また軍隊の知識がないため、小隊人数や名称に関しては捏造です。
楽成城の南方にて馬車が賊に追われていた。
「このままでは追いつかれてしまいますね。もっと早く走れないのですか?」
「商人にはこれでも限界だよ!無理言わないでくれ!」
「楽成城まで行ければいいのですが。」
「ワフッ」
馬車には御者と女の子が二人に一匹の犬、少しばかしの荷物が乗っていた。
賊には騎乗している者の姿は見えないが、見晴らしのいい荒野であり巻くことができずにいたのだ。
一つの丘が横に来たところで、
「弓兵!打て!」
何十本の矢が馬車に降り注いだ。
「グワ!」
御者が悲鳴をあげると馬車が横転し、中にいた女の子と犬は馬車の中で転がってしまう。
「「キャアァァーー」」
「やりましたね親分。」
「おうよ!丘に弓兵を忍ばせておいて良かったぜ。野郎共!荷台の物をいただいてずらかるぞ!」
追いかけていた賊が馬車に到着し、荷台を斬りつけて破り中身を確認する。
「アァン!中身はこれだけかよ。お前!商人の馬車じゃなかったのか!」
荷台の中身が少なく納得がいかないのか、男は部下に剣を向ける。
「親分許してくれよ〜。あ!女の子がいるべ。」
体を打って動けずにいた女の子二人を賊が発見する。
「ちょっと幼すぎるが中々の上玉じゃねえか。今夜は楽しめそうだな。さっさと連れ出せ!」
「来ないで!」
「嫌です!」
男達が下衆な笑いを浮かべながら女の子二人に手を伸ばす。
ヒュルルルル〜〜
時は少し遡り
凪との戦闘の後は、季衣と李典、流琉と于禁の模擬戦が行われた。
互いの獲物は模造刀のみであり、慣れない獲物を使用したからか、勝負がつかなかった。
六人は互いに真名交換をし親睦を深めていた。
凪、真桜、沙和は慣れるまではツナの下につくことが決まり、それぞれが10人規模の小隊長を任されることに。
凪はツナの近衛小隊
真桜は工作小隊
沙和は伝令・輸送小隊
である。
「ツナ隊長。貴方が噂の一騎当千の武将ですか?」
凪が疑問に感じていたことを質問する。がドタドタと廊下を走る音が聞こえてきて
「沢田隊長!物見から伝令です!南方の方角に賊と思われる集団が馬車を襲撃しているそうです。」
訓練場に一人の兵士が倒れ込んでツナに状況を伝える。
「ありがとう!凪!着いてきて!流琉は壁内に兵を集めてから出陣。季衣は逆方向にも来ていないか監視を、真桜と沙和は季衣と流琉の指示に従って。」
「「「隊長!?」」」
「大丈夫ですよ。たぶんですが、はやく行かないといけない状況になっているんだと思います。沙和さんは私と一緒に来てください。」
「僕たちも持ち場に行くよ。真桜さん着いて来て。」
真桜と沙和はツナが凪を抱き抱えて訓練所から飛び出したことを驚き声をあげる。流琉と季衣からするといつも通りなため、落ち着いており兵の準備や各員に指示を飛ばす。
「あの・・ツナ隊長!自分で走りますから」
ツナにお姫様抱っこをされている凪は顔を赤くして困惑した表情を浮かべていた。
「嫌かもしれないけど、いますぐいかないと馬車が危険なんだ!飛ぶよ!」
ツナは足に炎を灯し凪を抱き抱えたまま空を飛んだ。ツナはランチアとの修行で足に炎を灯せるようになっていたのだ。
「炎!ではツナ隊長が噂の!」
「その話は後でね!馬車が見えて来た!!」
ツナが見たのは男達が女の子二人に近づく光景だった。
「凪!落とすけど大丈夫?」
「私も気は使えますから大丈夫です。」
「ごめんね。俺は丘にいる弓兵を叩く!」
そして冒頭に戻り
ヒュルルルル〜〜
「なんの音だ?」
男達は上から何かが落ちてくる音がして、上を向く。迫っていたのは足であり
ドゴッバキ
女の子の近くにいた二人が倒される。
「もう大丈夫だ。私は楽成城の兵士で楽進という。」
「楽成城だと!城までどれだけ距離があると思ってやがる!相手は一人だ囲んじまえ!」
親分がビビっている子分達に檄を飛ばす。
「そうなんだな。相手は一人だけなんだな。」
「俺たちは10人いるんだ!楽勝だ!」
子分達は親分の檄で正気に戻り獲物を構えて凪に迫る。
その時、ゴオオオォォォォーーと炎が地面を走り凪と賊との間に境界線が引かれた。賊達はその炎を見ると顔色を青くし炎が来た方向をみる
「お前達の相手は俺だ!」
「ヒィィ!楽成城の武神!」
額と拳に炎を灯して自分達を睨みつけている武神の姿を見つけてしまう。
賊達は戦意を無くし逃げようとするが、一瞬で移動したツナの拳に倒され、遅れてやってきた流琉の部隊に回収されて行った。
「兄様お疲れ様です。ですが!あまり無茶はしないでくださいね。」
「ごめんね。でも助けられて良かったよ。」
「ツナヨシ様!」
合流した流琉に小言を言われていたツナだが、助けた女の子の一人が抱きついてきた。
「あら?貴女は確か・・旅の途中で兄様が助けた桂花ちゃん?」
「はい!お久しぶりです。ツナヨシ様に仕えたいと思い参りました。」
「桂花ちゃん久しぶり。無事で良かったよ。」
ツナは抱きついている桂花が震えているのに気がつき頭を撫でてあげる。すると桂花は落ち着いたのか
「旅の途中で知り合った子も召しかかえてくれませんか?」
ツナ達に一緒に来た女の子と犬を紹介する。
「彼女とは旅の途中で仲良くなりまして、音々音自己紹介できる?」
「はいです!私は陳宮 広台といいます。貴方が噂に聞く武神殿ですね。先ほどはありがとうございました。こっちは張々です。」
「わふわふ」
「俺は沢田綱吉。よろしく陳宮ちゃん。無理しないで大丈夫だよ。」
陳宮は自己紹介をしたが、誰がみても泣きそうな顔をし足が震えていた。
ツナはそんな陳宮を抱き寄せて頭を撫でてあげる。すると張々も飛びついて来て、陳宮は我慢の限界にきたのか声をあげて泣いてしまう。
「私のことは音々音いえ、ねねと呼んでほしいのです!」
「召しかかえる云々の話よりも疲れてるでしょ?まずは桂花ちゃんもねねちゃんも一緒に楽成城に行こ。凪も放心してないで馬車に乗って。」
「フフッ兄様。凪さんは憧れの武神が兄様だと知って戸惑っているんですよ。」
「武神なんて名乗ったことないよ!凪も気にしないでいいから。」
「はい!ツナ隊長。戻ったらまた手合わせをお願いします!」
「その前に桂花ちゃんとねねちゃんに食事と、太守に挨拶と報告が先!」
「兄様。凪さんも少し静かにお願いします。」
桂花とねねは疲れたのかツナの膝を枕にして寝てしまっていた。
ツナ達をのせた馬車は静かに楽成城に進んでいく。
桂花の矢印が曹操ではなくツナに向いているため、毒舌はなりを潜めています。
哀れ曹操。曹操の受難はいつまで続くのか。