ツナ達三人が楽成城にきて三日が経とうとしているが、その間は毎日のように賊の襲撃があった。主にツナ達三人が一騎当千の活躍をみせて撃退していた。
そんな活躍があり楽成城には武神のような強さの武将がいると話題になっていた。その武将は炎を操るとも言われている。
そんな楽成城の屯所には三人の女の子が入隊希望として訪れていた。対応しているのはツナである。
「君たち三人が入隊希望者?」
「はい。私は楽進 文謙といいます。」
「うちは李典 曼成や。」
「私は于禁 文則というの。」
「三人は一緒に旅をしていたんだよね?この城にはたまたま?」(スパイの可能性はなしか。確か曹操配下のはずだけど季衣ちゃんや流琉ちゃんの件もあるし、歴史の戦力図は気にしないほうがいいかな。)
「いえ!武神のような強さの武将がいると聞きまして。どれほどの強さか気になり。」
「なるほどね。ん〜人手不足だから採用だけど、すぐに会えるかはわからないよ?」
「気にしないで〜。発明とかはしても大丈夫やろか?」
「発明?君は工作が得意って言っていたね。役に立つなら大丈夫だよ。」
「早くあえるように頑張るの!」
「じゃあまずは訓練場で実力を図るから着いてきて。」
ツナは三人を引き連れて訓練場に向かうことにした。三人共武官にはなるのだが、どれくらいの強さかわからないと隊の組み合わせも考えることができないためである。
訓練場には、季衣と流琉がいて稽古をしていた。
「あ!お兄ちゃん!お仕事終わったのか?」
「お兄様お疲れ様です。季衣ちゃん。お兄様の後ろをちゃんと確認しなさい。まだお仕事中ですよ。」
「季衣ちゃんも流琉ちゃんもお疲れ様。ちょうど良かった。三人の実力を知りたいから、少し手伝ってくれない?」
ツナは二人の頭を撫でながら手伝いを頼む。二人は嬉しそうに笑いながら、ツナの頼みを了承した。
「まずは楽進さんから。相手は俺ね。」
「「「え!?」」」
楽進・李典・于禁の三人はてっきり女の子二人が戦うのだとばかり思っていたようで驚いてしまう。ツナの容姿や体型から文官だろうと決めつけていたようだ。それに気がついた季衣と流琉は苦笑いを浮かべながら
「お兄ちゃん見た目は弱そうだもんな〜。でもぼくより強いよ!」
「お兄様は文武両道ですから、武官であり文官でもあるんですよ。」
驚く三人に説明をしながらツナをフォローする。
「私は近接格闘術になりますが、気にせず模造刀を使ってください。」
「俺も近接格闘術が基本的なスタイルだよ。」
楽進とツナはお互いに構えをとる。流琉が審判役をやることになり、二人に合図をだす。
「はじめ!」
楽進は最初は様子見なのか動かずにツナを観察している。(沢田殿の体型からしてスピードで翻弄してくるはず、細さからして一発は重くないはずだから、一発受けた後にカウンターで仕留める。)とツナがする攻撃を予想し対応策を考える。
「行くよ。」
ニコッと笑いツナがその場から消える。
「な!?」
楽進が気づいたときには、目の前に拳が迫っており慌てて腕をクロスさせて防ぐ。
「!」(なんてスピードだ。しかもパワーも凄まじい。腕が痺れて上がらない。)
楽進は後方に吹き飛ばされながらもなんとか倒れずに踏ん張り切り、闘志を燃やしツナを見る。
「今日はお終い。腕のダメージが酷いでしょ?」
ツナは戦闘モードではなくなっており流琉に終了の合図をするように指示を出す。
「クッ。貴方は一体?私もまだまだ実力不足でした。」
「いやいや!あれをガードするとは思っていなかったし、その後も倒れなかったんだから十分強いよ。楽進さんとは戦闘スタイルも似ているし俺の隊になるはずだよ。よろしくね。」
ツナは褒めながらフラつく楽進に肩をかしてあげ、優しくニッコリと微笑む。
「私のことは凪とお呼びください。」
「俺のことはツナでいいよ。」
楽進は少しだけ頬を赤くし真名交換をしたが、軍には規律が必要と、ツナ隊長と呼ぶことにした。