突入部隊side
「漢軍からの合図が鳴ってますね。鈴々ちゃん、これを門に当たるように投げてください。」
「わかったのだ!」
「朱里それはなんだ?」
「それはツナヨシ様と真桜さんが開発した爆弾というものらしいです。」
「ほーそんな小さなもので門が壊せるのか?」
「なげるのだ!」
朱里が懐から球体の物体を取り出し鈴々に投げるように指示を出す。愛紗と星はそんなもので門が壊せるのかと疑問に思っていたが、
ズッドッーーーン
球体が門に当たった瞬間、爆発が起こり門を跡形もなく破壊した。
「なんや!なにが起こったんや!」
「凄い威力ですぞ!」
「はわわっ こんなしゅごいなんて聞いてないでしゅよーー!」
想像していなかった事態に霞達は驚き、ねねも恋に抱きついていた。
「門がなくなってるのだー」
「朱里殿!行きますよ!」
「星さん、鈴々ちゃん待ってくださいー」
「星!鈴々!ずるいで!うちが一番槍なんや!」
いち早く復活した鈴々と星の部隊が駆け出していく、それに続くように他の部隊も駆け出し始める。
「このまま突き進むのだー」
「鈴々ちゃん!愛紗さんは私と一緒に鈴々ちゃんの後方に回って鈴々ちゃんが囲まれないようにしてください。ねねちゃん、ここは任せました!」
「承知した!」
「任されたのです!恋殿は中央、霞殿は右を、星殿は左をお願いですぞ!攻める必要はないのです。ねね達の役目は賊の目を引きつけることです。」
「恋も頑張る。」
「いっちょやったりますか!」
「フッ外道の輩に鉄槌を下す!」
武将達が前面に立ち槍を振り回すと数十人規模で賊は吹き飛ばされる。また後方に控えている弓兵の攻撃により賊達は一斉に囲むこともできずにいた。
隠密部隊side
ズッドッーーーン
「行くよ。しっかり掴まっててね。」
「はい!ツナヨシ殿」
「あわわ ツナヨシ様に抱かれちゃいました。後で朱里ちゃんに自慢しなきゃ。」
突入部隊が門を壊したのを合図に二人を抱えて空を飛んで城壁を越える。
「賊は西門に向かっているか。みんな怪我をしないようにね。」
西門以外は突破されていない関係で賊は西門へと向かっていた。
「ツナヨシ殿、どういたしますか?」
「まずは中央を確認するのがいいかと。」
「確かに大将なら中央なんだけど・・・俺の勘が南門の方にっていってるからそっちにしよう。」
「「わかりました!」」
救援部隊side
「稟ちゃん。風達の出番はあると思いますか?」
「ないのが一番だけど、正直出なくちゃまずいでしょうね。」
「稟さん!狼煙が上がったよ!」
「!! まさか三つの方角から上がるとは〜」
「これは!私もまだまだだということか。」
救援部隊が見たものは三色の狼煙だった。つまり西門以外は救援に向かわないと壊滅的な状況ということである。
「しょうがないのですよ。風と季衣ちゃんは東門に、稟ちゃんと雷々ちゃん、電々ちゃんは南門に、白蓮さんは北門をお願いします。」(お兄さんから渡された指輪を使うしかないみたいですね〜)
「行きますよ雷々、電々。」
「鼻血出して倒れないでよね!」
「待ってくださいー」
「うむ。騎馬隊進め!」
救援部隊は当初の予定にない三方面に展開していくことになった。風は作戦開始前にツナから預かっていた指輪を見ながらため息をついた。指輪の用途からツナには全て予測できていたことなのかもしれないと思ったのだ。
自陣防衛部隊side
「月!いま風からの書状で他の三つの門に救援に向かうと連絡があったわ!」
「これは・・想像していませんでしたね。」
「詠ちゃんみんなは大丈夫だよね?」
「誰かの危機になったら兄様が察しますから大丈夫だとは思います。」
「でもここも危ないんじゃない?」
「うむ。私と香風殿、華雄殿は外に出て待機しております。」
「シャンも〜?」
「月様。私にお任せください!」
「これが戦ですか。」
「策を考えるのってむずかしいんだね。」
風からの伝令により異常な事態になっていると判断すると軍師達は策を練り直しにかかり、武将達は流琉を残して外の警戒にあたる。大喬と小喬は勉強のためについてきており常に状況が変化することに驚いていた。
他門side
北門では門は破れたのだが、中に入れさせまいと黄巾賊の武将で波才とト己を中心に守備を固めていた。漢軍の兵士は徴収された兵士が大部分を占めていたため士気も低く敗戦モードが漂っていた。
公孫瓚率いる騎馬隊が到着すると、白蓮が波才とト己を斬り漢軍を鼓舞する。
「私は幽州啄郡の太守。 公孫瓚 伯珪。助太刀いたします!我が騎馬隊に続きなさい!」
北門救援成功。
東門では門は軽々と突破していたが、各武将が猪のように直進し孤立して囲まれてしまっていた。
「秋欄!春欄達は見えるかしら?
「ダメです華琳様。他の者の姿も確認できません。」
「あのバカ娘達は〜」
「後でお仕置きですわね。」
曹操、夏侯淵、曹洪の部隊は統率がとれて固まって行動できており数の暴力に対抗できていた。
「千蛇烈覇!」
ゴオオオォォォォーー
いきなり風が吹き荒れたかと思うと賊が一気に吹き飛ばされていく光景が目に入った。
曹操達の前方にいた賊は全て倒れ伏していた。
「迷子を届けに来たのですよ〜」
風は気絶している夏侯惇を夏侯淵、曹仁を曹洪に渡す。
「もう一人見ませんでしたか?」
「ボクたちが見たのはこの二人だけだよ。」
「そう。ありがとう。貴女達はどこの軍なのかしら?」
「私達は黄忠軍です。もう大丈夫だと思うので持ち場に戻らせていただくのですよ」
風は逃げるように季衣を引っ張り部隊を引き連れて戻っていく。
「どうしたんだよ風?」
「曹操殿とぬいぐるみを持っていた人から嫌な視線を感じたのですよ〜」
風は助けた後も一緒に進軍するべきかとも考えていたが、身体を舐めるように観察する視線を感じ早々に立ち去るべきだと判断した。
建物の影に入ると黒い炎に包まれて西門に戻ってきていた。
「あれが黄忠軍の一騎当千の武将と兵達ね。あと小さい子は軍師よね。やっぱりほしいわね。」
「あの子達を愛でたいですわ!」
曹操、曹洪は黄忠軍の実力と姿を見て欲情を募らせる。夏侯淵は未だ見つからない曹純の身を案じていた。
東門救援成功。
南門では田豊が頭を抱えていた。
「なんで策を無視して突っ込むのよーーー。」
田豊は策を袁紹、文醜、顔良に伝えていたが、袁紹と文醜が策を無視して賊の大群に突っ込んで行ってしまい、二人を止めるために顔良までもが持ち場を離れてしまっていた。
「黄忠軍から救援に参りました!」
稟が田豊に接触し状況を確認する。雷々と電々は門から出てきていた賊を相手に大立ち回りをしていた。
田豊の説明に稟は呆れ返ってしまうが、素早く我に返り
「雷々、電々。早急に三人を救出します!」
部隊を率いて門の中に突入を開始する。すぐに袁紹と文醜を救出することはできたが顔良は見つからなかった。顔良の武器である大金槌だけが見つかったため、討ち死にしたと見て稟達は西門に戻って行く。