GATE 幻想郷防衛軍彼の地にて斯く戦えり 作:にょろ35106
✳︎神様達の性格は勝手な想像です(知識が中途半端なもので)
✳︎オリキャラが出ますが許して。
7/31追記・作者の手元にGATEの小説版がないのとコミックスもまだ6巻までしか所有していないのもあり、神様の喋り方等が完全に作者の想像になっています。
特地の神々が集まっていた。
イレギュラーな事態。
まだごく僅かではあるが信仰が異世界の神に奪われている。
その原因を作ったハーディーに他の神々が非難を浴びせる。
「ハーディー、帝国に門を与えたのはいいとしよう。だが、何故あのような世界に繋いだのだ」
「分からないよ。以前繋いだ世界のニホンって国に繋いだのは認めるよ。でも、その時の門が分裂してもう一つできちゃったんだから」
「では、何故閉じない?」
「向こうから固定化されてるんだよ。こっちのからの固定とは全く別の未知の方法でさ。破壊しない限り繋がりっぱなしさ」
「では、早急に壊すんだ」
「分かってるって。適当な信者の人間を選んで亜神にしてもう破壊に動いてもらってるよ」
「ならば、良い」
亜神となったキャスと言う名のハーディーの使徒は森の中に潜み第二ゲート側の拠点となっている館を眺める。
ゲートそのものは館の外にあり見た目では容易に誰でも接近出来るように見える。
だが亜神となって日が浅いとはいえ感覚が鋭くなったキャスには分かった。
だがその周囲には上空も含めて無数の魔力の警戒網が構築されている。
そして館に感じる凄まじい魔力の塊が複数。
キャスには相当な魔法の使い手がいるように思えた。
しばらく前にこの森の中でキノコ狩りをしていた少女がいた。
館の方から来たことから敵対組織の構成員と判断したが始末できなかった。
ハーディーから賜った門を破壊するための破壊魔法を封じた魔道具は予備も含めて3つある。
キャスから見れば戦闘になった場合はともかく、不意を突いて魔道具を使えばその少女が館に危機を伝える間も無く殺す事は容易であると判断出来た。
だが亜神となって鋭くなった感覚があるものに気付いた。
本人は気付いてる様子もなかったから恐らくは少女よりも遥かに魔法に長けた者がその少女にその魔法を使ったのだろう。
少女の身に何かがあれば彼女に繋がっている魔力の糸を通じて異常事態を伝えるのだろうと判断した。
紅魔館、咲夜とアリスの会話。
「何も私の力を使って魔理沙に非活性警戒魔法を使わなくても、本人に伝えてから使えばいいのに」
休憩中の咲夜がアリスとクッキーを食べながら会話をしていた。
「だって、それじゃあまるで魔理沙を信頼してないみたいだし、それに・・・」
「それに?」
アリスは少し顔を赤くしモジモジしながら言葉を伝えた。
「は、恥ずかしいし・・・」
咲夜はアリスの反応に直感的に何かを感じ取った。
「あらあら、ご馳走様。でも、その様子じゃあ自分の気持ちを魔理沙に伝えてないのね?」
「だ、だって、変じゃない・・・・女の子同士なんて・・・・」
「でも、早くしないと他の人に取られちゃうかもしれないわよ?」
「ほっ、他の人って!?」
途端に食い付くアリス。
「そうね、例えばこの異界調査でよく行動を一緒にしている伊丹さんとか?」
「えええぇっ!?親子ぐらい年齢離れてるのに!?」
「外界じゃ、少ないけど親子ほどに年齢の離れた夫婦もいたわよ」
紅茶を一口飲む咲夜。
「ま、魔理沙は渡さないわ!絶対に!」
「わたしを誰に渡さないって?」
丁度キノコ狩りから戻って来た魔理沙がドアを開けて入って来た。
「ま、魔理沙!?」
「あら、お帰りなさい。どうだったの?」
「いやー、珍しいキノコが沢山あって天国のようだったぜ。今回は一通り採取して戻って来たんだぜ。で、アリスはわたしを誰に渡さないんだ?」
「え、ええと、そのね・・・」
「あ、そうだった。咲夜、森の中に変な奴がいたぜ」
「変?不審者かしら?」
「ああ、変な女がわたしをじーっと見てたんだ。気付かないふりしたけどな」
「ほっ、他の女!?ライバル!?」
テンパるアリス。
「お、おう・・・・?」
テンパるアリスに少し引く魔理沙。
「それで、他に気になった事は?」
「ああ、わたしを見る前に異界門をじーっと見てたな。その後にわたしで、最後にここをまるで念入りって感じで見てたぜ」
「そう。私は少し用事が出来たから席を離れるわ。魔理沙、少しお腹がすいたでしょ?紅茶とアリスが焼いてくれたクッキーが残ってるわよ」
「おっ、ラッキー!アリスのクッキー美味いんだよな!」
一口口にする魔理沙。
「うっめー。もうアリスをわたしの嫁にしたいぐらいだぜ!」
「よ、嫁!?魔理沙の!?」
「あれ?嫁じゃ嫌か?じゃあ婿?」
「婿っ!?」
心の中でアリスは鼻血を出していた。
「アリス」
横から掛けられた声にアリスは驚き声の主人を見た。
部屋を出て行こうとしていた咲夜がそこにいた。
見れば魔理沙は微動だにしない。
いや、完全に動きが止まっていた。
「ああ、時を止めてるのね」
咲夜の能力、時間停止。
だが咲夜が触れているものは動ける。
この凍結した時間の中で動いているのは二人。
咲夜が手を離せばアリスも再び停止した時間に囚われる。
「どうやら魔理沙にそういったことの抵抗は少ないみたいね。応援してるわよ。愛の形は人それぞれなんだし」
「そう・・・よね!うん、自信ついた!」
「ああ、そうそう。話は変わるけど、あなたの部屋掃除してたらベッドの下から大量の薄い本が出て来たわよ。机の上に置いてあるから」
ピシッとアリスが止まった。
咲夜が手を離してもいないのに。
「あ・・・ありがと・・・・」
「メイドの仕事だから。じゃあ、頑張ってね」
咲夜は手を離し、部屋を出た所で再び時を動かした。
ドアの向こうからアリスの声が聞こえてくる。
「ま、魔理沙!わ、私!魔理沙の事がーーー」
これ以上は野暮と咲夜は部屋から離れた。
意識は完全に館の外で魔理沙が見た不審者に向けられている。
「お嬢様と妹様、そしてこの館に危害を加える輩は・・・」
スカートの下の大量のナイフの様に咲夜の中の殺意が鋭くなる。
「あら」
自室で読書をしていたレミリアは館を出て行く咲夜の姿を見つける。
「行ってらっしゃい、咲夜」
咲夜の外出の目的などとっくに理解しているレミリアは再び本に意識を向ける。
レミリアは咲夜を信用し信頼している。
咲夜が遅れを取ることなど無いだろう。
「でも、もし万が一・・・・億が一にでも咲夜の身に何かがあったのなら・・・その時は一族郎党皆殺しじゃ済まないわよ、愚かな誰かさん」
森の中に感じる存在にレミリアは同情などしない。
「初めまして、誰かさん」
キャスは突然目の前に現れたメイド服の女・・・・咲夜に驚きを隠せなかった。
いつの間にこれほど接近されたのか理解出来ない。
亜神となって鋭敏化した感覚が接近に気付かなかった。
「私は十六夜咲夜。紅魔館にてお嬢様に忠誠を誓うただの従者です。短いお付き合いですが、お見知り置きを」
丁寧で礼儀正しいがその目は殺意に満ちていた。
「名乗られたからには返すのが礼儀よね。私はキャス、ハーディー様に選ばれた使徒」
「ハーディー・・・そしてキャス。それが愚かにもお嬢様に楯突くゴミ達の名ですか」
ぶちっ。
キャスの中で何かが切れる。
「ハーディー様をゴミだと!?許さない!死ね!」
ハーディーから賜った魔道具を起動させ咲夜に投げ付ける。
ゲートを破壊する為に圧縮された魔力が凄まじい爆発を引き起こす。
自然に笑みが浮かぶ。
「少し驚いたわ、当たっていれば怪我じゃ済まないわね。当たっていれば、ね」
いつの間にか自分の背後に立っている咲夜。
同時に体に痛みが走った。
いつの間に?とキャスは思った。
両腕にナイフが突き刺さっていた。
「くぅっ!」
ナイフを抜く。
亜神となって強化された肉体はすぐに出血を止め傷を塞ぐ。
「あら、すぐに傷が塞がるのね。あなたは吸血鬼?それとも吸血鬼の主人の寵愛を受けてるの?私の様に」
「私の主人は神であるハーディー様ただ一人!」
メイスを構え咲夜に向ける。
亜神の強化された身体能力で咲夜に連撃を仕掛ける。
だが咲夜は難なくそれらを躱す。
「何故!何故当たらない!?貴様、亜人か!?」
「失礼ね、私は人間よ。ただ、他の人とは少し違うけどね」
キャスのメイスが地面に大穴を穿ち、大木を砕く。
「大ぶりな上に力任せ。貴方、戦闘経験はほとんどないわね?でも、手加減はしないけど」
次の瞬間、視界が真っ暗になった。
「があああああっ!?」
亜神の身でも耐え難い痛みが両目に走った。
思わず目に手をやるがそこに目の感触はない。
「貴方が探してるのはこれかしら?とは言え、もう見えないでしょうけど」
咲夜が指の間に持つ二本のナイフ。
その先にはキャスの眼球が刺さり、視神経がぶら下がっていた。
「これ、どうしようかしら?あら、ちょうどカラスがいるわね」
少し離れた場所に数羽の烏。
ナイフを振ると遠心力で二つの眼球は放射線を描いて烏達の元に投げる。
突然降ってきた餌に烏達は群がった。
「あら、大喜びで食べてるわ。良かったわね、烏の役に立って。ハーディーってのは烏の神様かしら?」
「ぐうぅぅぅぅぅっ・・・・この・・・・・」
挑発の中、キャスは一体どうやって咲夜が自分の目を抉ったのか分からないでいた。
最初に姿を見せた時も気配を感じさせることなく目の前に突然現れた・・・・最初の攻撃の時もいつの間にか後ろに回られ、両腕にナイフが刺さっていた。
まさか・・・。
キャスの頭の中に一つの考えが浮かんだ。
そんな馬鹿な・・・そんなの神の御技・・・いや、神ですら出来るかどうか・・・。
「時間を・・・止めた・・・?」
答えは帰って来ず、体に次々とナイフが突き刺さる。
前から後ろから、右から左から・・・。
移動する気配なんか感じない。
(勝てない・・・こんな化け物に勝つなんて無理だ・・・・・)
キャスを絶望が襲う。
「驚いたわ、何本かは心臓に達してるはずなのに死なないなんて・・・」
感心したような咲夜の声。
「決めたわ。貴方は殺さないであげる」
キャスの心に希望の光が射した。
だが次の咲夜の発言で地獄の底に叩き落とされた。
「貴方はお嬢様のお食事の時の血液採取用家畜にしてあげる。光栄に思いなさい、貴方の血はお嬢様の喉を潤す事が出来るのよ」
上げて落とす・・・まさにその典型だった。
キャスの眼球が再生した。
最初に見えたのは薄暗いジメジメした地下牢の様な場所。
腕には透明な管が刺さっており、血が少しずつ抜き取られている。
両手両足には楔が打ち込まれ、壁と地面に打ち付けられている。
力を込めるが微動だにしない。
「無駄よ」
カチャカチャと金属が擦れ合う音と声にその方を見る。
咲夜がそこにいた。
室内には様々な器具が置かれていた。
見た事はないが何に使うかは容易に想像がついた。
ここにあるのは全て拷問用の道具だと。
「ああ、安心しなさい。定期的な手入れをついでにやってるだけで貴方に使う予定はないから。ここにあるのは全て最後に使ってから50年は経っているわ。手入れしないといざという時に使えなくなってしまうから」
引き出しに仕舞い込み道具を片付け終わり鍵をかける。
「ああ、ついでに言っておくけどその楔を自力で抜くのはまず無理よ。パチュリー様が多重に魔法をかけてあるから単純な力で抜こうとしたら一本当たり10トンの力が必要なんですって。万が一にも全部抜けても、その首輪があるわ。その首輪はね、この部屋を出ようとすると・・・・バンッ!て爆発して頭を消し飛ばす威力の魔法が掛けてあるわ。再生するみたいだけど、再生し終わる前に館にいる小悪魔が貴方を拘束するわ。じゃあ、そのうちにまた様子を見に来るわね」
「ま、待って!一人にしないで!置いていかないで!!」
懇願するが咲夜は部屋を出てドアに鍵をかけてしまった。
「あ、咲夜。地下室で何してたの?」
通りがかったフランが聞いてくる。
「妹様、お食事の際の血の準備をしていました」
「そっか〜。ねぇ、夕食は何?」
「何かご希望はございますか?」
「ん〜、ラーメン!この間咲夜が作ってくれたあれ、また食べたい!」
「畏まりました。では、ラーメンを準備いたします」
「わ〜い!咲夜大好き!」
喜びながらフランは去っていく。
「あら、咲夜。おかえりなさい。用事は終わったの?」
「ええ、終わったわアリス。そう言えば・・・・いえ、聞かなくてもわかるわね」
「ええ、今の私は最高に幸せよ!」
「あらあら、ご馳走様」
作者はアリス×魔理沙派です。
激突って言っておきながら咲夜さん無双だった・・・・。
しかし前回の続きをどうしようか考えていた時に思いついたのが意外と長くなったので投稿しました。
追記・咲夜さんとキャスとの戦い終了時の咲夜さんの台詞ですが、この時点では咲夜さんは亜神は死なないという事を知らない為この様な発言になっています。