂戴。こんな事もあろうかと!ってね?それに災害時の住民の受け入れもする施設でもあるしね?」
聞こえたのだろう、土方中将がおどけたように言う。軍服がボロボロで怪我もしてるのにやたら元気そうであるが、ゲシュペンスト提督のセンサーは騙せない。
「あんた骨折れてんだから、とっとと治療してこいよ。腕、隠してもポッキリ行ってんだろ?無理しないで、ほら、早くナノマシンで接いでもらってきな!」
「あん、ゲーちゃんのエッチぃ。上官の身体をセンサーで隈無く視姦?うわ、変態、うわーエロボット!!」
「……霧島、とっととつれてけ?なんなら木刀いるか?」
そう、言うと土方はびっくぅっ!!として黙って素直に霧島の後ろに並んだ。昔、土方は霧島をキレさせてしまい、木刀を持った霧島に一晩中追いかけられた事があるのだ。
その際に霧島についた徒名が『ハマのレディース』である。
「あの、提督。私はその、ハマの不良ではありません」
そう言うが、何というか金剛型ってなんかレディースっぽい雰囲気はあるよなぁ、とゲシュペンスト提督は思った。まぁ、土方が大人しくなったなら良しとしよう。
霧島は土方中将達を連れていった。
「あの人がいると話が進まん」
はぁ、と溜め息混じりいいつつ。
まだ大発に乗ったままの港湾棲姫と北方棲姫の方を振り向く。どうやら彼女達は捕らえた『麻耶』と『鳥海」の深海棲艦が逃げないように見てくれているようだ。
(……そんな事をしなくても、逃げられないようにヒートロッドのワイヤーで縛ってるのにな)
とは言え、彼女達にはそれを教えていないのである。仕方ないか、とゲシュペンスト提督は二人に言った。
「港湾棲姫様と北方棲姫様、どうぞこちらへ。そいつ等はほっておいても逃げられないようにしております。まずはあなた方の傷を治さねば。ほら、部下の方もあなた方が来ないので動こうとしません。さあ」
「……ワカッタ。オマエは……イヤ、ナンデモナイ。タスケニ来てクレテ、感謝スル」
港湾棲姫はそう言うとその大きな両手で北方棲姫の脇を抱えた。
「手を貸シテクレ。マズハ北方棲姫を下ロソウ」
ゲシュペンスト提督は北方棲姫を受け取って地面に下ろした。
(こんな小さいのに北方の統治者かぁ)
とも思ったが、その内包する気というか霊力はかなりのものである。
「アリガトウ、オニイチャン」
北方棲姫ははにかみながらゲシュペンスト提督にお辞儀をした。
「次ハ私を頼ム」
港湾棲姫は大きな手を差し伸べてきた。ポロリしている胸を隠そうともせず、普通のしぐさで。
(話には聞いていたが、ありえないデカさ……あの愛宕のサイズなんて遥かに超えてるぞ、これ)
なのに美乳という辺り、理想の超神乳というべきであろうか。
とはいえ、ここは真面目にやらねば。
少し顔が赤いようだが、ふむ、とゲシュペンスト提督はその手を取って、支えてやる。
ぐらっ。
大発が揺れた。
「アッ!!」
港湾棲姫の身体がバランスを崩した。そのままでは港湾棲姫が海に落ちてしまう!!と、ゲシュペンスト提督は彼女の手を引っぱり、そのまま自分の胸部装甲で受け止めた。
「いよいしょうっ!っと!」
くるりと回転するようにして、港湾棲姫を地面に立たせてやり「大丈夫でしたか?」と、問いかけたが、港湾棲姫はぷるぷる、ぷるぷると震え出した。
「どこか、痛いですか?いかん、早く手当てを……」
抱きっ!
「強ク逞シク……イイ『男』。オマエニ、女は居ル力?」
「うぇぇっ?!いや、その……自分、武器用なロボットですからっ!!兵器、ロボットだから、マシンだからっ!!」
「ロボット?イイエ、魂を感ジル。我々や艦娘と同じ霊力……。何故機械を纏ウ?ワカラナイ」
「最初からこうなんでっ!!」
なんとか港湾棲姫を振りほどいて、神通の方に行かせた。
(め、めちゃくちゃビビった。つかあの『武蔵』と同じような事を?!)
港湾棲姫は他の同盟深海棲艦達同様、神通に連れられて行きつつも、何度も何度もゲシュペンスト提督の方を振り返りつつ、総合医療施設の方へと消えていった。
「提督、モテるね?」
いつの間にか川内がゲシュペンスト提督の側に来ていた。近頃、この川内はやたらと気配を消したり、ゲシュペンスト提督ですらも時折察知出来ないようなステルスな動作をしてくるので心臓に悪い。ロボットだから心臓は無いけど。
「おそらく自分の海域を奪われたり散々な目にあったりして気が動転しているんだろう。落ち着いたら正常にもどる」
「ふぅん。そんなものかなぁ。私は違うと思うけど?で、捕虜ってコイツ等?」
川内は大発に転がされている『麻耶』と『鳥海』を見た。
「そうだ。愛宕と高雄には見せられんな。自分達の妹達がこうなってるってのは……」
「んー?ていうか、さっき私、神通の深海棲艦見たけど?つか、神通も直接会ってんだけど?それ差別じゃない?」
軽巡棲姫は神通そっくりである。
「……え?あれってマジで神通の深海棲艦だったの?」
「そだよ?つか私が『妹』をわからないはずないじゃない。でもこの格好は違う意味で見せらんないよねー。スパンキングされて、亀甲縛りで股間までしっかり食い込んで、しかもなんか……」
「ワーワーワーワーッ!!違うんだ。悪さばっかしてるからお仕置きしただけだろが。あと、隙を見て縄抜けして逃げようとしたから、縄抜け出来ないようにこうなったんだ!人聞き悪いこと言うな!!」
そこへ長門がやってきて言った。
「提督、普段の行いが悪いからそういう目で見られるのだぞ。で、コイツ等をどうする?」
「俺、そんなに素行悪いかぁ?……愛宕と高雄に尋問させるかねぇ。コイツ等にはそれが一番効く気がしてきた」
ゲシュペンスト提督は投げやりにそう言った。というかこれからどうなるんだろう、と思いつつ、やはり溜め息を吐くのであった。
鳥海の過去。鉄棒とは一体何の意味なのか。私にはわかるません。
なお、パラオにも摩耶や鳥海はおりますし、高雄も愛宕もいます。
軽巡棲姫さん、神通説。