GATE 幻想郷防衛軍彼の地にて斯く戦えり   作:にょろ35106

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常識にとらわれてはいけない。


相も変わらず駄文です。
弾幕ごっこ描写むずい。
スペルカード描写は想像で書いてます。
そして日本巫女連盟という捏造設定組織。


異文化交流・博麗霊夢と霧雨魔理沙の場合

 

「くかー、くかー」

 

「すぴー、すぴー」

 

「・・・・・・・・」

 

運転手兼付き添いの役人は後部座席で寝息を立てている二人を起こさないよう無言で車を走らせている。

 

日本巫女連盟が用意した場所は都心から離れた田舎のような景色が多く残る場所でありまだ暗いうちにこの二人を拾い既に二時間近く車を走らせていた。

 

奥多摩方面のさらに先にある目的地まではまだ時間がかかる。

 

それまでは寝ていていいだろうと周囲を警戒しながら車を走らせた。

 

不思議と今までに妨害を受けていない。

 

昨日ダミーのバスを公安の護衛から引き剥がしたり電車を止めたり市ヶ谷会館に放火したりした工作員達の気配も感じない。

 

 

 

 

ブロロロロロッ・・・。

 

霊夢と魔理沙を乗せた車を距離を開けてゆっくりと尾行する車が一台あった。

 

「くそっ・・・だめだ、応答ありません」

 

無線機を持った助手席の白人男性が運転席の白人男性に報告をする。

 

霊夢と魔理沙の目的地ははっきりとしている為、この一本道になる山道で前と後ろから挟み撃ちにしての拉致実行を米国は計画していた。

 

ところが進行方向で待機しているはずの仲間と連絡が取れない。

 

「くそっ、何やってんだ・・・!こんな絶好の機会を・・・!!」

 

「仕方がない、取り敢えずこのまま走り続けよう。向こうの無線機の不調かもしれん」

 

スピードを上げつつ対象の車の視界に入らないように細心の注意を払いつつ尾行し、ガクンッ!と急に浮遊感が工作員を襲った。

 

浮遊感は続き、周囲は山間部だったはずなのに青い大空。

 

「うわああああああーーーーっ!!?」

 

「ぎゃあああああーーーーーっ!!?」

 

米国工作員の二人は絶望の絶叫を上げた。

 

日本の山間部を走っていたはずの米国工作員の車は今眼下に海が広がる大空を自由落下していた。

 

周囲に陸の姿はなく、海のみ。

 

急激に近付く海面。

 

チラッと海面に何かの残骸が見えたが二人の脳はそれを無視し存在しない生にしがみ付く。

 

「いやだいやだいやだいやだーーーーーっ!!!」

 

「た、助けて!助けてママーーーーッ!!」

 

グシャッ!!

 

数百メートル上空から海面へ叩き付けられた車はあっけなく潰れ、ブクブクと水泡を立てて海に沈んで行く。

 

衝撃で二人は即死出来た事がせめてもの救いであろう。

 

それを遥か上空から見下ろしながら扇子で口元を覆い隠す八雲紫の姿。

 

だが隠された口元は笑っておらず、青い海に出来た小さな点が消え、漏れたガソリンやエンジンオイル等の油が海面を漂う様を眺めている目はただただ不快感に満ちた目であった。

 

 

 

 

日本巫女連盟。

 

日本中の本職巫女が所属する巫女の機関である。

 

本職巫女は神職の娘や近親者、縁故の者が多い。

 

また巫女の定年が平均二十代後半な事もあり指導役の元巫女の神社職員も所属している。

 

今日は幻想郷を代表する博麗神社の巫女を招いての交流会という事もあり普段の集まりよりも多くの人数が集まっている。

 

普段は来ないテレビ局やら新聞記者がチラホラ見えている。

 

巫女の写真を撮る目的の巫女ファン達もカメラを構えている。

 

連盟の代表を務める現役巫女の芳子は緊張する。

 

祖母の代から女児は巫女を務めている厳しい家庭で育てられた巫女である。

 

交流会の為にいつも巫女連盟が使用している敷地の入り口から車が入って来る。

 

車は巫女達の最前列にいる芳子の目の前で止まる。

 

芳子の合図で会場の全巫女が礼をする。

 

ガチャっとドアが開き降りて来る人の気配。

 

「博麗神社巫女、博麗霊夢様。遠路はるばるご足労いただき誠に・・・・え?」

 

挨拶をしながら頭を上げる。

 

そこにいたのは白黒の洋服を着て先の尖った帽子を被り手に箒を持った金髪の少女。

 

芳子の挨拶が途切れたことが気になった巫女達は次々と顔を上げる。

 

「あー、いやー、丁寧な挨拶してもらって悪いんだけど、わたしは霊夢じゃないんだぜ・・・・・」

 

ポリポリとばつが悪そうに頬を掻く魔理沙。

 

「ちょっと魔理沙、何ボサッと突っ立ってんのよ?邪魔だから早く退いて」

 

「あ、あぁ、悪かったぜ・・・・」

 

魔理沙が横にずれ、車内の人影が動く。

 

芳子が再び礼をすると他の巫女達もそれに倣う。

 

足が砂利を踏む音。

 

「博麗神社巫女、博麗霊夢様。遠路はるばるご足労いただき誠に・・・・はい?」

 

再び頭を上げながら今度こそ霊夢の姿を見て又もや挨拶が止まった。

 

他の巫女達も再度芳子の挨拶が途切れた事で次々と顔を上げた。

 

ここにいる巫女は全員が同じ巫女装束。

 

足元が隠れそうなほどの緋袴に白い小袖。

 

頭は儀式ではないから何もつけていない。

 

巫女連盟の構成員、巫女ファン、テレビ局のカメラマンや新聞記者が見た幻想郷を代表する神社の巫女。

 

その姿はほとんど赤かった。

 

袖は白いが何故か脇が露出しており、袴の下からはフリルにようなものが姿を見せ脚は膝から下が見え、そして頭部にこれでもかと巨大な紅いリボンをしていた。

 

「・・・・・・・何で挨拶が止まったのよ・・・・・・」

 

「・・・・・・・巫女・・・・・・?」

 

「そうだけど?」

 

それが外界の巫女達と博麗霊夢との最初の会話だった。

 

 

「は、博麗神社の巫女様は皆様がそのような格好を・・・・?」

 

「まぁ、そうね。先代も先々代もこの格好よ?」

 

少しホッとしながら「では、他の巫女様達は私達の様な巫女服を?」と聞く。

 

芳子はこの格好が博麗神社の巫女のトップが着るものだと思っていた。

 

「他の巫女?博麗神社の巫女は私一人だけど?」

 

「・・・・・・・お一人?」

 

「ええ、一人」

 

他の巫女達は霊夢の言葉に顔を見合わせる。

 

「それは・・・・さぞ大変でしょう。お一人で神主様や宮司の方のお手伝いを?」

 

芳子が心配して声を掛けたが霊夢は少し頭を傾げる。

 

「神主?宮司?ごめん、それって何?」

 

ここにいる巫女全員が衝撃を受ける。

 

神主や宮司を知らないと言う事実に。

 

「あ、あの、神社で神事を行う方達なのですが・・・」

 

「へー、外の世界には神社にそんなのがいるんだ。楽できそうでいいわね」

 

ピクピクと芳子の頰が引き攣る。

 

「で、では、博麗神社に他の方は・・・?」

 

「んー?先代が現役の時は一緒に暮らしてたけど引退してからは私一人よ?たまーにピンク髪の仙人やら大酒飲みの鬼やらが何日も入り浸るけど」

 

「ほ、保護者の方は・・・?」

 

「保護者?」

 

「霊夢さんのご両親の事です」

 

「あー、知らない。だって私捨て子だったもの。紫に拾われなきゃとっくにおっ死んで犬の餌になってたかもね」

 

あっさりと特大の発言をする霊夢。

 

「そ、それは失礼しました。と、ところで、博麗神社はどの神様を祀っていらっしゃるのでしょうか?」

 

他の巫女達は上手く芳子が話題を変えたと思った。

 

「祀ってる神様?」

 

「ええ、祀っていらっしゃる神様です」

 

「そんなの知らないわよ、むしろこっちが聞きたいぐらいだわ。先代も先々代も知らないって言ってたし」

 

別のベクトルの特大発言が飛び出す。

 

ヒクッヒクッと芳子の頰がさらに引き攣る。

 

霊夢が本当に巫女なのか芳子は疑い出していた。

 

「そ、それでは、博麗神社の巫女様は普段どの様なお仕事を・・・・?」

 

「そうね、とりあえず境内の掃除して縁側でお茶飲んで、暇潰しに奉納とか演舞の練習して縁側でお饅頭食べて、たまに妖精が悪戯してくるからその時は追い返してるわね」

 

芳子は聞こえ間違いと思い妖精の部分をスルーする。

 

「そ、それでもあなたは本当に巫女なんですか!?」

 

だが我慢の限界に達した芳子は口調を荒くしてしまう。

 

何人かの巫女も頷く。

 

「ええ、巫女よ。博麗の巫女の仕事は博麗大結界の維持・管理と解れが見つかった際の修復。あとは時々発生する異変の調査と解決ね。大変なんだから」

 

やれやれ、という様に肩をすくめる霊夢。

 

「ところで、芳子の所はどの神様祀ってるの?」

 

「諏訪神社において建御名方神様を祀っています」

 

自信を持って言う。

 

「あー、あいつらね」

 

少しうんざりした様に霊夢が言う。

 

「あ、貴女、いい加減にしなさい!建御名方様をあいつらとはなんですか!」

 

「だって、存在しない神様を真面目に信じちゃってるんですもの、おかしくって」

 

これには周りの巫女も芳子に加勢する。

 

「幻想郷には神様がいるのでしょう!?存在しないとは何事ですか!!」

 

「あー、言い方が悪かったわね。正確には、“建御名方”と言う神は存在しないって言う意味よ。だって、建御名方って守谷の二柱がでっち上げた名前だけの存在だもの。見せてあげるわ。って、魔理沙?」

 

後ろを見るが魔理沙の姿が無い。

 

「ま、魔理沙さんでしたら、少し前に喉が渇いたとおっしゃられてあちらの自動販売機のところに・・・・」

 

成り行きをハラハラしながら見守っていた役人が指差す。

 

五十メートル弱ほど離れた場所にある自動販売機のところで魔理沙がジュースを飲んでいる。

 

「ちょっと!魔理沙!!」

 

足元の石を掴むと思いっきり投げる。

 

重力に引かれ石は地面に落ちるがその音に気付いた魔理沙が振り向く。

 

大きく手を振りながら何かを言っているがよく聞こえない。

 

空き缶をゴミ箱に捨てると歩くのが面倒だったのでそのまま箒にまたがり霊夢のところまで飛んで来た。

 

箒で空を飛ぶ。

 

その魔女の様な姿に巫女達は言葉を失い、テレビ局のカメラや新聞記者、巫女ファン達が思わずその姿をカメラに収める。

 

「霊夢、呼んだか?」

 

「ええ、確か魔理沙先週の守谷での宴会の時に伊丹が撮ってくれた写真を持ってたわよね?」

 

「ん?ああ、栞がわりに使ってる奴だけどな」

 

「なんでもいいから、出して」

 

「まぁ、構わないぜ」

 

カバンの中を漁り一冊の本を取り出す。

 

「見た事ない本ね。あんた、またパチュリーの所から盗んで来たのね?」

 

「失礼な。勝手に死ぬまで借りるだけだぜ」

 

「それを世間じゃ盗むって言うのよ。って言うか、なんか禍々しい気配漂わせてる本じゃない・・・・」

 

「ああ、何でも外なる神々って言うのを研究した魔導書って言ってたな。面白そうだから借りて来たんだぜ」

 

魔理沙が本を取り出した瞬間、周囲にいる人間のほとんどが気分が悪くなり一部は顔から血の気が引いていた。

 

だが魔理沙が写真を霊夢に渡してカバンにしまうと嘘の様にそれらが消える。

 

「ほら、こっちのちんまいのとこっちの注連縄背中に付けてる奴が建御名方を考えた諏訪子と神奈子よ。諏訪子に神奈子が戦争仕掛けて神奈子が勝ったけど、諏訪子の祟りを恐れた当時の人間は信仰を放棄しなかったから建御名方ってのを諏訪子と神奈子が考え出して崇めさせた。それが建御名方の正体。つまりこの諏訪子と神奈子が建御名方の正体なのよ」

 

「そんな写真で誤魔化せると思ってますの?」

 

「いや、本当なんだけどね。はー、外の連中は頭が固いのが多いって紫が言ってたの、実感するわー。あー、じゃあ神様じゃないけど貴女達こんなの見たことある?」

 

霊夢はそう言うと役人にトランクにしまってある荷物を取り出してもらう。

 

それはひと抱えはある四角い箱。

 

霊夢はそれを地面に置くと中身を取り出す。

 

箱の蓋を閉め、蓋の上に中身を置く。

 

「さぁどうぞ、開けてみて」

 

芳子に封を解くのを促す。

 

「大きなお椀ですわね。これが何なのですか?」

 

封を解き、蓋に手を掛けようとした瞬間。

 

「ぷはぁっ!!」

 

蓋が飛び上がり小さな声がした。

 

「霊夢さん酷すぎます!」

 

それは霊夢の姿を確認すると霊夢に抗議する。

 

「な、なな、なななな・・・!!」

 

芳子は腰を抜かしてしまう。

 

「何よ、ちゃんと昨日ご飯に砂糖水あげたじゃない」

 

「砂糖水しかもらっていないって言うんです!カブトムシ扱いなんて酷いです!」

 

霊夢に抗議するのは身長が二十センチ程しかない小人。

 

周りの巫女達も目を剥き、カメラのシャッター音が鳴りまくり、テレビカメラの前で興奮状態のリポーターが何かを大きく叫んでいる。

 

「紹介するわ、少名針妙丸。一寸法師の末裔よ」

 

「あ、みなさんどうも!お騒がせして申し訳ありません!」

 

ペコペコと頭を下げる針妙丸。

 

「このぐらいでいいでしょう」

 

お椀の蓋を閉めようとするが針妙丸が必死に抵抗する。

 

「ちょっと、閉められないじゃない!」

 

「もう閉じ込められるなんて嫌です!このままでいます!」

 

「仕方がないわね」

 

霊夢はお椀を抱えると役人に預ける。

 

役人が少し視線を下げればそこには自分が抱えるお椀の中に身長二十センチの小人の姿。

 

「神奈子が酒に酔って愚痴ってたわ。幻想郷に来る前に諏訪子と一緒に日本中の建御名方を信仰している神社を巡ったって。もし一人にでも自分達の姿が見えたなら幻想郷への引っ越しを延期するつもりだったらしいわ。でも、早苗と一緒に幻想郷に引っ越して来た。貴女を含めて、早苗以外の全員に自分達の姿が見えなかったって事ね」

 

ふぅっ、っと一息付く霊夢。

 

「外界の人間の霊力がガタ落ちしてるってのは聞いてたけど、そこまで酷いとは思ってもなかったわ。自分の信仰する神の姿を見ることも出来ないなんて。その程度の霊力で貴女達、どうやって異変を解決してるのか教えてくれない?」

 

「・・・・・異変?」

 

「ええ、異変。妖怪やら神様やらが悪さをして人間に被害が出るあの異変よ?」

 

顔を見合わせる巫女達。

 

「え、どうしたの?」

 

何人かが声を上げる。

 

異変など遭遇した事もないと。

 

「え?一度も?」

 

コクリと頷く一同。

 

「・・・・・・マジ?じゃあ、神様見たことある人は?」

 

全員が首を横に振る。

 

「はぁ・・・・昨日地上を旅行中のアマテラス様と会ったけど彼女の姿もまさか見えてすらいないのしら・・・・」

 

少し騒めく巫女達。

 

「何処かの田舎町で今年初めに伊邪那岐様と伊邪那美様が派手な夫婦喧嘩してて、神降ろし出来る男子高校生ってのが巻き込まれてたって紫が言ってたから少しは期待してたんだけど・・・・」

 

始祖神の名前まで飛び出す。

 

「あ、あの・・・・・」

 

おずおずと一人の巫女が霊夢に声をかける。

 

「ん?」

 

「異変と言うのが起きた時、どの様な方法で解決を・・・・?」

 

彼女はどの様な儀式を行うのか興味があったのだが・・・。

 

「弾幕ごっこよ?」

 

「え?」

 

「弾幕ごっこで完膚無きまでにコテンパンにしてやるのよ。ああ、弾幕ごっこってのは幻想郷での人間対異種族間紛争の解決方法よ。ルールがちゃんと設けられてるわ。そのルールを破ったら幻想郷中を敵に回すことになるから今の所完全に破るバカは出て来てないわ」

 

「ど、どの様なことを行うのですか?」

 

「弾幕を撃ち合うのよ」

 

「・・・・・・・・・」

 

「霊夢、ざっくりしすぎだぜ・・・・。紫がもし知りたいとか見たいとか言ってたら実際に見せてやれって言ってたな」

 

「ああ、言ってたわね。・・・・・・まぁ、外界の記念に一勝負しますか」

 

「へっ、今回は負けないぜ!」

 

「それはこっちも同じよ!」

 

霊夢と魔理沙は同時に空に飛び上がる。

 

それを唖然と見る地上の巫女達を含めた全ての人々。

 

紅白巫女と白黒魔法使いの外界初の弾幕ごっこの始まりの合図だった。

 

 

 

上空を覆う霊夢と魔理沙が撃ち合う弾幕。

 

「ミルキーウェイ!!」

 

魔理沙がスペルカード宣言し弾幕を展開する。

 

空を覆い尽くす様な弾幕。

 

だが霊夢は躊躇なくむしろ逆にその中に飛び込み接近する。

 

「やっぱこの程度じゃ足止めにならないよな」

 

急上昇し弾幕の中を突っ切って来た霊夢を躱す。

 

弾幕をばら撒き態勢を立て直す。

 

 

 

同時に、ネットの動画配信サイトにこの弾幕ごっこがアップされる。

 

ある者はストリーミング配信、ある者は二台のスマートフォンを使い分けて一台がアップロード、もう一台でその間の弾幕ごっこの撮影。

 

動画配信サイトのにょほにょほ動画やyour tubeでは昨日の国会での動画が軒並み上位ランクを独占していた。

 

サムネイルにはテュカが耳を「自前ですよ」と言った時の映像やロゥリィの「あなたおバカぁ?」映像やさとりが幸原の正体を暴いた時の映像、神子が国会にリアル雷落としをした時の神子と国会の外の荒れ狂う落雷映像を並べた映像が並んでいた。

 

そんな中、アクセス数急上昇のランキングに躍り出る弾幕ごっこの映像。

 

テレビ局もこの映像を見てアップロード者にコンタクトを取ろうと四苦八苦している中、突如としてとあるチャンネルが緊急特番として霊夢と魔理沙の弾幕ごっこを放送し始めた。

 

巫女の交流会などあまり視聴率を取れないとほとんどのテレビ局は無視したが一社だけクルーを派遣した局があった。

 

元々は録画をしておいて夕方のニュースの一部にでもしようとの考えだったがリポーターの興奮した様な電話と中継車から送られて来た映像を見て急遽生中継に切り替えたのだ。

 

 

ネット上ではこの動画配信やテレビでの生中継を見て様々なコメントが流れる。

 

 

なんだこれええぇぇぇぇっ!?

 

あれが幻想郷の巫女?って、なんで巫女が空飛んでんの!?

 

箒に跨って空飛んでる子が魔女っ子に見える件について。

 

↑オサーン。今の時代なら魔法少女だろJK

 

魔法少女は実在した!?

 

奇跡も魔法もあるんだ!!

 

あの子三話でマミらないだろうな?

 

なんの三話だよwww

 

すっげぇぇぇぇぇっ!!

 

 

等のコメントが。

 

アップロード者にコンタクトが取れ使用許可や金額面で折り合いのついた局から次々に通常の番組編成を変更してこの弾幕ごっこを放送し始めた。

 

 

 

「隙あり!マスタースパーク!!」

 

「くっ!二重結界!!」

 

避けられないと判断した霊夢は咄嗟に攻めから守りに転じる。

 

広範囲の魔力光の奔流の中を二重結界で耐える霊夢。

 

このマスタースパークの光は一直線に飛んで行ったために近くにハイキングや登山に来ていた行楽客の大勢が目撃し警察や行政に通報やら報告が上がってくる。

 

だがこの時点で既に警察もテレビで弾幕ごっこの中継を見ていた為通報を受けた警察はすぐにその情報を通報者に提供し心配はいらないと情報提供を行う。

 

 

マスタースパークを耐えた霊夢は再び攻めに転じ魔理沙と接戦を繰り返す。

 

いつまでも続くと思われた弾幕ごっこだが流石に霊夢と魔理沙に疲労が現れ始める。

 

「魔理沙!次で決めるわよ!」

 

「上等だぜ!」

 

互いにスペルカードを構える。

 

「ファイナルマスタースパーク!!」

 

「夢想天生!!」

 

空一面を太陽を超える光と轟音が覆い尽くし・・・・。

 

 

 

ピチューン

 

ピチューン

 

 

 

同時にそんな音が地上にいた人々に聞こえた。

 

 

「そこまで!両者引き分け!」

 

突如した声に全員がその声の主を見た。

 

そこにいたのは八雲紫。

 

一体いつからいたのかと誰もが思った。

 

 

地上に降り立つ霊夢と魔理沙に芳子が声をかけた。

 

「あなた達・・・・あなた達って何なのよ・・・!?」

 

愚問とばかりに霊夢と魔理沙は答える。

 

「楽園の素敵な巫女、博麗霊夢よ」

 

「普通の魔法使い、霧雨魔理沙だぜ」

 

 

 

ネット上では

 

 

普通!?魔法使いなのに普通って何!?

 

だから何で巫女が空飛べるのさ!?

 

それを言ったら魔法使いだって飛んでるぞ。

 

つか、後ろでポカンとしてる人が抱えてる大きなお椀に小さな女の子が入ってるんだが。

 

今度は一寸法師か?

 

昨日は国会で覚妖怪が幸原がスパイだって暴いて亡霊が映って更に聖徳太子様が実は女の子で国会にリアル雷落としでこれ以上のトンデモはもう出てこないと思ったのに・・・

 

うん、それは俺も思った。まさかこんなトンデモが来るとは・・・・

 

常識は通用しない、いや、むしろ幻想郷とやらが関わるのなら常識は捨てるべきだ。

 

 

等のコメントが流れた。

 

 

 

つまり、この日の各テレビ局の放送は大まかに・・・・・

 

朝は前日の国会中継のまとめやダイジェスト放送。

 

昼頃には霊夢と魔理沙の弾幕ごっこと一寸法師の末裔の姿を繰り返し放送。

 

昼過ぎから夕方にかけては輝夜のリザレクション姿から始まりかぐや姫の実在、竹取物語の真実と不老不死の実在と月人の存在を繰り返し放送。

 

ニュース速報のテロップで吸血鬼・織田信長の情報が流れ、

 

夜は月軍の軍事演習が予定通り決行され月面に瞬く核兵器や反物質兵器、プランク爆弾の爆発光を地上から撮影した映像や天文台が月を観測した映像を放送。

 

特に天文台が観測した月面戦車と思われる移動する点の大群や軌道上に前日まで見られなかった人工物・・・月軍の戦艦や駆逐艦とみられる物体の観測を繰り返し放送。

 

だが、どの局もこぞって緊急特番に切り替えている中で唯一放送スケジュールを変更せず、テロップなど流さず、夜間においてはきちんと予定通りアニメを放送したチャンネルが一つだけ存在し日本がまだまだ平和だと人々は安堵する。

 

しかしそれでも日本中の薬局がごった返し、陳列棚から胃薬という胃薬が姿を消し大型薬局から個人薬局に至るまで胃薬の棚には品切れ中の貼り紙が貼られ製薬会社は増産を迫られる事になる。

 

処方箋での胃薬は医師の判断で常用の必要がある患者や緊急性の高い患者が出た時に限り処方する事でこの年末が迫る時期に発生した胃薬クライシスを乗り切る事になった。

 

 

 

にとりに関してだが、彼女のもたらした情報や技術のヒント、提供されたOSに関してはこの時点では機密性が高い特定秘密として扱われ情報解禁されるのはまだ先になる。

 

 

なお、霊夢が始祖神夫婦喧嘩発言した時の映像を見た当事者の学生達は思いっきり咽たとか。

 

 




この日のテレビ局の放送・・・・なんだこのカオスは・・・・。


やっと次回は旅館襲撃編・・・・の予定。
変なアイディアを妄想しない限りは。

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