村に賊が乗ってきた馬がいた為、馬で楽成城に向かうことにしたツナ達三人。
馬といっても走るわけではなくゆっくりと進んでいた。ゆっくりペースでも馬な二日かかるかどうかで着くらしく、道中では、季衣に鉄球に模様を付けてもいいか確認しら季衣の許可を得た為、蛇の模様を彫り込む。
流琉にもヨーヨーの改造の許可をもらい。毒草と針を用意して回転中にボタンを押すと毒針が吹き出すようにした。
季衣には剛蛇烈覇・千蛇烈覇・飛蛇烈覇・暴蛇烈覇を手本として見せてあげる。
「兄ちゃんすげえ!ぼくにもできるようになるのか!?」
「確かに振り回すだけより威力も高くなりますね。でも味方がいる場合は密集地帯では使いにくそうですね。」
季衣は瞳をキラキラと輝かせながらツナを見ており、はやく教えてくれと駆け寄る。流琉は技の性質は使いどころを考えているようだ。
「鉄球を打ち出す際にする回転がポイントだよ。次は流琉ちゃんのヨーヨーなんだけど。」
ツナは流琉にヨーヨーに取り付けた毒針(麻痺毒)と刃を説明する。流琉は解毒薬ももらいながら熱心に説明を聞いていた。
他にも近接格闘術を教えて武器の間合い内に入り込まれた場合でも対応できるように修行をつける。
何故ツナがランチアの技ができて、千種の武器の構造を把握しているのかというと。
リボーンが復讐者に捕まった後に、ツナの護衛兼教育係がランチアになった為である。ランチアはツナに自身の知識や技術を教えていたのだ。
また、スパナや正一、ジャンニーニからは基本的な技術知識を教えてもらい仲間の武器の構造を学んでいた。
途中の村でも黄色い布を付けた賊と遭遇することがあったが、ツナは新しい技を二人に試させて二人の防御や村人の避難に専念していた。
そんな道中を得てツナ達三人は楽成城に到着する。
「着いたね。とりあえずは宿屋を確保しようか?」
宿屋を探して歩く三人は道端に立っている一人の女の子が目に入る。
「お母さ〜ん。」
女の子が小さく呟いた声がツナの耳に届く。ツナは立ち止まり女の子の前でしゃがんだ。
「大丈夫?一緒に探そ。」
女の子は泣きそうになるのを我慢して頷く。そんな女の子の頭を撫でてあげて、肩車をする。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん達もありがとう。」
「おまえ強いな!」
「我慢して偉かったですよ」
女の子は笑顔でツナ達にお礼を言い、季衣と流琉も女の子を褒めた。
歩き回るのは逆に危険だからとその場所からは動かずに、アニマルリングからナッツを出しツナの頭の上で女の子と戯れてもらうことにした。
「ガウッ!」
「わ〜可愛いネコちゃん♪モフモフ〜あ!お母さんだ!お母さ〜ん!」
ナッツと戯れていると女の子がお母さんを見つけて叫ぶ。
「散々探したのよ。」
「ごめんなさい。」
女の子は母親に抱き締められながら、我慢していた涙が溢れてきていた。
女の子が泣きやむのを待ち
「娘がお世話になったみたいで、ありがとうございました。」
「困っている人がいたら助けるのは当たり前ですよ。気にしないでください。」
母親がお礼を口にするが、ツナは笑顔で当然のことですと頭を下げる。そんなツナを見て母親は顔を赤くし、今時珍しい好青年という印象を受ける。
「よろしかったらお礼にお食事でもご馳走させてください。」
「いいのか!?」
「もう季衣ちゃん!はしたないよ。」
「ハハッ。じゃあお言葉に甘えさせていただきますね。でも一人大食いがいますが大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。そんな簡単になくなるような倉の状況ではありませんから。ではこちらに。」
母親の提案に季衣が喰いつき流琉に咎められる。そんな会話をきいて笑うツナ。最初は断ろうとしたが、超直感がこの誘いは最良の始まりと告げてきたため応じることにする。念のため季衣について説明はしておくことにし、母親に案内されて道を進む。
道中にて母親が太守の黄忠だと知り驚く三人。案内されて城に入り食堂に向かう。
食事では季衣が見事な食べっぷりを披露し、黄忠を唖然とさせる。食べ進めると顔が強張ってくるのがわかり、ツナはすいませんと謝る。黄忠は気にしないでくださいとは言うが苦笑いになっていた。
「御三方はどのような旅をしているんですか?三人だけだと大変では?」
「武者修行しながら定住できる地を探して!かな?」
「ぼくはいまの生活好きだよ。兄ちゃんがいて流琉がいて、賊を倒して強くなれるし。」
「そうですね。三人一緒なら楽しいです。」
黄忠はその言葉をきいて、以前商人から聞いた噂を思い出した。
[二人の少女と一人の男性が暴れている賊を鬼神の強さで打ち倒している。男性はみたこともない服装をした美男子である]という噂だ。
「良かったら我が城で働きませんか?いまは独立したばかりで人が少なく募集中なんです。」
黄忠はすかさず三人の勧誘に入る。
「季衣ちゃん、流琉ちゃん。俺はこの誘いは受けるべきだと思うんだ。」
「兄ちゃんがそういうならぼくは付いていくよ!」
「兄様の勘は当たりますから私もお伴します。」
「黄忠さん。すいませんが三人ともよろしくお願いします。」
ツナ達は黄忠に頭を下げて将として楽成城への定住が決定した。五人は真名交換をし、紫苑はツナくん呼びに、璃々はツナお兄ちゃん呼びになった。