GATE 幻想郷防衛軍彼の地にて斯く戦えり   作:にょろ35106

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少し長くなるかもしれないので二分割。
先行して書きあがった方をうpします。


一行「温泉へGo」工作員御一行「温泉へGo!ハリーハリーハリーハリーー!!」

「一体どういう事なんだね!!」

 

ドンッ!

 

まだ空が白み始めてすらいないワシントンD.C。

 

ホワイトハウス大統領執務室において米国大統領ディレルの怒声と机を叩く音。

 

机の上にはNASAがこれまで歴代大統領にひた隠しにしてきたアポロ計画とそれ以降の月面基地開発の真実が書かれている書類の山。

 

月人及び玉兎兵との月面での戦闘記録。

 

なんとか撮影に成功しているブレた状態での突撃して来る月面戦車らしきものが写っている写真。

 

深夜にホワイトハウスからの電話で叩き起こされたNASA長官は歴代長官達と連絡を取りこの書類をかき集めた。

 

 

「と、当時の大統領令により、月に関する真実はNASAのトップシークレットに指定され、それ以降の大統領にも機密にしろとの命令でしたので・・・」

 

NASA長官がディレルの問いに答える。

 

日本経由でもたらされた月人の存在と月軍の軍事演習の情報は今や世界中を駆け巡っている。

 

既にどこの国も、とある半島の独裁政権国家以外の国では情報統制をする猶予すらなく広まってしまった。

 

月人の情報だけならば科学者は笑い飛ばしただろうが突っ込んできたトラックで轢死した輝夜がリザレクションする姿を見てからは何も言えない。

 

特にNASAが月の都の存在をひた隠しにして来たと言う情報は陰謀論者やオカルトマニア達にはすんなりと受け入れられ拡散している。

 

極一部では輝夜のリザレクション姿の映像を見て二千年前のキリスト復活の言い伝えからキリスト月人説まで飛び出している。

 

 

 

とある国のとある町。

 

パンチとロン毛の二人が買い物途中に街角でこのニュースを見る。

 

「ねぇ、もしかして月出身だったの?」

 

「違うよ!?」

 

と会話していたとかいなかったとか。

 

 

 

ディレルは執務室のテレビをつける。

 

報道ヘリからの映像でSNSで広まった「月人が攻めて来る!」というデマでパニックに陥った人々が暴動を引き起こし略奪行為にまで発展し鎮圧に警察が投入されている映像が流れる。

 

アラスカのアンカレッジでの集団パニックは日本との時差の関係でまだ起きている人間の数が多かったために知事が州兵に待機命令を出している。

 

ディレルはNASA長官にこのパニックを収めるために会見をNASAで行うように命じ退室させる。

 

「日本時間での夜七時まで後一時間か・・・」

 

執務室の時計は米国ワシントンD.C.の現在時間である午前五時を指していた。

 

「くそっ・・・・。しかし、月の事が事実であろうと連中は地球内の事には干渉しないだろう。地球をリードして行くのは我々ステイツでなければならん」

 

少し頭痛を感じアスピリンを飲む。

 

月人の情報が飛び込んで来た為に深夜に起こされ今に至る。

 

再び眠りたかったが間も無く特殊部隊が特地及び幻想郷の来賓達とコンタクトを取る為に行動を始める。

 

場合によっては政治的なやり取りが必要になるだろう。

 

「私だ。眠気覚しに熱いブラックコーヒーを頼む」

 

秘書に内線で指示を出しNASAの置いていった書類を眺める。

 

「もっと早く月の事を知っていればそれなりの交渉が出来たかもしれんし、上手く行けば月の技術を我々が独占出来たかもしれんのに・・・大馬鹿どもめが・・・」

 

一人ディレルは呟いた。

 

 

 

「温泉だーーー!!」

 

栗林と幻想郷女性陣は着衣を脱ぎ裸になって温泉に突進する。

 

ロゥリィ、テュカ、レレィ、ピニャ、ボーゼスは初めて見る温泉に興味津々である。

 

ロゥリィがお湯に飛び込みかけるが栗林に羽交い締めにされる。

 

「ダメ、まずは体を洗ってから!」

 

ズルズルと引きずられて行くロゥリィ。

 

こっちでも湯船に浸かる前に体を洗うのかと自分達との文化の共通点を見つけるピニャとボーゼス。

 

見れば霊夢を始め幻想郷の全員が身体を洗い始めている。

 

「あれ?そう言えば慧音は?」

 

テュカが慧音の姿が見えないのに気付く。

 

「ああ、あいつならもう一人部屋よ。今日は満月だしね」

 

「ああ、満月だからな」

 

「??」

 

「ま、早い話が今夜はそうっとしておけってことよ」

 

霊夢の言葉の意味がわからなかったが宗教的なことか何かだろうと思いそれ以上の追求はしない。

 

「紫の奴も来ればよかったのにな」

 

「確か東京で野暮用があるって言ってましたね。でも、一人にして置いて大丈夫なのかな・・・・?」

 

栗林が体を洗い終え湯船に浸かりながら言う。

 

「大丈夫よ、だって紫だから」

 

「ああ、紫だからな」

 

霊夢と魔理沙がそれに答えるように言いながら湯船に浸かり始める。

 

身長が二十センチしかない針妙丸はそのままだと溺れてしまうから桶に温泉の湯を入れてそれに浸かっている。

 

桶自体はプカプカと温泉に浮かべてある。

 

 

 

「ふぃーっ、いい湯だー」

 

湯船に浸かる伊丹が思わず声を出した。

 

桑原、富田も同じく湯船に浸かる。

 

「隊長、お一つどうぞ」

 

「ああ、すまんな富田」

 

徳利と銚子で熱燗を楽しむ。

 

「おっ、始まったなー。って事は今七時かー」

 

月を見上げた伊丹の言葉につられて二人も月を見上げる。

 

綺麗な満月だが所々がチカチカと光り始める。

 

「あれが・・・ですか?」

 

「信じられない・・・」

 

「多分、小さな光が核兵器だろうなー。中ぐらいのは反物質兵器、一際大きなのがプランク爆弾って奴だろうなー」

 

「今頃、世界中が大騒ぎになっているでしょうね」

 

「ああ、天文家は大騒ぎだろうな」

 

月を見上げる三人。

 

「伊丹さんは月に行った事が?」

 

「ん?ああ、一度だけあるよ。ま、咲夜さんの下の雑用係で妖精メイドに混じってたけど」

 

「凄い・・・。どんなロケットで行ったんですか?」

 

富田が狂み深く聞いてくる。

 

「ああ、それがね、なんと木造」

 

「「・・・・・木造?」」

 

桑原と富田の声がハモる。

 

「最初見た時は驚いちゃったよ。だってエアロックかと思ったら普通のドアで窓は開くし。まぁ、外のロケットとは全く別の霊力・魔力式のロケットだったよ。だってエンジンが霊夢さんで予備エンジンが魔理沙さんだったから」

 

「「・・・・・・・・・・」」

 

「どったの?」

 

「「ロケット・・・・?」」

 

「そ、ロケット」

 

 

 

一方、女風呂では。

 

「お、おおお・・・・月が・・・・」

 

「あー、連中始めたわね」

 

ボーゼスの驚く声に霊夢が答えた。

 

「く、栗林殿、あれは一体・・・・」

 

「わ、私に聞かないでよ・・・・聞くならあっちに聞いて・・・・」

 

ピニャの問い掛けに応えることのできない栗林は永琳と輝夜、優曇華を指差す。

 

てゐはテュカと温泉を泳いで霊夢に拳骨をくらっていた。

 

ピニャとボーゼスは永遠亭一行に近付き話しかける。

 

「か、輝夜殿、あれは一体・・・・」

 

「あー、あれ?永琳、お願い」

 

「分かりました姫様」

 

(永琳と呼ばれる女、こちらの輝夜殿を姫と常に呼んでいる・・・)

 

ピニャは思い切ってその事も聞こうと決心する。

 

「あれは月の都の軍が演習を行なっている光です」

 

「つ、月に人が住んでおるのか!?」

 

「ええ、月人と呼ばれる民が住んでいます。私と姫様も昔はあそこに住んでいました」

 

「で、では、輝夜殿は月の姫君・・・?」

 

ボーゼスが呟く。

 

「はい。しかし姫様は今や月とは無関係でありますのでお気になさらずに」

 

 

 

 

 

パシュッ!

 

サプレッサーの微かな音がし旅館を取り囲む森の中で一人が死んだ。

 

「クリア」

 

無線で本部に報告をする。

 

自衛隊特殊作戦群は温泉に近付く工作員を排除して行く。

 

特地及び幻想郷の来賓達を拉致する目的であろう。

 

それだけの大人数を拉致するのだ、現在確認されている工作員達の総数は三桁に達している。

 

「今の戦争がこんなんだとはな。まるでゲームみたいだ」

 

作戦司令室で嘉納大臣が前方の大型モニターを見ながら呟く。

 

「なぁ、二佐。お前さんが拉致側だとしたら、昼間のアレを見ても拉致したいと思うか?」

 

可能が言うアレ・・・霊夢と魔理沙の弾幕ごっこ。

 

人間が空を自在に飛び回り、プラズマの様な光の球を大量にバラ撒く姿。

 

そして必殺技としか見えない技。

 

「ファイナルマスタースパークに夢想天生・・・・か。木の一本にでも当たってりゃあどれぐらいの威力があるのか想定材料になったんだがな・・・」

 

「私見ですが、場合によっては個人で大軍を相手に出来るかもしれない。正直に言えばすぐに逃げたいでしょう。ですが軍人は命令に逆らえない。特に中国なんかでは・・・・」

 

「ああ、死に物狂いだろうな。連中の事だ、家族を人質に取って裏切りや脱走を防いでてもおかしくねぇ。それに接近されて催眠ガスでも使われりゃあガスマスク付けた連中が有利になるだろう。奴ら、それに掛けてるのかもな。しっかし、連中の動きはバラバラだな。統一性のとの字も見えーーーー」

 

嘉納の言葉が途切れた。

 

「なぁ、連中の顔、確認出来るか?」

 

「え?」

 

「嫌な予感がしやがる・・・」

 

 

 

 

都内。

 

八雲紫は一人街中を歩いている。

 

その姿は人目につき、彼女を尾行している米国工作員達にとっても楽な尾行である。

 

ラーメン屋に入り食事をしたりショッピングをしたりと紫の行動は普通の人間と何ら変わらない。

 

街中を歩く紫だが少し視線をあげれば光が瞬く月の姿。

 

大多数の人々は月を見上げている。

 

だから工作員達にとって楽な尾行だ。

 

 

 

 

箱根。

 

部屋でまったりしていた伊丹、桑原、富田は女性陣によって酒盛りの場に連行されていた。

 

ピニャとボーゼスも出来上がっており、霊夢と魔理沙と共に酒を飲んでいる。

 

「ああ、こりゃあ明日は二日酔いだな・・・・」

 

伊丹は覚悟を決めた。

 

 

 

箱根山中。

 

「なぁ、こいつやけにいい装備だな・・・・」

 

「今時のサバゲーマーもこんなんだぜ?」

 

「マジ?よし、ライトを使う。持っててくれ」

 

光が外部に漏れない様にカバーをかけてライトを点灯。

 

「ど、どうなってんだこれ・・・・」

 

すぐに無線を掴む。

 

「ど、どうなってんだこれ!黒人だ!繰り返す!ターゲットは黒人だ!」

 

 

 

作戦司令室。

 

無力化したターゲットが黒人だと言う情報が上がってきた途端に騒つく司令室。

 

「だ、大臣、これは・・・・!!」

 

「後だ!至急首相官邸に繋げ!大至急だ!!」

 

嘉納は首相官邸に電話をつなぐ様に受話器に指示を出す。

 

「実行部隊に黒人が混じってる国なんかアメリカしかねぇ!!」

 

 

 

 




よく陰謀系の映画では大統領も真実を知らされていなかったりするのでディレルさんは月の事を全く知りませんでした。

工作員もマシマシで三桁に。
しかし一方的に蹂躙される未来しか見えないのは何故だろうか・・・・。

後、旅館編の漫画で月の描写が見つからなかったので勝手に満月にしました。
満月・・・慧音・・・ハクタク・・・。
うっ、頭が・・・・(物理的に)

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