大空の恋姫無双   作:ばすけばすけ

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第17話

ツナは明命と雛里、そして天和・地和・人和を連れて天幕に戻り、張三姉妹についての説明をした。

 

すでに残っていた賊は諸侯軍に討伐されており、各部隊の引き上げ作業が行われている。

 

「このまま張三兄弟を首謀者にして進めていきたいと思う。」

 

「えぇボク達は構わないわ。」

 

「そやな!うちと恋と星が討ち取ったことに変わりはないし、ええんちゃうか?」

 

「恋も構わない。」

 

「私も構いませんよ。気になるのは謎の男ですね。」

 

「そうですね〜。しかしあのお二方に関しても考えないといけませんね〜」

 

ツナの提案に詠は理解を示し、張三兄弟を仕留めた霞・恋・星も了承した。風は黒幕も気になるが、保護をして未だ目を覚まさない二人がいる救護所を眺めていた。

 

月・公孫瓚・桂花らの話から保護した二人は曹操軍の曹純と袁紹軍の顔良だということが判明していた。

 

このまま引き渡しても構わないのだが、二人は昏睡状態にあり黄忠軍以外の医療技術では助かる見込みがなかった。

 

「あのお二人はこのまま楽成城に連れて帰ります。引き渡した後に死なれても目覚めが悪いですので。」

 

「曹純さんと顔良さんなら悪い話を聞かないから大丈夫だと思いますよ。」

 

桂花が二人を城に連れて帰ることを決定し、月もこの二人なら大丈夫だと太鼓判を押す。董卓軍は二人と面識があるようで曹純と顔良の人となりを知っていた。

 

「ツナヨシ様、月様。そろそろ漢軍や諸侯軍との軍議に行かないと。」

 

「あ〜あんまり行きたくはないんだよね。」

 

話合いの途中ではあるが、何進が今回活躍した諸侯や官吏に対し褒美を与えるということで、

 

黄忠軍からはツナ、梨晏、流琉、季衣、朱里、雛里、桂花と風

 

公孫瓚軍からは白蓮、星

 

董卓軍からは月、詠、恋、霞

 

が呼ばれていた。

 

「お兄さん。曹操危険です〜気をつけてください〜。」

 

「風と季衣はあったんだっけ?」

 

「ぼくはわからなかったけど、風が言うには曹操とぬいぐるみを持っている女性がイヤラシイ目で見てきたみたいだよ!」

 

「曹洪殿のことでしょうね。前に月にもそんな目を向けてたわよ。」

 

「詠ちゃんあの時は怖かったね。」

 

「今回はお偉いさんもいるんやし大丈夫やろ!」

 

黄忠軍は曹操と曹洪には気をつけようと誓い、話しながら目的地に向かっていた。

 

ツナ達は何進のいる天幕に到着し、簡単な挨拶の後、褒美を受け取った。ツナ達は地位や名誉を選択せず、これまで黄忠軍・董卓軍・公孫瓚軍が進んできた街や村の領主権をもらうことにした。また公孫瓚には漢軍を救った際の活躍を評価され今回のような反乱があった際には大尉として行動をしてほしいと頼まれていた。

 

天幕を後にし、少し離れた場所まで来ると

 

「待っていたわよ。貴方が黄忠軍の武神かしら?」

 

正面に金髪ドリルな髪型の少女と黒髪長髪の女性、青髪で片目を隠している女性がいた。

 

「曹操さん。私の沢田様に何の御用ですか?」

 

「「月!?」」

 

「あら、董卓殿じゃない。この男は貴女のものなの?」

 

「月さん!ツナヨシ様は私のものです!」

 

「風もお兄さんは渡さないのですよ〜」

 

「フフ 冗談ですよ♪まだ」

 

ツナ達黄忠軍に緊張が走るが、月がツナに抱きつきながら所有権を主張するという冗談を言い緊張を和らげる。ツナと詠は突然の行動に驚くが、月に対抗し桂花が逆側から抱きつき、風が前から背を預ける形になった。

 

「黄忠軍は仲が良いのね。ねぇ、貴方ウチに来ない?」

 

曹操はツナとツナの周りにいる美少女達をみながら、ツナを自軍に誘う。

 

「申し訳ありませんが、お断りさせていただきます。私はいまの太守を尊敬しておりますので。」

 

「貴様!華琳様に恥をかかせるのか!」

 

「待ちなさい春蘭!」

 

ツナが誘いを断ると護衛の一人が斬りかかってくる。もう一人も弓を構えていた。

 

刀が目の前まで迫っていたが

 

ヒュ ッ ガキン

 

梨晏が槍で刀を弾き飛ばし、恋と霞が夏侯惇の首筋に槍を突き付けており動けなくしていた。

 

夏侯淵の方は、季衣の鉄球の鎖と流琉のヨーヨーの紐に身体を拘束され、星に槍を突き付けられていた。

 

「曹操殿。これは黄忠軍に対する戦線布告でよろしいでしょうか?」

 

「朱里。月も危険だったのだから董卓軍に対してもよ。それに白蓮にも被害がいっていたかもしれないわよ?」

 

「そうだな。公孫瓚軍に対しても戦線布告とうけとろう。」

 

「ッ!!」

 

朱里・詠・白蓮が曹操に苦言を示し、今回の行動は開戦の合図になると脅しをかけるが、

 

「朱里。俺は大丈夫だから。」

 

ツナは笑顔で朱里の頭を撫でて落ち着かせる。

 

「はにゃ〜〜 は!はわわっ」

 

不意打ちだったからなのか朱里はツナに頭を撫でられるとヨロヨロと座り込んでしまう。

 

「曹操殿。今回の件は内密に処理させていただきますが、おって太守からの要望をお送りさせていただきますので。」

 

「わかったわ。ありがとう。春蘭!秋蘭もそろそろ頭が冷えたかしら?帰るわよ。」

 

「「ハッ!」」

 

曹操は二人を引き連れて帰って行った。

 

「兄様いいのですか?」

 

「まさか帰り道に待ち構えてるなんて想像してなかっよ。」

 

「あわわっ朱里ちゃん大丈夫?」

 

「急でびっくりしちゃいまちた。」

 

「ツナヨシ様。何かお考えがあるのですか?」

 

「この場で斬り伏せても問題なかったはずですよ〜」

 

「曹純さんの件をね。バレた時に交渉しようかなと。梨晏も守ってくれてありがとう。恋と霞と星もありがとね。」

 

流琉がツナを心配し駆け寄る。季衣は曹操達が去って行った方を見ながら驚いていた。

雛里は座り込んでいる朱里を心配し手を差し伸べ、朱里は手を借りながら立ち上がる。

桂花と風はなにもなく帰したのを疑問に思うが、ツナの返答に納得し頷いていた。

 

「私は近衛隊長ですから!」

 

「月のため。」

 

「大将を危険にはできへんからな。」

 

「お礼は晩酌と美味しいメンマでいいですよ。」

 

「ええな!ならツナも入れた五人で晩酌やな!」

 

梨晏は凪から託された役目を果たしただけだと言い、恋と霞は月のためだから構わないと手を振るが、星がお酒を欲求すると霞も便乗して五人での晩酌を取り付ける。

 

「詠ちゃん。あの話をすすめちゃわない?」

 

「そうね。・・・白蓮殿、ツナヨシ。三軍で同盟関係を結ばない?今回は賊退治の臨時だったわけだけど、このまま曹家や袁家対策に手を結んでおきたいの。」

 

「私は大歓迎だ!正直、大尉なんて荷が重すぎる!」

 

「俺も大丈夫だよ。太守を含めた正式な場を設けないといけないね。」

 

月はニコニコとこの光景をみながら以前から考えていたことを話すべきだと詠に耳打ちする。

 

詠の提案に白蓮はむしろこっちからお願いしたいと言いながら同意し、ツナも即答で了承した。

 

後日、楽成城にて太守を含めた場で話し合うことを約束し各々自身の領土へと戻って行った。


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