GATE 幻想郷防衛軍彼の地にて斯く戦えり 作:にょろ35106
スラスラ書けている先人達を尊敬します。
なお、一部ネタに走っている要素があります。
悲報・作者のTV用HDDドライブ認識障害により泣く泣く初期化・・・・。
手は尽くしたが再認識されず・・・。
録画溜めしてあった大量のアニメが、AT-Xで一挙放送時に録画したGATE本編が全て消えた・・・・・。
レンタルショップへダッシュ・・・じゃ無理だからバイクで行ったがGATE全巻貸し出し中だったよママン・・・・・。
イタリカの街を野盗が襲撃していた。
しかし伊丹達がいる南門ではなく、東門。
捨て駒にしてあわよくば野盗達に幻想郷と日本の部隊を始末させようと考えたピニャの目論見は失敗に終わる。
東門側が明るくなり、微かに怒声が聞こえる。
戦闘状態に入ったのだろうか・・・。
「なんでぇ!?こっちに攻めてくるんじゃなかったのぉっ!!」
戦いを期待していたロゥリィは敵が反対側にいると知り叫ぶ。
東門の城門は破られ、内側に築かれた防御柵と城門の間の僅かなスペースに野盗が死体を運び込む。
以前の襲撃で連れ去られた民間人の死体だ。
挑発する様に武装した住民達の目の前で死体を切り刻み、柵の内側へ投げ込む。
恋人の夫の妻の死体を嬲られ怒りの頂点に達した住民達はピニャや兵士の制止を無視して柵の外側へ。
しかし今この柵の内側にいる野盗は元正規兵の指揮官クラス。
付け焼き刃の民兵などが相手になるはずもなく、次々の物言わぬ骸に成り果てる。
雄叫びをあげる野盗達。
それに呼応し、城壁の上を占拠した野盗、門の外で攻め込むのを待っている一般兵も自らを鼓舞するために雄叫びをあげる。
皆が見ている前でロゥリィが喘ぎながら身悶えていた。
何が起きたのか分からなかったがレレィの説明で原因が分かる。
戦いの中死んだ魂がロゥリィの身体を通してエムロイの元へ行く。
その時にロゥリィの身体には魔薬の様な効果を与えるという。
狂えば楽だが亜神は狂えない。
無数の魂が通過する為にロゥリィの興奮は高まるばかり。
しかも戦場から離れているからこの程度で済み、もし戦場の真っ只中ならば敵と認識した相手を殺戮して回るらしい。
流石の伊丹も少し引く。
伊丹が知っている限り、幻想郷に戦争の神を見たことは無い。
元々いないのか、それとも地球ではまだ紛争やテロなどが起きているから幻想郷に来る必要がないのか・・・。
レレィとテュカは今のロゥリィには不用意に近付くなと言いたげだ。
「青娥、あれなーに?」
「だめよ芳香、見ちゃいけません」
「何、このやり取り・・・」
青娥と芳香の親子の様なやり取りに栗林が戸惑う。
芳香が死体という事には慣れたらしい。
「脆すぎる・・・・!」
ピニャが現状に嘆く。
士気はガタ落ち、力押しだけの敵に負けている。
おまけに一緒に帝都からこの街に来た騎士の一人の姿が見えない。
一体どうしたというのだ・・・。
「お、おい!ロゥリィ!?」
ロゥリィがもう我慢できないと塀から飛び降り、凄まじい速度で戦場へ向かう。
「さすがに一人じゃ!?」
伊丹もロゥリィの後を追う様に飛ぶ。
「芳香、私たちも行くわよ?」
「あーい」
青娥と芳香のコンビも青娥が芳香を抱きかかえながら飛ぶ。
「私も行くが、そちらは?」
藍が言い残して同じく飛び立つ。
「うわー、空飛べるって便利だよなー」
「言ってる場合か倉田!全員搭乗!援護に向かう!」
自衛隊側も慌ただしく車に乗り込み東門へと走り出す。
テュカ、レレィも車に同乗する。
戦闘ヘリが爆音とワーグナーのワルキューレの騎行を大音量で流しながらイタリカの街へ急速接近する。
野盗が殺到している城門にターゲットロック、発射する。
自動車でも追いつけない速度でロゥリィが走り、遂に戦場の只中にたどり着く。
ロゥリィが野盗達の領域に着地するのと着弾は同時だった。
爆炎がロゥリィをまるでその場の主人であるかの様に演出する。
野盗達は上空を見上げる。
金属の奇怪な物体に乗った人間が攻撃をしてくる。
「何だあれは!?人が乗っているのか!?」
機銃掃射で街を囲む塀の上に陣取った敵兵士を射殺し対空使用可能と思われる敵武装を破壊して行く。
暴風の様な圧倒的脅威になすすべも無くバタバタと倒れて行く野盗達。
「卑怯だぞ!」
「正々堂々降りて来て戦え!」
抗議するが偶然にも他のヘリが発射したミサイルが着弾し抗議していた野盗達は消し飛ぶ。
その様を見ていたピニャは本人も気付かないうちに涙を流していた。
「女神の嘲笑・・・」
目はヘリを見ていたがピニャは神話の戦女神を幻視していた。
地上ではエムロイの神官が地上の暴風の様に野盗を殺戮している。
「しかし、数だけは多いな・・・・」
航空部隊の指揮をとっていた建軍一佐は地上の敵兵を見ながら言う。
混乱に陥っているが戦い慣れしている様な連中の一部は体勢を立て直して届かないにも関わらず弓を射って来ている。
「建軍一佐!幻想郷側より入電!幻想郷側の援軍が到着するので城門上空を開けて欲しいそうです!」
「本部から連絡のあったやつか!?コブラリーダーより各機、イタリカ東門より距離を取れ!いいか、常識で考えるなと狭間陸将からの伝言がある!」
全機から了解との返答があり、全機がバラける。
地上のピニャを含めたイタリカ勢や野盗は突如攻撃を緩め離れた場所に移動したヘリを不思議そうに見ている。
ゴオオオオオオオオッ!
轟音が鳴り響く。
「速い速い!こんな速い船、初めてです!船長冥利に尽きます!」
「こ、この天狗の団扇の出番、発進時ぐらいだったんですかー!?」
振り落とされない様に聖輦船の柱にしがみつく椛。
「いやー、まさかじえーたいって言うののヘリっていうのがあんなに速いとは思っていませんでしたからね。河童が補助用って言うブースターエンジン取り付けていてくれて助かりました!椛さん、もうすぐあなたの出番再開ですよ!」
後方からジェット噴射をしながら戦場に飛び込む空飛ぶ木造帆船。
ジェット噴射が止まり、イタリカの街上空を旋回しながら引っ張っていた巨大な箱を繋いでいた縄が解かれ遠心力で野盗が群がっていた場所に落下、そのついでに落下ポイントにいた野盗が箱に押し潰され、止まるまでの間に巻き込まれた野盗がミンチになる。
「再び私の出番ですよー!」
ジェット噴射時にしまいこまれていた帆が再び張られ、天狗の団扇の出番が再来する。
「面舵いっぱい!舳先を街に向けます!お待たせしました聖様!聖様の出番です!」
街の住民が、帝国の兵士が、野盗達が、ついでに自衛隊のヘリ御一行がその突然さに思わず手が止まった。
全員の思いは同じだった。
何故、木造船が空を飛んでいるのか?と。
ピニャはなんと無くだがヘリがどうやって飛んでいるのかを想像していた。
頑丈な風車の様なものを超高速で回転させているのは見て想像出来た。
だがあの空飛ぶ船は?
形状はそのまま水に浮かぶ船と同じで帆も張られ風を受けている。
ガシャッ!ドルンッ!
薄暗い空間の中に響き渡るキックレバーを踏み込みエンジンが動き出す音。
ドッドッドッドッドッドッ!
大排気量のアイドリング音。
グィッとアクセルを吹かしエンジン回転数を上げタイヤを回転させる。
ドドドドドドドドドドドドドッ!
ギャギャギャギャギャーーーーッ!
床と急回転を始めたタイヤが擦れ合い、焼けたゴムと木が焦げる匂い。
グンッと前輪が浮かび上がりウィリーした状態でそのバイクは聖輦船の甲板を駆ける。
用意された板を利用して聖輦船から空中へ飛び出す。
そのバイクにはライダー以外にもう一人・・・二人乗りの状態で眼下の戦場へ落ちて行く。
「あれはバイクか!?」
「恐らく!でも、空中に飛び出しただって!?」
建軍一佐は双眼鏡でバイクを見る。
乗っているのは二人の女性でノーヘル。
二人とも髪は長い。
一人は頭頂部が茶色っぽく毛先に向かって金色っぽくグラディエーションがかった髪、もう一人は真っ白な髪だ。
そのまま落下して地面に激突かと思われたがまるで見えない足場があるかの如く地上に向かって走行して行く。
地上に到達したバイクのライダー聖白蓮はそのままバイクを直進させ門の中に飛び込む。
門の中では混乱から回復した野盗達がロゥリィとの戦闘を繰り広げていた。
ドルルルルルルルルッ!ドッドッドッドッドッ!
停車し後部に乗っていた白髪の少女・・・・藤原妹紅が地面に降り立つ。
「サンキュー、白蓮」
ポケットからクシャクシャのタバコの箱を取り出し、一本咥える。
シュボッ。
指先から出た炎がタバコに着火し、深く吸い込み吐き出す。
「ぷはぁーっ・・・・」
「妹紅さん、煙草は体に良くありませんよ?何事も程々にです」
「わーってるって。どうせ死なない体なんだからいいだろ。じゃあ、ここはあたしに任せて白蓮は外の連中を頼むわ」
「ええ、それではまた後で」
そう言うと聖は爆音を轟かせて城門の外へ走り出す。
「ったく、説教臭いターボババァだぜ・・・・。あー、つーわけで最近輝夜の奴が新発売のゲームってのに夢中で引き篭もっちまって喧嘩出来なくてイライラしてるあたしの相手はお前さん達だな?八つ当たりさせてもらあぐっ!!」
無数の槍が妹紅の体を貫く。
「がはっ!!」
血の塊を吐き出し息絶える妹紅。
「この女、何がしたかったんだ?死なない体とか言ってたが普通に死んだぞ」
「知るかよ、死体に聞け」
「ぎゃはははははははっ!馬鹿な女だぜ!戦いだ戦いだ!」
戸惑いながらも槍を突き上げ妹紅の死体を宙に掲げる。
「え・・・・?」
ロゥリィは違和感を感じる。
戦いの中すぐそばで死んだ妹紅の魂がエムロイの元へ召されないどころかロゥリィの亜神の体を通過しない。
それどころか妹紅の死体がたちどころに崩れ塵になる。
「あー、めっちゃ痛かった・・・」
「ど、どうなっているのぉ!?」
流石のロゥリィも戸惑う。
そこに立っているのはつい今しがた死んだ妹紅だ。
再びタバコを咥える。
「ま、そう言うこった。あたしゃただの不老不死の人間さ。あ、でもさっきのは死ぬ程痛かったから仕返しはするけどな」
そう言いながら炎を纏って野盗達の中へ回転回し蹴りをしながら突っ込んで行った。
次第に回転と炎の出力が上がり移動する着火源と化す。
それはまるで回転する火炎放射器が野盗達を焼き殺しているように見えた。
「ひゃっはー!汚物は消毒だー!」
それを目撃した伊丹は妹紅に香霖堂で見つけた北○の拳全巻セットを読ませた事を少し後悔したとか。
一方その頃、聖輦船内部。
「ああっ、宝塔が、宝塔が無い・・・・」
「ご主人、また宝塔無くしたのか・・・。もう戦闘は始まっておるぞ・・・・」
「ううっ、あれが無いと・・・・」
寅丸星とナズーリンは寅丸が船倉で無くした宝塔を探し回っている。
河童達の道具が山積みで探すのに苦労しているいつもの二人であった。
城門外で聖のターゲットにされた野盗達は大体が幸運だった。
殺生を嫌う聖の弾幕によって行動不能にされるだけだから。
ただ、ごく一部の不運な野盗がバイクで轢き逃げされたり倒れた所をバイクが通過してタイヤで命ごと肉を削がれたりしたが。
だがハイスピードで気分もハイになっている聖は野盗を轢いている事に気付いていない。
周囲からの自衛隊のヘリによる攻撃も再開され、聖輦船からは妖精達が爆弾を投下している。
だからだろうか。
最初に投下され沈黙を保っていた巨大な箱を野盗達でさえ忘れかけている。
忘れていない野盗は運悪く足を潰されたりして身動きが取れなかったりしている野盗達である。
パチッパチッパチッ。
カチカチカチカチッ。
暗い木箱の内部にスイッチを入れて行く音が響く。
次第にパイロットランプが点灯しモニターが点灯し操作している三人の姿を照らす。
緑の髪に蛙の髪飾りの少女、蛙の目のような装飾が付いた帽子をかぶっている幼女、背中にしめ縄を背負っている女性。
「早苗!常温核融合炉は正常だよ!」
「水圧マニュピレーターもオッケー!」
「ありがとうございます。では神奈子様!諏訪子様!さぁ!今宵のグランギニョルを始めましょう!」
ふんすっ!と鼻息を荒くする早苗。
「もう朝だけどね〜」
「早苗・・・・それ、こいつの名前とかけた駄洒落かい・・・・?」
守矢の二柱がすかさずツッコミを入れた。
「い、いいんです!さぁ、起動キーワードを言いますよ!」
「うん、あれだね~。わたしはあの巨大ドリルロボットアニメのセリフが良かったんだけどね~」
「あたしとしちゃあ、むせる最低野郎達の・・・・」
「く、クジで決めたんです!仕方がないと思います!」
「でもさぁ、ロボの起動コードなのにロボットアニメと無関係のキーワードってねぇ・・・・誰があの台詞入れたんだい?」
「神奈子〜、早苗〜。早くしないと出番なくなっちゃうかもよ?」
「「それは困る(ります)!!」」
言い合いを中止し、深く息を吸い込む。
「では、お二人様とも!行きますよ!?」
「ああっ!」
「おっけ〜」
覚悟を決め、キーワードを言う。
「「「メルクリウス超うぜえぇぇぇっ!!」」」
なお、この台詞をクジに混ぜたのは輝夜だったとか・・・。
最後のは完全にネタです、本作品にDies要素はありません。
・・・・・・・作者が悪乗りしない限りは。