ツナは明命に案内されて、三人がいる宿屋へと向かっていた。
「大喬様、小喬様。明名戻りました。」
明名が宿屋のドアをあけて部屋に入ると、双子と思われる少女とツナを睨む緑色の目をした女の子がいた。
「失礼させてもらうよ。(いい気迫だね。)」
ツナはニコリと笑いながら部屋に入り空いているイスに腰掛ける。
「貴方ダレよ?」
「明命。この人は?」
「この方が噂の武神で、明日の朝、太守様に私達を紹介していただくことになりました。」
ツリ目な少女がツナに直接問いただす中、タレ目な少女が明名に問いかける。明命が武神と口にすると、二人は体を震わせて驚き、睨んでいた女の子もピクッと体を反応させていた。
「私は大喬といいます。」
「私は小喬よ。なにが望みなの?体?」
「小喬ちゃん。ダメよそんなこと言っちゃ。せめて紹介してくれた後に言わないと気が変わっちゃうかもしれないでしょ。」
少女はタレ目が大喬、ツリ目が小喬というようだが、見た目の可愛らしらとは裏腹に言葉に毒が混じっていた。
「ハハハ。ハァ〜(また濃いメンバーが増えそうだな)。俺は沢田綱吉。ツナで構わないよ。」
「私は太史慈 子義。ツナ殿手合わせをしてほしい。」
睨んでいた女の子は太史慈と言い、元の場所では明命と同じ武官だったらしい。
「採用試験じゃないけど、四人とも武官の誰かとは模擬戦をしてもらうことになるよ。」
「わかりました。明日まで我慢します。」
ツナは模擬戦がしたいと言われ、戦闘狂なのかとも考えたが、聞き分けがよくて感心していた。
「「え!私達も?」」
大喬と小喬がハモりながら声をあげ立ち上がる。
「あんた偉いんでしょ!なんとかしなさいよ!」
「いまは即戦力としての扱いなら例外だけど官吏は募集していないんだ。二人とも武官ではないだろうし、文官としても勉強不足だよね?」
小喬が指を向けながら命令口調でなんとかしろというが、ツナは二人に官吏としての実力がないのを見抜いていて事実を告げる。
「小喬ちゃん。まずは落ち着いて。」
大喬が暴れる小喬を宥めて、目でツナに続きを訴えかける。
「本来ならダメなんだけど、二人には俺の知り合いってことで、特別に文官見習いとして勉強をしながら働いてもらう。」
「わかりました。お礼は体で返しますね。」
「やっぱり体が目当てなんじゃない。」
「誰も体を求めてはいないからね!とにかく、やるからにはねっちょり勉強はしてもらうから覚悟してね。」
ツナはそういうと立ち上がる帰ろうとするが、
「ねえ、知り合いって言うのならお互いのことをもっと話しておきませんか?」
大喬がツナの腕を取り引き留める。
「そうだね。じゃあ軽く雑談でもしようか。」
ツナも大喬のいうことはもっともだと考え五人で色々なことを話し、夜中に自室へと戻っていった。
翌日、ツナは五人を連れて謁見の間にて紫苑とや他の官吏達に紹介をした。多少怪しまれたが、ツナの知り合いと言うことで梨晏と明命は武官に大喬と小喬は文官見習いとして仕えることに決まる。
手合わせでは梨晏はツナと、明名は愛紗と手合わせを行い武将としての力を見せることにも成功していた。
その他にも将にまでは力が及ばないが、争いが絶えない地域からの避難民なのか文武共に優秀な兵が増えていった。
そのため街も少しずつ大きくなっており、ツナ、真桜、沙和が計画し城壁が二枚・三枚と外側に増えていった。
十日後
「漢王朝からの黄巾賊討伐命令が届いたですぞ。」
「各地の豪族達全員に渡っているみたいでしゅ・・・噛んじゃった」
ねねが勅命を読みあげ、雛里が補足で説明するが、噛んでしまい大喬、小喬にいじられ朱里に慰められている。
「都からの勅命なら動かないわけにもいかないわね。みんな部隊編成をおねがいできるかしら?」
「「「「はい!お任せください紫苑様。」」」」
紫苑が立ち上がりながら文官達に部隊編成の指示を飛ばす。優秀な文官達が決めたことなら領内の守りも確実なものになると信じているのだ。
領内に残るのが
紫苑、凪、真桜、沙和、ねね
諜報(拠点や賊の動向を探る)部隊に
明名、風
第一部隊(攻撃専門)に
ツナ、梨晏、流琉、季衣、朱里、雛里、桂花
第二部隊(安全確保した村や町への補給や物資の移動、第一部隊に怪我人が出たときの予備戦力)に
桃香、愛紗、鈴々、稟、大喬、小喬
という部隊展開をすることになる。