GATE 幻想郷防衛軍彼の地にて斯く戦えり 作:にょろ35106
お気に入りが250件突破・・・・だと!?
「じゃあ、みんな先に戻ってるよ」
伊丹が自衛隊の車両に乗り込む。
紫に別命を受けた藍を始め幻想郷の一行は聖輦船に乗って帰る事にしたが伊丹はロゥリィ、テュカ、レレィ達と自衛隊一行と先に戻る事にした。
聖を始めとした命蓮寺一行が負傷者の手当てをしながら街の住民と打ち解けようと仏の教えを少しずつ話していたら意外にもイタリカの人々に受け入れられた。
伊丹は命蓮寺が聖輦船を解体して建てられたと聞いたことがある。
まさかあの聖輦船バラしてここに命蓮寺建てたりしないだろうな・・・と少し心配になる。
そんなことを考えながらも倉田とアニメの主題歌を歌いながらとフリーダムだ。
ただ同乗しているだけなのもあれなので伊丹は双眼鏡を借り受け警戒役を引き受ける。
「うげっ!また煙だよ・・・・!」
「俺たち、呪われてるんすかねぇ?」
「あー、倉田ちゃん・・・。呪いも実在するからね・・・」
「マジっすか!?」
「うん、マジ。あー、あれ煙は煙でも土煙だな・・・・。馬に乗って集団で移動してるっぽいな。んんっ?」
「どうしたんです?」
「ベルばら?宝塚?あー、姫さんが言ってた騎士団ってこの人達かも」
「縦巻きロールの実物初めて見たっす!」
「総員警戒!」
「待ってください!」
桑原が指示を飛ばすが伊丹が待ったをかける。
「確か自衛隊側の結んだ協定だと敵対行動と取られる動きをしたら協定違反になってしまいます。俺は幻想郷側だから俺に任せてください」
「う、うむぅ・・・。し、しかし民間人の立場のあなたを危険な目には・・・・」
「俺、こう見えてもリアルで地獄に行って帰って来た男なんですよ。前に言ったでしょ?閻魔様に会ったって。ある程度の修羅場なら幻想郷にいる間に慣れっこになってます、人喰い妖怪に襲われて逃げ延びたこともあるんですから。いざとなったら空飛んで逃げますからここは俺の指示に従って下さい」
「分かりました、ご協力感謝します。ご武運を」
停車した自衛隊車両にショート髮の女騎士が近付く。
「お前達、どこから来た?」
「えーと、私達イタリカから帰る」
不慣れな特地語で会話する隊員。
「どこへ?」
「アルヌス・ウルゥに・・・・」
途端、槍を突き出す騎士団。
「異世界の敵か!?」
団長と思わしき縦ロールが降馬し会話を行なっていた隊員の胸倉を掴む。
「もう一度言ってごらんなさい?」
問いかけに対し同じ返答をする隊員。
「行ってきます。絶対にこちら側から攻撃しないようにお願いします」
桑原のに念を押す伊丹。
「あー、みなさん落ち着いて。何か失礼がありましたか?」
伊丹に槍が突きつけられる。
「降伏なさい!」
「は、話せば分かる!話し合いましょう!」
「くどいっ!」
「話が通じない!?そんな⑨じゃあないのに!?」
「なんだ⑨って!?」
「お黙りなさい!」
伊丹と部下の騎士のやり取りにイラついた金髪縦ロールが伊丹にビンタする。
「逃げろ!今は退避を!急いで!」
伊丹がとっさに叫ぶ。
「彼の指示に従え!急げ!」
「隊長!?」
「ここで戦端を開くわけにはいかない!今は退避する!!」
桑原の命令に自衛隊は車をUターンさせ撤退する。
キッ!と金髪縦ロールとショートが伊丹を睨む。
「さ、さらばっ!」
途端に空に向かって飛び上がる伊丹。
「魔法使い!?」
「逃すかっ!!」
一人の騎士が槍を投げる。
「あだっ!?」
直撃はしなかったが柄が頭に当たり落下する伊丹。
「あ、あははは・・・・」
即座に縄で腕を縛られた伊丹は乾いた笑いをするしかなかった。
「一体なんて事をしてくれたんだ!!」
ピニャの激怒の声が響き渡る。
ガシャッ!と金属のカップが金髪縦ロール改めボーゼスの額に裂傷を創りたらりと血が流れる。
「え・・・・?」
「ひ、姫様!私達が一体何をしたと!?戦いに間に合わなかったとは言え」
「黙れ!!」
「ひっ!?」
ふーっ!ふーっ!と興奮状態のピニャ。
「ニホンとゲンソーキョーとは協定を結んだばかりなんだぞ!」
「そ、そんな事を私達が知っている訳が・・・!!」
「協定を結んだその日に協定破り・・・・それを口実に進軍する・・・・。帝国の常套手段だな・・・・・」
どさっ、と力なく椅子に座り込むピニャ。
まさか帝国側がその様な立場に立たされるとは・・・との思いがあった。
ましてやまだ幻想郷の聖輦船はイタリカの街の外にある。
街の中では自由に行動できる権利もある。
ピニャの頭の中に盗賊達を蹂躙した巨大な金属ゴーレムの大群が帝都を蹂躙し奇妙な飛行物体の大群が空から地上を攻撃する光景が思い浮かぶ。
「伊丹殿!伊丹殿!ああっ!?」
気を失わない様にと声をかけ続けていたメイドの前で伊丹は意識を失う。
「すっ、すぐに介抱を!」
メイド長が大慌てで指示し伊丹は部屋の外へと運ばれる。
「ああっ、どうすれば・・!!」
頭を抱え込むピニャ。
「幸い死人はでていません、ここは策など弄さず素直に謝罪されては・・・」
「わ、妾に頭を下げろと!?」
「しかし、ゲンソーキョーとの協定内には危害を及ぼした者とその命令者の処罰権はゲンソーキョー側にあると結んだ協定には・・・」
「そ、そうだが・・・」
ガチャ。
突如ドアが開く。
「誰が外部の者を通しても良いと言っ・・・・た・・・・・」
ピニャは固まった。
開かれたドアから入ってきたのは九つの尻尾を持つ・・・。
「や・・・ヤクモ・・・ラン殿・・・・」
室内にいた全ての者が藍から放たれている殺気に当てられる。
その目は殺意の篭った目だ。
膝が勝手にガクガクと震える。
ボーゼスともう一人のショートの女騎士も殺気に当てられ体をガクガクと震わせる。
「先程運ばれていったボロ雑巾のようになっていた男・・・我が幻想郷の伊丹耀司に見えたが・・・私の気のせいか・・・・?」
「あ・・・ああ・・・・」
「確か協定には、幻想郷側に危害を加えた者、及びその命令者の処罰権があったはずだな・・・・?」
ギラリッと藍の爪が鋭く光る。
「すっ、すまない!命令が行き届いていなかった!」
ピニャは思わず謝罪の言葉を口にした。
「ほう、まさか素直に謝るとは・・・・」
途端に殺気が消え殺意の篭った目も普段の状況に戻る。
「まぁ、大方そうだと思っていたよ。今回の事に関し私は口を挟まない。邪魔をした、後は伊丹本人に誠意を尽くすのだな。まぁ、伊丹がどう判断するかだが・・・・・」
そう言い残し藍は去っていった。
室外。
「これでいいのですか?」
藍は無人の廊下で喋る。
「ええ、いいわ」
天井にスキマが開き紫が上半身を覗かせる。
重力を無視し紫の髪や帽子は落下せず。
「しかし、分かりません。取り決めを破ったのですからあの場で八つ裂きにすればよかったのでは?」
「それだと面白くないでしょ?」
悪戯っぽく笑う紫であった。
さてさて、もうすぐ国会の質疑シーンが来ますね。
ある程度の構想はできているんですがとある壁に突き当たりました。
博霊神社にちょくちょく顔を出しているピンク仙人・・・げふんげふん!えー、「茨木華扇」さんって何歳なんでしょう?
他のキャラは公式非公式である程度わかるのですがピンク仙人だけの年齢が見つからず・・・・。
伊丹の台詞の中にあった「リアルで地獄から帰ってきた男」はそのうち番外編で公開できたらいいなぁ・・・・・・。
初めて幻想協に足を踏み入れた時の話もある程度出来上がって形になりつつあるのでそのうちに公開する予定です。