「ここじゃ船が手に入りそうにねぇから、どこかで手に入れねぇとなー」
「わにゃ」
「わにゃ?」
「わにゃわにゃ」
酒場を追い出されたルフィとワドルディは浜辺の一画を陣取ってたむろしていた。
その様子を村の住人が面白おかしく眺めている。
「よう、ルフィ。さっそく頼もしそうな船員を見つけてきたじゃねぇか?」
漁の帰りらしき村の漁師たち。そのうちの一人がからかうような口調でルフィたちに声をかけてきた。日焼けした小麦色の肌と白く輝く歯が暑苦しい印象を与える。
「船員は見つけたんだけどよ~。村長から『あのボートじゃ全員は無理だから大きいのを見つけてこい』って言われてよー」
村長の顔と声を真似て伝えるルフィ。声をかけた漁師は「違いねぇ。がはは」と豪快に笑い…
「見つからないなら、いっそ作ってみたらどうだ?」
──なんてことを言い残して「がはは」と笑いながら去っていた。
当の本人は冗談で言ったつもりなのだろうが、それを聞かされた彼らは……名案と言わんばかりに手をポンと打っていた。
それからの彼らの行動は迅速かつ正確で迷いがなかった。
使わない木材をかき集め、船の作り方を知っている者に師事してもらい。彼らは浜辺で船を組み立て始める。……もっとも、ルフィは手先が不器用なこともあって開始早々に船の材料を破壊して盛大に撒き散らしてワドルディたちから顰蹙を買ってしまい。それゆえ作業場から追い出されたが…
「あれがウワサの珍獣か…? しかも、三匹。
まあ、金持ちの好事家なら高く買うだろうよ」
少し離れたところからワドルディたち観察するガラの悪い男たちの一団がいた。そのリーダー格らしき右目の上に十字のキズがある男はルフィがワドルディたちから離れるの待ってから近づく。
男の名は「ヒグマ」
ルフィとは浅からぬ因縁を持った人物であり、山賊を生業にしている者たちの頭をしている。
──その日の夕方。
いつまで経っても帰って来ないワドルディたちに業を煮やしたウープがルフィに迎えに向かわせると……そこにはワドルディたちの姿はどこにもなく、あるのは徹底的に破壊された船の残骸だけだった。なおかつ自分たちの犯行だと知らしめるために残したのだろう。大きな木の板にでかでかと名前が彫られていた。
──山賊ヒグマ 参上。
珍獣を返してほしければ 夜中 一人で ここに来い……
「 ヒグマぁぁぁぁぁ~~~~~っっっ!!!! 」
夕暮れの浜辺でルフィの叫び声が響き渡った。
(´・ω・)にゃもし。
ヒグマさんは個人的に出したかったの… 赦しておくれ。