GATE 幻想郷防衛軍彼の地にて斯く戦えり   作:にょろ35106

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やっと書きあがりました。
うーん・・・・なんか少し説明的な会話が多くなってしまった気もする・・・・・。
相変わらず捏造設定全開です。


いざ日本へ

 

 

「では幽々子様、行ってきます」

 

魂魄妖夢が幻想郷へと続く異界門の前で見送りについて来た西行寺幽々子に別れの挨拶をする。

 

妖夢にして見れば初の外界だ。

 

まさか外界に行く機会ができるとは思っていなかった。

 

だが主人である幽々子の推薦で行くのだから力が入らないわけがない。

 

「ええ、妖夢。〝また〟後でね」

 

「?はい、戻って来たらお土産話しますね」

 

一瞬幽々子の言葉に違和感を感じたが気のせいだと思い妖夢は集合場所の紅魔館前に向かう。

 

「伊丹さーん」

 

「おっ、妖夢ちゃんが一番乗りかぁ」

 

「えっ!?私が一番最初なんですか?」

 

「うん、まだみんな来てないんだ。まぁ、もうすぐ揃い始めると思うけど。中の適当に好きな場所に座って待っててよ。あ、半霊も一つの席を使っていいからね」

 

「わかりました。ではお先に待ってます」

 

妖夢は初めて乗る自動車に興味津々だ。

 

中の係員がエスコートしてくれているし問題ないと伊丹は判断する。

 

伊丹と一緒にバスの外にいる自衛隊一行は先ほどの妖夢のすぐ側でプカプカ浮いているものがなんなのか聞きたげだが伊丹の「後でわかる」という言葉を信じてあえて聞かずにいた。

 

 

 

「うわっ、きれー」

 

栗林が異界門を通り抜け姿を見せた輝夜に目を奪われる。

 

豪華とも言える十二単を着た和美人。

 

それが自衛隊側が初めて目にした輝夜の第一印象だった。

 

「ちょ、永琳さん?なんで彼女がここに・・・・?」

 

「姫が同行を望みましたので」

 

ささっと倉田が近付いてくる。

 

「伊丹さん、彼女めっちゃ美人じゃないっすか・・・!?こんな人とも知り合いだなんて・・・羨ましすぎっす!」

 

「そうか?」

 

「そうっすよ!」

 

「普段は引き篭もりゲーマーだぞ?」

 

伊丹の発言に自衛隊一行が「えっ?」と声を漏らした。

 

「おー、伊丹。久しぶりー。クエドラクリアした?」

 

「ええ、久しぶりです輝夜さん。いえ、やってる時間がないっすよ」

 

「へぇー。輝夜って名前なんですね。さっき姫って呼ばれてたし、美人だからかぐや姫みたいです」

 

黒川が思わず口にした。

 

「そりゃそうよ、それって私だし」

 

輝夜の返答に「へっ?」っと思わず口にする黒川。

 

「えーっと、こちらは蓬莱山 輝夜さん。まぁ、なんて言うか・・・・かぐや姫ご本人です」

 

伊丹は彼女を紹介する。

 

「ちーっす、かぐや姫本人です。よろしく」

 

「え?え?」

 

「まぁ、彼女・・・・月に帰らなかったんだって」

 

「あんな退屈でクソつまんない所、焼き土下座されたって帰ってやるかっての」

 

「え?じゃ、じゃあ・・・・?」

 

「あ、月の都の事?うん、あるよ。滅茶苦茶退屈な所だけどね」

 

輝夜が答える。

 

「月の都から先日連絡がありました。姫の捜索は打ち切られているけれど手配はされたままだと。その手配情報を永久抹消してもいいけれど少し手伝え、と」

 

永琳が続いて答える。

 

「私の真の自由の為に!」

 

拳を突き上げる輝夜。

 

「かーぐーやー!こんなとこにいやがったかー!!」

 

突如妹紅の声がする。

 

「ちっ、見つかったか!」

 

輝夜が目配せすると永琳は輝夜の着物をあっさりと脱がせる。

 

「よぉ、輝夜。久しぶりだな?」

 

「ええ、久しぶりね」

 

互いに笑いあっている二人。

 

一見仲が良さそうに見えるが次の一言で吹き飛ぶ。

 

「最近鬱憤溜まっててな。主にお前を殺せなかったせいで」

 

「ええ、私も憂さ晴らしにあなたを殺したくて仕方ありませんでしたの」

 

変わって丁寧口調になる輝夜。

 

「はははは、そーかそーか」

 

「ふふふふ、そうですの」

 

伊丹は自衛隊一行にこの場から少し離れるように促す。

 

「ああんっ!?」

 

「おおんっ!?」

 

すぐに二人は一触触発になり。

 

「死にさらせえええっ!!」

 

「てめぇが死にやがれっ!」

 

ドガッ!バギッ!グシャッ!

 

輝夜の顔にストレートがめり込み、だが輝夜はその妹紅の腕を抱え込み膝を妹紅の顔面に喰らわせる。

 

突如始まった殴り合いに自衛隊一行が固まる。

 

輝夜の鼻が折れ血がとめどなく流れ、妹紅は前歯がへし折れる。

 

「あー、お二人さん。時間も押してるんで5分以内に殺し合い終わってくださいね」

 

「い、伊丹さん!?止めなくていいんですか!?」

 

「いいのいいの、これっていつものじゃれ合いで彼女達なりの愛情表現みたいなもんだから」

 

「だれがっ!」

 

「こんな奴っ!」

 

「ほら、息ぴったりでしょ?」

 

「いやいやいや!?」

 

栗林が慌てながらツッコミを入れる。

 

「それに二人とも不死者だし。輝夜さんも妹紅さんと一緒で死んでもすぐ生き返るんだよ。まぁ、最初見た時は俺も驚いたけどね」

 

「あんた達もっと離れてて本気出せないっ!」

 

「お前らもっと離れてろ本気出せねぇっ!」

 

「とっとと、巻き込まれたら怪我じゃすまないからもう少し離れないと」

 

伊丹の誘導で一行は後ろを向いて離れる。

 

後ろからはグジャッ!だのメギャッ!だの凄惨な音が聞こえる。

 

「いい加減にしろっ!」

 

突如後ろから怒声とともにゴスッ!ゴスッ!と二回鈍い音がして凄惨な音がストップした。

 

何事かと一行が振り向けば輝夜と妹紅は頭を抑えて蹲っている。

 

二人の前には一人の女性。

 

「あ、慧音さんだ」

 

「伊丹、話なら後だ。私は少し二人に話をしなくてはいけないからな」

 

(ヤバい、目がマジだ)と伊丹は火の粉が降りかかるのを恐れて一行と共にもう少し離れる。

 

「伊丹さん、今のは・・・・?」

 

「上白沢 慧音さんって言って人里で寺子屋をやっている人だ。妹紅さんとかなり仲がいいんだけど怒ると怖いんだ・・・」

 

「彼女も?」

 

「多分、ここに来ているってことは日本行きのメンバーの一人だな」

 

「あー、じゃあ輝夜様が身動き取れなさそうなので私達は先にこれに乗ってますね」

 

優曇華がバスに向かう。

 

「バニーガール!?」

 

「むっ、私はれっきとした地上の月の兎、鈴仙・優曇華院・イナバです。間違ってもバニーガールとかなんかじゃありません!」

 

「幻想郷の愛されマスコットにして地上の兎、因幡てゐだウサ」

 

「おい、誰が愛されマスコットだこの悪戯兎」

 

「じょ、冗談だって・・・・。うぅ、最近の優曇華は冷たい」

 

そう言いながら二人?二羽?はバスに乗り込む。

 

「優曇華さんはともかく、てゐさんも・・・。常識人枠とネタ枠の幅が広すぎる人選だ・・・・」

 

優曇華さんが冷たいって、今度はどんな悪戯して優曇華さん怒らせたんだろうか・・・・。

 

「慧音さん、お説教は程々にしませんと出発に支障が出ますよ?」

 

恐る恐ると伊丹が声をかける。

 

「むぅ、それもそうだな。永琳、軟膏で治る怪我か?」

 

「無理ね、この外傷の段階だと自然治癒でも半日は掛かるでしょう。輝夜様、時間も差し迫ってますので・・・・」

 

「分かってるわ。貴方も異論はないわね?」

 

「ああ、ねーよ。つか、こんなボロボロの状態で慧音の見送りなんてできやしねぇ・・・」

 

輝夜は妹紅と向き合い、同時に互いの胸を弾幕で貫く。

 

反対側の景色が見える大穴が胸に出来、輝夜と妹紅はその場に崩れ落ちる。

 

と同時に新しい体が再構築され何事もなかったように二人は立っていた。

 

「いいか、帰って来たらぶっ殺す」

 

「上等、返り討ちにしてやるわ」

 

互いに背を向け輝夜は永琳がすぐに着れるように準備している十二単の元へ向かった。

 

「おう、慧音。土産話頼むぜ」

 

「ああ、留守の間の寺小屋の方は任せた」

 

「おう、と言っても自習だけどな」

 

慧音が先にバスに乗り込み、永琳と輝夜も乗る。

 

まぁ乗る時にまた妹紅と睨み合っていたが。

 

 

 

「えーと、あとは誰が来るんだ?」

 

「伊丹さんも知らないんすか?」

 

「ああ。紫さんが来ればもう誰も来ないって事だってぐらいだけどな」

 

「そうなんすかぁ・・・・。あー、しかし幻想郷ってどんなとこだろ。一度行ってみたいっす」

 

「うーん、紫さんに頼めば行けるかもよ?基本的に来るものは拒まず、去る者は追わずってスタンスだし。まぁ、その前に自衛隊の方の許可とる必要があるかもだけど」

 

「そうっすよね・・・・」

 

少しだけ落胆する倉田。

 

「あ、来ました。小さな女の子です」

 

栗林が二人に参加者が来たことを知らせる。

 

「可愛い、ですか。有難うございます」

 

「へっ!?」

 

倉田が驚きの声をあげた。

 

「何で俺の考えてる事が、ですか。お答えします。あなたの心の声が聞こえたからです」

 

「やぁ、さとりちゃん。さとりちゃんも?」

 

「ええ、お空の代わりに行く事になりました。どうぞよろしく」

 

「も、もしかして・・・・?」

 

倉田が口をパクパクさせる。

 

「ええ、あなたのご想像の通り私は悟り妖怪です。不快な気分にさせてしまったのならば謝罪します。安心して下さい、プライバシーは守ります。では」

 

そう言い残しあっさりとバスに乗り込むさとり。

 

「あ〜、お空ちゃん難しい話駄目だしな・・・・」

 

例の核爆発の説明を聞きたいのだろうがお⑨の異名を持つお空には確かに無理だ。

 

下手したら地図の書き換えが必要になる。

 

「げ、幻想郷ってすげぇっす・・・・」

 

「うん、初めて会った時はびびった」

 

「伊丹さんが最初に読まれた心の声って何でした?」

 

「YESロリータNOタッチ」

 

「サイテーだこの人・・・・」

 

栗林が容赦なくツッコミを入れた。

 

 

 

「どんだけ大所帯で行くんだよ・・・・」

 

伊丹の呟き虚しく今度は三人一度に来た。

 

「い、伊丹さん!あの子足が無いっすよ!?でもって宙に浮いてるっす!?」

 

「ああ、蘇我屠自古ちゃんか。彼女亡霊だからね」

 

「亡霊!?」

 

「おいなんだよ、亡霊じゃ悪いってのかよ?」

 

「およしなさい屠自古。彼は外界の者、外界では亡霊は物語上の存在と聞きます。彼に悪気はないようです、許してあげなさい」

 

「太子様がそうおっしゃるなら・・・・」

 

「あ、神子様もですか?」

 

悩んでも無駄とばかりに開き直る伊丹。

 

「ええ、今の時代の現世の政に興味が湧きました。まぁ、私はよほどの事がない限りは見学ですが」

 

豊聡耳神子が伊丹に答える。

 

「太子様が行くのならば我も行かねば。これも修行の一環だ。間違っても外界を見てみたいという興味からではないぞ?」

 

「布都、本音が漏れてますよ」

 

「はぅっ!?」

 

「久方ぶりの現世です。確かに興味もあるというのも事実。私もそうですから布都が興味本位からでも怒りはしません」

 

「では神子様、バスに乗って待ってて下さい」

 

「この乗り物ですね?分かりました」

 

そう言い終え三人はバスに乗り込んで行く。

 

「可愛い子達でしたねぇ。でも、あのヘッドホンみたいなのをしてた子ってもしかしてパッ」

 

「倉田ちゃん!ちょっとあっちでお話ししよう!」

 

ガシッと倉田の首を腕でホールドするとバスからある程度あるところまで引き摺る。

 

「こ、この辺ならもう大丈夫・・・か?」

 

「ぷはっ!ど、どうしたんすか伊丹さん!?あの子がパッ」

 

「はい黙ろうねー!?」

 

手で倉田の口を塞ぎ指で静かにしろとジェスチャーする。

 

倉田が頷くと伊丹はゆっくりと手を離した。

 

「倉田ちゃん、長生きしたかったらさっきの言葉の続きは神子様の近くじゃ絶対禁句で。いいね?」

 

「わ、分かりました・・・・。で、でも、そんなに強いんですか?なんか伊丹さん、様付けでよんでますし」

 

「あー、強いってのもあるけど・・・・。日本人だからかな?彼女の本名、豊聡耳神子様って言うんだけど・・・」

 

「豊聡耳・・・・?どこかで聞いたことあるような・・・・」

 

「特大ヒント、旧一万円札」

 

「あ・・・あーーーーーー!?聖徳太子!!?」

 

「うん、本当は女の子だったんだって」

 

「れ、歴史が書き換わるっすよ!?」

 

「歴史学者も大変な日になるなぁ・・・」

 

二人は早足でバスまで戻った。

 

戻ると同時にバスのエンジン音とは異なる音が聞こえる。

 

その音はだんだんと近付いてくるが発生源が分からず自衛隊一行は不安げな顔をする。

 

だが音の正体に心当たりのある伊丹は足元の石を拾うとそのまま投げる。

 

「あ、あぶなっ!?盟友、当たったらどうする気なのさ!?」

 

誰もいないのに声がする。

 

「一緒に行くんだろ?ほら、みんなを驚かしてないで姿現したほうがいいぞ」

 

「もうちょっと驚いたリアクションして欲しいんだけど」

 

そう言いながら声の主、河城にとりは光学迷彩スーツのステルス機能をオフにする。

 

音の正体は彼女が背中に背負っている装置のプロペラ音だ。

 

「音だけ聞こえる時点でもう光学迷彩だってバレバレだぞ」

 

「うーん・・・・もっと静音化しないと・・・・」

 

「・・・・・・・・・!?」

 

今までとは真逆の余りにも高度すぎる科学技術がいきなり登場し声を失う自衛隊一行。

 

「いや、プロペラの時点でどうしても風切り音は出るからなぁ。これ以上の静音化は無理じゃないのか?」

 

「物理的限界かぁ・・・。なんかいい方法ないかなぁ・・・・?」

 

あれこれ考えながらにとりはプロペラを畳み込みバスに乗って行く。

 

「ああ、みんなに紹介し忘れたっけな。彼女は河城にとり、ここでは技術開発部門の責任者をやってる河童だよ。商売人としても成功してるから凄いよホント」

 

しみじみと言う伊丹と唖然とする一行。

 

光学迷彩、伊丹は見慣れていて気にしなくなっているが初めて見た一行には超技術の塊である。

 

「あ、霊夢さん。霊夢さんも?」

 

久しぶりに会う霊夢に伊丹が挨拶をする。

 

「ああ、伊丹・・・・」

 

「ど、どうしたんです?なんかげんなりしてますけど・・・」

 

「あんなのをここにくる間中見せつけられたら誰でもこうなるわよ・・・・」

 

霊夢が向けた視線の先。

 

そこに居るのは魔理沙とアリスだ。

 

「百合よ、百合の花が咲いてるのが見えるわ伊丹・・・・。私の気のせいかしら・・・・」

 

「さ、咲いてます・・・・!確かに咲いてます・・・・!」

 

「おいおいアリス、たったの二、三日だぜ?」

 

「二、三日も魔理沙と会えなくなるんだから、今の内に魔理沙分を補充しなくちゃいけないのよ」

 

そこにはなんと、イチャイチャしている魔理沙とアリスの姿が!

 

「ずっとあんな調子よ・・・もうお腹いっぱい・・・」

 

さっさとバスに乗り込む霊夢。

 

結局魔理沙とアリスは紫が来るまでイチャイチャし続けた。

 

それを見た紫は面白いものを見たとでも言わんばかりだった。

 

 

「えーと、幻想郷側は俺を含めて・・・・・」

 

メンバー構成を確認する。

 

永遠亭一同。

 

神霊廟一同。

 

魂魄妖夢。

 

上白沢慧音。

 

古明地さとり。

 

河城にとり。

 

博麗霊夢。

 

霧雨魔理沙。

 

八雲紫。

 

「合計で十五人もっすか!?」

 

改めて人数を確認し大所帯ぶりに思わず叫ぶ。

 

これで異界側のロゥリィ、テュカ、レレィが加わる。

 

「安心なさい、全員が国会に行くわけではないわ。にとりは技術交流、霊夢は外界の『日本巫女連盟』とか言うところとの文化交流、魔理沙はその付き添いで慧音は外界の教育視察、永遠亭は何やら宇宙開発系の連中に用事があるらしいわ」

 

「あれ?神霊廟の神子様達は議会見学ですが・・・・妖夢さんは?」

 

「あの子?おまけよ」

 

「ひどっ!?」

 

見れば、(私、おまけ!?)な表情の妖夢。

 

「冗談よ、一応あなたは空を飛べる様になったけど弾幕はまだ無理でしょ?接近戦とかになった時も困るし、伊丹のボディガードよ」

 

その言葉にホッとしている妖夢がいた。

 

「じゃあ、これで全員ですね?」

 

バスの中を見回す。

 

「ええ、これで全員よ」

 

「?」

 

何故か紫が空席の座席を見て少し笑ったのが気になった伊丹だが時間が押していると倉田が駐屯地からの連絡を受け考えるのをやめ座席に座る。

 

 

バスがゆっくりと走り出す。

 

「た、太子様、牛もいないのに走ってます」

 

「これが今の現世の“自動車”と言う物ですか。現世も便利になったものですね」

 

「見るのと実際に乗るのとでは大違いだな。結構楽しいではないか」

 

神霊廟組は順調に適応している。

 

「ずいぶん揺れるわね・・・まだ内燃機関レベルなのかしら・・・・」

 

「姫、月と比較しても・・・・」

 

「黒い排出ガスの様なものを撒き散らしてますね。こんなのが沢山あるらしいですが、空気を汚しまくってるのでは・・・?」

 

「あたしゃ月の乗り物なんて実際に見た事ないから何とも言えないよ」

 

永遠亭の一部からは結構厳しい評価だ。

 

「これは・・・凄いな。大人数を一度に輸送出来るとは画期的だ」

 

「ほへー、凄いなー」

 

「ええ、確かに」

 

慧音、妖夢、さとりは感心している。

 

「うーん、振動と音が気になるなー。ショックアブソーバーが甘いのかなー?モーターにすればもう少し静かになるのになー。でもバッテリーの問題も・・・」

 

にとりは技術的な問題点の解決法を考えるのに夢中だ。

 

霊夢と魔理沙は一度自衛隊の車に乗ったことがあるから特に問題はないし、紫はリラックスしている。

 

自衛隊駐屯地と紅魔館の中間にある難民キャンプでロゥリィ、テュカ、レレィを拾いバスは自衛隊駐屯地へ。

 

自衛隊駐屯地で何故かピニャ、ボーゼスも同乗した。

 

聞けば日本政府と帝国との間の仲介役になるのを日本政府は期待しているらしい。

 

二人はそのために日本政府から招待され日本行きになったとの事だ。

 

バスはゲートを通り、やがて明かりが見える。

 

自衛隊の管理している銀座のゲートに到着したとアナウンスが入る。

 

ピニャとボーゼスはビル群に見入っている。

 

幻想郷側もその摩天楼に感心したりする者もいる。

 

霊夢と魔理沙はかつてオカルトボール異変の際に外界と思われる場所に来ているためあまり驚かない。

 

逆に「ゴチャゴチャしてる」と辛辣な感想。

 

 

 

一度バスはゲートから一般道へ出る前の連絡等で停止し、敷地内での自由行動を許される。

 

ほとんど降りるものはいなかったが興味から何人かが降りる。

 

「あんたが、“幻想郷”とやらにいたって言う自衛官の伊丹三尉かい?」

 

コートを来た数人の人間が近付いてくる。

 

こんな自衛官だらけの場所で。

 

「えーと、もしかしておたく、公安かな?」

 

「分かるかい?」

 

「何となく、空気がね。それと一応は休職中だから。てか、退職届出してかなり経つんじゃ?」

 

「上の方でも、扱いに困ってるらしい。まさかの日本国内に存在する特地の様な世界“幻想郷”、そこに住んでいた休職中の自衛官。簡単に退職届を受理できんらしい」

 

「あ〜、政治的ゴタゴタに巻き込まれ系な?」

 

「そこまでは分からんよ。しかしもっと分からんのはレンジャー持ちでしかもSなんぞにいたあんたがどうして自衛官の立場をほっぽり出したのかだ」

 

「え、Sううぅぅぅぅぅぅっ!?」

 

聞き耳を立てていた栗林が叫ぶ。

 

そして「イメージが、イメージがぁぁっ!」と何故か苦悶していた。

 

「ところで、この後すぐに国会?」

 

「いや、まだ二時間程度は大丈夫だ。特地や幻想郷からの来訪者の服を買いに行ったり飯を食う時間ぐらいはあるさ」

 

 

 

日本政府・首相官邸。

 

「いよいよ、今日か・・・」

 

本位総理が閣僚達を前に静かに声を出した。

 

「相変わらず、中国とマスコミは好き放題言ってたが今日のこれで少しは黙らせられればいいがな」

 

嘉納大臣の発言に他の閣僚も頷く。

 

「ところで、幻想郷側からの来訪者の最終報告はそろそろかな?民間団体や公的機関の視察等は調整できているがどの様な人物が来るか・・・」

 

バタバタバタ!ガチャッ!

 

「し、失礼します!」

 

閣僚達はこのパターンにデジャヴを感じる。

 

今度はどんな事態なのだろうか。

 

流石に核爆発級の大爆発を確認した時の報告のような大事ではないだろうが。

 

「おう、どうしたい?」

 

嘉納大臣が飛び込んで来た連絡員にこっちから声をかけた。

 

「げ、幻想郷側の来訪者のリストが届いたのですが、そ、その中に・・・・・」

 

「うん?」

 

「こ、こ、皇族の方がいらっしゃいます!!」

 

「「「「「「はぁっ!!?」」」」」」

 

「こ、皇族ってあの皇族か!?」

 

「は、はいっ!その方の写真がこっ、こちらです!」

 

嘉納大臣に封書を手渡す連絡員。

 

和と書かれたヘッドホンの様な物を耳に付けている。

 

アップの写真と全身が写ったバスの中での写真。

 

「この少女か?」

 

「は、はい・・・・・」

 

「うん?皇族や皇族離脱した元皇族には行方不明になった方はいないはずだが?」

 

そう呟いてリストに目を落とす。

 

ファックスで送られて来た書類に蛍光ペンで線が引かれている。

 

「なになに・・・?名前は・・・・・豊聡耳・・・・神子・・・・?手書きで注釈があるな・・・・。えーと・・・・・・・」

 

そのまま固まってしまう嘉納大臣。

 

「ど、どうしました?」

 

嘉納大臣の様子に本位総理が心配になり声をかけた。

 

口をパクパクさせながら必死にリストをブルブル震える手で本位総理に渡す嘉納大臣。

 

それを受け取り、本位総理が目を通す。

 

「注釈でしたね・・・。ええと・・・・・・しょうとくたいし・・・・・・?」

 

言葉を文字で表したのならおそらく平仮名でだろう。

 

脳が精神を守ろうと自己防衛したのだ。

 

ゆっくと本位総理の脳はその名前を理解して行く。

 

(しょうとくたいし・・・・聖とくたいし・・・・聖徳たいし・・・・聖徳太し・・・・旧一万円札の・・・・)

 

精神が耐えられると脳の防衛機能が判断した。

 

「聖徳太子!!?」

 

本位総理が素で驚きの声をあげた。

 

「「「「「はああああぁぁぁぁっ!!!!?」」」」」

 

同じく耳から入った言葉を脳が防衛処理を終えて理解した閣僚達が素で驚き返した。

 




と、いうわけで日本に着きました。
うん、輝夜さんと月の関係に一部捏造設定で”捜索はされていないけど手配はされたまま”という設定です。
月側が綿月姉妹経由で「協力すれば手配情報どころか輝夜に関する月が保有している情報を抹消してやる」と取引を持ちかけてきたような感じだと思ってもらえば。

神子様=聖徳太子本人で行きます。
いいよね?

日本巫女連盟、架空の団体です。・・・・・・多分。
一応検索してみたけどヒットしなかったから存在しない・・・・よね?

何で魔理沙が霊夢の付き添いかって?
・・・・・・一人じゃ弾幕ごっこできないでしょう?(ゲス顔

自衛隊や内閣ばかりが胃の痛い思いをするのは不公平です。
民間にも同じ思いをしてもらいましょう。


ちなみに最初に書きあがった下書きじゃあもう二人いました。
茨木華扇さんと風見幽香さんです。
しかし本書きを始めている際に華扇さんが日本に行く理由が弱くある意味こじつけっぽかったので除外。
幽香さんは・・・・・オーバーキル過ぎ。
旅館編で旅館が消し飛ぶどころか地形が変わる。
だってせっかくゆうかりん出すんなら、
通称”元祖マスタースパーク”やら通称”ツインスパーク”使ってもらいたいですし。


お空がお花畑な野党連中に批判されたらお空が耐えられないので代理にさとり様。
だってお空だよ?
難しい話ならともかく一方的に批判されたら耐えられないと思う。
国会議事堂消滅議員全員死亡ならマシな方で最悪東京が地図から消える。
皇居にそんな畏れ多い描写出来ないので・・・・・。


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