GATE 幻想郷防衛軍彼の地にて斯く戦えり 作:にょろ35106
と言うか、サイトへのアクセス自体も久しぶり・・・・。
パスワード忘れていてめっちゃ焦った。
「ドローン?」
「そそ。ほら、この間外界に行った時ににとりが興味持っていたアレ。自分で作ってないかと思ってさ」
「一応、試作品はあるけどさ。何するの?」
にとりの工房にて伊丹とここの主であるにとりが発明品やら外界から流れ着いてきたジャンクが所狭しと並んでいる部屋で話している。
「これだよ」
伊丹が出したのは文々。新聞の例の記事。
「ああ、これね。外界の戦車ってのに似てるけど、やっぱり?」
「多分。それを確かめるためににとりのドローンにカメラ積んで撮影したいんだ。自衛隊に送る追加情報に必要みたいでさ」
「いいけど、実用に耐える改良を加えなくちゃいけないから1日はかかるよ?」
試作品のドローンを棚から引っ張り出しながらにとりが伝える。
「ああ、それで十分さ。で費用はどれくらいかかりそう?」
「お金より、交換条件はどう?」
「交換条件?」
ニヤッとにとりが笑う。
「秋葉原ってところのジャンクショップってのに行きたいんだよね。前行った時に見かけたんだけど面白そうだし」
「うーん・・・。向こうとの絡みもあるから即答はできないな・・・。一応は話をしてみるけど」
「オーケー。じゃあ、早速改良に取り掛かるから出てった出てった」
技術者モードに切り替わったにとりに伊丹は工房から追い出される。
博麗神社。
「と言うわけで、にとりからの条件は秋葉原に行きたいって事だったよ。何処で知ったのか、ジャンクショップに興味深々でさ。どうにかならない?」
「いや・・・流石に即答は・・・」
「だよねー・・・」
伊丹と桑原が難しい顔をして話し合いをしていた。
「話に割り込むっすけど、今の秋葉原には行かないほうがいいと思うっすよ?」
カメラをチェックしていた倉田が意味ありげな事を言ってきた。
「?倉田、何かあるのか?」
桑原が倉田の意味ありげな言葉に問い返す。
「最近なんすけど、秋葉原に奇妙な若い男女の二人組が出没しているようなんですよ。自分は直接見たわけじゃないすけど、ネットの掲示板とかで目撃情報が書き込まれたりしていて・・・・」
「奇妙な二人組?」
伊丹も興味を惹かれた。
「男の方は何処にでもいそうな感じらしいんですけど、もう一人がかなり可愛い感じの女の子なんですけど・・・・」
「リア充爆発しろ」
「伊丹さん、気持ちは分かるっす。で、その二人組なんですけど・・・街中で通行人を襲って服を引き剥がしているとか・・・」
「へぇ、外の世界にも追い剥ぎっているのね」
近くで茶を飲んでいた霊夢も少し興味を持ったらしい。
「強盗って事?でも、噂になるぐらいなんだからとっくに警察が・・・」
「それが、被害届が全く出されないようで警察も動けないってネット上で現役警官を名乗る人物が嘆いているんですよ」
「どうして被害届が出されないんだ?襲われた連中は後ろめたいことがあるような連中なのか?」
桑原が疑問を率直に口にする。
「襲われている側なんですけど、ネットの書き込みじゃあ男女問わず学生やらオタクやらコスプレイヤーやら統一性がないんですけど・・・ただ・・・」
「ただ?」
「いえ、襲われて衣類を引き剥がされた後に黒い煙になって消滅しているらしいんです・・・・」
「へぇ・・・。人間社会に紛れ込んだ妖怪で男女の方は現在の妖怪退治かな?」
幻想郷のルールに慣れきった伊丹が思いついた言葉をそのまま口にする。
「もう一つ、噂が眉唾っぽい理由に二人組の女の子の方が時々違う子に変わっているらしいんです」
「リア充爆発しろ」
「伊丹さん、よーーーーっく分かります!噂の通りならボーイッシュな女子に黒髪少女、金髪外国人のメイドにどっかの製薬会社の女社長にそっくりな美人を取っ替え引っ替えなんですから!それに信じたくないっすけどRinちゃんそっくりな子まで!羨ましいっす!」
「あ、ごめん、誰それ?」
「ええっ!?伊丹さん知らないんすか!?・・・・・・って、そりゃそうっすよね」
外界の芸能情報だから知らないのも当然なのに気付く倉田。
そんな他愛もない話をしながらも準備を進める一行。
翌日整備の終わったにとりのドローンにカメラを取り付け、昼間のうちに動作確認や操縦の慣熟訓練を行いバッテリーを充電し夜を迎えた。
「・・・・来ないっすね・・・・。もうすぐ3時になるっすよ・・・・」
「毎日来るかどうかなんて分からないからな・・・・。長丁場も覚悟する必要があるかも。あ、おにぎり食べる?」
「いただくっす」
伊丹と倉田がペアで人里外れの作業小屋に身を潜めていた。
他の自衛隊員達も反対側の人里外れで監視をしたり交代要員として仮眠を取っていたりしていた。
結局その日は現れず、翌日は昼間寝て夕暮れに昨日と同じ場所へ配置についた。
人里が寝静まった夜更けを過ぎた頃。
「そろそろ交代の時間かぁ・・・」
倉田が時計をチラッと見て呟く。
「今日も現れないかも・・・・ん?」
伊丹が微かに聞こえる音に気付いた。
「エンジン音・・・?倉田ちゃん、無線で誰かエンジン動かしたないか確認して」
「は、はい・・・!」
二人とも緊張する。
倉田が無線でもう一箇所の監視場所や待機組に確認を取る。
「だ、誰も動かしてないそうっす!」
「来たか・・・!?」
大急ぎでドローンの電源を入れ飛ばす。
伊丹はカメラからの映像を見る。
「サーモグラフィーには何も写ってないな・・・。倉田ちゃん、カメラの向きをこの小屋に向けて見て」
「はい」
伊丹は小屋の扉を開け画面が見える位置を維持しながら小屋の外に半身を出す。
画面にはきちんと伊丹の発する体温が映し出される。
「熱源反応が無い・・・・?エンジンが遮蔽物に隠れているのか・・・・?」
「暗視モードに切り替えて見ます」
倉田がカメラの操作装置を弄ると画面の映像が白黒の暗視モードに切り替わる。
しばらく変哲のない人里周辺の光景が映し出される。
「あ、今何か・・・」
ドローンをホバリング状態にしてカメラの操作に集中する。
「いた・・・!」
白黒の映像の中に動く〝それ〟を見つけた。
「カメラをサーマルに戻して見ます」
映像が再びサーモグラフィーに切り替わる。
「エンジンが動いてるならその熱がかなりあるはずなのに・・・。待った、履帯部分をズーム出来る?」
「うっす」
伊丹の言う通りに履帯を拡大する。
「履帯にだけ微かな熱源反応があるな・・・・。地面との摩擦熱か?」
「でも、排気熱すら・・・」
「・・・・燃料使ってなかったりして・・・」
「え?まさか・・・」
「霊力で動いてる付喪神かも・・・。以前、道具が意思を持つ異変があったし・・・」
伊丹は過去に起きた異変のことを思い出す。
「と、取り敢えず、可能な限りのデータを収集します」
倉田は当初の目的通りドローンを操作してその戦車にゆっくりと近付きながら戦車の周囲をぐるっと回るように全体の姿を暗視モードにて撮影する。
「気付かれた!?」
突如として動きが止まり砲塔が旋回し主砲がドローンの方へ向いた。
緊張が走るが砲撃はない。
「撃ってこない・・・・?倉田ちゃん、ドローンをもう一度ゆっくりとあの戦車を中心に旋回して」
「は、はい・・・・」
倉田も緊張しながらドローンの操作に戻った。
ドローンの動きに合わせて砲塔がピッタリと旋回する。
やがてドローンに敵意が無いと判断したのかその戦車は再び前進を始めた。
「ドローンのバッテリー限界が近付いてます。隊長の方に引き継いでドローンを回収します」
作動限界時間が近付きこちら側の仕事は終わった。
翌朝、戦車が再び人里周辺から去って行くのをドローンのカメラが見届けた。
撮影した映像は全て特地の自衛隊駐屯地を経由して日本に送られた。
防衛省に届けられた映像はすぐに解析班に手によって特定する為の映像解析に掛けられる。
解析班のメンバーのデスクには紙媒体・電子情報で日本国内外を問わず古今東西確認されている戦車の写真やイラスト、スペック等の情報が大量に揃っていた。
映像に戦車と共に近くに映り込んでいた物のサイズを測っている映像もあり、車体の大きさや主砲のサイズを可能な限り推測して行く。
解析班全体に疲労が隠せなくなりつつも解析を進める。
やがて一人の解析班員が一番似通ったスペックの戦車を見付け呟いた。
「・・・・・これ・・・四式中戦車か・・・・・?」
と。
なかなか時間が取れないっす。
そして読み返して思った。
あれ、今回も特地勢の出番全くない・・・・と。
ま、まぁ、幻想郷で自衛隊側が異変に巻き込まれている話ですしおすし・・・・。