GATE 幻想郷防衛軍彼の地にて斯く戦えり   作:にょろ35106

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人は慣れる生物です。


レレィのパソコン初心者教室(教えてもらう側)

合衆国大統領ディレルの爆死事件は世界中を駆け巡った。

 

反米国家はお祭り騒ぎであったがその他の国々は日本も含め首相や大統領と言った国の代表者達が哀悼の言葉を米国に贈った。

 

ディレルが爆死していなければそこには辞任を発表した本位総理の映像が流れていたのだろうが今はホワイトハウスに献花をする米国人達の映像が流れている。

 

他には中国やロシアでのサイバーテロがちょっとだけ取り上げられている。

 

頭脳を失った工作員を派遣した在日米軍基地では門から異界と幻想郷へ戻る一行を拉致するために待機していた残りの工作員達を引き揚げさせていた。

 

中国・ロシアもサイバーテロ等で混乱しており、手足となる工作員達への指揮系統が混乱し異なる命令が違う指揮系統から降ってきたりして現場は右往左往しているうちに公安や警察に不審者として拘束され一行はゲートの向こうへ帰って行ってしまったのだった。

 

 

 

門を抜けると見慣れた自衛隊員達には見慣れたアルヌス駐屯地の姿。

 

そして眼鏡をかけた見慣れない男が一人立っていた。

 

腕に許可証の意味を持つ腕章を付けていることと服装から幻想郷側の人物であると思われた。

 

「魔理沙」

 

その男は脇目も振らずに車から降りた魔理沙に近付く、

 

「げっ、香霖・・・・。つ、ツケの話か?だったら悪いけど、また今度に・・・」

 

「確かにツケは溜まってるけどそんなことを話しに来たわけじゃない」

 

その場からそそくさと逃げようとする魔理沙だが香霖・・・・森近霖之助はその言葉を切り捨ててしまう。

 

「じゃ、じゃあ、何の用だよ・・・・・?」

 

少し気弱な感じになる魔理沙。

 

その先の言葉を想像しての反応だろうか。

 

ピニャを始め異界一行と自衛隊一行は男女関係のもつれによる修羅場かと一部は不謹慎にもワクワク、一部はハラハラしながら成り行きを見守る。

 

「君は、いつになったら霧雨店に戻って来るんだい?」

 

「だ、だから何度も言ってるじゃないか!あの店は香霖にやるって!」

 

「そんな簡単に言わないでくれ!」

 

言い争いを始める二人。

 

「はいはい、私達は行くわよ」

 

「そ、それじゃあ霖之助さん、また今度〜」

 

霊夢と伊丹が野次馬と化した異界一行と自衛隊一行をその場から移動させる。

 

取り敢えず近くの建物の影まで移動すると「はぁ〜」と霊夢と伊丹が同時に溜息をつく。

 

「いつかこうなるとは思っていましたけど・・・・・」

 

「仕方ないわよ。魔理沙の奴、父親と喧嘩別れしたままだったからね」

 

「あの二人、仲悪い・・・・・?」

 

置いてけぼりになっていたレレィが少し心配そうな顔をする。

 

同じ魔法使い同士意外と魔理沙と気があっているようだ。

 

「ああ、違う違う。霖之助さん・・・・あっちの男の人は魔理沙を心配してるんだよ」

 

「そりゃそうよ。魔理沙の奴、父親の葬儀の時見たこともないぐらいわんわん泣いてたし。それで葬式が終わったらまた家飛び出して霖之助さんに店を譲るって一方的に手紙送りつけたっきりだから、思い詰めてないか心配なのよ。霖之助さんから見れば魔理沙は妹みたいなものだし」

 

「お葬式・・・魔理沙のお父さん、死んだの?」

 

「ええ、あの日は人里への襲撃で二千人が死んだから・・・」

 

「霧雨さん、御高齢で走って逃げられなかったんだ」

 

レレィの問いに答える霊夢と伊丹。

 

二千人が死んだ日、襲撃の言葉にピニャの表情が曇る。

 

「ん?なんであんたがそんな顔してるの?」

 

霊夢がピニャの表情に気付く。

 

「いや・・・・その・・・・」

 

「悪いのは襲撃を命令したあんたの父親で、あんた自身は命令したり襲撃に参加したりしてないんでしょ?だったら気にするだけ無駄よ」

 

「いや・・・そうは言っても・・・だな・・・」

 

だんだんと霊夢が面倒臭くなって来た時。

 

「こーりんのバーカバーカ!!」

 

「あっ!こら魔理沙!話はまだ終わって・・・!!」

 

魔理沙と霖之助の一際大きな声がしたと思ったら魔理沙は箒にまたがって伊丹達の頭上を飛び越え紅魔館へ戻って行った。

 

「まったく、魔理沙は・・・・」

 

霖之助のやれやれと言うような感じの声。

 

「ああ、耀司まだそこにいるんだろ?」

 

流石にバレていたかと伊丹は姿を見せる。

 

「ど、ども、霖之助さん」

 

「ああ、別に怒ってるわけじゃないから普通でいいよ。それにしても、相変わらずだな魔理沙は・・・」

 

はぁっ、っと溜息をつく霖之助。

 

「耀司、霊夢。悪いけど魔理沙の事をよく見ていてやってくれ。無茶なことしなければいいんだけど・・・・」

 

「まぁ、いいけどね」

 

「分かりました。それとなく気を配っておきます」

 

「ああ、頼むよ」

 

 

 

紅魔館に先に戻った魔理沙はパチュリーに持ち出した本を返してくれと懇願された。

 

冗談で魔理沙は土下座でもすれば返してもいいと言ったら小悪魔と一緒にパチュリーが本当に土下座して来たので戸惑いながらもパチュリーに本を返す。

 

「戻ったわ!こあ、再封印するわよ!」

 

「準備は出来ています!」

 

パチュリーと小悪魔は大急ぎで図書館内の禁書封印室に駆け込みしばらくして出て来た。

 

「はぁ・・・まさか再封印の準備中に魔理沙に持ってかれるなんて・・・・油断していたわ」

 

「でも、本そのものの封印が機能していて助かりました・・・」

 

「そ、そんなにやばい代物だったのか・・・・?」

 

「ええ、あれはやばい代物よ。研究書でも封印が完全に解けていたら魔力汚染で周囲の人間が廃人になるレベルのね」

 

「・・・・・・マジかよ・・・・」

 

なお、図書館を去る際に魔理沙はちゃっかりと図書館内の本を数冊勝手に持ち出していた。

 

「魔理沙はーーー!」

 

本が無くなっているのに気付いたパチュリーが何時も魔理沙に本を持ち出された時のお決まりの言葉を言っていた。

 

「でも、あっちのヤバイ本持って行かれるよりは遥かにマシだけど・・・・」

 

禁書封印室。

 

その中には大国を魔力汚染で滅ぼせるほどの本当にヤバイ最悪の本が何十冊も厳重に封印されている。

 

魔理沙が持ち出していた研究書はそれらに比べれば可愛い方であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日はピニャ達一行も含め異界組は紅魔館に宿泊する事になった。

 

「で、レレィさん。日本でそんなものを買ったから使い方を教えて欲しいと」

 

伊丹の部屋にレレィが押しかけて来ていた。

 

ロゥリィ、テュカも興味から同席していた。

 

紅魔館の伊丹に割り当てられた部屋の机の上にはレレィが日本で買って来たノートPCの箱が鎮座していた。

 

「レレィ、一つ聞くけど電源はどうするつもりだったんだ?」

 

「電・・・源・・・?」

 

「ああ、こんな機械を動かす為の力だよ。こう言った電子機器は電気が必要なんだけど紅魔館の電力は電圧の関係で使えないからなぁ・・・」

 

「電気?」

 

「あー、そこからか。ほら、雷とかがピカッて光るだろ?あれが電気。あ、でも魔法で電気出すってのは無しだぞ?間違いなく壊れて火を噴くから」

 

「・・・・困った」

 

「んー・・・一度技術工房で見てもらうか」

 

伊丹は箱を持つと全員でゾロゾロと紅魔館の敷地内にある河童の工房へ向かう。

 

「ちーっす、にとりいるかな?」

 

「いるよー?」

 

遮光グラスを掛けて作業をしていたにとりが返事をして来た。

 

「盟友、今日はどんな用かな?」

 

「ああ、実は・・・・」

 

「これをニホンで買って来た。でも、伊丹が言うには電気と言うのが必要と言う。紅魔館のは電・・・・電・・・」

 

「電圧な」

 

「そう、電圧の関係で使えないって・・・」

 

「ふーん、つまりは変圧したいって事か。オッケー、私もいくつか外界で買って来た物を充電する必要があったしちょうど今変圧器作ってたんだ」

 

「じゃあ、タイミングが良かったって事か」

 

「そう言う事。予備も含めていくつか作ったから一つあげるよ」

 

 

 

れれぃは ねんがんの へんあつきを てにいれた。

 

 

 

再び伊丹の部屋にて。

 

「じゃあ、変圧器を間に挟んで・・・」

 

変圧器を通してコンセントを繋ぐ。

 

ノートPCの充電ランプが点灯する。

 

「じゃあレレィ、そこの少し凹んでいるところを軽くグッと指で押して」

 

「こう?」

 

伊丹の言う通りにレレィは電源ボタンを押す。

 

液晶画面に起動画面が現れ最初のセットアップ画面になる。

 

「ユーザー名を入力か。じゃあ、レレィって打ってみて」

 

「こう?」

 

レレィはキーボードを不慣れな手つきで押す。

 

;;E

 

「・・・・・?」

 

首をかしげるレレィ。

 

「あー、そっか。レレィは日本語は少し字もわかるようになったけどローマ字入力はまだ無理か・・・・」

 

レレィが押したのは平仮名の書かれたキー。

 

「ちょっと待ってな。えーと、入力切替で・・・・よし、もう一度」

 

「分かった」

 

れれい

 

「あ、最後の文字はこっちのシフトキーって言う矢印のついたボタンを押しながら。このボタンで一文字戻れるから」

 

「ん」

 

れれぃ

 

「で、最後にこの少し長いボタンを押して・・・」

 

レレィ

 

「そう。で、最後にエンターキーって言うこの少し大きめの曲がった矢印が書かれたボタンで決定」

 

「やってみる」

 

キーを押すと確認画面が出て来て決定する。

 

「次はパスワードか」

 

「ぱすわーど?」

 

「合言葉みたいなもの。これを決めておけば勝手に他人に使われないように出来る。レレィしか使わないなら使用しないことも選べるけど誰でも使える状態になったまま」

 

「使い慣れるまで、そのままでいい」

 

レレィはパスワードを未設定にする。

 

「操作で分からないことがあれば俺でもだいたい教えられるけど、機械の故障とか知りたい事があれば俺よりもさっきのにとりの所に行けばいいから」

 

「分かった」

 

異界の魔法使いノートPCに夢中になる。

 

後日。

 

「スペック不足。CPUの処理能力もメモリも全然足りない。ノートPCじゃグラフィックボード刺せない」

 

「・・・・・・・レレィさんや?」

 

「あ、伊丹」

 

「すごく詳しくなったね?」

 

「ん。この動画のゲームってのやってみたい。でもこれじゃスペック不足。デスクトップのゲーミングPCって言うのがいいらしい」

 

「どんだけ詳しくなっているんだ本当に!?」

 

困った時の二ツ岩商店。

 

数日後レレィはマミゾウ経由で本当にゲーミングPCを手に入れていた。

 

マミゾウもレレィから手数料込みの代金を異界の金貨払いで受け取りホクホク顔をしていたとか。

 

「あの、レレィさんや?」

 

「あ、伊丹」

 

「なんのゲームをプレイしているんですか?」

 

「ちょっと待って。今、銀行強盗ミッション中」

 

「G○Aじゃないか!?」




レレィがゲーマー化してしまう・・・・・?




魔理沙パパは襲撃時に死亡しています。

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