GATE 幻想郷防衛軍彼の地にて斯く戦えり   作:にょろ35106

34 / 54
今回は永遠亭のターンです。
月の都や軍備に関して多数の独自解釈、捏造設定がありますけどいつもの事ですしおすし。

永琳お姉さんの解説コーナー、はっじまっるよー。



あ、序盤にちょいグロ描写あります。




異文化交流・蓬莱山輝夜と永遠亭の場合

ガーッ。

 

自動ドアが開きコンビニから出て来る輝夜。

 

両手にはこれでもかと言うほどにお菓子とジュースの詰まった買い物袋。

 

プシッ!

 

ペットボトルの蓋をあけると炭酸ガスが内圧から解放される小気味いい音がする。

 

ゴッゴッゴッゴッゴッ・・・・・。

 

五百ミリリットルのコーラを一気に飲み干す輝夜。

 

「ぷはーっ!五臓六腑に染み渡るわー!」

 

「姫様、早く行きませんと・・・」

 

店の前で待機していた永琳が話しかけて来る。

 

「分かってるって。あれ、車は?」

 

コンビニ前に止まっていたはずの車が無い。

 

「送迎の車なら先に優曇華とてゐを乗せて目的地の駐車場に向かって貰っています。このような往来の激しいところでの駐車は迷惑になりますし、優曇華には目的地の安全確保に問題はないか、てゐは妨害工作を想定して対工作員用のトラップを仕掛ける為に先行させました」

 

「えー、歩くのー?」

 

「ただ横断歩道渡るだけじゃないですか。もう目的地は目の前なんですから・・・・」

 

「ぶーぶー・・・。そう言えば、すぐそこで河童が技術交流会するんだっけ?」

 

「ええ、そのように聞いています。姫様、信号とやらが横断可能サインになりました、行きましょう」

 

「はぁ・・・車があるからこんなに買ったのに先に行ったら意味ないじゃない・・・重っ・・・・。えーりん、半分持ってー・・・って、先に行っちゃってるし!?」

 

慌てて永琳を追いかける輝夜。

 

「あー、マスゴミの皆さんごくろーさんね」

 

見れば目的地の前でマスコミのカメラがスタンバっている。

 

幻想郷の一行の一部が宇宙関係の重大発表と言う情報を得て待機しているのだろう。

 

既にカメラがこっちを向いている。

 

「生中継かなー?録画かなー?」

 

そう呟く輝夜。

 

だが横断歩道の向こうではマスコミも一般の通行人も何かを叫んでいた。

 

「ん?何よ?つか、エンジン音で何も聞こ」

 

グシャッ!

 

輝夜の言葉は最後まで発せられなかった。

 

 

 

目撃者A氏は輝夜の後にコンビニから買い物を終えて出て来た。

 

青信号を渡るロングヘアーの少女の後ろ姿を眺めつつ何気なく視線を動かし背筋が凍り付いた。

 

トラックが信号無視して突っ込んで来る姿が目に入った。

 

その先には先程の少女・・・輝夜の姿。

 

とっさに叫ぶが間に合わずトラックはその細い体を轢いた。

 

事故を目撃したのは初めてだ。

 

ましてやブレーキを掛けた様子すらなくトラックが突っ込んで来た。

 

少女を轢き、そのまま信号待ちの対向車に突っ込み横転、道路を塞ぐ。

 

「キャーッ!」

 

「人が轢かれたぞー!!」

 

「け、警察!」

 

「バカ!んなとこより先に119番だろうが!!」

 

悲鳴が上がったり負傷者の救護に当たる人々。

 

だが先程の少女はもうダメだろう。

 

さっき、目が合った。

 

彼女の頭がタイヤに踏み潰される直前に。

 

 

 

 

「ひ、ひでぇ・・・!」

 

「・・・・こりゃ、もうだめだ・・・・」

 

「ああ・・・死んでる・・・・」

 

その凄惨な姿に耐えられなかったのか次々に嘔吐する人々。

 

頭は轢き潰され脳も潰れ、裂けた腹からは内臓が飛び出している。

 

折れた手足からは白い骨が突き出し、無事な足がピクピクと痙攣している。

 

ボワッといきなり死体が燃え出したちまち塵になって行く。

 

その異様な光景を周囲の人達や近くにいて駆けつけて来た警察官達は唖然としながら見ている。

 

輝夜の肉体が再構築され何事も無かったかのように立っている。

 

「あれ?お菓子とジュースは?」

 

手に持っていたはずの買い物袋が無いので辺りを見回す。

 

「姫様」

 

「あ、永琳。ねぇ、何があったの?と言うか、私なんか凄い注目されてるけど・・・」

 

「あのトラックと言うのが突っ込んで来て姫様を轢き殺しました」

 

「ああ、なるほどね・・・・。ちょっとどいて」

 

野次馬を退かせる輝夜。

 

その先には無残に中身をまき散らしたジュースやお菓子。

 

「ふ、ふふふふ・・・」

 

横転したトラックに飛び乗りドアに手を掛ける。

 

「ふんっ!」

 

ベキッ!

 

トラックのドアを力尽くで引き千切り放り投げる。

 

むんずっ!と運転手の男を引っ掴みそのまま片腕で宙吊りにする。

 

「おい、私のお菓子どうしてくれるんだゴルァッ!」

 

しかし男の口からは日本語ではない言葉が出て来る。

 

「は?何言ってるのか全然分からないんですけど。あー、もう面倒くさっ」

 

男を地面に放り投げるとその上に飛び乗りタコ殴りにする。

 

「あ、き、君!少し落ち着いて!」

 

警官が止めに入る。

 

既に男の顔はパンパンに腫れている。

 

「は?こいつ、この私を一回殺してこのぐらいで済むんだから泣いて感謝する程の慈悲なんですけど?」

 

男から手を離すと男のポケットから財布を引っ張り出す。

 

「シケてるわねぇ、二万円しか入ってないじゃない。お菓子とジュースの弁償代と慰謝料でこれは貰っておくから。感謝しなさいよ、ここが外界じゃなくて幻想郷だったら永琳の人体実験材料にしてたわよ」

 

「姫様、こんなの私要りません」

 

「あらそう?じゃあ永琳、私もう一回コンビニ行って来るから」

 

「しかし姫様、予定の時間がすぐそこまで・・・・」

 

「待たせておきなさい」

 

「はい、承りました」

 

輝夜を見送り永琳は先に会場入りした。

 

その場に残されたのはタコ殴りにされ失神したにとり拉致の事故を起こす役の工作員と事故処理の警察官達、そして死んだ少女が目の前で無傷で生き返ったのを目撃した野次馬達だった。

 

しばらくしてコンビニから出て来て両手に買い物袋を引っ提げながら横断歩道を渡りつつコーラを飲む輝夜を事故処理の警察官達と野次馬達は信じられない物を見るような目で見るしかなかった。

 

 

 

 

会場は先程の事故をカメラに収めたマスコミ達が興奮状態でいた。

 

輝夜のリザレクション時の姿は既に局へ送信済みである。

 

あまりのマスコミの様子とビルの窓からそれを見ていた宇宙開発関係者と各国が送り込んだ大使館からの参加者達のある種の興奮で会場はざわめきが収まらない。

 

そんな中へ永琳と勝負服の十二単を着た輝夜が入って来る。

 

すかさずマスコミがカメラを構える。

 

「皆様、本日はこちらの要請によりお集まりいただき感謝します」

 

永琳が一礼する。

 

「私は八意永琳、幻想郷の永遠亭において医師を務めています。こちらは永遠亭の主、蓬莱山輝夜様です」

 

「その様子ですと、先程のことを見ていた方が多数のようですね?では、本題の前に質問を受け付けたいと思います。ありますか?」

 

室内の全員が手を挙げた。

 

誰でも同じ質問だろうと適当に一番近くにいる宇宙開発関係者を指名すると立ち上がり質問を行い

 

「先程、そちらの方が凄惨な事故に遭われました。ところが遺体が突如として燃え、傷一つなく今もそちらにいます。何故でしょうか?」

 

輝夜と永琳以外が頷く。

 

「お答えします。それはこちらの輝夜様が不死者であるからです。正確には肉体が滅びてもすぐにリザレクション・・・復活できるからです。ああ、私も同じくできます」

 

どよめきと驚きの声。

 

「それはまた・・・しかし、輝夜さんですか。着ている服も綺麗ですし、まるでかぐや姫みたいですね」

 

質問を行なった宇宙開発関係者が座りながら言う。

 

「ああ、それ自衛隊の人にも言われたっけ。うん、よく言われるよ?だって本人だし」

 

「・・・・・え?」

 

「どうも、皆さん初めまして。月に帰らなかったかぐや姫です」

 

ペコリと座ったまま一礼する輝夜。

 

「は、はは・・・え?」

 

意味が分からないと困惑する。

 

「では、本題に入りましょう。まずはアメリカ大使館の方、いらっしゃいますか?」

 

永琳が言うとアメリカ大使館員数名が急な指名に戸惑いながら立ち上がる。

 

「では、前に出ていただけますか?お渡しするものがあります」

 

戸惑いながら前に出る大使館員達。

 

永琳が合図すると室内に幾つかの葛篭が運び込まれる。

 

永琳が葛篭を開け中身を覗き込む大使館員。

 

「星条旗!?」

 

中に入っていたのは少し汚れた星条旗。

 

それを手に取る大使館員。

 

「こ、この星条旗が、何か?」

 

意図が分からず戸惑いながら流暢な日本語で聞く。

 

「その星条旗はアポロ計画で月に立てられた物です。月から投げ返され幻想郷で妖精のおもちゃになっていました」

 

もう一つの葛篭を開け中身を見た大使館員達は再び驚愕する。

 

アポロ計画で月面に飛行士達が置いて来た物がずらっと入っている。

 

「月には月人が居住しています。私と姫様も千三百年程前までそこの住人でした」

 

「でも、めっちゃ暇で退屈な所なんだよねー。規則でガチガチだから貴族の私は一日中屋敷の縁側でお饅頭食べてお茶飲んでの繰り返し。参っちゃうわ。支配者層の貴族連中はガチガチの石頭揃いで保守的な引き篭もり連中。そんな毎日にうんざりして永琳に蓬莱の薬作ってもらって屋敷で速攻飲んでやったの。そしたら屋敷を玉兎兵がぐるっと囲んで武装警備隊に拘束されてその場で斬首されたわ。あー、あの時の警備隊の連中の慌てようったらなかったわ。今思い出しても笑える」

 

けらけらと笑う輝夜。

 

「月では蓬莱の薬・・・いわゆる不老不死薬の製造、所持は罪に問われませんが服用は不老不死の誘惑に負けた事と穢れを発生させる罪により重罪に問われます。しかし不死者となった輝夜様は処刑してもすぐに復活するため、地球への追放処分となりました。そこから先の話が竹取物語、いわゆるかぐや姫というお伽話として現在に伝わっています」

 

永琳が淡々と解説する。

 

「あの時は楽しかったわ。何もかもが新鮮で、お爺ちゃんとお婆ちゃんには今でも感謝してるわ。あ、でも結婚だけは嫌だったから無理難題ふっかけてやったのよ。案の定、ほとんどの奴らが脱落したの。でも、藤原・・・なんだっけ?妹紅の父親だけどそいつが本物の蓬莱の薬を持って来た時はなんで地上人が本物の蓬莱の薬持ってんのよってマジで焦ったわ。いや、ホント」

 

記者達のプロ意識は凄まじく、真実かどうかは後回しに輝夜の発言を一字一句ノートPCへ入力して行く。

 

宇宙開発関係者は状況についていけていない。

 

「もう結婚なんて御免被るって、とにかく必死だったわ。蓬莱の薬を偽物認定してやって追い返したの。そこまでは良かったんだけどね・・・、そいつの娘の藤原妹紅に父親に恥をかかせたって恨まれちゃってね、妹紅の奴蓬莱の薬強奪して飲んじゃったのよ。おかげで妹紅の奴も不死者になっちゃって相当辛い思いしたみたい。それだけは本当に悪かったって思ってるわ。まぁ、今じゃほぼ毎日のように殺し合いする仲なんだけどね。あ、ちなみに月から私を迎えに来た使者の一人がこの永琳。他の使者は面倒だったから殺して埋めちゃった。月なんて退屈な所、焼き土下座されたって帰ってやるかっつの」

 

机の上のコップの水をグビッと飲む。

 

「ああ、ちなみに月の都の場所は月の裏側ね。ま、幻想郷のような結界で隠れてるから探査衛星程度じゃ発見不可能だけど」

 

サッと一人の宇宙開発関係者が手を挙げた。

 

永琳が指名する。

 

「そ、それが事実だとすると、月は地球との交流を求めて今回の会見を行なっているのですか?」

 

興奮状態での質問。

 

「あー、逆よ逆。連中、地上人を見下してるから。月は永遠に近い浄土、地球上は穢れに満ちた場所ってね」

 

「これを説明するには、月人の歴史を解説する必要があります。かつて月人は地球上にて暮らしていました。月への遷都が行われたのは今よりおよそ一億年前になります。これは姫様が地上に追放される以前に遷都一億周年記念の式典が月の都にて行われていたので確実です」

 

再びサッと手が上がる。

 

「どうぞ」

 

「作り話ならもっと上手い作り話をしたらどうですか?一億年前なんて恐竜の時代ですよ?そんな時代に人類がいるわけが」

 

「言葉を遮りますが、月人は現生人類及び化石にて確認されている類人猿とは全く異なる種です。いえ、人類というよりも神に近い存在でした。当時の地球上の生物には寿命という概念が存在していなかったのです。恐竜も含め、全てがある程度まで成長した後は致命的な外傷を追わない限り死ぬ事はない存在でした。私も姫様もその時代には既に存在していました。ところが、ある時期を境に地球上に穢れが発生し地球上を覆い尽くしました。穢れは寿命を発生させます。その事実が確認された時は混乱し、自暴自棄になる者もいました。しかし研究の結果、穢れは地上から離れるほど薄くなる事実が確認され月の都建造計画が立ち上がりました。私もその設計に携わりました。穢れは加速度的に濃くなっており、月の都建造計画開始から十万年後には百年も生きられない濃度になるとの結論が出され、五千年以内での移住完了が命じられました」

 

再びサッと手が上がる。

 

「どうぞ」

 

「それが事実だとしても、今までのどの地層からも文明の痕跡なんて出て来ていませんよ。そこはどう説明するんですか?」

 

「支配者層の命令により、地上に残すものは全て焼き払った後に原子分解されました」

 

会場からは失笑が漏れる。

 

「月は地球との交流は一切求めていません。そこで我々永遠亭に協力要請が来ました。月の意向を地球上に伝えるために。一言で言うならば、月にこれ以上関わるな、です。月以外に行けと言う意味です。ところで、アメリカの方。NASAはどこまで事実を公表していますのでしょうか?」

 

突然の指名に戸惑うアメリカ大使館の面々。

 

「玉兎兵の通信を又聞きしているのですが、NASAの飛行士達は月面において玉兎兵と幾度か戦闘を行い全て負けて追い返されている模様ですが?ああ、説明していませんでしたが玉兎・・・月の兎とはこう言う感じです」

 

永琳は立ち上がると会場の外に声をかける。

 

ドアが開くと優曇華が入って来た。

 

「先に言っておきますが、バニーガールとかではありません。本物の耳ですよ」

 

優曇華の耳を掴みグィッと上に引っ張る永琳。

 

「いたたたたたたたっ!?ちょ、師匠やめてください!?痛い痛い痛い痛いっ!!ち、千切れちゃいます!!ちょ、本当に千切れる!!!!?」

 

パッと手を離すと兎耳の付け根を涙目でさする優曇華。

 

「お疑いの方、どうぞご自分の目と手で優曇華・・・・この玉兎の耳が本物だと言うことを確認してください」

 

途端に揉みくちゃにされる優曇華。

 

「ちょ、くすぐった!?ちょ、変なところ触らないでください!!そ、そこ弱いんですからやめひゃうんっ!?」

 

「優曇華、感じちゃってる?」

 

「ちょ、か、輝夜様変なこと言ってないでたすけ、そ、そこらめぇっ!」

 

「彼女が俗に言う月の兎です。ああ、ちゃんと地上の兎もいますので」

 

しかしここでてゐを出す必要はない。

 

ある程度経ったところで永琳がストップをかけ優曇華が解放される。

 

「優曇華、今度耳触ってる時の声録音していい?結構売れると思う」

 

「輝夜様のお願いでも絶対に嫌です!」

 

「そんなに嫌だったんだ・・・・なんかごめん」

 

「優曇華、警備に戻っていいわ」

 

永琳の言葉と同時に脱兎のごとく部屋の外に逃げ出す優曇華。

 

「月ではこの月面基地開発に来た地上人との戦いを月面戦争と呼んでいます。先程の驚き様では予想通り月面戦争の事は知らされていない様ですね」

 

「月人も地球人も、指導者層はプライドが高いのは同じみたいね」

 

輝夜が一言言う。

 

「私が今発表した事が事実であることの証明を、日本時間の今夜七時から月の都が行います」

 

騒めく会見場。

 

「今夜七時より、二十四時間に渡り月の表、正確には静かの海等の地上人が降り立った場所を中心に月軍による大規模軍事演習が行われます。この演習の光は地球上からも肉眼で観測可能です」

 

「あいつら、地球人が月面に到達した痕跡全部消し去るつもりなのよ。・・・・・・コーラ飲みたい・・・・・」

 

水を飲みながら輝夜が付け足す。

 

「演習への投入戦力は月からの連絡では、地表戦力は月面戦車二十万両、航空戦力は月軌道上に戦艦十隻、駆逐艦八十隻。使用兵器は通常砲弾は勿論のこと、原始的な核兵器から始まり反物質兵器、プランク爆弾等を使用し宙対地爆撃演習を行う予定とあります。全ては今夜七時以降に証明されることになります。なお、月の都は軍事演習開始と同時に月軌道へ入る全ての探査機、宇宙船を有人・無人の区別無く迎撃する事になります。最悪の場合、探査機を打ち上げた国に月が攻撃を行う可能性もあることをお知らせします。本日はお集まりいただき有難うございました」

 

深々と礼をする永琳。

 

「ご、号外だ!夕刊の一面空けておけ!!」

 

「デスク!トップニュースです!詳細は今メールで送信しますから確認してください!」

 

「撮影データをすぐに局に送信しろ!スクープだ!どの局よりも早く放送させろ!!」

 

「アメリカ大使館の方、先程のは事実ですか!?」

 

「わ、分かりません!大至急本国に問い合わせなければ・・・・!!」

 

米国大使館員の連絡はすぐに就寝中の米国大統領ディレルに報告されNASA長官がホワイトハウスへ呼び出される事になる。

 

各国からも事実確認の連絡が殺到し一時ホワイトハウスの電話処理能力をパンクさせてしまう事に。

 

だが、そのホワイトハウスのパニックもその後に起きた事から見れば可愛いものであった。

 

 

 

 

「予想通り、パニックですね」

 

「だよねー、想像通りだよ。ま、これで月に対する義理は果たしたし私は晴れて完全な自由の身だー!」

 

「おめでとうございます、姫様」

 

「あ、今何時だろ・・・・げっ!永琳、早く行くよ!!」

 

「姫様の私用でしたね。優曇華とてゐを呼んで来ますので控え室でお待ちください」

 

「オッケー!私を拉致ろうとか考えてるヴァカな奴いたら全殺ししておくから安心して呼んで来て!」

 

「せめて半殺しにしておいてください、後々面倒ですから」

 

 

 

 

 

 

姫様移動中・・・・。

 

 

 

とあるメイド喫茶。

 

「た、タンクさん、ギルマス遅いですな・・・」

 

「え、ええ、突撃バカさん・・・・」

 

「う、うふふ・・・・い、今さっきギルマスのカグカグさんからメールあった・・・少し遅れるって・・・」

 

「そ、それは本当ですか、回復天使さん・・・・」

 

彼らはとあるネトゲのとあるギルドに所属している。

 

いわゆるオフ会であり、今回は初めてギルドマスターのカグカグが所用で東京に来ると言う事だが引き篭もりの多いギルドでありこの三名以外がオフ会に出席する事は滅多にない。

 

言わばネトゲオフ会の常連三人組であり気心が知れている。

 

「し、しかし、さっきから繰り返し流れている映像、何度見ても信じられないでござる・・・」

 

「し、死んでもり、リアルリポップとか、チートすぎ・・・ふひひひ・・・」

 

「か、かぐや姫が実在でござるか・・・・・」

 

「月の都も実在とか・・・それなんてギャルゲ?」

 

「し、しかも七時から月面で軍事演習とか・・・・・もしかして軍事政権でござるか?」

 

ピロリンッピロリンッ。

 

回復天使のスマホがメール着信を知らせる。

 

「か、カグカグさんが店の前に着いたって・・・・。今から入るらしい・・・・」

 

カラララーンッ。

 

「お、入って来たでござるな・・・」

 

ここからでは入り口がちょうど見えないからまだ姿は見えない。

 

 

「お帰りなさいませ、お嬢さ・・・・・えっ!?」

 

「お帰りなさいませ、お嬢さ・・・・・嘘っ!?」

 

出迎えた二人のメイドが取り乱した声をあげた。

 

「と、取り乱すとか、メイドの風上にもおけないでござる・・・・」

 

「た、ただしイケメンに限る。キリッ。とかですなきっと・・・ふひひ」

 

「あ、あれ?で、でも、カグカグさん女の人のはず・・・」

 

入り口が見える席に座ってる客達も入って来た新しい客を見てざわつき、スマホで写真を撮ったりしている。

 

入店して来たのは四名。

 

「ほへっ!?」

 

「ふひっ!?」

 

「ふぁっ!?」

 

その姿を見て三人も素っ頓狂な声を上げる。

 

テレビを見ればそこには同じ顔が二つ映っている。

 

「ちーっす。カグカグこと蓬莱山輝夜ただいまとうちゃーっく」

 

「師匠ー、私耳引っ張られた挙句もみくちゃに耳触られまくったんですから好きなの頼んでもいいですよねー?」

 

「仕方がないわね、特別よ?」

 

「あたしゃ昆布茶が飲みたいのさ。トラップにこーさくいんってのが引っかかりまくってて笑いすぎて喉乾いたよ」

 

パクパクと口を動かすことしかできない三名。

 

「あ、そう言えばギルドの合言葉まだだっけ。“働いたら負けだと思っている”」

 

「か、か、か、カグカグ氏で・・・・ござるか・・・・?」

 

「だからそうだって言ってるのに。何見てるの?」

 

ギルドメンバーが見ているメイド喫茶設置のテレビを見る。

 

ちょうど輝夜がリザレクションする時の映像が流れてた。

 

「へー、自分がリザレクションする時の姿なんて初めて見たなー。いつも妹紅の奴のしか見てないし。あ、私コーラフロートパフェ特盛サイズで」

 

永琳、優曇華、てゐは隣のテーブルに座り、輝夜は初めてのオフ会を十二分に満喫した。

 

後日、ギルドマスターが蓬莱山輝夜だと知った他のメンバーはオフ会参加しなかった事を後悔しまくったとか。

 

 

 

 

その夜、月面で瞬く様に光る月面軍事演習の光を世界中が目撃し月人の存在と圧倒的な科学・軍事力の差を思い知らされることとなった。

 

竹取物語も改定の必要を議論され、旧竹取物語と新竹取物語の二つに、御伽噺のかぐや姫にも旧版と新版の二つが発行されることとなった。

 

一部の国内外の金持ちが実在する不老不死に目がくらみ、永琳に蓬莱の薬を作ってくれと札束やら金塊やら宝石やらを積んだが永琳は首を横に振り、蓬莱の薬の調合レシピは月の都に置いて来た。もう千年以上前に作ったきりだから作り方を覚えていない。と門前払いであしらわれた。

 

諦め切れなかった更に一部の金持ち達は地上で藤原妹紅の父親が蓬莱の薬を見つけたという千三百年前の事実に一縷の望みを掛け惜しみなく大金を使い、ある者は詐欺に引っかかり破産し、ある者は偽物の猛毒を飲み死亡し・・・・と、不老不死に踊らされる金持ち達が続出したが遂に本物の蓬莱の薬を手に出来た者は現れることは無かった。

 




神主さんが酔った状態で月の都一億年発言したらしいけどその設定を使用するために月人は現生人類や類人猿とは無関係な全く別の神に近い種にしました。

輝夜さんのリザレクションはもこたんと同じ感じにしました。

にとりが巻き込まれた渋滞の人身事故の被害者は輝夜さんでしたとさ。

wikiとか漁ったけど色んな解釈があったりしたもんだからもう月もブーストしちゃえって考えて月の軍事力強化しました。
地球の科学技術進歩に脅威を感じて急ピッチで軍備化を推し進めた結果こうなった感じだと思ってもらえれば。
河童より遥かに技術力上だから艦隊運用なんか人工知能でやっててもおかしくない。


月の都の住民は月の表をいじれないとかって設定もあったけど月の兎が月面に置かれた測定用の反射板を悪戯で動かしたってのもあるから月人は自由に干渉可能、ただほとんど表側をいじらないだけってことにしちゃいました。
いいよね?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。