GATE 幻想郷防衛軍彼の地にて斯く戦えり   作:にょろ35106

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みんな大好き旅館襲撃。


うーん・・・・うまく書けたかどうか・・・・・・。


工作員達の夜

ザッザッザッザッザッ・・・・・・。

 

草を踏み分け、米国工作員が旅館の日本庭園手前まで移動した。

 

情報通り、日本の特殊部隊は完全に手を引いたようであり妨害は完全に止まった。

 

「ジャップが、身の程を思い知ったか・・・・」

 

侮蔑の言葉を吐き歩みを進める。

 

 

バッタリ。

 

 

そんな言葉が最適だろう。

 

彼等全員がまさか自分達以外の勢力が居たとは露ほども思って居なかっただろう。

 

だからこそ、同じ言葉が発せられた。

 

「「「「「!?」」」」」

 

五つの勢力の工作員達が固まり、全員が無言で互いの姿を確認しあった。

 

直後に各勢力の工作員達全員が銃を構える。

 

 

バンッ!

 

 

雨戸が蹴破られ二つの影が飛び出す。

 

その影は庭園の岩の上に降り立つ。

 

「みなさまぁ、こんな夜中にわざわざご苦労さまぁ」

 

「幽々子様に危害を加える者は・・・斬る!」

 

鎌のようなハルバードを持った浴衣を着たままのロゥリィと愛刀・楼観剣を構えた妖夢の姿。

 

ロゥリィが火蓋を切った。

 

ハルバードが手近に居た工作員を数名斬り殺す。

 

何処の工作員が銃を最初に発砲したのかは分からなかった。

 

すぐに工作員同士の撃ち合いとなり、迫って来るロゥリィと妖夢に銃を撃つ者もいた。

 

だがロゥリィはハルバードで、妖夢は半霊が放つ弾幕で弾を防ぎ工作員に肉薄し斬り倒す。

 

 

「こ、こちらシックス!作戦は失敗!失敗だ!!」

 

「どうした!?日本政府との話はついているはずだ!!日本の妨害か!?」

 

「違う!き、着物の二人の女が・・・・!!そ、それに俺達だけじゃない!!」

 

「どう言うことだ!?」

 

「ロシアに中国に韓国に北朝鮮の連中も同じことを考えていた!!」

 

「なんだと!?」

 

「乱戦状態だ!ここはもう戦場だ!!情報部はなにをやっがふっ!?」

 

本部に通信を送っていた米国工作員が最期に見たのは自分を撃ち殺した女の姿だった。

 

 

 

「きゃあっ!?な、なんなのよ!?」

 

突然始まった戦闘に理解が追いつかない栗林。

 

「どうやら、私達を連れ去ろうとしている連中がいたみたいね」

 

輝夜があまり緊張せずに答える。

 

「ちょ、そんな!?」

 

「優曇華、行ける?」

 

「私だって元は月の玉兎兵です!戦闘が仕事だったんですから!」

 

部屋から飛び出し地面を転がりながら転がっているアサルトライフルを拾い上げ死体の影に隠れる。

 

カシャッ!ジャキッ!

 

いくつかの部品を触りながら確認する。

 

「行ける!」

 

ザッ!

 

死体の影から銃を構えながら飛び出す。

 

通信きらしきものに向かって何かを叫んでいる男を視界に捉え銃口を向け躊躇なく引き金を引く。

 

パラララララララッ!

 

サプレッサーが壊れていたのか派手な発砲音を轟かせ弾が飛び出す。

 

弾は優曇華の狙い通り男の頭に全弾命中する。

 

「この銃、残弾が少ない・・・?ならっ・・・・!」

 

素早い動きで今殺した男の元に飛び込み装備を漁る。

 

新しい銃と弾薬、手榴弾を手に入れ優曇華は主人の永琳と輝夜、ついでにてゐを守る為に森の中に姿を消す。

 

 

 

「ゆ、幽霊だ!!」

 

パパパパパパパパパパパッ!

 

ロシア人の工作員達が銃を撃つが弾丸は屠自古の身体を通り抜けて行く。

 

「何言ってるのか全然わかんねーから日本語で言えよ・・・・・。それにお前達馬鹿だな、亡霊に普通の攻撃が通じるかよ?」

 

そう言うと雷を発生させ落雷で数名を感電死させる。

 

既に庭園から森の中に戦場は移っていた。

 

 

 

「くかー、くかー」

 

「すぴー、すぴー」

 

「すぅ・・・、すぅ・・・」

 

霊夢と魔理沙はこの大騒ぎにもかかわらず酔い潰れ熟睡している。

 

さとりは普通に熟睡だが。

 

神子が攻撃を防御するための結界を構築し終わった。

 

外からは銃声や悲鳴が絶えることはない。

 

ドスドスドスドスッ!

 

伊丹は廊下を勢いよく踏む音に気付いた。

 

「あちゃー・・・・」

 

足音の主人に心当たりしかない。

 

バンッ!

 

襖が勢いよく開け放たれる。

 

「うるっせえええぇぇぇぇぇっ!!!」

 

あまりの大声に銃声や悲鳴よりもその声の方が一瞬だが勝った。

 

がるるるるるるるるっと言う唸り声を出しそうな雰囲気でズカズカと歩く。

 

窓から差し込む月明かりがその顔を照らした。

 

テュカ、レレィ、栗林、富田、桑原が唖然としながらその人物を見た。

 

顔は知っているが知らない人物という矛盾した表現が合うだろうか。

 

顔は知っているが髪の色が違う、両側頭上部から鋭く長いツノが生えている。

 

「あー、け、慧音さん、こんばんわー・・・・」

 

「伊丹・・・・・」

 

ギロリと伊丹を睨みつける慧音。

 

「はっ、はひっ!?」

 

「この騒ぎはなんだ・・・・」

 

「え、ええと・・・ま、招かれざる客が大勢来たというかなんと言うか・・・・・」

 

「そうか・・・・・」

 

スタスタと外に向かって歩いて行く慧音。

 

「夜中に大騒ぎする悪い子には教育的指導だ!!」

 

獣のような速さで慧音は森の中に消えていった。

 

「い、伊丹さん・・・・今の・・慧音さんなんですか・・・・・・?」

 

突然の事に完全に酔いの冷めた栗林が聞いてきた。

 

思わず丁寧語になってしまっている。

 

「ほら、今日満月でしょ?」

 

「え、ええ、はい・・・・」

 

「狼男のハクタク版って言えばわかる?ワーウルフならぬワーハクタク。ちょっと好戦的な性格になっちゃうんだよ・・・・」

 

「「「「「・・・・・・・ちょっと?」」」」」

 

テュカ、レレィ、栗林、桑原、富田の声がハモった。

 

 

 

ロゥリィがハルバードを振るうと木々や竹と共に工作員達の体が纏めて切断される。

 

「固まれ!一斉射撃!」

 

ロゥリィに向かい中国工作員達による一斉射撃が行われる。

 

流石のロゥリィも一斉射撃をガードしているものの十丁近いアサルトライフルの衝撃と不安定な足元で進むこともままならずいっその事突っ込もうかと考えていた矢先。

 

「ぎゃぁっ!?」

 

「ひぎぃっ!?」

 

「がぁぁっ!!」

 

悲鳴と共に銃撃が止む。

 

見れば全員が銃ごと腕を妖夢に斬り落とされている。

 

そのまま薙ぎ払うように一閃。

 

そこにいた工作員達は楼観剣で斬り殺される。

 

「妖怪の鍛えたこの楼観剣に斬れぬものなど、あんまりない!」

 

「えぇっ?そこは斬れぬものは全くないじゃないのぉ?」

 

「き、斬れないものもあるんです・・・・・」

 

少し顔を赤くする妖夢。

 

 

 

「うわあああああぁぁぁっ!!」

 

「助けて!助けてくれぇっ!」

 

逃げ惑う韓国工作員達。

 

パララララララッ!

 

背後から鉛玉を浴びせられバタバタと倒れて行く。

 

「く、くそぉっ!」

 

少しでも生き延びようと追跡者に銃を向ける。

 

「いない!?」

 

「兎の脚力を舐めるな!!」

 

人間には不可能な高さに跳躍した優曇華。

 

そのまま慣性の法則に任せ韓国工作員の口に銃口を突っ込む。

 

「あがああぁぁぁっ!!」

 

歯が折れ血が出るがお構いなくそのまま優曇華は引き金を引く。

 

パララララララッ!

 

工作員の頭が弾け優曇華に返り血が掛かる。

 

パンパンパンッ!

 

米国工作員の死体から頂戴したハンドガンを背後を振り向くこともなく撃つ。

 

バタッと何かが倒れる音。

 

はぐれロシア工作員が倒れた音だった。

 

「この程度、月での地獄の訓練に比べれば遊びにもならないわよ!」

 

かつて玉兎兵だった頃の過酷な訓練を思い出す。

 

八意家、しかも月の頭脳と呼ばれた八意永琳付きの玉兎兵になる為に泥水を啜りどれだけの血を流したか覚えていない。

 

「・・・・・・こいつらの武器、なんか嫌な予感がする・・・・。あっちの方のにしましょう」

 

韓国工作員の死体の山の装備を無視し倒したロシア人の装備を剥ぎ取る優曇華。

 

軍人としての本能で武器の欠陥を見抜いた優曇華であった。

 

「あっ、これAK-74M!ラッキー♪」

 

ロシア人から武器を剥ぎ取った優曇華が小躍りしたくなる程嬉しくなった。

 

こっそり輝夜のPCで外界の銃器動画を見まくっている隠れ銃マニアの優曇華であった。

 

ちなみに動画閲覧履歴で輝夜にはバレバレだが。

 

 

 

 

「う、うわぁぁっ!!で、デーモンだぁっ!」

 

「教育的指導!!」

 

ガッ!と頭をホールドされガスッ!と頭突きが炸裂する。

 

人間状態の慧音の頭突きでさえ生徒が悶絶するのだ。

 

妖怪化し威力の上がった頭突きは頭蓋骨骨折させるには十分な威力。

 

そのまま昏倒する米国工作員。

 

「し、死ねぇ!!」

 

中国工作員が木陰から飛び出し慧音に向かい発砲。

 

顔に向けて撃った。

 

頭が仰け反り倒したと思った。

 

「プッ・・・痛いじゃないか」

 

「う、嘘だろ!!?」

 

だが弾丸を口から吐き捨てられた。

 

「教育的指導!!」

 

中国工作員達に頭蓋骨陥没級の頭突きが炸裂する。

 

 

 

「じょ、冗談じゃねぇ!こんなところで死にたくねぇっ!」

 

一人の韓国人工作員が仲間を見捨ててただひたすらに走る。

 

この時、自衛隊が民間人の通る可能性のある道路に姿を見せたら射殺するか可否を求めていたがまだ返答はなくスナイパーは命令が来るのを今か今かと待っていた。

 

スコープ越しに見る敵性工作員が突如動きを変えた。

 

何事かとスナイパーは警戒を高める。

 

ジリリリリリリンッ!ジリリリリリリンッ!

 

韓国工作員は戸惑う。

 

道路に出たと思ったら古びているが使用可能な電話ボックスの電話が呼び出し音を鳴らし始めた。

 

山を駆けている途中で無線機を落とすと言う失態を犯し連絡手段を失っていた。

 

冷静に考えればおかしいと思っただろうがある種のパニック状態のこの男はきっと優秀な諜報部隊が優秀な自分に連絡を取ろうとしているに違いないと妄想してしまった。

 

電話ボックスに駆け込み受話器を取る。

 

聞こえたのは日本語。

 

しかし日本潜入歴の長いこの男にはその言葉がハッキリと理解出来てしまった。

 

「もしもし、私メリーさん」

 

少女の声だった。

 

「今、あなたの後ろにいるの」

 

とっさに振り向く。

 

ザシュッ!

 

見えたのは月明かりを鈍く反射させたサバイバルナイフ。

 

それが男の頚動脈をザックリと切り裂いた。

 

薄汚れた電話ボックスのガラスに切り裂かれた頸動脈から吹き出た真っ赤な血がホラー映画のワンシーンの様に降りかかる。

 

スナイパーはその光景を唖然としながらスコープ越しに見た。

 

 

 

 

 

北朝鮮工作員達が無線で集合する。

 

「よし、揃ったな」

 

集合命令を出した工作員のリーダーが全員を見る。

 

応答があった者は全て揃った。

 

応答が無かった者は死んだと見て間違いないと全員が思った。

 

工作員達はリーダーの言葉を待つ。

 

彼らにとってリーダーの言葉は朝鮮労働党委員長・・・将軍様の言葉と同義である。

 

逆らう事は死を意味する。

 

「喜べ、偉大なる将軍様のご期待に我々は報いることができたぞ」

 

顔を見合わせる北朝鮮工作員達。

 

「幻想郷の一人を捕らえた。刮目せよ!」

 

縄を引っ張ると縛り上げられた優曇華が引き寄せられる。

 

「くっ!殺せっ!」

 

「殺すものか。貴様は貴重だからな」

 

工作員達の喜びの声が響き渡る。

 

マンセー!マンセー!マンセー!

 

中には涙を流す者もいる。

 

失敗=粛清、運が良くて強制収容所送りだから当然だろう。

 

「全員、これを見ろ。綺麗な目をしているとは思わないか?」

 

その言葉に全員が優曇華の赤い瞳を見る。

 

見てしまった。

 

「ふぅっ」

 

優曇華を縛っていた縄がパラパラと地面に落ちる。

 

「みんな集めてくれてご苦労さん」

 

工作員部隊リーダーが優曇華の言葉にコクリと頷く。

 

工作員達のリーダーだけあってこの男は日本語を自然に近い形で使用出来た。

 

使用出来てしまったが故に優曇華に利用されてしまった。

 

最初に遭遇し優曇華が赤眼催眠を発動、それを見た。

 

そして日本語が理解できると言う事は優曇華の言葉も理解できる。

 

優曇華の命令通り、工作員リーダーと言う地位もあり生き残っていた北朝鮮工作員達を一ヶ所に集めるのに役立ってくれた。

 

「全ての武器をここに全部捨てるよう命令しろ」

 

優曇華の命令にリーダーが従う。

 

異国の言葉を使用しているから日本語が理解出来ない者もいる可能性を優曇華は考慮した結果だ。

 

朝鮮語で全ての武器を捨てるように指示がリーダーから下されその命令通りに北朝鮮工作員達は武器を一ヶ所に捨てる。

 

優曇華は北朝鮮工作員達を少し離れた場所に移動させるとロシア人から奪った手榴弾のピンを抜き捨てられた武器の山の中に投擲。

 

手榴弾の破裂は北朝鮮工作員達が捨てた武器の中の手榴弾を誘爆させ彼らの武器を全て使用不能にさせた。

 

「オーケー。じゃあ、全員私の眼を見るように命令しなさい」

 

リーダーが朝鮮語で命令を下しこの場にいる北朝鮮工作員達が全員優曇華の眼を見る。

 

優曇華の狂気の瞳をじっと。

 

「うわああああああぁぁぁっ!!!?」

 

「ああああああああっ!!?」

 

「ひいいいぃいぃぃぃぃっ!!?」

 

悲鳴をあげ始める工作員達。

 

優曇華は何もしていない。

 

ただ北朝鮮工作員達を発狂させただけだ。

 

発狂した工作員達を置き去りにして優曇華は他の国の工作員を狩る為に姿を消す。

 

後は仲間同士で殺し合うか他の工作員に殺されるか崖からでも転落するか野生動物に殺されるか野垂死にか。

 

ある意味とても残酷な方法である。

 

 

 

 

「はぁっ・・・・はぁっ・・・・はぁっ・・・・」

 

中国人工作員の一人は仲間と逸れ一人匍匐状態で辺りの気配を伺う。

 

遠くから悲鳴や銃声が聞こえ続けているがその数は確実に減ってきている。

 

特に銃は弾薬がなくなれば意味はなくなる。

 

チャイナコピーのAK-47を命綱にじっと息をひそめる。

 

もはや任務完遂は不可能、今はただこの場から生き残る事を最優先にする。

 

時折山兎や狸や狐等の野生動物が姿を見せる。

 

トンッと背中に何か軽いものが乗った。

 

野生の小動物だろうと思い追い払おうと手を伸ばそうとしたが・・・・。

 

「とりゃっ!!」

 

ブスッ!

 

「かっ・・・・・はっ・・・・・・!?」

 

鋭い痛みを感じ全身を硬直させ、だがすぐに弛緩させる。

 

中国人工作員は絶命していた。

 

背中に乗ったのは小動物などでは無く針妙丸であり、感じた痛みは彼女の剣である針で心臓を一突きにされたからだ。

 

地味なこの方法ですでに何人もの工作員を葬っている。

 

「小さいからって馬鹿にしてると後悔しますよ?」

 

すでに死んでいる工作員に決め台詞を吐いて立ち去る針妙丸。

 

立ち去る後ろ姿は凛々しいが内心「カッコよく決まった・・・!」と考えているが。

 

 

 

 

「師匠、粗方の敵は排除しました」

 

優曇華が銃を引っ提げて帰投した。

 

「そう、ご苦労様」

 

労いの言葉をかける永琳。

 

「おかえりー」

 

いつもの輝夜。

 

「ちっ、生きてたウサか・・・・」

 

生きて帰ってきた事を残念そうに言うが語尾でそれが嘘だとバレバレのてゐ。

 

 

ポタッ・・・・・ポタッ・・・・・。

 

 

優曇華の指から赤い液体が垂れている事に栗林が気付いた。

 

栗林の視線は腕にある大きな赤黒い染みに気付く。

 

「う、優曇華ちゃん!撃たれてるじゃない!?」

 

その言葉に桑原、富田、流石の伊丹も顔色を変える。

 

優曇華は蓬莱人ではなく玉兎、病気もすれば怪我で死ぬこともあると知っているからだ。

 

「ああ、これですか?大丈夫です、弾は抜けていますから撃たれたうちには入りません」

 

だが輝夜はそうっと優曇華の背後に回り込み、「ツンツン」と口に出して優曇華の腕を突つく。

 

「いっだああああぁぁぁぁぁぁっ!?嘘です痩せ我慢です!!カッコつけてみたかったんです!!本当はめちゃくちゃ痛くて泣きそうですから突つかないでーーーっ!!」

 

涙目になり輝夜に懇願する優曇華。

 

「優曇華、いいからこっちにきなさい。まったく、痛いなら痛いって言えばいいものを・・・・」

 

はぁっ、っと溜め息をつきながら永琳は私物の鞄を開く。

 

中には一通りの外科治療ができる器具が入っていた。

 

「自分でした止血は問題ないわね。でもこのままじゃ腕が壊死するから少し緩めるわよ」

 

「今日は私が助手をするから心配しないで」

 

ふんすっ!と意気込む輝夜だがその手には麻酔剤のつもりで手に取ったのは無害だが麻酔剤では無かった。

 

「姫様、お気持は私も優曇華も嬉しいのですがそれ、麻酔剤ではありません」

 

「あれ?」

 

「流石に今回は重傷ですので私一人で処置します」

 

「う、うん・・・ごめん・・・・」

 

しゅんっとする輝夜。

 

永琳は慣れた手つきで麻酔剤を優曇華に注射すると弾の破片や異物が患部に残っていないか念入りに確認する。

 

「ねぇ、優曇華」

 

「何でしょうか輝夜様?」

 

永琳の治療を受けながら輝夜に答える優曇華。

 

「優曇華を撃ったの、どこの奴?」

 

「いやー、それが・・・・。すみません、流れ弾にあたるなんて玉兎兵として迂闊でした・・・・」

 

襲撃者同士の撃ち合いの流れ弾が当たったと説明する優曇華。

 

つまりは何処の誰かが分からない。

 

「伊丹、襲ってきた連中分からない?」

 

「いや・・・ごめん、俺にも分か」

 

「アメリカ、ロシア、中国、韓国、北朝鮮です」

 

伊丹の言葉を遮り神子が輝夜の問いに答えた。

 

「襲撃者の一人が妖夢殿に倒される前に無線機とやらで話していたのが聞こえました。“ロシアに中国に韓国に北朝鮮の連中も同じことを考えていた”と。加えて、恐らく私達には日本政府が護衛として自衛隊の方をつけていたことは容易に想像できます。その護衛が手を引かされた。そのような事を日本政府に強要できるのはアメリカぐらいではないかと」

 

外界に来る前に日本と海外の政治関係も調べた神子様である。

 

「アメリカ、ロシア、中国、韓国、北朝鮮だね・・・・」

 

輝夜はそう低く呟くと私物のノートPCを取り出しキーボードを叩き始めた。

 




ええ、工作員を送り込んだところもマシマシにしました。
ロゥリィ&妖夢にコンビ組ませてみました。

あと優曇華が何気に今回のメイン・・・・。

追記
メリーさんからの電話はこいしちゃんです。
東方深秘録のこいしちゃんの怪ラストワードです。

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