Peace Maker   作:柴猫侍

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№77 ヒーローアカデミア

(Holy shit……中々一佳に会えないなっ)

 

 B組の寮から、小走りで校舎の昇降口を目指す熾念。

 拳藤が備品室に落とした携帯を返そうと奔走する彼だったが、今の今まで拳藤とはエンカウントしていない。

 備品室から直接B組へ向かえば、すでに片付けが終わって帰りのホームルームをしていたため、中に入れなかった。仕方なくA組で片付けとホームルームを済まして時間を潰せば、その間に拳藤の姿はB組からなくなっており、既に帰ったのかと寮へ直接届けに行けば、『まだ校舎に居る』と告げられる始末。

 

 その際、熾念の訪問に応対してくれた柳と小大は、こう言っていた。

 

『……折角だし、昇降口で待ってればいいんじゃない……ねェ?』

『ん』

 

 彼女たちの言葉に導かれ、こうして昇降口に向かっている熾念であったが、

 

(……普通に、レイ子ちゃんと唯ちゃんに預ければよかったんじゃないか?)

 

 ハッと夕焼けの空を見上げる熾念は、自分がわざわざ遠回りしていることに気が付いた。

 今、こうしている間にも、寮に戻ったA組の面々は、打ち上げ会のための用意をしてくれている。

 自分だけ忘れ物―――幾ら彼女の私物とは言え―――を届けるために、準備をすっぽかしてもよいものなのだろうか? 芦戸や葉隠辺りは『よきにはからえー!』とノリノリな返事をしてくれそうだが、それにしても忍びないというもの。

 

 若干の焦燥を覚え、歩幅が広くなる。

 早く会わなければ、と。

 

 無意識の内に込み上がる感情に気付かず、小走りだったつもりが普通にダッシュしてしまう熾念。

 漸く気が付き、息が上がったぐらいのころ、1年B組の昇降口がある場所にたどり着いた。

 

 ちょうどその時、下駄箱の陰から伸びる人影が熾念と重なる。

 夕日の逆行で、一瞬誰か分からなかった熾念だが、『あ……』と聞こえてくる声で見当がついた。

 

「熾念、そんな急いで……どした?」

「……Cell phone」

「え? ……あ、マジだ!」

「備品室に落としてたぜっ」

「わぁ~、気付かなかったわ。サンキュ」

 

 一足遅く用事を済ませて下校しようとする拳藤に、熾念はポケットから取り出した携帯電話を差し出す。

 携帯電話を落としたことに気付かなかったことに苦笑を浮かべる拳藤は、頬をポリポリと掻きながら、差し出された携帯を受けとる。

 

 電源をつけていない電話。

 画面は黒く、そこを見つめている自分の顔が映っている。

 どことなく憂いを覚えているかのような己の表情に、拳藤は数秒思案した。

 

 唐突に黙る拳藤。熾念は、そんな彼女の顔を覗くように前かがみになって見上げるが、視界に入ってきたのはフッと微笑む顔だった。

 ピンっと額にデコピンを喰らい、『Oops』と痛そうに顔を歪めながら元の態勢に戻る。

 そんな熾念に対し、拳藤は徐に携帯電話の電源を付けた。

 

「折角だし、一緒に写メでも撮るかっ!」

「Huh? 写メ?」

「ほら。文化祭、付き合ってんのになんにもしてないしさ」

「ああ、そういう」

 

 拳藤の申し出に、パァっと笑顔となり、目を爛々と輝かせる熾念。

 

「来年、もしかしたら別れてるかもしんないしな」

「What!?」

「ははっ、冗談冗談」

 

 だが、そんな熾念を地獄の底へ追いやる一言。

 ショックを受ける熾念を冗談だと揶揄う拳藤は、携帯電話のカメラ機能をオンにし、彼の横へ歩み寄る。

 下足と上履きを履き替えるタイミングを示すための段差。

 女子にしてはまあまあ背が高い方の拳藤は、下足のために段差の下に居る熾念よりも、ほんの少し背が高くなってしまう。画面に自分が映るよう屈む拳藤は、若干膝を折り曲げる負担を和らげるべく、遠慮なく熾念の首に腕を回し、更には肩に顎を乗せる。

 

 中々の至近距離。

 吐息が肌を撫でるような距離に、先程から熾念は目をぱちくりさせ、口を一文字に結んでしまっている。

 

「ぷっ。なんだその顔。ほら、はみ出るからもっと近づけよ」

「し、絞まってるっ! Hey、一佳! 落ちちゃう!」

「気のせいだろ」

「気のせいじゃない! 画面見たら一目瞭然!」

 

 あまつさえ、熾念を抱き寄せる拳藤。

 恥かしさか窒息か。顔を真っ赤にする熾念は、慌てふためく画面に映る自分に、さらなる羞恥を覚える。

 落ち着こうと深呼吸しても、すぐ傍の彼女の色香が鼻を擽り平静を保ってられない。

 首に伝わる彼女の体温。

 体にぴったりとつく柔らかい感触が、これまた離れたくなくも離れたい要因だ。

 

 確信犯の拳藤は、慌てふためく幼馴染を悪戯っ子のような笑みを浮かべ、寄り添う自分らを映す画面越しに彼を見つめる。

 

「ほら、撮るぞー?」

「B……Bring it on!」

「なんじゃそりゃ。じゃ……はい、チー―――」

 

 いざ撮られるとなったら、満点の笑みを浮かべ、ピースサインを目元に掲げる熾念。

 しかし、思ったタイミングでやってこないフラッシュ。

 ポーズを保ったまま何事かと不思議がれば、画面に映る拳藤の行動に合わせ、頬の熱が奔った。

 その瞬間に瞬くフラッシュ。

 刹那、光が視界を奪っていくが、その間熾念の脳裏に焼き付いたのは、目を閉じて自分の頬に口付けをする拳藤の姿だった。

 

 たった一瞬。だが、永遠のように長い時間。

 気が付けば熾念は、尋常ではない鼓動を刻む心臓に体が揺らいでいた。目を点にし、錆び付いたロボットのようなぎこちない動きで拳藤を見遣れば、『しー』と唇に垂直に人差し指を立てる拳藤がウインクしてくる。

 

 かける言葉が思いつかない。

 とりあえず何か言わなければと口を開こうとすれば、拳藤はたった今唇に当てていた指で、熾念の口を押え、

 

「こっちは、なんかで№1になったら考えてやるよ」

 

 と。

 そう告げる。

 

 それから、スカートをフワリと舞わせて翻った彼女は、そそくさと下駄箱からローファーを取り出して履いた。

 肩にカバンを担いだ拳藤は、いじらしい笑顔を見せてこう告げる。

 

「じゃあ、また明日な!」

「―――……HAHA! Good bye♪」

 

 これは忘れられぬ文化祭になったものだ。

 熾念は、頬に残る熱と感触を確かに覚えながら、再び帰路につくのだった。

 

 

 

 ☮

 

 

 

「I`m home♪」

「あ、波動くんお帰り。なにかあったの?」

「いや、野暮用さっ。ヤボヨー」

「そうなの? まあ、それは置いといて……もう打ち上げ会の準備出来てるよ!」

「Wow!」

 

 ちょうど寮の玄関を歩いていた緑谷と鉢合わせ、軽く言葉を交わす熾念。

 彼の言う通り、リビングルームからは美味しそうな匂いが漂って来ている。これは砂藤が作ったデザートのものだろう。

 甘い香りに誘われリビングに向かえば、テーブルの上には、砂藤が作ったと思しきケーキと共に、お菓子とジュースが並べられている。

 

「あー! 波動遅いよー!」

「準備すっぽかして、どこ行ってたのかなぁ~?」

 

 部屋に入るや否や、芦戸と葉隠が勘ぐるような視線を向けながらやって来る。

 

「もしや、彼女との蜜月な時間を過ごしに……?」

「HAHA、そんな訳……」

「あ、キスマークついてるよ!」

「Huh!? ……いや、高校生なのに口紅つけてる訳ないだろっ」

「「え?」」

「え?」

 

 鎌をかけた芦戸と葉隠であったが、予想外の返答に唖然とし、肩を組みながら熾念の目の前より去っていく。

 

「(奴ァ思っていたより初心ですぜ、葉隠の旦那ァ……!)」

「(ピュアだ……波動くん、思ってたよりピュアですぜ、芦戸の旦那ァ……!)」

 

 小さい頃、誰もが思っていただろう。

 キスマークという代物が、べったりと口紅を付けた唇でキスすることによってつけられるものだと。

 しかし、二人が鎌をかけたのはそっちではない。

 そっちではなかったのだが、なんと、熾念はそっちの方を理解していなかったとは思わなんだ。

 

 ひそひそと語らう女子二名は、後々同士に語るときのネタを得たことに喜びを覚えるのだった。

 

 閑話休題。

 

「みんな、準備はいいかい!?」

「いつでもオッケー!」

「フォーッ!」

「るっせぇぞ、アホ面」

 

 音頭をとる飯田に、涎を垂らして応える麗日と、奇声にも似た歓声をあげる上鳴。そしてそんな彼を窘める爆豪。

 以前ならばここで落ち込んでいた上鳴だが、今更になってへこたれるほど今の上鳴はヤワではない。

 

 それはともかく、オレンジジュースの入ったグラスを掲げる飯田は、リビングルームへ一堂に会するA組の面々を見渡し、一度咳払いをしてから、再度口を開く。

 

「文化祭の成功を祝い、乾杯したいと思うが、その前に俺から一言……今回の文化祭! みんなの協力なくば成功はあり得なかった! クラスのみんなを代表して、俺からお礼を言わせてくれ! みんな、ありがとう!!」

「水臭ぇぞォ、委員長!」

「ええ、クラスたるもの協力は当然ですもの」

 

 深々と礼をする飯田に声を上げる切島と八百万。

 飯田が堅苦しいの今更だが、それに対して声を上げぬというのも淋しいものだ。

 普段通り声を上げる皆を前に、笑みを浮かべて面を上げる飯田は、満面の笑みを浮かべてグラスを高々と掲げ、

 

「では! 恐縮だが俺が乾杯の音頭を! みんな、お疲れ様! 乾杯!」

『かんぱ~いっ!!』

 

 嬉々とした声が部屋を包み、続いてグラス同士がぶつかり奏でる甲高い音が連鎖していく。

 カランカランと氷がグラスにぶつかって鳴る音もまた心地いい。

 友達との談笑で賑やかになる空間では、砂藤特製のケーキも現在進行形で振舞われる。

 

「秋だからよ、今日はモンブラン作ってみたんだ!」

「おぉ~、うまそォ~!」

「やっぱ、疲れた体には甘いものだよなぁ~」

 

 モンブランを切り分けて皆に振舞う砂藤に、歓喜の声を上げる瀬呂。

 その横では、既に自分の分を渡された耳郎がモンブランを一口食べ、頬が落ちそうな感覚を覚えつつ、舌の上に広がるまろやかな極上の甘みに舌鼓打っていた。

 今日も絶品の甘味を作り上げた砂藤。

 だが、口田が目の前に来た途端、『お!』と声を上げるではないか。

 何事かと口田が思えば、砂藤は冷蔵庫から、りんごの皮がうさぎの耳に見える―――俗にうさぎりんごを口田に差し出してきたではないか。

 

「ホラよ! (ゆわい)ちゃんの分だ! うさぎって、りんご食べても平気だよな?」

「!」

 

 結ちゃん―――口田の飼っているうさぎのことだが、その子の分までデザートを用意してくれた砂藤に、口田は満面の笑みでお辞儀することで、彼に礼を告げる。

 

「素敵ね、砂藤ちゃん。気配りができる男子っていいと思うわ」

「……っくしょう。俺もその気になったら、りんごくらい……」

 

 粋な計らいをする砂藤を称える蛙吹の言葉に、爪を齧ってひがむ峰田。

 そんな彼へ歩み寄る、紅白の影が……。

 

「……峰田の場合、頭を葡萄と勘違いされてうさぎに食われるんじゃねえか?」

「とぉぉおどぉぉおろぉぉおきぃぃい!!!」

「と、轟って意外と天然だよね……うまっ」

「そうだな……うまっ」

「入学直後より柔らかい表情になったのはいいことだ……美味」

 

 天然物の爆弾発言に、血涙を流して轟に詰め寄る峰田。

 そんな二人のやり取りを前に苦笑を浮かべる尾白は、隣に居る障子と常闇と共に、二人のやり取りを見つつ、モンブランに舌鼓を打つ。

 

 一方で、早速自分の分のモンブランを食べ終えた爆豪は、食器を下げて自室に帰ろうとしていた。

 

「あ、爆豪くん! ちょっと待って!」

「あぁ? なんだ、丸顔」

「折角だし、みんなで写真撮ろうって思って……」

「お、いいねっ!」

 

 爆豪を引き留め、共に写真を撮ろうとする提案に葉隠が身を乗り出してノってくる。

 

「じゃあ、爆豪が引きこもっちゃう前にみんなで撮ろォー!」

「だれが引きこもるだ! 黒目!」

 

 モンブランを掲げて燥ぐ芦戸に、爆豪は掌で爆発を起こし、声を荒げる。

 それが合図ともなり、一斉に集まるA組。こうなってくると、どのようにして撮影するかが問題となり、時間もそこそこかかってしまう訳だが……

 

「こういう時の俺さっ!」

「よっ! ピースメーカー!」

 

 熾念が自身の携帯電話のカメラ機能をオンにし、そのまま“個性”で浮かせ、わちゃわちゃと並んでいる全員の方へ向ける。

 

「……念動力でシャッター押せるのかなぁ?」

「モノは試しさ! HAHA!」

 

 緑谷の懸念を一笑する熾念は、器用に携帯電話を“個性”で操作し、皆の準備が整うその時を待って宙に浮遊する。

 余り時間をかけると熾念が鼻血を出してしまうこととなるのだが、今回は大丈夫そうだ。

 ほどよくゴチャついて皆が集合したのを見計らい、熾念は―――A組は嬉々とした雰囲気を身に纏い、ピースサインを掲げる。

 

「行くぜ!? Hi!」

『チ~ズッ!!』

 

 

 

 ☮

 

 

 

 事の始まりは、中国・軽慶市において、発光する赤子が生まれたというニュースだ。

 それ以降、世界の各地にて数々の『超常』の発現が確認された。

 

 かつての『超常』は、やがて人々の『日常』へ。

 

 夢物語であった特撮、アニメ、映画に登場するヒーローも、今や“個性”を以てして悪を働く敵を倒すための職業として確立した。

 

 ヒーローは戦う。人々の平和のために。

 ヒーローは戦う。無辜の民を守るために。

 ヒーローは戦う。子供たちの夢を守るために。

 ヒーローは戦う―――、

 

「近づいてみろ! 俺様に近づいたら、このガキの頭噛み砕くぞ!」

 

 とある遊園地のウォーターアトラクションゾーンにて、鮫のような頭部をもつ敵が、アトラクション専用の船の上に立ちながら、少女を脇に抱えていた。

 子供は恐怖のあまり涙を流しているものの、感情の高ぶりのままに声を出せば、隣の男に痛い目に遭わされると分かっているのか、最小限に嗚咽をあげている。

 

 周りに居る人々は、敵の出現に焦燥を抱き、はやく“彼ら”の到着を待つ。

 

「―――Phew。感心しないなっ」

「あ゛ぁん!? 誰……あ゛あああ」

 

 ふと背後から聞こえる声に振り向く鮫敵。

 しかしその瞬間、少女を抱えていた腕に空虚感が生まれた。

 

 咄嗟に振り向けば、確かに抱えていたハズの子どもが居らず、代わりに前方の宙に少女をお姫様抱っこする少年が―――否、ヒーローが佇んでいた。

 全体的に白色のコスチュームを身に纏う彼は、マントを翻しながら、少女の母親らしき者のところへ浮遊していき、優しき少女を下ろしてあげた。

 

「もう大丈夫さっ!」

「あぁ! ウチの子をありがとうございます!」

「ひぐっ……えっぐ……あ、ありが……う゛ぅ」

「てめぇえ! よくもォ!」

 

 嗚咽を上げながらもお礼を言おうとする少女を遮り、鮫男が憤慨したかのような声で叫んだ。

 その様子にやれやれと髪を掻く彼。

 

「はぁ……遊園地で子供襲うなんて感心しないって。まったくな」

「てめぇ……噛み殺してやる」

「こりゃ、ちょっときつめにヤってあげないとなっ♪」

「あ゛ぁ!? なにふざけたこと抜かし……」

 

 何故か空を見上げる人々の視線に違和感を覚え、鮫敵は自身の頭上を見上げる。

 そこには、鮫敵の体の何倍もの大きさを誇る水の球体が、雫をポタポタと零しながら浮かんでいるではないか。

 鮫敵の頬から、一筋の雫が零れ落ちる。

 これがたった今滴って来た水か、はたまた自分が流した冷や汗かは分からない。

 

 だが、ヤバイということだけは分かる。

 

「ちょ、ま―――」

「Take this! METEO SMASH!!」

「ぎゃあああああ!!!」

 

 クイっと少年が指を下げれば、浮かんでいた水が重力に従って鮫男に降り注ぐ。

 滝の如き大瀑布。

 凡そ、日常生活で喰らうことはないであろう衝撃をその身に受けた鮫男は、激流に身を飲まれて、そのまま水中に引きずり込まれた後、痙攣して水面に浮かび上がって来た。

 その後は、駆けつけた遊園地の警察のお縄となったのは、想像に難くないだろう。

 

「ふぅ、これで一息吐けるなっ。まさか遊園地に来てまで暴れる敵は居ないと思ってたけど……怖い思いしちゃったなっ、HAHA!」

 

 場が収束してきたころ、もう一度先程救けた少女に話しかける少年―――否、熾念は、顔を泣き腫らしてしまった少女の頭を撫でる。

 コクン、と首肯する少女。

 年端も行かないというのに、あのような目にあって恐くないハズがない。

 

 だからこそ熾念は―――ヒーロー・Peace Makerは、笑って声をかける。

 

「でも大丈夫さっ! 俺が、辛い時に楽になれるお呪い、教えてやるからなっ!」

「おまじない……?」

「Yeah! まず、手でピースサインを作りまーすっ!」

「うん……」

 

 熾念の真似をして、右手でピースを作る少女。

 すると熾念は、そのまま作ったピースを少女の口角に押し当てた。

 

「それでな、こうやって自分の口の端につけて、ギュッと押し上げる!」

「にゅっへ?」

「そう!」

 

 口角を押し上げられ、発音がままならない少女に熾念は溌剌とした答えで首肯する。

 そして、満面の笑みを浮かべ、こう告げた。

 

「いいか? 怖い時、不安な時こそ笑ってやるのさっ! 何故かって? それは笑っている人間が一番強いからさっ! だから辛い時はこう! Peaceを掲げて、Smileを作る! OK?」

「……うん!」

「HAHA! 分かってくれたかっ! じゃあ、今こそ笑い飛ばしてやろうぜ! HAHAHAHAHA!!!」

「は、はーはっはっはっ!!!」

「Toot♪ Good smile!! その調子さっ!」

「うんっ!」

 

 二人して快活な笑い声を上げる。

 

 ヒーローは戦う。笑顔を守るために。

 

 彼もまた守られた人間として、今を生きる人々の笑顔を守るために戦っていく。

 

 それがPeace Maker。

 彼こそが、Smileを以てPeaceを守るヒーローの名だ。

 

 

 

 立派なヒーローとなれるよう、彼の学園生活は終わらない。

 仲間と共に研鑽し合うその日々もまた……。

 




これが最終話です。
77話にも及ぶ長編、ご愛読いただき誠にありがとうございました。
こうして最終話まで書き抜けられたのは、他でもない、読者の皆様のおかげです。
心温かい感想、展開に物申す感想もございました。ですが、色々な感想……それを受けての自分の考えが重なり、今、こうして最終話まで辿り着いています。

この作品は皆さまがあったからこその作品です。

自分の力が至らず、それほど面白くなかった話もあると思いますが、少しでもこの作品を読んで楽しんで頂けたのであれば自分は幸いです。

それでは、読者の皆様とはまたの機会に……。
最後にもう一度、『Peace Maker』を読んで頂き、誠にありがとうございました!

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