GATE 幻想郷防衛軍彼の地にて斯く戦えり 作:にょろ35106
設定ミスって完全非公開設定にしまっていたと気付いた時はしばらく放心状態でした。
設定弄って遊ぶもんじゃないね。
「うぅ〜・・・頭痛い・・・・」
ガンガン痛む頭を抑えながら霊夢は起きる。
昨晩は自衛隊と異界の三名と飲みに飲んだ。
いつもの寝室に寝間着姿で寝ていたと言うことはみっともない姿を見せなくて済んだと言うことで安心する。
「はぁ〜・・・。いま何時だろ・・・。まだこんな時間?あ〜、でも頭痛くて寝てらんないし・・・・もう起きちゃえ・・・」
痛む頭を我慢しながら寝間着から普段の巫女服に着替える。
「あー、耀司達はちゃんと寝室に行ったのかしら・・・・?」
ガラッと昨晩宴会をしていた広間の襖を開ける。
「あー、うん。まぁ、予想はしていた」
伊丹の姿も異界の三名と自衛隊の一行の姿はない。
あるのはぐぅぐぅと寝息を立てている二体の鬼と昨晩の酒宴の途中で飛び入り参加してきた守矢の二柱の姿だ。
「勇儀も萃香に神奈子に諏訪子も、どんだけ飲んだのやら・・・・。いたたたっ・・・・。うぅ・・・・・迎え酒しよ・・・」
適当に手近にあった酒瓶を手に取る。
「あら、まだ開けてないのがあったんだ・・・・。これでいっか」
一口飲み、意外に美味な事に驚く。
「あ、確かこれって外界のお酒だったわね。意外といけるじゃないの、貰っちゃおっと」
ぐぅぐぅと寝ている鬼と守矢の二柱を放置して一人で酒を楽しむ霊夢。
「んー?あー、暇ー。・・・・・境内の掃除でもしてましょ」
霊夢は一人呟きながら境内に出る。
「うー、さぶっ。まぁ、動いていれば暖かくなるでしょ」
境内に積もった雪を雪掻きしながら霊夢は体を動かす。
「うぅ・・・さぶっ・・・」
客間で一人先に起きた伊丹は少し前に境内を掃除している霊夢の姿を見かけた。
この寒い中大変だと思い、茶を沸かし自分の分と共に霊夢に渡そうと境内に出る。
「おはようございまーすっ!毎度お馴染みの文々。新聞でーっす!」
「あー、文じゃない。上機嫌ね、なんかスクープでもあったの?」
「もちろんです!詳しくは紙面を読んでください!」
「まぁ、後で期待せずに読んでおくわ」
そこに伊丹が近付く。
「文ちゃん、おはよう」
「はへっ!?」
伊丹の登場に素っ頓狂な声を上げる射命丸。
「うぉっ!?ど、どうしたんだ!」
「まだ日が昇る前の早朝の博麗神社・・・・伊丹さんと霊夢さんが二人で・・・・。むっはーっ!大スクープの予感です!そのお茶は!?ひょっとして朝チュンで寝起きのお茶って奴ですか!?やる事やっちゃいましたかーー!?」
興奮しながらパシャパシャと写真を撮り始める射命丸。
「はっ!?いや、違っ!これは霊夢さんが寒いと思って入れただけで!ちょ、霊夢さんも黙ってないで何とか言ってよ!?」
「そーよ、文」
ほっとする伊丹。
ぐぃっ、むにゅっ。
腕を寄せられ何か柔らかい感触がする。
(意外とあるっ!?って、そーじゃねー!なんか変だぞ!?)
「ねぇ、子供は何人がいいと思う〜?」
「な、な、なに口走ってんだこの脇巫女はーっ!!?」
「お、おおおおおっ!ほ、本人の口から語られました!?スクープ!大スクープです!急いで号外を!それじゃ!!」
衝撃波が起きそうな勢いであっという間に姿を消す射命丸。
「おいまてこのパパラッチ!!」
追いつけないと分かっているが追いかけようとするが腕にしがみついている霊夢の為に追い掛けられない。
「ちょ、どうしたんですか霊夢さん!?って、酒くさっ!!」
しがみ付かれて気付いた。
とてつもなく酒臭い。
思い切って霊夢の顔を見る。
真っ赤だがそれは酒のせいだろうか。
目がグルグル目になっている。
「ありぇ〜?耀司が沢山いりゅ〜。うぷっ・・・・・」
「ちょ、だめ、そんなところで吐いたら・・・・アーーッ!!」
霊夢を取り敢えず広間に寝かせ境内の後始末をする。
そして気付いた。
縁側に置かれている酒瓶に。
「ちょっ、まさか霊夢さんこれ飲んだのか!?もしかして半分も!?」
その酒の正体。
それはとある酒蔵が持て余していた製造段階で失敗した日本国内では販売不可能な度数のお酒。
幻想郷に住んでいる鬼が大の酒好きと知り、ただ捨てるのも勿体無くもし気に入ってもらえたのなら鬼に対する一種の輸出も視野に入れ瓶詰めし何本か提供したいと業界団体を通じて政府に要請をし今回の幻想郷行きの際に持ち込む品の一部に入っていた品である。
因みに勇儀と萃香曰く、〝薄いけど旨い、もう少し強目にしてほしい〟と注文がついた。
それを霊夢が飲んでしまった。
それなりの酒豪である霊夢をも泥酔させるとは恐るべしと伊丹は思っていた。
「しっかし、マジでどうすんだこれ・・・。霊夢さんは酔い潰れてるし文々。新聞の印刷場所なんて知らないぞ俺・・・・」
はぁっ、と溜息を吐きながら縁側に放置したままの先程射命丸が配達して来た文々。新聞を手に取る。
外界の新聞のように連絡先や連絡方法などが記載されていないか僅かな希望を持って。
バサッと一面を見る。
「んっ?んんん〜っ?」
一面トップは巷で話題になっているらしい正体不明の妖怪とかについての記事だ。
紙面では〝UMAか!?〟とも書かれている。
不鮮明だが写真も載っている。
伊丹はその写真に写った〝それ〟のシルエットが何かに似ていると思った。
もっと鮮明な写真がなかったのかと思ったが生憎とそれが射命丸が撮影した中で一番まともな写真であると記事にも書かれている。
「ふわぁ〜あ・・・・。あ、伊丹さんおはようっす」
倉田が欠伸をしながら出てきた。
その後ろには桑原と富田、つまり自衛隊一行の男側が勢揃いである。
「それって新聞っすか?へ〜、これが幻想郷の新聞っすか。あれ?でもなんで幻想郷の新聞の一面トップに戦車っぽいのが載ってるんすか?」
「あ・・・・あーーっ!そうだよ!この形!なんかに似てると思ってたけど戦車だよ!え?戦車?」
事態は深刻だとすぐに理解した。
この幻想郷で戦車が徘徊している可能性があると言うことだ。
すぐに伊丹は思考を活性化させる。
これが戦車だとしたらどこの戦車で乗員は?
武装は?燃料は?
そもそもこの一両だけなのか?
伊丹が真剣に考え込む姿に倉田もただ事ではないと眠気が吹っ飛ぶ。
「と、とにかく、詳しく調べないといけないっすね・・・・」
「そうだな・・・・。伊丹さん、この新聞自衛隊に送りたいのだが構わないだろうか?日本で解析すれば何かわかるかもしれません」
「そ、そうですね。取り敢えず霊夢さんには俺から話しておきま・・・・その前に失礼!」
バサッと再び新聞を捲りながら連絡先が無いかと探すが・・・・。
見付かったのは〝特ダネがあれば配達中の射命丸文にお声掛けください〟の一文だけであった。
そして日が昇りきった時にようやく霊夢は起きたがさらに酷い二日酔い状態でその日の活動は不可能だと一目で分かる状態だった。
何しろ迎え酒を飲んだ後からの記憶が無いと言う始末。
そしてその頃、人里。
「号がーーーい!号外でーすっ!博麗の巫女に一足早い春の訪れでーーーっす!!」
人々が活動を始め職場に向かう大人や寺子屋に向かう子供達で一番賑やかになる時間帯。
上空から射命丸が号外と叫びながらビラのように号外記事をばら撒く。
その内容にある者は微笑ましい気持ちになり、ある者は羨ましい気持ちになり、そして・・・・。
「「「「なにいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!?」」」」
ある一部の人々からは嫉妬に狂った叫びが上がった。
彼等は人里に存在する本人の知らない博麗霊夢非公式ファンクラブの構成員達であった。
バラバラの場所でその号外を目にした彼等の思いは一つ。
〝伊丹耀司許すまじ、慈悲は無い〟であった。
もしこの幻想郷にとある異世界の悪魔が居たら確実にこう言ったであろう。
「その悪感情、大変に美味である」と。
余談だが、この後に伊丹は嫉妬に狂った彼等によって安住の地を失い博麗神社に転がり込み、
「しょうがないわねぇ・・・。あ、変な事したらぶちのめして叩き出すから」と霊夢が神社の手伝いを条件に受け入れる事となった。
この時、もし霊夢が伊丹を追い返していたり伊丹が転がり込む先がゲーム仲間の輝夜のいる永遠亭か伊丹をオモチャにしている紫のいる八雲家であったのならいつもの文々。新聞の誤報だったのかと自然消滅していたのかもしれない。
しかし伊丹は博麗神社に住み込んでいる。
話題の二人が同じ場所に住んでいると言うことは外部から見れば同棲しているようにしか見えない。
外部から見れば珍しい事だ、文々。新聞のスクープが事実だったと。
二人がそれに気付いた時は時すでに遅し、守矢神社や永遠亭や白玉楼や地霊殿や紅魔館等々、そして何故か月からもお祝いの言葉とお祝いの品が届き出す。
そして悪ノリした紫からは大量のベビーグッズが送られてくる始末。
この事態に伊丹と霊夢は頭を抱える羽目となるのはまた別の話だが。
中盤から後半は悪ノリして書きました。
とある世界の悪魔とはこの〇ばのバ〇ルさんです。
ネタで突っ込ませていただきました。
アニメ三期はよ。
と、言うわけで正体不明の存在は幻想郷を徘徊している戦車でした。
でも霊力弾をぶっぱして来た時点で普通の戦車じゃないけど。
う~ん、このまま霊夢とくっつけちゃおうっかなっと悩み中の作者。
魔理沙とアリスは百合ん百合んカップル、輝夜と妹紅は殺し愛カップル。
まぁ、どうなるかは話の進み方とその時のノリで決めようかと思います。
ちなみに迎え酒は一時的に痛みや気持ち悪さを麻痺させるだけで結局苦しむ時間が長くなるだけの悪手らしいです。
した事ないけど。