GATE 幻想郷防衛軍彼の地にて斯く戦えり   作:にょろ35106

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注・炎龍そのものはまだ出ません。

出来るだけ多くのキャラは出したいけど、登場キャラが増えると一人当たりの出番は短くなる・・・・悩み所です。


炎龍から逃げよう

 

コダ村。

 

桑原がカメラの液晶画面で撮影した炎を吐く赤いドラゴンの画像を村長に見せた。

 

「こ、こりゃぁっ・・・・炎龍!!」

 

画像を見た村長はすぐに近くの村人にこの事を村中に伝えるよう指示する。

 

「村、捨てる?」

 

村長の慌てようと所々理解できる単語を繋ぎ合わせて彼等の意図を知る。

 

村長から肯定の返事が来ると桑原は車まで戻る。

 

「どうでした?彼女の事、受け入れてもらえそうでした?」

 

伊丹が聞く。

 

「いや、無理だそうだ。彼等も避難するようだ」

 

「おーい、なんかあったのか?村中が慌しくなってるぜ?」

 

上空から村を見ていた魔理沙が降下しながら頭上に来て声をかけて来る。

 

「いや、こっちも避難するらしい。例のドラゴン・・・炎龍って言うらしいが、この村に来る可能性もあるみたいだって」

 

「マジか・・・・。あんなデカブツ、霊夢と二人掛かりでも倒すの無理っぽいぜ・・・・」

 

「マジ?」

 

「マジよ。あんなの無理に決まってるでしょ。被害度外視して撃退できるかどうかよ」

 

民家の屋根に降り立った霊夢も言う。

 

「これも、あんな巨体には効果なんて雀の涙程度だろうしな・・・・」

 

伊丹はショルダーバッグにしまってあるにとり特製のレールガンをさすりながら言う。

 

「紫に頼んで見たら?スキマ使って避難とか、人里で使った手もあるんじゃない?」

 

「いや、それが連絡付かないんだ。藍さんが言うには取り込み中だって」

 

「じゃあ、仕方がないわね・・・」

 

村の喧騒は大きくなっていくばかりだった。

 

積み込めるだけの馬車に荷物を積み込む人々。

 

 

「お、重い〜」

 

コダ村の魔法使いカトーが大量の本を抱えて家から出て来る。

 

弟子の水色の髪の少女レレィは馬の支度も終わり、馬車に乗ってカトーが本を積み終えるのを待っている。

 

食料や貴重品よりも本の方が多い。

 

既に本の重みで馬車の車輪が地面にめり込んでいる。

 

「お師匠、早く乗って欲しい」

 

冷静に、だが催促する。

 

「儂はお前なんぞに乗っかる少女趣味なんぞないわい!どうせ乗っかるなら、もっとこう、ボンッ、キュッ、ボーンッなおまえの姉のような・・・」

 

プチッ。

 

無言で氷の粒手をカトーに向けて放つレレィ。

 

「お師匠・・・・」

 

「す、すまぬ・・・・・」

 

レレィから放たれる殺意にたじろぐカトーであった。

 

ともあれ、カトーも馬車に乗りレレィが馬に鞭を入れる。

 

グンッと馬が進もうとするが馬車はピクリともしない。

 

「お師匠、荷物が重すぎるみたい」

 

「ど、どうにかならんのか?どれも二度と手に入らん貴重な書物ばかりじゃ・・・・」

 

「魔法はみだりに使うものではないけど、この際仕方がない」

 

レレィが魔法を行使し、馬車の重さが軽くなり馬が進み始める。

 

 

 

 

「ん?」

 

上空から村を見回っていた魔理沙が魔力の動きに気付いた。

 

「魔法使いがいるのか?」

 

少し高度を上げて村中が見渡せる高さまで上る。

 

「あいつか?」

 

見れば馬車の上で杖を掲げる少女。

 

同時に魔力の変動を感じ、馬車が軽くなったのか動き出すのが見えた。

 

「まぁ、悪党じゃないっぽいからいいか」

 

再び降下して見回りに戻る。

 

自ら進んでやっているわけではなく、紅魔館に戻ったら一度幻想郷に戻りミスティアの屋台で奢ると伊丹に頼まれたからやっているだけだが。

 

 

 

 

カトーとレレィが乗る馬車は村を出る道で馬車の渋滞に出くわした。

 

「一体、どうしたんじゃ?」

 

全く進む気配のない渋滞に苛立ちを覚えたカトーが進行方向から来た村人の一人に声を掛ける。

 

「ああ、カトー先生。実はこの先で荷物の積みすぎで車軸の折れた馬車が道を塞いでまして、今みんなでどかしているんですよ。まだ少しかかりそうです」

 

そう言うと村人は去った。

 

その時、レレィは聞きなれない言葉を耳にした。

 

その声は複数あった。

 

「お師匠、少し見て来る」

 

そう言い残し馬車から降り前方に進む。

 

現場は車軸が折れ傾いた馬車と放り出された一家が倒れていたりした。

 

ヒヒーンッ!!

 

興奮した馬が暴れ馬と化し、レレィにのしかかろうとした。

 

パンパンパンッ!

 

数回の破裂音とともに馬の胴体に赤い花が咲き、そのまま後ろ向きに倒れる。

 

「あなた、大丈夫!?怪我はない!?」

 

緑のまだら模様の服を着た女性がレレィに声を掛けた。

 

言葉は分からないがレレィにはこの女性が自分の身を案じているのが直感で分かった。

 

「隊長!この少女が一番危険です!脳震盪や骨折の恐れも・・・・」

 

「なんて事だ・・・」

 

日本なら大怪我をしても救急車を呼べば来てくれる。

 

場所が場所ならヘリが来る。

 

だがここは特地であり、そもそもエンジン自体が存在しない。

 

骨折なら添え木を使い非常措置として車に乗せる方法がある。

 

だが脳震盪は不用意に動かせない。

 

どう対処しようか桑原が考えあぐねていると・・・。

 

「おーい!霊夢こっちだ!」

 

伊丹がこっちに向かって飛んで来る霊夢に手を振って合図をしていた。

 

生身の人間が何も使わずに空を飛ぶと言う常識外れの光景だが桑原は幻想郷とか言うとことはそんなところだと考えることにした。

 

本当にそんな場所が日本国内にあるのかと信じられない思いだが・・・。

 

「で、どいつよ?」

 

「ああ、この子が一番危ないらしいんだ・・・」

 

「ふーん。ま、ちゃっちゃと済ませてしまいましょ。あなた、邪魔よ」

 

シッシッと言うような手つきで看護をしている女性を退かす。

 

「あなた、何を!?この子は一番危険な状況なのよ!?」

 

「だからよ」

 

突然空を飛んで来た少女にレレィは興味を惹かれた。

 

魔法を使っていたようには見えないのに空を飛んでいたし、何故か脇の部分が開いた紅白色の初めて見る服装をしている。

 

緑まだら服の一行とは違うようだ。

 

そして何より、この少女は緑まだら服の人達と同じ言葉を喋っているのに所々だが言葉の意味がわかるのに興味を惹かれた。

 

まぁ、何故言葉が一部わかったかといえば幻想郷一行が持って来た河童の試作品翻訳機が中途半端に翻訳しているからだが・・・。

 

にとり曰く、もっと異界の言語を学習させる必要があるらしい。

 

 

ペタッペタッペタッ。

 

霊夢が倒れている少女の頭やら手足に霊符を貼っていく。

 

僅かに霊符が発光し、やがて少女が目を覚ました。

 

少女が目を覚ますと霊夢は霊符を剥がし代わりに湿布を貼る。

 

嘘のように頭痛や痛みが消えていく。

 

「永琳特製の万能湿布よ。自然に剥がれるまで貼っておきなさい」

 

そう言うと霊夢は他の意識がある負傷者に湿布を貼り終わる。

 

まるで事故が嘘のように一家は立ち上がり、家族の無事を喜んでいた。

 

馬車を諦め、荷物の中から持てるだけの荷物を担ぐ。

 

「な、なんなの・・・・?」

 

一番危険だった少女ですら平気で荷物を担いでいる。

 

「あなた、一体何をしたの・・・・?」

 

信じられないようなものを見た女性自衛隊員が言葉を発した。

 

「?気付け用と痛み止めの霊符で応急処置して永遠亭特製の死んでなきゃ何にでも効くっていう触れ込みの特製湿布貼っただけよ?感謝してよね、あの湿布買ったら高いんだから」

 

実際には代金を永遠亭に支払って異界調査用に配備したのは八雲一家なので霊夢自身の懐は痛んでいないが。

 

湿布という貼り薬であんなに即効性のあり動けるようになる効果に自衛隊側は戦慄した。

 

 

 

 

そんなコダ村からキャラバンを組まずに村を離れた一家がいた。

 

炎龍の出現の報の恐怖が勝り、野盗に襲われるかもという危険性を忘れてしまったが故の惨劇。

 

一家の長は必死に馬を走らせたが所詮は農耕馬であり、走るための馬ではない。

 

男は用無しとばかりにさっくりと殺され、娘と妻を奪われた。

 

焚き火を囲み、奪った食料と酒で腹を満たす。

 

「あーあ、俺たちも早く楽しみたいぜ」

 

「我慢するんだな、結局は俺たちは下っ端。兄貴達が満足した後のお零れで楽しむしかないのさ」

 

「あー、でもあの娘の柔らかい腕、今でも思い出すぜ」

 

「どっちかと言うと俺は母親の方がいいがな。十分に熟れてて美味そうじゃねぇか」

 

そんな下卑た会話をしながら笑い合う盗賊達を暗闇の中から見つめる一人の少女がいた。

 

そしてその少女も気付かなかった。

 

少し離れた所から二人・・・いや、一羽と一人が近づいていると言うことに。

 

 

 

 

「おっととと、おいおい、あんまり揺らさないでおくれよ。酒が溢れちまうじゃないか」

 

「だったら、歩いて欲しいな」

 

「はっ、こっちの方が効率いいんだよ地獄鴉」

 

「この暗視装置って機械、わたし嫌いだな・・・・」

 

霊烏路 空・・・通称お空は頭部に被った暗視ゴーグルが鬱陶しかった。

 

「我慢おし、あんた鳥目なんだから暗闇ダメじゃないか」

 

お空が抱えるようにして運んでいる星熊 勇儀が酒を飲みながら言う。

 

「うにゅ・・・・・。だったら朝になってからでも良かったんじゃないかな?」

 

「細かいことガタガタ言ってないで飛び続けてな」

 

「じゃあ、せめて休憩しようよ。あそこに火みたいのが見えるからそこで休もうよ」

 

「仕方ないねぇ、じゃあ、さっさと降りてあんたも一杯付き合いな」

 

「お酒、苦いから嫌いだなぁ・・・」

 

「この美味さがわからないとは、可哀想に。伊丹の爪の垢でも煎じて飲みな」

 

「そんなの飲んだらお腹壊しちゃうよ」

 

 




と言うわけで、盗賊御一行様にはロゥリィだけでも無理ゲーなベリーハードなのに勇儀姐さんとお空も加わるルナティックモードをお楽しみいただきたいと思います。

暗視ゴーグル?
自衛隊が使ってるのを見て河童達の発明意欲が刺激された結果です。
エネルギー源?
動く核融合がそのゴーグルを被ってるじゃないですか。




ふと疑問が・・・・お空って放射線・放射能等はどうなっているんだろうか・・・・・。

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