GATE 幻想郷防衛軍彼の地にて斯く戦えり   作:にょろ35106

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今回はめっちゃ短い。
前回投稿は徹夜状態でこのままじゃ寝落ちすると思い大急ぎで投稿したけど意味無かったかも・・・・。

10/12 全話改変に伴い序盤のモルトとの会話も改変しています。



帝国最後の日 後編

「さて・・・・返答は如何に?」

 

真顔に戻りモルトを見る紫。

 

「降伏など・・・・・」

 

先程の光景は魔法か何かだろうかと言う考えがモルトの頭の中をグルグル巡る。

 

近衛兵や兵士達を数秒で死体の山に変えた。

 

ゾルザルと奴隷をこの場から消し魔法の様なよく分からない方法でその死を見せ付けられた。

 

「降伏・・・など・・・」

 

状況は圧倒的に不利、ここに来てようやく自分達がどんな存在と戦っているのか理解し始める。

 

「降伏・・・したら帝国はどうなる・・・・?」

 

「周辺国家への影響もあるので帝国は存続しますがモルト殿には退位して頂きピニャ殿を即位させて頂きたい。一般人への影響は最低限に抑えられる様に支援は惜しみません」

 

狭間が答える。

 

「貴方は流石に無罪放免とは行きませんが、降伏すれば戦争は終わりますので生命は助かります。その後の貴方の処遇は新たに即位されるピニャ殿との協議で決まります」

 

柳田が続く。

 

「・・・・・しばらく一人で考える時間をくれぬか?五分程度で構わぬ」

 

「・・・・・いいでしょう。我々は外で待機しています」

 

謁見の間を後にする自衛隊と紫達。

 

「・・・・・余は一人になりたい。お前達も外で待っておれ」

 

「はっ!」

 

近衛兵や兵士、大臣も部屋を後にし残されたのはモルトただ一人。

 

 

 

やがて五分が過ぎ、十分が過ぎるがモルトの入室許可の声はしない。

 

「・・・・・・遅いわね」

 

「まさか・・・隠し通路とかから逃げたんじゃ・・・?」

 

「入って見ましょう」

 

紫の提案に自衛隊も乗り謁見の間に入る。

 

玉座に座っているモルトが目に入る。

 

「へ、陛下・・・・?」

 

心配になり後ろからついて来た大臣がモルトに声をかけるが返答は無い。

 

さらに近付く。

 

モルトの足元に何かが落ちている。

 

「へっ、陛下!?」

 

それが目に入り大臣が駆け足でモルトに駆け寄る。

 

紫達もその後に続く。

 

「・・・・・・・自害したか」

 

藍が床に落ちていた盃と溢れた少量の液体と座ったまま絶命しているモルトを見て呟いた。

 

「へ、陛下からの遺言だ・・・」

 

嘆き悲しみながら大臣がモルトの亡骸の膝の上にあったそれを読み、紫達に手渡す。

 

帝国の交渉権を日本と幻想郷の事を帝国内で一番よく知っているピニャに一任するとの内容。

 

ディアボではなくピニャに皇位を継がせるというディアボ絶望の文もある。

 

「戦争は終わったか・・・・」

 

安堵の息を吐く狭間。

 

「・・・・陛下の葬儀ぐらいは構わぬだろうか・・・・?」

 

大臣が聞いてきた。

 

「構いませんが・・・その前に検視はさせて頂きます」

 

聞き慣れない言葉だったが狭間と柳田の説明で理解する。

 

 

数日後。

 

検視により服毒自殺と認定されたモルトの遺体は帝国の国葬で見送られた。

 

帝都に戻ったピニャは薔薇騎士団護衛の元に戦後処理と皇帝即位の準備に忙殺される事となるがこれ以上民達に危険が及ぶことはないと安心しながら書類の山と対峙していた。

 

もう一人の皇子であるディアボは自らの野望が潰えた事を知り帝都より姿を消した。

 

 

 

 

世の中には自分そっくりの人間がいる。

 

特徴を決める遺伝子の数が限られているからだ。

 

時の為政者は自分そっくりの人間を影武者に仕立て上げたりしていた。

 

それは異界でも同じであり・・・。

 

自害したモルトは影武者であり本人はまんまと隠し通路から脱出し帝都の地下に潜んでいた。

 

信頼の置ける腹心達はモルトからの手紙によって呼び出されそこでモルトと再会、油断をしているピニャ達を強襲し再度皇帝の座に戻る企てをする。

 

「往生際が悪いわね?」

 

その場にスキマを開いて現れる紫。

 

「それにしても、いい餌だったわ」

 

モルトと言う餌に食い付いた皇帝派の一同を見回す。

 

わざと本物のモルトを放置し抵抗勢力を釣り上げた。

 

「き、気付いておったか・・・」

 

「言ったでしょ?式を無数に放っているって」

 

次々とスキマが開き飲み込まれて行く腹心達。

 

「あなたは死んだことになっていて葬儀も行われた。つまりはもう存在しない」

 

スキマがモルトを飲み込む。

 

「さて、どうなるかしら」

 

その先は容易に想像つくがあえて紫は一人つぶやき無人となったモルトの隠れ家から姿を消した。

 

モルトの側近達は海の上やら火山の火口やらに送られすぐに死を迎えた。

 

だがモルトがスキマで送られたのはだだっ広い平原。

 

そしてそのモルトを囲む大勢の人々。

 

そこに居る人々は歳や外見は様々だが共通しているのは黒目黒髪。

 

帝国の侵略によりただそこに居ただけで理不尽に殺された人里や銀座に居た人々の遺族であった。

 

自分に向けられた殺意を感じ取り後ずさるモルトだがその後ろからも殺意が放たれる。

 

集団は何かを叫ぶがモルトには分からない。

 

やめてくれと叫ぶが飛んでくる拳や蹴りに黙らされる。

 

歯が折れ鼻血が噴き出す。

 

顔面は腫れズタボロになったモルトは大きな杭に縛り付けられ火炙りに。

 

火が消えた後には焦げた杭と真っ黒焦げになったモルトだったものが残った。

 

 

 

幻想郷からの人々は別だが、銀座事件の犠牲者遺族達は全員が銀座事件首謀者に復讐すると言う夢を見たと少しの間だが話題となった。

 

 




モルトフルボッコからのバーベキュー。

前話でテューレさんが理不尽に殺されたのも銀座や人里で帝国の襲撃によって大勢の人々が殺されたのも同じ理不尽だと思っています。
両者に共通するのは“ただそこにいただけで殺された”と言う理不尽だと思ってます。

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