書くためにもアシッドをプレイ(話になぞって再プレイ)していたのですが、バッテリー切れてデータが消し飛んでしまい…。
バットとスネークは疑念を抱えながら探索を続ける。
セキュリティを突破する度に脳裏を過るのはスネークが認証された“ハンス・ディヴィス”なる人物…。
それがいったい誰なのか?
何故ここに来るのも初めてのスネークが彼と認証されたのか?
なんともし難い漠然とした不安のようなものを抱えた二人だが、ある一室に辿り着いたところで疑念をとりあえず頭の片隅へと追いやった。
扉が開くと室内に一人の人物が立っていた。
茶色いロングコートを着用した人物は両手を後ろで拘束され、顔は袋を被せられた上にうめき声から猿轡をされているらしい。
彼がアリスが言っていた
「…彼が?」
「分からん。とりあえず袋を取って――」
「不味い。こちらに誰か来る!」
バットの鋭い聴覚は人の接近を把握したが、言いようがアリスみたいでスネークが一瞬ながら反応してしまった。
そんな事に関せずスネークとバットが入って来た扉とは別の扉より
身長二メートルを超える巨漢。
厳つい顔は威嚇でもするかのように鋭い眼光を向け、大型対戦車ライフル“シモノフ”を手にしている。
体格・銃ともに威圧感が漂う。
多分だがこいつが
「貴様がスネーク。それとバットか」
「…レオーネだな」
睨み合う両者に周囲から伝わる足音から警戒を強めるも、人数とこの位置取りでは不利かと強めるだけだ。
なにしろ銃撃戦となればフレミングらしき人物がただで済むはずもない。
聴覚より得た情報通りにどちらの扉からも敵兵が殺到してきた。
「ソリッド・スネーク。ビッグボスを倒した伝説の兵士…いや、今や伝説の
くつくつと馬鹿にしたように嗤う。
決して褒めていない事は誰の眼にも明白。
「
俺達に…というよりはその上層部に対する嫌味も混じっている。
だが、スネークもバットもそんな言葉より、手にしている対戦車ライフルへ意識が向いていた。
アリスが予言した大きな銃…。
確かにあれで撃たれたら掠りでも欠損は間違いない。
しかしあの反動の強いシモノフを片手で撃てるとは…思いたくないが…。
『…今アリスが退路を探している。時間稼ぎを』
耳に付けた無線機よりロジャーからの指示が入り、スネークとバットは目線を合わせて小さく頷く。
「…しかし
バットもそれは思った。
巨漢に髭や髪がわさわさとしている様からも余計に熊に見える。
だが時間稼ぎでそれを指摘………否、煽るとは思わなかった。
下手すればキレて即戦闘になりかねない。
反応を見てみようとするもレオーネは黙するのみ。
別に怒っている様子もないように伺える。
しかしそういう対応なら時間稼ぎとして有効と判断すべきかとため息を零す。
「いやいや、馬鹿でかいだけの
「確かにぞろぞろと。余程犬が苦手なようだ」
さすがに苛立ったようだがこれぐらい軽いジャブだというのに、連れの方が我慢できそうにないんだが。
眼を血走らせて銃口を誇示するかのように向けて来る。
トリガーに指をかけなかったのは流石と言うべきか。
「貴様ら如きに策など要らんのだが、かまってやれるだけ時間がないからな。我々には為すべき目的がある」
「“ピュタゴラス”か。何故貴様が求める?“ピュタゴラス”とはなんだ?」
レオーネはそれに対して回答する事は無かった。
代わりにシモノフを片手で持ち上げて銃口を向けてきた。
「貴様らの任務遂行にはフレミングが欠かせないだろう。だが残念なことにここでそれも途絶える」
その言葉の意味するところを理解した二人は視線をレオーネからフレミングらしき人物へと向ける。
…いや、解り切っている事からバットは目を逸らした。
レオーネによって構えられたシモノフの銃身はフレミングらしき人物に向けられ、トリガーを引くと文字通り
人が…ではなく
充満する血潮の臭いに誰もが僅かでも顔を歪ませる。
その中でバットは動いた。
突き出されていた銃身を左手で掴んで、右手にしていたベレッタで腹部を撃ち抜く。
苦しむ敵兵を無視して掴んでいた銃口を他の敵兵に向け、トリガーを押し込んで乱射させる。
ここには目標たる人物が居ない。
任務に失敗したかも知れないが、逆にこれは好きなだけ暴れても遠慮はいらないという事だ。
「スネーク!外へ!!」
「行かせるか!!」
入って来た扉から通路に出たスネークは即座に近くの兵士をCQCで投げ飛ばす。
バットはバットで乱射させた弾丸をレオーネに向けるも、彼を慕っていた部下が盾になって防がれた。
逆にシモノフが向いた事で腹部を撃たれていた敵兵の首根っこを掴んで、ずらして位置を入れ替える。
再び室内で人体が吹っ飛ぶ中、二人が通路に出たところで床をグレネード…それもスタングレネードが投げられた。
…ただそれはスネークとバットと言うよりは残っていた通路の敵兵に対してだった…。
何者かは知らないがとりあえずここを脱するしかない。
通路から外への出口へと駆け抜ける。
敵兵は転がったグレネードに焦り、こちらどころではない。
転がり出ると背後でスタングレネードが閃光と音を発して敵兵をダウンさせる。
外へ出た所に立っていたのは一人の女性兵士であった。
「こっちよ」
手招きする女性に疑いの眼差しを向けるも、レオーネの罠としては可笑しな話であり、疑いながらもついて行くしかない。
周囲の敵兵を排除しながら北側のゲートより脱出し、身を潜ませると一息ついて彼女と対峙する。
「貴女は誰ですか?」
「…私はアゲハチョウ」
「なに?」
ナニカの冗談だったのだろう。
場を和ますのも良いが、今は彼女が敵か味方か判断する為の情報が欲しいところだ。
陰陽道では春先に出くわす蝶によって占いと言われたところで
しかも続く言葉が私はアゲハチョウだから幸運なのと言われてもどう判断して良い事やら。
寧ろバットにしてみれば鼻に擽る香りの方が気になってしまう。
多分香水だろうけどいまいち良く解からない。
…これに関しては香水を使わないからとか男だからとかではなく、周囲に潜んで痕跡を残さないようにしなければならないという意識から何故香りという痕跡を撒くのか分からないと言った考えからである。
スネークが首を傾げるばかりの話ではあったが、無線越しに聞いていたロジャーにとってはまさに吉兆であり、嬉しい誤算だったようだ。
彼女はテリコ・フリードマンというスペンサー隊に所属していた兵士で、今となっては唯一の生き残り。
ロジャーとは昔から親交があったらしく、これで味方であると断定出来た訳だ。
『テリコ。君にとっては感激の瞬間だな。彼がスネークだ』
「この人が…あの…」
『私が新米隊員の教官をしていた頃に彼女と出会ってな。君の話を幾らかしたんだ』
「初めましてソリッド・スネーク。貴方の話には随分励まされたわ」
「つまり憧れの人って訳だ」
「なにを吹き込まれたか知らないが…」
『資料に基づく事実だとも。私もそれなりに知る立場にいるからね』
何処か恥ずかしいのかむずかゆいのか。
如何ともしがたい表情をするスネークを笑ったバットは軽く小突かれる。
そして彼女との合流はさらなる吉報を齎す事になった。
先ほどのフレミングは贋者で本物はBRC-026に移送されていたとの事。
しかも敵兵のぼやきと尾行する事で顔を確認しているので、情報の正確性ではゲリーを超えている。
無論の事であるが逆に居住区に居ると言ったゲリーが怪しくなる訳で、疑惑を向けられたゲリーは弁明と共に突然現れたテリコの方が怪しいと言い合いが始まる始末。
これに関しては言い争いになっている二人は兎も角、他の面々は呆れたようにため息を漏らす。
「兎も角、そのBRC-026に向かおう。話はそれからで」
『バットの言う通りだ。彼女の目撃情報を信じて行くしかない』
「連れて行くのか?」
「置いて行くんですか?」
「ここの状況なら私の方が詳しい」
連れて行くことに難色を示すスネークだが、三対一では分が悪過ぎる。
しかも総責任者は連れて行く側であるからにはスネークは従うしかない。
向かう先はBRC-026。
すでに警戒態勢に入った施設内を移動し、辿り着いた一行はあまりの臭いに足を止めた。
「なにだこの臭いは?」
「私も最初は吐きそうになったわ」
「食事直後でなくて良かったよ。まぁ、嗅覚を潰されたのは痛いけど」
「テリコ、香水つけているだろう。撒いてくれ。幾分かマシにはなるだろう」
「私、香水なんてつけてないけど」
スネークの問いに同意しようとしていたバットであったが、テリコの返しに首を傾げる。
ではあの匂いは何だったのだろうか。
今となっては周りの臭いで掻き消えて分からないのだが…。
それにしてもなんの臭いだ?
汗臭さや汚物、ナニカが腐った臭いなど臭気が蔓延っているものの、臭いの原因が転がっているというよりは浸み込んでいる感じだ…。
不快…。
それは臭いだけではなく雰囲気からも感じ取れる。
『君達が居る倉庫は事故か何かで大勢が死んで封鎖されるまでは、新薬の臨床患者が鮨詰めで寝かされてたんだ』
「ゲリー?」
『君達…いや、スネークはハンス・ディヴィスを知りたいのか?』
「あぁ、知りたいさ。今、ロジャーが調べてくれている」
『調べたのは調べたのだが…
「そうか…ッ…」
「どうしたのスネーク?」
「ちょっと頭痛がしてな」
『…
「まさか…新薬の臨床患者っていうのは…」
『いや、“蟲毒の儀式”が行われたのはそこじゃない…くくく』
ゲリーは突然クツクツと笑いだした。
先ほどから様子が変だ。
説明していたロジャーもそれは感じ取っており、現場の三名同様に警戒心を向けている。
『いやぁ、すまない。スネーク、
「どういう事だ?」
『さぁてね。君達はまだ何も知らない。ハンス・ディヴィスの事も。ソリッド・スネークの事も』
『スネークの事も…だと?』
『まぁ、僕は“
「“ピュタゴラス”の事ではないのか?」
『あんなものに興味はないよ。
「なに?」
ゲリーの意味深な発言の大半は分からないが、“ピュタゴラス”に関しては解かった…解ってしまった。
スネークとバットの二人に関連するもので大きな組織に襲撃した部隊が狙う様な代物ときたら一つしかない。
「メタルギア…核搭載二足歩行兵器…」
「――ッ、まさか!?」
『その通りだよ。なら“No.16”は―――心当たりはなさそうかな…』
ここでもまたメタルギアか。
倒した経験があると言っても核を積んでいる以上は危険性は変わらない。
いや、戦闘能力以上に手にした何者かが撃ったら終わりである。
肌身でメタルギアを知っているスネークとバットは別として、ロジャーも知っていたのか大慌てである。
『詳しく話せゲーリー!!』
『これ以上のサービスは無しさ。僕もフレミングが必要でね。“
「ゲーリー…お前っ!?」
通信が切られた。
あの発言からゲーリーは暗号を解かせたフレミングを殺す気である。
“
『ゲーリーより早くフレミングを確保するんだ!』
「分かってる!」
「走るぞ!!」
スネークにバット、テリコは駆け出す。
ゲーリーより先にフレミングを確保する為に、あわよくばゲーリーも捉えて全てを聞き出す為にも急ぐのであった。
ビッグボス…否、ヴェノム・スネークが起こしたアウターヘブン蜂起にて解かれていない謎が存在する。
ソ連製初のメタルギアである“サヘラントロプス”。
事情を知らない者からすれば未知の兵器。
だが存在を知る事の出来るほんの一握り…その中でもサヘラントロプスの最後を見届けた者にしてみれば、何故アウターヘブンに存在したこと事態が意味不明なのだ。
サヘラントロプスを撃破した後に自分達で再利用しようと言い出したミラー。
しかしながらピースウォーカーなどの部品を流用して制作されたメタルギア・ジークは、敵であったパスによって使用され、核を搭載していた事でスカルフェイスによる襲撃の理由付けとなった。
それもあってかバットは破棄を進言し、採用されてナパームで焼くなど徹底的に消し去った。
あの時、サヘラントロプスは完全に滅却されたのは間違いないのだ。
ではアウターヘブンにあったのは一体何だったのか?
考えられるのは新たに建造されたという事。
一体だれが?
メタルギアだけならマッドナー博士のがあり、わざわざ建造する理由がないだろう。
そもそも蜂起をしたアウターヘブンにサヘラントロプスを創り出すだけの資金的余裕があるとは思えない。
未だに解けない謎を調査しているオセロットは資料に目を走らせて、大きく深いため息を漏らす。
資料の送り主はニコライ。
アウターヘブンの調査依頼を受けていた彼の民間軍事会社で報告書が纏まり、それを馴染と言う事で内緒で融通して貰ったのだ。
無論メタルギアは情報漏洩を防ぐために破棄され、ニコライ達はその担当ではない。
しかしそれは公の取り決めなだけであって、秘密裏に情報収集は何処もが行っていただろう。
ニコライの所には古参の古強者が揃い、中には他国の上役とパイプを持っている者だって所属している。
ゆえに僅かながらでも情報を得る事が出来たのだ。
とは言っても本当に僅かなもので、目にした情報だけでメタルギアをしっかりと理解することは難しい。
それでも知りたい事は理解出来た。
アウターヘブンのサヘラントロプスは当時の部品で再現されたもの。
古い部品を取り寄せて再現したという事はそれにこそ意味がある。
あの頃はビッグボスが関わる事件のほとんどにメタルギアや巨大兵器が存在していたからそれほど気にしていなかったが、今となってはあれらの技術は失われている…。
それも機密事項で試作品だったそれらをビッグボスとバットが破壊して回ったせいというのもあるが、同時に情報操作や証拠隠滅で関係者などが消して行ったので残り得なかったからだろうな。
現在ではゼロから創り出すしか方法は存在しない。
メタルギアの存在を知る者からすれば、以前のメタルギアのデータを得て作業を短縮させたいはずだ。
多くの者は険しい道のりよりも緩やかな楽な道を選ぶのだから。
「お前が関与していると思っていたのだがな。最早問い質せも出来ないとは…」
オセロットは苦笑する。
過去のデータは“愛国者”によって消去されているだろう。
そもそも敵対されている“愛国者”がアウターヘブン蜂起に協力する道理もない。
ゆえに真っ先に疑ったのはサヘラントロプスの開発者であるヒューイが情報を提供したと事…。
問い詰めたいところではあるが、数年前に自殺しているとなっては聞きようがない。
コネを使って調べたことろ、ダイヤモンド・ドッグズを追放されてから奴は息子であるハル・エメリッヒと再会した後、同じく子連れの女性と再婚して家庭を築いていたらしい。
どうやってか知り得たストレンジラブがハルの親権を争ったものの、ヒューイの口八丁と再婚相手の女性も渡すまいと動いて結局親権はヒューイの下に…。
これを一応ミラーにも伝えてやると、俺達を頼ってくれればと悔しそうに漏らしていたな。
そのハルは独り立ちしてアームズ・テック社で働いている。
アームズ・テック社…。
大手兵器メーカーであるが冷戦時に飛躍的に成長したのも過去の栄光…。
兵器需要の縮小もあって経営は悪化して火の車だ。
…なのだが最近動きが活発なのだ。
海底調査と言ってカリブ海沖に何隻もの調査船を派遣したり、落ち目であるも政府高官や軍上層部、それに国防省付属機関先進研究局――“DARPA”との接触が目立つ。
時期を遡ってみるとアウターヘブン蜂起前後からそのような動きが見受けられる。
これは偶然なのか。
“DARPA”の局長で知人でもあるドナルド・アンダーソンを思い浮かべながら考え込む。
すると考えを遮るように無線は入る。
素早く耳に当てると向こうの相手は語り出し、オセロットは真剣に応対する。
「あぁ…俺だ。そっちの状況は…そうか。なら計画通りに動いてくれ―――ッ!?ロビト島でメタルギアの可能性だと…そちらはこちらでも調べよう」
またもメタルギア。
今度は何処の誰が…いや、何処の差し金か。
これは好機である。
正体不明の相手が動いたのなら辿れる可能性が大いにある。
「なんにしても状況の監視を怠るなよ…頼んだぞ
オセロットはほくそ笑みながら無線機を切ると早速動き出す。
忙しくなりそうだと何処か楽しそうに…。
●ちょっとした一コマ:アリスとゴースト その参
…疲れた。
任務が始まって一日も経っていないのだが、精神的疲労が半端ではない。
能力に
これでも色々気を回したり、問題があれば対応すべく考えを働かせたりとしているというのに…。
研究所とハイジャックの二件担当しているのもあって疲労と共に苛立ちまで募って来る。
眉間に皺を寄せてムッと不機嫌ながらにクッキーを頬張る。
サクリサクリと香ばしい食感ながらもしっとりともしており、口にすればバターの風味と甘味が広がる。
疲労と苛立ちもあってか進む。
苦味のある珈琲も相性が良いだろうけど、今は甘いものが欲しいのでジュースである。
これもまたゴーストが作って
なんかちょくちょく作るものだから「甘いものが欲しいんだけど」と言ったら、材料もバターと砂糖と薄力粉で作れるからと早速作ってくれて、今はそれを口にしながら休憩をしている最中。
休憩と言ってもロジャーに少し離れるとだけ伝え、別口の任務であるハイジャックされている機内の爆弾探しの手伝いを…行っているという事になっている。
『もしも爆弾を見つけたとしても…その後はどうするの?もしかして私が…なんて事ないわよね?』
無線機より機内を歩き回り、設置されている爆弾を捜索するミネットの声が届く。
不安なのかお喋りが多い。
黙って探してと言いたいところだが、無線機より
「不安を煽るようで悪いけど、君を頼る事になると思う」
『そんな…爆弾の解体なんて…』
「大丈夫、君なら出来るよ」
代わりに相手をしているゴースト。
言っている事は在り来たりなのだけど、何故かゴーストが言うとそんな気までしてくるから不思議である。
…もしかしてゴーストも私と
しかめっ面で見つめても顔も素性も隠している状態では見当もつかず、クッキーと一緒に用意されていたポテトチップスを摘まむ。
甘いものばっかり食べていたら塩気が欲しくなる。
ちゃんとポテチ用に炭酸を置いてくれる辺り、本当に良く解かっている。
ストレス解消もあって進む。
『ねぇ、これテレビじゃないんだよね?最近俳優を驚かす番組があるんだ』
「出来ればそう言ってあげたいよ。それだったら機内ではなくて到着後にいきなりクラッカーで出迎えして、ご馳走を一杯用意して驚かせたいね。チーズたっぷりのミートパイなんかどうかな?デザートは生クリームとアイスクリームをふんだんに使ったパフェで」
『良いわね。もし助かったのならパーティ…してくれる?』
「勿論だよ。けど“もし”じゃないよ。絶対だ。なにせこちらには優れた透視能力者が居るんだから」
ぶすりと良心に突き刺さる。
疲れたからと言って爆弾探しと子供の相手などを人に任せ、一人菓子とジュースでストレス発散している身でその言葉は酷く痛む。
『そうよね。アリスも透視してくれているのよね』
「…う、うん、集中しないといけないから無線に出れないけど、彼女も頑張っているから…」
『頑張って爆弾探さなくちゃね。アリスも招いて三人でパーティしましょうよ。私
矢というよりは槍の形をした言葉が突き刺さる。
ゴーストもフォローしてくれているようだけど、それすらクリティカルヒットしているのだけど…。
口の中をジュースで一気に流し込み、コホンと咳払いして無線機を渡してと催促する。
「もう良いのかい(休憩)?」
「えぇ、貴方にばかり頼っては駄目でしょう。私も仕事しないと…良心が…」
何処か遠くを見ているような目にゴーストは苦笑いを浮かべ、無線機をアリスに渡すのであった…。