GATE 幻想郷防衛軍彼の地にて斯く戦えり   作:にょろ35106

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遂に幻想郷へ行く一行。
まったり幻想郷巡りか異変に巻き込まれるかはまだ未定。


なお、作者の周辺環境変化の為に更新間隔の間が大きく開くときもありますが堪忍や。


おいでませ幻想郷

 

「幻想郷かぁ〜、行ってみたいなぁ・・・・」

 

ある日倉田が食堂で何気なく呟くいていた。

 

「行ってもいいぞ?」

 

後ろからの声に反射的に立ち上がり敬礼をする。

 

そこに居たのは狭間。

 

「まぁ固くなるな、楽にしろ」

 

そう言い終えると狭間は倉田の向かいの席に座る。

 

倉田もそれに続き座る。

 

「り、陸将、先程なんとおっしゃいましたか・・・・?」

 

「幻想郷に行ってみたいと言っていたから行ってもいいぞと答えた。実はな、以前日本に行った特地の三名が幻想郷へ行く事になった。その時に八雲氏から今度は逆に日本から来賓を受け入れてもいいと言ってきてな。幻想郷は日本国内であって日本ではないし時には人間に害をなす妖怪が現れる事もあるそうだ。その為、護衛をつける事になったが・・・まぁ、護衛と言っても半分は休暇のようなものだ。あの三人と付き合いの長いメンバーを予定してたが説得する手間が省けてよかった。一応、護身用に銃器の持ち込みも構わないとのことだがこれは人里内での無闇な使用は禁じられている。ただ、幻想郷で発生した事に関しては全て自己責任となるが・・・」

 

「行きます!行かせてください!!」

 

「そ、そうか・・・」

 

倉田の必死さに思わず引く狭間であった。

 

 

 

そしてやってきた幻想郷への出立の日。

 

伊丹が指定してきたのは幻想郷へ乗って行く車両はスタッドレスタイヤかチェーンが絶対必要という事。

 

事前に幻想郷は雪が積もっている事が説明されていた。

 

当然だが舗装道路などはない。

 

そして出発は夜。

 

人里には“飛び出すな、車は急に〜”のお決まりの標語とは無縁だから万が一を想定し人気の無い夜間に出発となった。

 

各々が乗り込み第二ゲートへゆっくりと進んで行く。

 

日本から特地へ行く時と同じような光景の中を通過し、やがて通り抜ける。

 

「お待ちしておりました」

 

「よう、いらっしゃい」

 

ゲートの向こう側・・・幻想郷では藍と伊丹が出迎えた。

 

紫は少し手が離せない用事があるといいこの場には来ていない。

 

ゲート・・・幻想郷名・異界門の周囲は金属やコンクリートの建物があったがそれらは全て妖怪の作ったものだ。

 

「来たんすね!幻想郷に!」

 

感極まったかのような倉田が歓声を上げる。

 

「こちらは皆様に、紫様からお渡しする様に仰せつかっております」

 

日本と異界からの一行に封筒を手渡して行く。

 

「あの、これは・・・・?」

 

倉田が伊丹をみて言う。

 

「幻想郷の通貨だよ。一人につき一円が入ってるってさ。あ、日本の通貨に換算すると四、五万円くらい」

 

「そ、そんな大金を・・・!?」

 

自衛隊一行が藍と伊丹を見る。

 

「そっちだって俺達が外界に行った時にいろいろしてくれてたんだし、そのお返しだって思えばいいと思うよ?」

 

伊丹の言葉に藍が頷く。

 

「そ、そうですか・・・・。それでは、紫殿と会う機会があった時にこのお礼は・・・」

 

「んじゃ、行こっか」

 

藍はこの後紫に任された仕事があるということで別れ、一行は伊丹を加えて車に乗り込む。

 

「倉田ちゃん、道は案内するからその通りににお願いするよ」

 

「オッケーっす」

 

「それで、最初はどこに行くんです?」

 

富田が聞いてきた。

 

「まずは俺ん家。そこで朝まで寝て明日の昼前に里の外に出る感じで」

 

「分かりました、ナビを頼んます」

 

「んじゃ、まずは・・・」

 

伊丹の言う通りに異界門周辺の敷地を出る。

 

ヘッドライトが照らす夜の人里。

 

コンクリートとガラスの建物に慣れきっている自衛隊の一行は時代劇でしか見ることの出来ないような例えれば江戸の町のような感じの中をゆっくり走って行く。

 

たまに聞き慣れない音に興味を惹かれた人が障子を開けてこっちを見たり何処の世界にでもいるほろ酔い気分の飲兵衛の集団が自動車を見て腰を抜かして慌てて伊丹が助け起しに行ったりと一筋縄では行かなかったがそれでも次第に建物がまばらになって行く。

 

 

「あれ・・・・・?」

 

伊丹の声に思わず倉田がブレーキを踏む。

 

「どうしたのぉ?」

 

ロゥリィがそんな伊丹に聞く。

 

「いや・・・・俺ん家電気点いてるんだよ・・・・」

 

「スイッチの切り忘れ?」

 

レレィが誰もが良くやるポカでは無いかと指摘する。

 

「いや、少なくともここ二ヶ月は帰ってなかったし家出る時にブレーカーそのものを下ろしたのは確実なんだ・・・・」

 

「も、もしかして、泥棒が入った・・・?」

 

テュカが一番高い可能性を思い付き言う。

 

「いや、もしそうだとしても灯りを点けっぱなしは・・・。倉田ちゃん、あそこの家の少し手前から徐行でお願いできる?」

 

「了解っす。泥棒だったらふん縛ってやりましょう!」

 

ゆっくりと車を進め家の少し手前で止まる。

 

桑原の提案でサーモグラフィーゴーグルを掛けた栗林と富田が先行し家の周りを調べて戻って来た。

 

「障子で直接は見れませんが内部に熱源反応が四あります」

 

「四人?ずいぶん大所帯な泥棒っすね」

 

「倉田、まだ泥棒と決まってはいないぞ?だが、家主の彼が知らないとなると不法侵入なのは確かだな」

 

「伊丹さん、ちなみに幻想郷では他人の家に勝手に上がりこむって習慣あったりします?」

 

富田が聞く。

 

「いや、そんなのないよ。そんなのやるのは魔理沙さんがパチュリーさんの図書館に忍び込むぐらいだって」

 

全員が顔を見合わせる。

 

「伊丹さん、奥さんとか子供はいます?」

 

栗林が聞く。

 

「いや、俺独身だし。って言うか、居たとしたら忘れちゃまずいっしょ」

 

直球な質問に直球で返す伊丹。

 

「・・・・・・つまり、不法侵入者が中にいるのは間違いない・・・。声はしたか?」

 

「音はしましたけど・・・映画か何かを見ているような音でした」

 

「・・・・ここでこうしていても始まらない・・・・。伊丹さん、玄関以外に出口は?」

 

「勝手口が裏にあるだけだし、雨戸は全部閉まってるし・・・・他には無いっす」

 

全員が頷き、富田が裏口を確保し伊丹を先頭に桑原、倉田、栗林が玄関に向かう。

 

「鬼が出るか蛇が出るか・・・・!」

 

ガシッと引き戸を掴み少し動かす。

 

戸締りは確実にしたはずなのに動いた。

 

「くぉらっ!誰だ人ん家に勝手に入ってる奴は!?」

 

自宅に踏み込み、居間の襖を開け伊丹は叫んだ。

 

「「「「うきゃあああああーーーーっ!!?」」」」

 

可愛らしい悲鳴が四つ上がった。

 

そこに居たのは小さい・・・小さすぎる四人の少女達だった。

 




さて、伊丹の家に勝手に上がりこんでいたのは・・・・

9/28追記
当作品の伊丹は独身の未婚者です。

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