ULTRAMAN~the other universal story~ 作:アンギラスの息子
アリアが銀河平和安全維持局のウルトラ戦士となってしばらくのこと。彼女はいくつもの戦場をくぐり抜け、ウルトラ戦士の中で二番目と呼ばれるほどの実力者へ成長していた。
宇宙のどこかにある小惑星。ここで彼女は今日も怪獣や侵略宇宙人と戦っていた。現在のあいては光熱怪獣キーラである。
アリア「でぇぇぇやぁぁぁ!」
キーラ「KYHUUUUEEEEEEEEE!」
女性が出してはいけないような雄叫びをあげながら突撃していくアリア。キーラもまけじと突進していくが、軽く受け流され、岩に顔面をぶつけてしまう。
アリア「こんのぉ…でぇりゃあああ!」
キーラ「KYHUUUUEEEEEEEEE!?」
立ち上がる暇をあたえず、すかさず尻尾を掴み振り回す。キーラも逃げ出そうとするものの、どうすることもできず足が地から浮いてしまう。
アリア「どっせぇーい!」
十周ちょっと回ったところで手を放し、おもいっきりぶんなげる。しかし女性が出していいような声ではない。どうしてこんなことになってしまったのか。
キーラはそのまま違う小惑星に向かって飛んでいき、直撃する。さすがに同情したくなる光景である。小惑星ではなく地面だったら犬神家になっていただろう。
アリア「さすがにこれだけやれば大丈夫でしょう…」
キーラが倒れて動かないのを見て止めを刺そうと近づく。だがキーラには最大の切り札が残っている。突如キーラがアリアの方を振り向き、目を見開いた。
アリア「なっ…きゃあぁっ!?」
キーラの目からすさまじい閃光が瞬き、アリアの視力を奪った。今が好機とキーラがアリアに近づいていく。
アリア「く…このぉ!」
キーラ「KYHUUUUEEEEEE!」
視力がなくてもキーラの位置を把握できるのはさすがナンバー2と言われるだけはある。正拳突きの要領で光線を連続で発射するが、キーラの防御力が高すぎるゆえ、全くダメージを受けていない。アリアの光線をものともせず近づいていき、思い切り蹴とばす。視力の戻っていないアリアにはまだどうすることもできない。成すすべもなく転がっていく。
アリア「う…くぅ…まだまだぁ!」
やっと視力が戻り再び立ち上がる。だがさっきの通り光線技はほとんどと言っていいほど通用しない。だがアリアは一つの方法を思いついた。それは―
アリア「近づいてぶんなげる!」
光線が効かないなら物理で押す。単純だが最も有効だろう。キーラがどうなるかは知らないが。
キーラも危険を察知して目から閃光を出すがアリアは飛び上がって避け、後ろに回り込み尻尾を掴む。
アリア「どおぉぉぉりゃああああ!だああああ!でりゃぁ!はああああっ!」
先ほど同様振り回して投げる。もう一度振り回して投げる。今度は首をつかんで一本背負いを決める。さらに右ストレートを決めてキーラを殴り飛ばす。ガイアだってこんなことはしないぞ。
アリア「ふう…ふう…もう少しで…ん?」
キーラ「KYUUUUU…」
止めにもう一回と思い近づいたところでアリアはキーラが怯えていることに気がついた。むしろあれだけやられて戦意喪失しな奴を見てみたいものだ。情け無用の男スパイダーマッ!ならばとどめを刺すところだが―
アリア「まったく…もう暴れたりするんじゃないよ?」
キーラ「kYHUUUEEE」
キーラの頭を撫でて逃がしてあげるのだった。見る人がみれば『甘い』と思うだろう。だがこれこそ彼女の『強さ』なのだ。優しさに強さを彼女は見いだしたのである。
アリア「ただいま戻りました!」
グレート「おかえり、アリア。キーラはどうなった?」
アリア「もう悪さはしないようだったので見逃がしてきました。」
グレート「またか? まぁ、お前がそういうなら間違いないんだろうな。」
アリア「もちろん! …ちょっと痛めつけすぎちゃったと思うけど。」
グレート「アリアは優しいな… これからも頼むぞ。」
アリア「はい!」
銀河平和安全維持局に帰還したアリアは最高指揮官を務める父の元へ報告をする。これで今日の任務は終了した。あとは報告書の提出を明日までにするだけである。グレートの事務部屋から出ると、一人の女性が声をかけてきた。
アリア「あ、マリーメイア教官!お疲れ様です!」
マリーメイア「久しぶりだな。少し見ねぇうちにまた強くなったってウチの部下達がウワサしてたよ。」
アリア「そんな…父さんに追いつけてないし、まだまだですよ。」
マリーメイア「お前さんでまだまだだったら、あたしらは永遠に未熟者だよ? 謙遜しなさんな。」
アリア「うー、ごめんなさい…」
マリーメイア「バカ正直に受け止めるなよ…ま、そこがお前さんの良いところなんだけどな。」
二人で話し合いながら歩いていると、彼女らの横をなにやらカプセルを囲んだ物々しい集団が通って行った。
アリア「あれって一体?」
マリーメイア「あー、あれはたしか…辺境で発見された細胞じゃなかったかな?一つ一つが意思を持ってるだとかなんとか。まぁ、ウチらには関係ないよ。研究所のやつらの仕事さ。」
アリア「ふーん…」
意思を持った細胞―この細胞がのちに宇宙滅亡の恐怖を、そして地球滅亡の危機を作り出す元凶になるとは誰も思っていなかった…
研究所の中を一人の研究員が歩いていく。目指す場所は細胞が収められているカプセルがある場所だ。
研究員「意思を持った細胞…わくわくするなぁ!」
マッドサイエンティストというやつなのだろうか?それとも心が滾っているだけなのだろうか。本当に大丈夫なのだろうか。
部屋に入り、研究用の衣服に着替え、細胞の研究を開始しようとしたその時だった。
研究員「うわっ…細胞がついて…ああ!?ああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
突如細胞が研究員の体を浸食し始める。彼の断末魔が悲劇の狼煙となったのだ。
いかがだったでしょうか?ついにゴーデスが動き出しました。アリアは、グレートはどう動くのか。この星はどうなってしまうのか。次回にご期待ください。
今回の小説の誕生秘話です。
グレートことアリアの設定は日米両方の設定が盛り込まれています。例えば出身地はアメリカ版ではグレート本人が「ゴーデスに滅ぼされた」と発言しており、日本版ではM78星雲出身となっています。よってこの小説では「もともと光の国出身ではないが、母星を滅ぼされ、後に光の国に帰属した」という設定になってます。
光線技もアメリカでは「バーニングプラズマを様々なタイプに応用しているだけ」という設定でしたが、日本では全てに技名がついてます。そのため、この小説では「技名はウルトラ六姉弟につけてもらった」という設定になりました。
さて、今回はこの辺で。次回またお会いしましょう!