私は今、暗躍大好きッ子こと自称エリート系男子の迅さんとお話ししています。正直言うと面倒なんですけどねー。
この迅さんと言う男。サイドエフェクトって言う、村上さんと同じ何かしらの超能力の事を言うんですが………そのサイドエフェクトで未来を見ることが出来るんですよ。
そしてその光景を見て一人暗躍するのが趣味と言う、どこぞのラスボスさんみたいな人なんですよね。
アレ?字面だけ見ると本当にラスボスっぽい?まさかこの人ホントにラスボス!?
「いやいや、違うから。相変わらずだな総司は。まあそこがお前の魅力でもあるわけなんだが」
どうやら違うらしいです。残念ですね。もしそうだったら遠慮なくぶった切っていたのに………ハァ。
「おおう。何か知らんが俺は今危険を回避できた気がする」
「ハァ………ホントに残念です。この痴漢野郎早く警察に捕まるか、大人しく私に切られるかしてくれませんかねー………」
「声出てるぞー」
おっと不味い不味い。心の本音が漏れてしまいましたか。まあ、いいでしょう。
「それで?本当になんなんですか。沖田さん、こう見えてあんまり暇じゃないんですよ?」
「わかってるって。さっさと本題入るから」
どうやらやっと本題に入ってくれるらしいです。早くしてほしいですね、マジで。私、あんまり身体強くないんですから。
「さて。まあさっき総司が言ったことで合ってるぞ。ただもうひとつ追加があるんだけどな」
「?はあ、何でしょうか?」
「一週間後。ボーダーを左右する運命の道が二つに別れているんだ。ただ、その先が見えない」
おおう………なんか超BIGな話になってきましたね。迅さんもいきなり真顔になるからビックリしましたよ。と言うか………そんな大事な未来が見れないって、何のための未来視ですか。
「………何でです?」
「多分だが、俺がまだ会ったことの無い人物がとても関わってくる。もしくはその中心にいるからだろうな。………流石に他人も関わってくる未来は俺でも見えん」
「なるほど………それで?私はどうしろと?」
「一つ目の方はもうわかってるんだ。だけど、これだと後々いろんな被害が出かねない。そして、もう一つはこの人物と会って未来はどうなるか。総司の意見を聞きたい」
あー………嫌ですねー。これ、私の意見で全てが決まる感じじゃないですか。嫌ですよ私?余計な責任負うの。
「沖田さんに頼るのはいいですけど、あんまり保証しませんよ?」
「安心しろ総司。お前の
そう言って迅さんは私に自信満々な顔を向けてきます。………まったく。呆れればいいのか、喜べばいいのかわかりませんよ。
まあ、そんな風に言われたら沖田さん、頑張るしか無いですよね!
「しょうがないですね。ちょーっと待ってくださいよ?うーん………………」
私は唸りながら、頭を悩ませます。本当はこう言ったことに使うやつじゃ無いんですけどねー………………閃きました!
「……会った方がいいと思いますよ。多分そっちの方が危険を回避できます」
「おっ。そうかそうか。やっぱこっちの方が良いか」
「………結局最初から決めてるじゃないですか」
やっぱり何だかんだ言って、自分はもう決めてるじゃないですか。私の苦労とか要らなくないですか?
「いやいや。俺はこっちの方が面白くなると思ったからそうしようかなって考えてただけさ。ただ危険かどうか確証が欲しかったからな。参考になったよ総司」
「ハァ………冗談抜きで今度何か奢って下さいよ?」
「わかってるって。それじゃあ次は具体的な行動を一緒に考えて欲しいんだが―――――」
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疲れましたマジで。あの人、どんだけ暗躍好きなんですか………付き合わされるこっちの身にもなってほしいです。
夜、私はトリオン体のまま自分の家に戻ります。こうでもしないと、私の身体は持ちませんので。
あ、私って病弱なんですよ。理由はお医者さんでもわからないそうです。なんと言っても、新しく発見された未知の病ですからねー。地球産以外の病原菌はどうしようも無いのかと。
ちなみに私は独り暮らしです。こう見えて家事は得意なんですよ?この四年間で必死に覚えましたからね。得意ジャンルは和食です!
さあ、ちゃっちゃとトリオン体でも解いてご飯でも作っちゃいましょう。
「ふんふふんふふーん………コフッ!?」
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side
沖田 総司。彼女は今16歳である。つまりはJKだ。当然高校には行っているし、友達もいる。
「おはよう総ちゃん。今日は体調良さそうね」
「おはようございます文香さん!ええ、沖田さん今日も絶好ちょ……コフッ!?」
「総ちゃん大丈夫!?あんまり無理をしちゃ駄目だよ!」
沖田総司。彼女は病弱である。それも超が付くほどの。生身の彼女は事あるごとに吐血を繰り返し、自分のや他人の机を血染めにするのだ。
ちなみに彼女はこう見えても成績はかなり良い。
そんないつものように総司が吐血していると、照屋が彼女の介抱を行いながら血で真っ赤に染まった机を拭き始める。
「まったく………総ちゃんは身体が強くないんだから落ち着かないと駄目よ?」
「す、すいません………沖田さんも気を付けているんですが……」
「はぁ………いつも思うけど、よくこれだけ吐血して無事でいられるわよね………どうなってるのかしら?」
「そんなの気合いですよ気合い。沖田さんは気合いが全てですからね!」
「ねえ。また私の机を汚したいの?」
タオルを持つ彼女の笑みに凄みが増した。その笑顔に怯えた総司はすぐに口を閉じるのだった。
文香は総司の友達であり、ボーダー仲間でもあるのだ。彼女はは後ろ髪を三つ編みに纏めた少女で、とても大人しそうな見た目だが、見た目に反して肝かかなり据わっている。
そんな彼女はB級の柿崎隊に所属しており、弧月や突撃銃で攻撃するアタッカーも務めている程の猛者なのだ。
「まったく………なんだか総ちゃんてほっとけないよね」
「えー、なんでですかー。沖田さん程しっかりしている人なんて見たことありませんよ?」
「ハァ………」
口許を自分の血で汚しながら抗議する総司。そんな彼女の口を拭きながら、思わず溜め息が漏れてしまう文香だった。
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放課後。
文香と別れた総司は、警戒区域の巡回に当たっていた。
と言うのも、最近突発的なネイバーの襲撃が行われているため、総司は積極的に警戒区域の巡回に出ているのだ。
そして総司は区域内のある無人の民家に座っていた。
「ハァ………それにしても暇ですねー。ゲート誘導があるから楽なんですけど、待っているだけって言うのも………ねぇ?」
基本的に総司は一人で警戒区域の巡回をしている。それは総司が隊を持っていないソロの隊員でもあるのだが、彼女の戦闘スタンス的に一人でいることが多いのだ。
『なら、普通に巡回すればいいじゃん』
「まあ、そうなんですけどねー。最近はその誘導がしっかり仕事してくれてないじゃないですかー。動いてて、いざゲートが発生した時に遠かったら沖田さん、超ショックですよ?」
ただし一人と言っても、一応巡回時は非番のオペレーターが総司に付いていてくれる。因みに今回のオペレーターは小佐野瑠衣と言う少女だ。
『だからさっさとどっかのチームに入りなよ。昔はあれだけブイブイやってたのに』
「あー………まあ、そうなんですけどねぇ………」
小佐野の提案に総司は曖昧な返事を返すだけ。その普段とは違うどっち付かずな返事に小佐野が疑問を口に使用とした時だった。
『ーーーーーーーーーー!!!』
ゲート発生の警報が遠くから響き渡った。
『っ!?沖田!』
「わかってます。何処ですか?」
『ボーダー本部から北側だよ。数は………ちょっと多いね。トリオン反応が20体』
「わかりました。すぐ現場に向かいます」
沖田は座っていた民家の屋根から飛び降りると、そのまま指定された現場に向かった。
長らく一人称を書いていたからか、三人称の書き方を忘れてしまった!