大空の恋姫無双   作:ばすけばすけ

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第8話

その頃、璃々を拐おうとした賊が理由を吐いていた。

 

「俺たちは黄巾党本隊に頼まれただけなんだ。」

 

「兵の規模と時期はわかる?」

 

ツナが炎を近づけながらニコリと微笑みかける。

 

「ひっ!数万単位としかわからん!あと二日もあれば来るはずだ!頼む助けてくれよ!」

 

「太守様次第。また牢にいれといて。」

 

ツナは兵士に指示を出すと、情報を整理しながら執務室に向かう。

 

執務室の前に着きノックをし、返事を待ち入室した。

 

「賊が吐きましたよ。二日後に数万単位の黄巾党本隊がこの城を狙っているようで、人質にする予定だったみたいです。」

 

ツナからもたらされた情報に考え込む文官に闘志を燃やす武官たち。

 

「桂花ちゃん。ねねちゃん。桃香ちゃん。いくら一騎当千の武将がいても数の暴力は脅威だよ。この場合はどうする?」

 

「真正面からのぶつかり合いをさけて城壁の外側には極力でないほうがいいかと。」

 

「城壁周りに罠を仕掛けるのも効果的です。」

 

「賊が混乱したら前後からの挟み撃ちかな?」

 

「三人共正解!具体的な策を一緒に考えようか?」

 

ツナは桂花、ねね、文官よりの桃香と策を考えており、ツナの中では答えが出ていたが三人にも勉強をさせたいとすぐに結論をだすことはしなかった。

 

「真桜はこれを作ってほしい。沙和はこれを集めてくれるかい?」

 

「ん?なるほど!おもろそうやん。さすがツナ隊長や!」

 

「これも普通なら考え付かないの〜」

 

ツナは真桜と沙和にメモを渡した。最初はなにかわからなかったようだが、そのメモには用途まで書いてあり二人は衝撃を受けていたが、最後は悪い笑みを浮かべながら部屋から出て行った。

 

「流琉は兵のために料理をお願い。腹が減っては戦はできぬってね。」

 

「任せてください!」

 

ツナは流琉に食べ物の箱を開けて、沢山の食料を手渡し調理を頼む。

 

「季衣ちゃん、凪、愛紗ちゃん、鈴々ちゃんは兵の練度を高めて、だけど二日後までは全力での訓練はなしだからね。」

 

「「「「はい!」」」」

 

武官四人に部下との調整を指示して二日後に万全になるようなメニューを渡す。

 

「紫苑様には城壁からの指示をお願いします。俺も戦場に降り立ちますので。」

 

「わかったわ。」

 

 

真桜と沙和の準備も終わり二日後

 

黄巾党本隊が城に攻めてきており、城からは煙が上がっている。離れた場所から見ると城が落とされたようにも見えるが、賊は未だに壁外にいて、壁内の煙はツナの命令にてあげられていた。門は鉄格子になっており、その隙間から巨大うちわで煙を賊達の方に追いやっており、城の周りにいる半分以上の賊は煙に覆われていた。

 

「そろそろ頃合いかな。」

 

ツナがそう呟くと。

 

「アアアアアァァァ」

 

賊達が苦しみもがき始め、煙に覆われていた半分以上の賊達が倒れていく。後続にいた賊達は恐ろしいものを見るかのように煙には近づけないでいた。

 

その光景を不思議に思った桂花、ねね、桃香がツナの元に集まり質問をする。

 

「ツナヨシ様?あれは一体?」

 

「もしかして仙術?」

 

「沙和に集めてもらったのはウルシって言ってね。陶器などの塗料にも使われている樹液が取れる木なんだ。燃やして煙を吸うと肺や気管支が被れて呼吸困難に陥るんだよ。」

 

「私達は大丈夫なのですか?」

 

「真桜に作ってもらったうちわでこちらには煙が来ないようにしているし、念のため作ってもらったゴーグルとマスクを付ければ大丈夫だよ。」

 

不安がっていたねねの頭を撫でながらツナは立ち上がり、

 

「紫苑さん!背後部隊に合図を送ります。狼煙を上げてください。」

 

真桜に作ってもらっていた、火をつけて勢いよく弓で放つと色のある煙を出す矢を放つように指示をだす。

 

すると賊の後方にある隠していた穴から数千人の歩兵が飛び出してくる。右側には季衣、流琉、鈴々。左側には凪、真桜、沙和の部隊が展開していた。

 

「まずは俺が出て煙を無くすから、愛紗は部隊を率いて正面から着いてきて。」

 

ツナは城壁から下に飛び降り、下降中にXストリームver2を放つ。

 

本来のXストリームとは逆回転をすることで、周りの敵や煙を遠くに弾きとばす。ウルシの煙は調和の力で毒性が失われていた。

 

「愛紗隊ツナヨシ殿に続くぞ!我らが城を襲う不届き者達に鉄槌を下す!立ち向かう賊は斬り伏せろ!逃げる賊も斬り伏せろ!生きて返すな!行くぞ!」

 

愛紗が部下達を鼓舞しながら賊達を蹂躙していく。

 

ツナは空中を飛びながら戦況をみて、劣勢な部隊を助けて回っていた。

 

「暴蛇烈覇!」

 

「季衣ちゃん後ろ!」

 

季衣は暴蛇烈覇を放ちながら賊を薙ぎ倒していくが、後ろが疎かになりがちなため流琉のヨーヨーが上手くカバーに入っていた。

 

「ウニャウニャウニャウニャ!」

 

鈴々はスピードとパワーのバランスがよく賊程度では相手にならずに無双していた。

 

「ハ!」

 

「とりゃ!」

 

「セイ!」

 

凪、真桜、沙和も部下達と連携しながら賊を退治していく。

 

賊達は前と後ろ、空からの攻撃でなすすべもなく全滅した。ツナは悲しい顔をしながら死体を集めていき、一纏めに炎で燃やし尽くす。

 

これには伝染病や疫病対策の意味があるのだが、ツナ達以外には知らされておらず、賊に対しては容赦をしないと恐れられた。

 

 

???side

 

私達は噂の楽成城に向かって歩いていた。最初は曹操殿の元に向かっていたのだが、武神に興味があると言い出し、見極めるために向かっていた。

 

楽成城に着くと、門に入るために列ができていた。さらに門に近づくと、目的や素性などを尋ねられて入場鑑札というものを渡された。聞くと住人以外には必ず必要な札とのことだ。

 

「稟ちゃん。これは見極めだけではすまないかもですよ。」

 

「ええわかっています。どうにかして太守にお会いできないものか。」

 

私と風はこの制度の素晴らしさに気づき、これを提案した人物に会いたいと思い街を散策していると。

 

【文官採用募集】の立て看板が目に入った。

 

 

???side

 

「はわわ!すごい人だよ。大丈夫雛里ちゃん?」

 

「あわわ!迷子になっちゃいそうだね朱里ちゃん。」

 

私達二人は水鏡先生からまずは楽成城に行ってみなさいと言われて学院を旅立ちましたが、楽成城に着いたらすごい人。そして入場鑑札という制度に驚かされました。

 

どうにかして太守様にお会いしたいと考えていると

 

【文官採用募集】の立て看板にぶつかり、これだ!と閃いたのでしゅ。

 

「あわわ 朱里ちゃん頭大丈夫?」

 

「大丈夫だよ雛里ちゃん。でもカッコよく決めてたのに噛んじゃいました。」


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