わにゃわにゃ ワドルディ   作:にゃもし。

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ワドルディとヒグマ

 

 

それはルフィが破壊された船の残骸を発見する前────ワドルディたちがヒグマが率いる山賊集団に攫われるときのこと…

 

 

ワドルディたちがせっせと船作りに勤しんでいるところを建物の陰から見つからないようにヒグマたち山賊集団が観察しており、彼らはそこでワドルディたちを捕まえるための計画を練っていた。

 

 

「あの珍獣なら道具とか必要ないんじゃないすか? 見た目からして弱そうですし」

 

 

そんな中、部下の一人がヒグマにそう進言する。

彼らの背後には獣用のワナ、木製の檻などの捕まえるための道具が積まれていた。

 

 

「バカ言え、売り物に万が一にでもキズがついたら安く叩かられるだろうが……それにアイツらはあんな姿形で人間様の道具を一丁前に使うどころか、船を作るだけの技術と頭はあるんだぞ?

 オレたちみたいのが近づいてみろ、警戒して逃げ出す可能性が高い」

 

「え? じゃあ、どうするつもりなんですか?」

 

「頭を使え頭を、なにもオレたちが近づく必要はねえだろ?」

 

 

ヒグマの目にはワドルディたちと挨拶を交わした先ほどの漁師が映っていた。

 

 

 

 

「がははは、ようお前ら! ガンバってるな!」

 

 

声をかけたのは先ほどの漁師。ワドルディたちは「わにゃわにゃ」と返事を返し、漁師が背中に背負っているリュックに気がつく。

 

 

「おう、これか? 棟梁からお前たちに差し入れだとよ」

 

「わにゃ?」

 

「名前は聞いちゃいねえが、ダダン一家んとこの人間だろうよ」

 

「わにゃ」

 

「なあーに、山賊だが彼女は信用できるさ!

 なんたってルフィの育ての親みたいなもんだからな!」

 

「わにゃわにゃ」

 

「おう、遠慮なく食っちまいな!」

 

 

通じているのかどうか怪しい会話を両者が交わした後、漁師は背負っていたリュックを地面に下ろすと「がははは。じゃあな!」という言葉とリュックを残して去っていく。

 

漁師がいなくなり、ワドルディたちはしばらく「わにゃわにゃ」と話し合ったあと、作業を中断して食事を取ることにした。

 

山賊からの差し入れと言われれば普通は警戒しそうなものだが、彼らは元は人間である。それもこの世界……ワンピースに関する知識を持っている。

のどかなフーシャ村の影響と、漁師から聞かされた「ダダン一家」という単語、さらに原作が始まる前ということと、そして何よりも自分たちが狙われるとは露にも思っていないのが原因だろう。

 

ワドルディたちは何の躊躇いもなく用意された食べ物に口をつけた。

 

 

 

 

「お頭、食いもんに仕込んだ睡眠薬が効いたみたいですぜ。ぐっすり眠ってますぜ」

 

「ようし、お前らアイツらが目覚める前に捕獲すっぞ」

 

 

ヒグマの号令の下、山賊たちが周囲に目を光らせながら動き出す。

ほどなくしてすやすやと小さな寝息を立てて眠る三体のワドルディの前に着いたヒグマたち。彼らは想定外のことに頭を悩ませていた。

 

 

「お頭ァ、コイツらの()って…」

 

 

猛獣用の首輪を手にした手下の一人がワドルディを前にして困惑していた。

一頭身という特殊な肉体構造をしているワドルディ。彼らには首と胴体の見分けがつかなかったのである。

 

 

「手枷、足枷もダメです! 嵌まりません!」

 

 

一方で手枷、足枷を持った山賊がヒグマにそう報告を入れた。

持ってきた拘束道具ではワドルディを拘束することができなかったようである。

 

珍獣といわれているが従来の獣用の道具で十分だろうと高を括っていたヒグマ。さすがの彼でも捕獲すべき珍獣が一頭身とは夢にも思わなかった。

 

彼は溜め息を吐いてから決断を下す。

 

 

「しょうがねぇから、そのまま檻に入れちまえ」

 

 

ヒグマの指示でワドルディたちを檻に入れる山賊たち。大して時間もかからず全てのワドルディを檻に閉じ込めると、ヒグマは作りかけの船を指差して手下たちに命令を出した。

 

 

「この船を壊せ」──と、

 

 

目の前で形を崩していくワドルディたちの船。

その命令に疑問を持った一人がヒグマに声をかけた。

 

 

「船を壊しておけば連中は逆上するだろ? そこに()()を立て掛けておく」

 

 

──と件のメッセージが彫ってある木の板を目につく場所に置いた。

 

 

「えーっと、夜中にまたここに来るんですか? コイツらを連れて?」

 

「バーカ、オレたちは山賊だぞ? 何で律儀に約束事を守る必要があるんだよ?」

 

「え? じゃあ、何のため?」

 

「逆上した珍獣の飼い主がこれを見て夜中までここに待つ。

 その間、オレたちは街に行って珍獣を売っぱらっちまう、という寸法だ」

 

 

悪どい笑みを浮かぶヒグマに、部下の一人は「なるほど」と納得をしてみせた。

その後、ルフィが誰もいない浜辺で船の残骸とメッセージを見つける。

 

 




(´・ω・)にゃもし。

売り物にキズがついたら大変だよね。

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