大空の恋姫無双   作:ばすけばすけ

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第11話

第一部隊Side

 

「ツナヨシ殿。なぜ入ったばかりの私が第一部隊、しかも貴方の近衛隊長なのでしょうか。」

 

「梨晏は不満?」

 

部隊が街道を進行中、梨晏がツナに近づき自身の配置について訪ねる。

 

「いえ、不満とかではなく、桂花殿に言われたのですが・・・本来は私ではなく凪殿の予定だったところをツナヨシ殿が私にと言ったので変更になったと聞きまして。どんな状況でも守り切るよう言われており。」

 

「桂花らしいね。ん~凪にも説明したんだけど、凪は俺と戦闘スタイルが似ているから今回は残ってもらったんだ。凪は俺の一番弟子って印象があるみたいで領内に残していた方が抑止力にもなるからね。梨晏のことは宿屋で一目見たときから気になってたんだよ。だからゆっくり話してみたくてね。模擬戦をして力に申し分ないこともわかってるし。」

 

「私が気に入った?ツナヨシ殿が私を?」

 

ツナが自身の考えを語りながらニッコリと梨晏を見る。梨晏は顔を赤くしながら俯いてしまいそのまま失速してしまった。

 

「はわわっ!大変だよ雛里ちゃん。ツナヨシ様が梨晏さんを気に入ったって。」

 

「あわわっ!どうしよう朱里ちゃん。やっぱり胸なのかな」

 

近くで聞いていた朱里と雛里が小さな声だが慌ててしまい、お互いの胸と梨晏の胸を見比べてガックリしている。

 

「落ち着きなさい朱里、雛里。ツナヨシ様が言ったのはそういう意味ではありませんわ。」

 

「兄ちゃんが気に入ってるって名言したのっていないよね?」

 

「兄様の気に入るは異性としてではなく、共に歩んでいく仲間として気に入っているって意味だと思います。梨晏さんの裏表がない素直な性格が気に入っているのではないでしょうか?」

 

同じように聞いていた桂花、季衣、流琉は落ち着いており、ツナが言った気に入っているの意味を考えている。

 

しかし六名とも勘違いしている、ツナは気に入ったとは言っておらず、気になったとしか言っていない。

 

 

襲われていた村をいくつか助け第二部隊に引き渡した後、第一部隊が崖下の道を進行していると、

 

キンッキン ギャアアアァァァ

 

という音が崖の上から聞こえてきた。

 

第一部隊の面々は助けに行きたいが崖上にすぐに行けないとわかっていたため上を確認しながら進行している、ツナは今にも飛んでいきそうではあるが、

 

「ツナヨシ様!ここは我慢してください。相手の規模や戦力がわからない所に単身で貴方を向かわせるわけには行かないんです。後でお仕置きでもなんでも受けますから。」

 

と桂花に抱きつかれて止められていた。周りのみんなも考えは同じなようで頷いている。

 

しかし

 

「こっちに来ないで!誰か助けて!」

 

という声が聞こえた瞬間

 

「ごめんね。ここで行かないと俺はなんのためにここに来たのかわからなくなっちゃうから。後で言うことを聞いてあげるから行かせてくれないかな。」

 

ツナは桂花の頭に手を置きながら、桂花を諭していく。

 

「わかりました。言うことは聞かないでいいので絶対に怪我をしないで帰ってきてくださいね。」

 

桂花は涙目になりながらツナから離れて祈るように手を合わせる。

 

「絶対に約束するよ。」

 

ツナは額と両足に炎を灯し崖の上を目指して飛んで行った。

 

 

ツナが崖上に到着すると、一台の馬車と武器を構えた女の子三人、それを取り囲む賊が目に入った。

 

「スコッピオ・ディーラ改!」

 

と指を銃の形にしてXANXUSが銃を使用して使っていた技を空中から賊の一団に向けて何発も放つ。

 

煙が晴れて、その姿をみた生き残った賊は

 

「あの姿は!」

 

「空を飛び回り炎を操る・・・間違えねえ黄忠軍の武神だ~~~」

 

と体を引きずりながら逃げていった。

 

賊が見えなくなると、三人の女の子の前に降り立つ。三人の周りには仲間だったのか賊には見えない格好の男達が倒れていた。

 

「来るのが遅くなってごめんね。怪我はない?」

 

「別に雷々達だけでもどうにかできたんだからね!でも助けてくれてありがとう。」

 

「電々達だけだと難しかったと思うよー。ありがとうございました。」

 

「ありがとうございました。いま空を飛んでいたです?シャンにも飛び方を教えてほしいのです。」

 

「空の飛び方かー。難しいかな。」

 

三人にお礼を言われたので、そのまま自己紹介をすることに。

 

「俺は沢田綱吉。ツナで構わないよ。黄忠軍として黄巾賊の討伐中。」

 

「私は糜竺 子仲。真名は雷々です。電々は私の妹よ。」

 

「私は糜芳 子方。真名は電々です。」

 

「シャンは徐晃 公明。真名は香風。」

 

どうやら姉妹の方は商人の娘らしく一旗あげようと旅をしていたが、運悪く賊に囲まれてしまっていたらしい。香風や周りの男達は、姉妹の父親から護衛として雇われていたとのことだ。

 

「おにいちゃん。ぎゅー。」

 

「ンナ!急になに?」

 

三人の話を聞いていたら香風が急に抱きついてきた。

 

「抱っこしてお空を飛んで」

 

どうやら飛ぶのを教わるのは難しいと理解はしたが、空を飛んでみたいことに変化はなく、ツナに抱えられながらでも構わないと考えたようである。

 

「ちょうどいいから下にいる部隊と合流するね。香風は後ろからしがみついて、雷々と電々は横から」

 

ツナは下に任せている部隊と合流するために、三人をしたに運ぶことにした。乗ってきた馬車は無残にも壊れてしまっておりそのまま使用することはできなくなってしまっていた。

 

「行くよ!」

 

「お~~。シャンが飛んでるです。気持ちいいです。」

 

「ちょ!さすがに怖いって。」

 

「うわ~。ツナお兄さん暖かいです。」

 

後ろから香風が抱きついてきて、左右からは雷々と電々。香風はそうでもないが雷々と電々は不安なのか左右から顔を近づけてきておりツナとほっぺた同士が触り合うほどの距離になっていた。

 

ツナはゆっくり崖下へと向かっていく。

 

 

桂花はツナの降りてくる姿を見て安心したが、陰が異様に大きいことに気づき次第に不機嫌になっていた。

 

「ツナヨシ様。ご無事でなによりです。そちらの方々は?」

 

大きな陰の正体がツナにしがみついている女の子だとわかると、顔を引き攣らせてしまう。

 

「桂花。この子達は武官候補としてこのまま一緒に進行するからよろしくね。各自自己紹介しといて。」

 

ツナは三人を降ろし乗る馬車に案内するように指示し、上での内容を説明をしていく。すると春風が近くまできて

 

「おにいちゃん。シャンの夢が少し叶ったありがとう。チュッ」

 

とツナにお礼を言いながらホッペにキスをしてしまう。

 

「「「「「「「え!」」」」」」」

 

その光景をみた桂花は黒いオーラを出しながら

 

「わかりました。そういえば何でも言うことを聞いていただけるんでしたよね?それはこの場にいる官吏全員分のいうことをということですよね。」

 

「ちょ!なしになったんじゃないの!」

 

「そんなこと言っていませんよ。もしかして黄忠軍の官吏全員という意味でしたか?では後ほど全員にお伝えいたしますね。」

 

「はわわっ!桂花ちゃんがいままでみたこともない表情をしてりゅよ。」

 

「あわわっ ツナヨシ様に命令・・・夜伽」

 

「兄ちゃんへのお願いか~どうしようかな」

 

「兄様。逃げないでくださいね。」

 

「ツナヨシ殿。今回は諦めた方がいいかと。」

 

六人は顎に手を当てて考えながら進行を進めていった。




ツナが使用したスコッピオ・ディーラ改は幽遊白書の霊丸の片手連続打ちを想像してください。

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